国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

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成育すこやかジャーナル 平成25年度

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 成育すこやかジャーナル  No.124(2014/02/28)

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: ◇先天性代謝疾患に対する次世代治療―肝細胞移植
:   臓器移植センター 重田 孝信

: ◇リプロダクションサイクルを支える病棟
:   11階東病棟 野口 ゆう子

: ◇トピックス

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   先天性代謝疾患に対する次世代治療―肝細胞移植

 

    臓器移植センター 重田 孝信
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臓器移植センターでは2005年より肝臓移植のプログラムが始まり、2013年12月時点で262例の肝臓移植を行ってまいりました。その実に約半数が1歳未満の乳児症例であり、他の移植施設と比べても、体が小さく、状態の悪い患者の治療を手掛けてきました。通常、小児、特に乳幼児の生体肝移植の場合、ドナー(供与者)肝臓の外側区域という部分(全肝臓の約20-30%)を移植します。しかし、新生児期からの病気により栄養状態が不良な患者、新生児期に病状が進行してしまった患者では、体が十分に成長せず、ご両親からの外側区域では肝臓が大きすぎてしまうため、体の中に収まりません。

そのような場合には、移植する肝臓を、体の中に収まるように小さくした後に移植します。しかし、その余ったドナーの肝臓はどうなってしまうのでしょうか? 当院では移植プログラムの始まった2005年当初より、このドナーの余った肝臓を肝細胞に分離し、肝細胞移植に使用できると考え、研究を行ってまいりました。

肝細胞移植は、肝臓のアンモニアを分解する一部の酵素が欠けた先天性代謝疾患(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、カルバモイルリン酸合成酵素I欠損症)に対する、酵素の補充目的や、急性肝不全症例に対する一時的な肝代替療法として、海外を中心に行われている比較的新しい治療法です。

とくに、先天性代謝疾患では、生後数日以内の新生児期に高アンモニア血症で発症し、重症例では、致命的な神経発達障害を来します。これらの疾患は、肝臓移植が根治的な治療法になりますが、新生児期に行うことは困難です。

一方、肝細胞移植は肝臓移植と比べ、肝臓の中の血管内に細胞を投与する治療法ですので、体の負担が少なく、新生児でも治療が可能であるという利点があります。

しかし、移植した肝細胞が拒絶反応等のため、半永久的に保つことができないのが欠点です。肝臓移植が比較的安全に施行可能となる、体重6~7kg以上になるまでの間、通常の内科的治療と並行し、高アンモニア血症を起こさないようにするのが治療の目的となります。

昨年8月に本邦初の新生児に対する肝細胞移植を行いました。

2度の肝細胞移植を行い、現在は致命的な神経発達障害を来すことなく生体肝臓移植の待機中です。肝臓移植と異なり、拒絶反応・治療効果の判断が難しいことや肝細胞の供給源が少ないことなど、まだ研究が必要な分野ですが、今後、この肝細胞は胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などから供給されるようになることが見込まれます。

まだ我々はその第一歩を踏み出したにすぎません。


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   リプロダクションサイクルを支える病棟

        

   11階東病棟 野口 ゆう子
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11階東病棟は成人病棟で周産期センターにも含まれているため、さまざまな患者さんが入院してきます。

おもに成人の女性が多く、周産期では、悪阻、切迫早産をはじめ習慣性流産、羊水検査など妊娠週数が浅く、症状が比較的安定している妊婦が中心です。
母性内科では糖尿病や高血圧症合併妊娠、膠原病合併妊娠のほか不妊症にかかわる諸治療目的の患者さんが多く、また、婦人科疾患や子どものころから重篤な疾患があり当院で大人になるまで経過を見てきた患者さんが妊娠した時も、11階東病棟で入院管理をします。

外来は不妊診療科と女性総合外来を担当し病棟と一元化されています。

不妊診療科は排卵に合わせて採卵ができるよう365日毎日診察しており、不妊症看護認定看護師が中心となり患者さんに対応をしています。女性総合外来は女性特有の症状で悩んでいる方々のカウンセリングを主としています。

また、妊婦さんばかりでなく成人では慢性疾患や障害があり在宅で過ごされている患者さんも入院しています。夏休みや冬休みの時期になると手術や検査を受ける小学生や中学生も多く入院してくるため、季節によって病棟の雰囲気が変わることも特徴の一つです。

11階東病棟に入院している妊婦さんの中には、妊娠が分かった時点から分娩まで入院を余儀なくされる方も多く、安静を長期に強いられるため自由にならないストレスと、おなかの中にいるわが子の安全を守らなければならない責任とで押しつぶされそうになっています。

