代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU

Image Gently

image_gently01.pngの画像

Image Gently(イメージジェントリー)は米国の小児放射線学会(SPR)、米国医学物理学者協会(AAPM)、米国放射線科医学会(ACR)、米国診療放射線技師会(ASRT)を母体として、2007年に立ち上がった小児の医療被ばく低減を推進する世界規模のキャンペーンです。そのホームページは小児医療被ばくの総合情報ネットワークを形作っています。このキャンペーンに賛同する世界中の100を超える学会がアライアンスメンバー(同盟)として登録され、日本からは日本小児放射線学会(2017年)、日本放射線専門医会(2018年)がアライアンスに加入しています。日本小児放射線学会は東アジア地区での最初の加入施設です。

日本語ではおそらく"子どもに優しく撮影しよう"というようなニュアンスだと思われます。この中には子どもの医療被ばくについて、その両親や一般の大人向けの解説や、実際に小児放射線に携わる放射線科医、他科医師、診療放射線技師に向けたコンテンツも充実しています。


コンテンツの抜粋

ホームページは大きく分けて4つのコンテンツから成り立っています。

  1. Image Gentlyの活動紹介
  2. 閲覧者の立場により、親、医学物理師、診療放射線技師、放射線科医師、臨床医、歯科放射線医師などの異なる立場の閲覧者に向けた個々へのメッセージ
  3. 実際の画像診断手技
  4. 国際的な展開(20か国語に翻訳された基本コンセプト、日本語版もあり放医研の先生方が翻訳)

以下に小児CTのコンテンツを抜粋、紹介します。

CT;One size does not fit all (みんなが同じ体格ではないキャンペーン)

  • 1~4までの4つの教育モジュールからなる音声付教育スライド(各10数枚程度)が公開され、この中にはCT被ばくに伴う発がんのリスクや、CTDIなどの単位の説明、ALARAコンセプト、単相、多相CT撮影の違いなどが紹介されています。
  • 米国医学物理学者協会(AAPM)が公表しているCTメーカー各社ごとの患児の体格ごとに推奨される管電流(mA)や管電圧(kV)、画質(SD)などが頭部、胸部、腹部などスキャンする臓器ごとに一覧表になっています(2017年公表版)。

    CTメーカー各社の主要製品別の推奨プロトコルの記載は、それらを比較することが可能で非常に参考になります(https://www.aapm.org/pubs/CTProtocols/)。
    またImage Gentlyの考案したCTプロトコル(2014年改定版、2008年初版)もエクセルシートとして無料ダウンロードできます。

    このワークシートにはCTDIvolをベースにしたSSDEでの3段階の被ばく低減 (Limited, Moderate, Aggressive)の推奨が提唱されています。各施設の成人のCT撮影条件をカラムに入力することでそれぞれの病院での独自の推奨を得ることができます(下表)。 https://www.imagegently.org/Procedures/Interventional-Radiology/Protocols


上記CT以外にも、単純X線撮影、透視検査、血管撮影インターベンションなど多岐にわたる手技の紹介とそれぞれの小児医療被ばくに対する考え方が紹介されています。これらの記事はImage Gentlyの12年間にわたる複数のキャンペーンをベースに紹介されており、しっかりしたブレの少ない主義主張が感じられます。

また過去に行われたさまざまなキャンペーンには、キャッチ―で覚えやすいスローガンと、ビジュアルに訴える素晴らしいポスターが添えられており、量、質ともに世界規模のスケールのキャンペーンであることを実感できます。


ひとことコラム

当サイトPIJONはトレードマークに鳩をあしらっていますが、Image Gentlyのトレードマークは色彩豊かな綺麗なアゲハチョウをモチーフにしています。北米放射線学会(RSNA)や米国小児放射線学(SPR)へ行くとImage Gentlyのブースが設けられ、このアゲハチョウをあしらったバッジやストラップ、マグネットステッカーが無料で配布され活動の啓蒙を行っています。

当サイトPIJONは日本におけるImage Gentlyのような存在を目指したいと思います。また当サイトの『お楽しみバナー』の『この人に聞く』には、Image Gently会長のDonald Frush教授のインタビューを掲載しています。そちらも併せてご覧ください。

Image Gentlyのロゴとシンボルの蝶をあしらったピンバッチ、缶バッチ、ストラップ、マグネットステッカーなどのアイテム

Image Gentlyのロゴとシンボルの蝶をあしらったピンバッチ、缶バッチ、ストラップ、マグネットステッカーなどのアイテム。著者が米国小児放射線学会に参加した際、Image Gentlyブースで無料提供されていました。アメリカらしい素敵なデザインで、こういったグッズはキャンペーン同盟者の気持ちの一体感を生み、モチベーションを高める気がします。

宮嵜 治(国立成育医療研究センター 放射線診療部 診療部長)

ページトップへ戻る