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気管切開と食事

気管切開をすると食べられなくなりますか?

『食べる』とは、食べ物を口に取り込んで、噛んで、飲み込むという動作に分けられます。気管切開のお子様は、気管のチューブがのどの動きを抑えることで、飲み込む動作が難しくなることがあります。手術後の落ち着いた段階で、少しずつ口からの摂取を開始し徐々に慣らしていきましょう。その際、食べ物の形や、食べる姿勢に工夫が必要になります。
しかし、気管切開をする前のお子様の状態が、飲み込みが難しい、咳が出にくい、唾液が気管に入ってしまう、反り返りが強い、胃管栄養をしている、などあるときは、嚥下障害が起こることも多くなります。
食べることは、栄養面のみならず、口腔内の衛生環境面、お子様の発達面で大切です。必要な栄養量のすべてを食べることが出来なくても、無理のない範囲で続けていきたいですね。

気管切開があるこどもが、食べるときの注意点はありますか?

楽しい雰囲気、食べたいという意欲を大切にしましょう。嫌がっていたり、興味が向いていない時はうまく飲み込めない場合があります。
また、食事中は誤嚥や窒息には注意が必要です。ゼロゼロしたり、突然のむせ込みに備えて、気管内吸引や気管チューブの交換ができる準備をしておきましょう。体調も大切ですので、熱があるとき、呼吸が速いとき、痰が多いとき、酸素の値が低いときには、口から食べることを控えたほうがよいこともあります。どのような状態で食べるのを控えるかは、担当医とよく相談してください。

飲み込みが悪いときはどのようにしたらよいですか?

食べるのは医師とよく相談してから開始しましょう。
食べ物や唾液が気管に入ることを誤嚥と呼びます。誤嚥が起こると肺炎を引き起こす危険があります。飲み込みが苦手なお子様が摂食を開始する場合は、『飲み込みの評価』が必要になります。嚥下造影検査といって、造影剤の形態(水、とろみ)を調整して飲み込むときの、口、のど、食道を通る様子を調べます。誤嚥がある場合は、造影剤を飲み込むと、気管に造影剤が入り込むところが観察できます。この検査で、誤嚥の有無だけでなく、どのような食形態や姿勢が飲み込みやすいかの評価が出来ます。
  • 食事の形態は、『さらさら』な水分や固形物は飲み込みが難しい場合があります。トロミといって、『とろとろ』な水分は飲み込みやすい場合が多いです。固形物は難しくても、ペースト状にすれば摂取できることもあります。
  • 姿勢も大切です。仰向けや、首が反り返った姿勢は飲み込みに悪影響があります。食事のときの姿勢を確認しましょう。
  • 食事を開始する前の初期段階には、舌先に甘い味をつけて、それにより増えた唾液を飲み込んで対処できるかをみることもあります。
いつから、どのような形態のものを、どのような姿勢で、どの程度(量)を摂取するのかを担当医や言語療法士などと相談をしましょう。