私たちはそのような患者さんの気持ちに寄り添い、また、家族のことや出産までの不安を少しでも軽減できるよう話を伺い、援助できることを常に考えながらかかわっています。

妊娠されている方は分娩が近くなると6階に移動し出産になります。分娩まで患者さんとかかわることはできませんが6階に移動になっても、継続してケアできるよう移動先の病棟に情報を伝えています。また、周産期の患者さんについては、周産期病棟間で、情報を共有するための話し合いを毎週行い、移動があっても無事に出産し退院の日が迎えられるようにしています。

ときに、芽生えたいのちが消えてしまい深い悲しみに覆われた時も、部屋の環境を変え家族とともに過ごせるように配慮し、患者さんや家族が自分たちで納得の行く結論を出して退院できるようにかかわっています。

この11階東病棟は、胎児のときから出産できる成人になるまでの、リプロダクションサイクルを支える病棟であり成育医療研究センターの縮図だと思っています。スタッフは不妊症看護認定看護師を含め助産師と看護師がおり、新卒者から経験豊富なお母さんスタッフまで幅が広く、患者さんの相談にも経験を生かした指導をしています。

周産期の妊婦さんだけでなく様々な患者さんが入院してきますが、どの患者も安心して入院生活を送れるよう、また笑顔で退院できるよう私たちは常に考えながら援助していきます。


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■□── トピックス ──────────────────

成育医療研究センターのホームページもぜひご覧ください。
  URL: http://www.ncchd.go.jp

【病院をご利用の皆さまへ】
  ・診療に際して患者様のお名前をお尋ねします。
   詳細は下記URLからご覧ください。
   http://www.ncchd.go.jp/hospital/about/oshirase20140204.html

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■ 編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

『成育すこやかジャーナル第124号』はいかがでしたか?

1階の総合受付前には、既にお雛様が飾られています。
お雛様は寒い日が続く中で、ひと足早い春を感じさせてくれますね。

お雛様を早く片付けないと婚期が遅れる・・・という説がありますが、
旧暦の場合、梅雨が間近であるため、早く片付けないと人形や絹製の細工物に
虫喰いやカビが生えるからというのが理由だそうです。

また、地域によっては
「おひな様は春の飾りもの。季節の節できちんと片付けるなどのけじめを
持たずにだらしなくしていると嫁の貰い手も現れない」
という躾の意味からも言われているそうです。耳が痛くなるいわれですね。


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  成育すこやかジャーナル  No.123(2014/01/28)

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┏━━━━━ INDEX ━━━━━━━━━━━━
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┃ ◇平成26年の門出にあたって
:   病院長 松井 陽
:                          
: ◇今こそ考えなければいけない風疹ワクチン接種方法
:   周産期・母性診療センター 産科医長 久保 隆彦

: ◇お母さんと赤ちゃんに寄り添ったやさしい看護をめざして
┃   6階西病棟・GCU副看護師長 市島 美保

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   平成26年の門出にあたって

    病院長 松井 陽
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成育すこやかジャーナルの読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。

私共の独立行政法人 国立成育医療研究センターが発足して、4月1日で5年目に入ります。独立行政法人というのは、民間に任せていたのでは不採算などの理由で実施されないような業務を、効率的・効果的に実施することを目的とする法人です。この間、医療の提供に関しては、高度先駆的な医療として肝臓移植(肝細胞移植を含む)、胎児治療(胎児鏡下レーザー凝固術)、未熟網膜症早期硝子体手術など世界のトップレベルの治療をさらに推進しました。

一方、病院は大きな課題を抱えています。

その第一が病床再編です。
小児がんなど化学療法や放射線照射の結果、免疫力の低下した患者さんには、小児がんセンター病棟を整備する用意ができました。しかしその病棟には急性感染症の患者さんの入院を回避しなければなりません。また集中治療室、新生児集中治療室で助かった患者さんの中には、長期にわたって在宅人工呼吸を必要とする方もいます。こうした患者さんたちおよび献身的に看病をされているご家族のために、短期間の滞在ができる病床を用意しなければなりません。

第二は2月の始めに病院機能評価、3月の始めに電子カルテシステムの更新が予定されていることです。
病院機能評価は病院がいかに患者さんの立場に立って機能しているかを第三者に評価してもらう一種の試験です。これに合格するのは簡単ではなく、人員を増やしたり、小規模の工事をしたりしなければならないので、1年前から病院をあげて準備してきました。また電子カルテシステム更新も容易なことではなく、3月1日(土)から2日(日)にかけての1日半、電子カルテが使えなくなります。病棟や外来の大混乱は何としても避けたいところです。

第三の課題は外来予約制度の改善です。
来院してから、待合、診察、検査、調剤、会計などを経て、病院を後にするまで5時間以上かかる方が少なくありません。患者さんの意見箱への投書でも、待ち時間の長いことに対する不満が最も多いのです。何かの都合で予約日時を電話で変更しようとして医師の診療を中断するため、来院している患者さんの待ち時間がさらに長くなる悪循環も生じています。外来に勤務する補助員をさらに増やすことを検討中です。

