国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU
  • トップ
  • > プレスリリース
  • > 2017
  • > 帝王切開既往のある妊婦の子宮破裂についての発症頻度や発症に関わる因子・その予後が明らかに

帝王切開既往のある妊婦の子宮破裂についての発症頻度や発症に関わる因子・その予後が明らかに


世界保健機関(WHO)の30万人超の妊娠データを解析


国立成育医療研究センター政策科学研究部森臨太郎部長の研究グループは、同免疫アレルギー・感染研究部の本村健一郎研究員、同臨床研究教育部の永田知映室長らと協力し、帝王切開既往のある妊婦の、子宮破裂の発症頻度や発症に関わる因子、またその予後を世界保健機関(WHO)の大規模データを使用した解析で明らかにしました。
この研究成果は2017年3月10日に権威ある科学系雑誌であるScientific Reports誌より発表されました。

プレスリリースのポイント

    • 帝王切開既往のある妊婦の0.2〜0.5%が子宮破裂aを発症すると言われており、帝王切開による分娩は世界的に増加しています。これに伴い、特に発展途上国で帝王切開後妊婦の子宮破裂が問題となってきています。これまで帝王切開既往妊婦の子宮破裂に関する研究は先進国のデータをもとにして実施されており、先進国以外の国には当てはめられない恐れがありました。
    • 発展途上国を含むWHOの大規模データを使用した解析の結果、帝王切開既往のある妊婦の、子宮破裂発症頻度は0.5%でした。子宮破裂に関与する因子として、人間開発指数(HDI)bが低い国に住んでいること、教育年数が短いこと、自然陣痛が発来していることが関連していることがわかりました。また予後としては、子宮破裂は母体死亡・母体の深刻な合併症や胎児・新生児死亡に大きく関係していることが分かりました。
    • この研究成果をもとに、今後は世界中、特に発展途上国における帝王切開既往妊婦に対する次回妊娠時のケア、子宮破裂の予防方法、起こってしまったときの対処方法を明らかにする研究の実施が必要であると考えられます。

    a.子宮破裂:妊娠子宮が裂けてしまうこと。帝王切開既往妊婦は子宮筋を切開しているため、既往のない妊婦に比べて子宮破裂の頻度が高まる。
    b.人間開発指数Human Development IndexHDI)。所得水準、平均寿命、教育水準から計算される、各国の「人間開発」の度合いを測る指標

    背景・目的

    帝王切開既往のある妊婦の代表的な合併症として、子宮破裂があります。帝王切開既往のある妊婦の0.2〜0.5%が子宮破裂を発症すると言われており、母体と胎児・出生児双方に甚大な悪影響を与える合併症と報告されています。
    帝王切開による分娩は世界的に増加しており、帝王切開をしたことのある妊婦の数も増加しています。これに伴って、特に発展途上国で帝王切開後妊婦の子宮破裂が問題となってきています。このような状況に対処し対策を立てるためには、子宮破裂の発症頻度や発症に関わる因子、またその予後などの情報が必要です。
    これまで子宮破裂は主に先進国の限られた数の妊婦を対象にした研究がほとんどでした。上記発症頻度や発症に関わる因子、予後などは医療水準によって大きく影響を受けるため、これまでの研究結果は、先進国以外の国には当てはめられない恐れがありました。
    そのため、今回私達は世界保健機関(WHO)が集積した発展途上国を含む世界29カ国、30万人の妊婦データを用いて、子宮破裂の発症頻度や発症に関わる因子、予後を検討しました。

    研究手法・成果

    本研究は、WHO Multicountry Surveyの二次解析として実施しました。WHO Multicountry Surveyは、アフリカ、アジア、南米、中東の29カ国から、偏りが少なくなるように選ばれた359施設における、2010年から2011年の間の妊婦(約30万人)の妊娠・出産のデータを収集した大規模データです。同データに含まれる妊婦のうち、帝王切開既往のある妊婦は約3.7万人で、子宮破裂の頻度は0.5% (170人)でした。この研究は、特に発展途上国について、これまで実施されてきた帝王切開既往妊婦の子宮破裂に関する研究の中で最大規模のものです。
    子宮破裂に関わると考えられる因子について多変量解析を行ったところ、帝王切開既往のある妊婦の子宮破裂の発症には、人間開発指数(HDI)が低い国に住んでいること、教育年数が短いこと(6年以下)、自然陣痛が発来していることが関連していることがわかりました。
    また、これまでの報告の通り、帝王切開既往のある妊婦の子宮破裂は母体死亡・母体の深刻な合併症や胎児・新生児死亡に大きく関係していることが分かりました。

    今後の展望

    今回私たちは、帝王切開既往のある妊婦の子宮破裂の頻度、関与する因子、予後を、多くの発展途上国を含む大規模データを用いて明らかにしました。これまでの先進国中心のデータでは指摘されていなかった情報が明らかになりました。
    本研究は、今後世界中で帝王切開既往の妊婦の子宮破裂の予防策や対策を考える上で基礎となる情報を提供する、有意義な研究であると言えます。
    この研究成果をもとに、今後は、特に発展途上国において具体的にどう子宮破裂を防いでいくのか、また起こった場合にどう対処していくのかを明らかにする研究の実施が必要であると考えられます。

    発表論文情報


    ご寄付のお願い Contribution&Donation

    国立研究開発法人国立成育医療研究センターでは、より充実した成育医療に関する調査、研究並びに医療の提供を行っていくために、研究開発、教育研修及び病院運営に対し企業や個人の皆様方から広く寄付金等を呼び掛けています。(くわしくはこちら

    国立成育医療研究センターのご寄付は、所得税法上の寄付金控除の対象となる特定寄付金又は法人税法上の全額損金算入(税制上の優遇措置)を認められる寄付金です。

    次世代を支える医療のために、ご支援をお願いしております。 ご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

    本件に関する連絡先

    国立成育医療研究センター(代表)

    03-3416-0181

    月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


    取材に関すること: 総務部総務課広報係(内線 7783)