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新医療法、提言の紹介

胸部や骨のX線撮影、CT、核医学検査、血管造影、放射線治療といった放射線を用いた診療は、現代の医療で大切な役割を果たし、多くの患者さんの診断・治療に貢献しています。
一方で、放射線検査の発達・普及とともに、特にCTによる放射線被ばくが増加し、これによる健康影響が懸念されるようになってきました。

日本学術会議の提言

日本学術会議の放射線・臨床検査分科会は、放射線利用の有効性を損なうことなく不必要な被ばくを避け、国民の医療被ばくを低減するため、2017年8月に以下の提言を発出しました。

CTを中心とした医療被ばくに関して現状を報告するとともに、今後の取り組みについて提言しています。この中で、小児における放射線防護の重要性、小児患者の家族に向けた情報提供の大切さが強調されています。


医療法施行規則の改正

こうした中で医療法施行規則が改正され、2020年4月から、放射線診療を行う医療機関では診療用放射線の利用に係る安全な管理を行うことが定められました。

これまでは各医療機関の自主的な取り組みに委ねられていましたが、医療法という法律の下で行うべき内容が明示されたのは、日本の医療安全のために画期的なことと言えます。


新医療法における放射線安全管理体制

新しく規定された診療用放射線の安全管理では、以下のようなことを行うことになりました。

1) 医療放射線安全管理責任者の配置

各医療機関において、診療用放射線の安全管理についての責任者を定めます。

2) 診療用放射線の安全利用のための指針の策定

診療用放射線の安全利用を図るため、各医療機関で院内指針を定めて文書にします。
指針は厚生労働省が発出した「診療用放射線の安全利用のための指針策定に関するガイドライン」を踏まえて策定します。

3) 診療用放射線の安全利用のための研修の実施

診療用放射線の安全利用のための研修を年に1回以上実施し、医療被ばくの基本的な考え方、放射線診療の正当化と最適化、問題事例発生時の対応、患者さんへの情報提供について周知します。
受講対象者は、放射線診療に関連した業務に携わる人全般で、放射線検査を依頼する医師や検査説明をする看護師も含まれます。

4) 被ばく線量の管理・記録

放射線の安全利用に資するため、放射線診療による被ばく線量の管理・記録を行います。線量管理では、被ばく線量を評価し、診断参考レベルを使用して線量を最適化します。線量管理および線量記録はCT、血管造影、核医学診療については必須で、その他の検査では必要に応じて行います。

5) 過剰被ばくその他の事例発生時の対応

放射線の過剰被ばくなど、放射線診療に関する問題事例が発生した時には、医療機関内で報告し、事例検討を行って改善・再発防止を図ります。

6) 医療従事者と患者間の情報共有

放射線診療を行う際には、放射線被ばくの線量やその影響、被ばくも考慮した上での放射線診療の必要性、医療被ばくの低減に関する取り組みについて事前に患者さんに説明します。この説明には検査依頼医が責任を持ちます。

井上 優介(北里大学医学部 放射線科学(画像診断学)教授)

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