第四の課題は成人への移行期の年齢に達した患者さんの診療です。
国立成育医療センターが創設された頃には、当センターは小児期に発症した患者さんが何歳になっても診療するのだと主張した人々がいたことは確かです。また成人診療科に移行した方が患者さんにとって良いとわかっていても、現在の医療体制ではそれができない診療科があることも事実です。しかしすべての患者さんを成人後も継続して診療することが困難なことは、今や誰の目にも明らかです。私どもはそうした考え方の誤りを認めて、内科医その他の人々の協力のもとに新しい診療システムを構築しなければなりません。

当センター病院の課題は山積していますが、一つ一つ地道に取り組んでいかなければなりません。私は今年、3月をもって定年退職いたします。7年間の在任期間中に賜りました皆様のご理解とご協力に深謝いたします。


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   今こそ考えなければいけない風疹ワクチン接種方法

    周産期・母性診療センター 産科医長 久保 隆彦
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 昨年夏からの風疹大流行は今年の夏まで続き、その結果重篤な障害を持つ先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんを30人も発生しました。風疹、CRSが全数報告となって以来の大流行であり、CRSの発生は未曾有と言わざるを得ません

 今回の風疹の大流行はこれまでの流行と明らかに違った特徴を持っていました。以前は子どもさんが中心でしたが、今回の患者の8割は成人男性でした。

 国立感染症研究所での風疹HI抗体の保有率を調査した過去5年間の成績では、女性は全年代とも風疹抗体を持っていない(風疹に感染しうる)人は僅か5%以下でしたが、男性の10代と20代は約10%、30代、40代は約20%が風疹抗体を持っていませんでした。

 すなわち、20代から40代の男性は風疹にかかり易いといえ、今回の風疹大流行の主役となった訳です。

 なぜ、20代から40代の男性は風疹抗体を持っていなかったのでしょうか?

  これは、我が国の風疹ワクチン政策が猫の目のように変わり、CRSを出生する可能性のある女性を中心にワクチン接種を行ってきたためで、20代から40代の男性は政策によってワクチンを接種できなかった被害者ともいえます。

 このように風疹が大流行する原因がはっきりしているにも関わらず、20代から40代男性へのワクチン接種を推進する厚生労働省の動きは現状では全く見られません。
この状態が持続するならば又数年後に風疹は大流行し、多くのCRSを産み出す悲劇が繰り返されます。皆さん方の近くに20代から40代の男性がいらっしゃれば、是非、風疹ワクチン(MRワクチンが最適)を薦めていただきたく、このことだけが国民に唯一できる風疹流行への自衛策といえます。

 風疹が大流行しなければCRSが大量発生することはありません。

 現在、23才以下の男女は幼少期に風疹の定期接種を2回行っているはずです。しかし、私たちが行った成育医療研究センターならびに全国6施設での妊婦風疹抗体保有率の約2万人の調査では、驚くべきことに10代妊婦の約20%が風疹抗体を持っていませんでした。
定期接種を受けたであろう世代であすが、このままでは妊娠時に風疹が流行すればCRSを出産することになります。

 若い世代の女性も妊娠を考える年代になれば、是非、風疹ワクチンをお打ちください。

 海外の報告によれば、幼少時に定期接種するだけでは不十分で成人前にもう一度風疹ワクチンの接種(ブースター)を全ての男女がすることで風疹とCRSは根絶可能といわれています。日本も海外同様に幼少時の定期接種とブースター接種を男女同じように行われるようになることを切に願っています。


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   お母さんと赤ちゃんに寄り添ったやさしい看護をめざして

    6階西病棟・GCU副看護師長 市島 美保
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当センター6階西病棟は、妊娠中のお母さんと出産後のお母さんと赤ちゃんのための病室、治療が必要な赤ちゃんのための新生児室、分娩をするLDRや陣痛室・分娩室で成り立っています。

当センターでは、年間約1800件の分娩があり、そのなかには、双子や三つ子で体重が小さく生まれる赤ちゃんもいます。また、胎児の時期に病気が見つかり、生まれてすぐ専門的な治療が必要になる赤ちゃんもいます。ときには、分娩時に予期せぬ急変がおこることもあり、分娩直後の生まれたばかりの赤ちゃんに対して適切な治療と安全で安楽な看護ができるように、平成24年4月に6階GCUを開棟しました。

GCUとは、「Growing Care Unit」の略で「継続保育室」「回復治療室」「発育支援室」など様々な略語が当てられています。主に6階GCUに入院する赤ちゃんは、生まれてすぐに外の環境に適応できず、呼吸が不安定な状態や、体温や血糖値が低いことがあり、しばらくお母さんと離れ、看護師・助産師がいつもそばで様子をみています。

この6階GCUはLDRや分娩室と同じ階にあるので、生まれたばかりの赤ちゃんの状態を見て素早く治療を開始することができます。また、状態が改善してくれば、できるだけお母さんのそばに戻れるようにしています。赤ちゃんが治療中で同室ができない時は、お母さんに面会に来てもらい新生児室内で赤ちゃんの観察をしながら抱っこや授乳ができるようにしています。

また、4階にあるNICU(新生児集中治療室)で治療を受け、体重が増えてきた赤ちゃん、状態が安定してきた赤ちゃんなどがこの6階GCUに移動してきます。お母さんが退院し赤ちゃんだけの入院が必要な時は、家族の面会時間に合わせて授乳や沐浴ができるように環境を整えています。短い時間の中でも赤ちゃんと家族が触れ合える時間を大切にし、家族を含めて育児技術が習得できるように指導しています。

お母さんは初めての育児に戸惑い、赤ちゃんが小さく生まれて離れ離れで過ごす時間が長くなるほど不安でいっぱいになります。少しでも不安を取り除き、安心して退院できるように地域の保健師やソーシャルワーカーと連携をとりながら退院調整をしています。

私たち6階西病棟の助産師・看護師は、赤ちゃんの治療が効果的に行われるように看護を提供するとともに、出産後すぐに母児同室ができなかったお母さんにも、育児にスムーズに踏み出せるように寄り添い看護しています。

お母さんと赤ちゃんが一緒に過ごす『今』という素敵な時間を全力でサポートしたいと考え、今後も、赤ちゃんとお母さんにやさしい看護を心がけていきたいと思います。


■ 編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

久しぶりの配信となりました『成育すこやかジャーナル第123号』はいかがでしたか?

今年は4月より消費税導入とあまり喜ばしくないニュースもありますが、2月のソチ冬季オリンピック、6月のワールドカップと景気の良い行事も控えています。干支である馬がヒヒーンといななく、皆様にとっても飛躍の1年になるように願いたいものです。


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成育すこやかジャーナル     No.122(2013/6/27)

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●母性内科とは?

母性内科 三戸 麻子

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●股関節が硬い赤ちゃんの「しるし」

整形外科 内川 伸一

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●リスクのあるお母さんと胎児の看護―安心して産めますように―

6階東病棟・MFICU看護師長:宇田川 恵里子

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●母性内科とは?

母性内科 三戸 麻子

 母性内科ということばは聞き慣れない方も多いと思います。日本国内にも数えられるほどの病院にしかない診療科で、女性の妊娠・出産にかかわる内科管理を行う診療科です。合併症妊娠や妊娠合併症の内科的管理がおもな仕事ですが、妊娠中だけではなく、妊娠前や産後の管理も行います。

 合併症妊娠とは膠原病・血液疾患・感染症・甲状腺疾患・糖尿病・呼吸器疾患・腎疾患・高血圧など内科慢性疾患をお持ちの方の妊娠をさします。母性内科ではよりよい妊娠・出産を目指し、内科慢性疾患をお持ちの女性を妊娠前・妊娠中・出産後まで内科的にサポートする診療科です。

○妊娠前管理(プレコンセプショナルケア)
 妊娠前から将来の妊娠・出産に備えて準備をすることは、慢性疾患をお持ちの方も、そうでない方にも大切なことです。とくに内科慢性疾患では病気の種類や妊娠時の状態によっては大事な妊娠・出産に悪影響を与えてしまうものもあります。また、持病をお持ちでない方でも、自分のからだの状態を見直すことは大切です。内科的に現状を把握し、必要に応じてプレコンセプショナルケアとして適切な指導や治療を受けることで、妊娠結果が変わることもあります。母性内科ではこのようなニーズから「安心して産めるカラダに検診」を今年2月から月1回のペースでおこなっています。婦人科検診も併せて行っており、母性医療診療部として内科・婦人科的な妊娠前準備としてご利用していただいています。

○妊娠中管理
 慢性疾患が妊娠中に悪化するケースもあります。そのような方には妊娠中でも治療を行うことがあります。また、妊娠中に新たに出現する病気(妊娠合併症)の代表的なものに妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群がありますが、それらは適切に治療をしないとお母さんだけでなくおなかの赤ちゃんにも悪影響を与えます。母性内科では周産期センターと連携をとりながら内科的立場でこれらの妊娠合併症を治療します。その他、妊婦さんの偶発合併症(風邪など)の診療も行います。

○出産後管理
 出産後、女性をとりまく環境はそれまでと一変し、身体にも様々な変化がおこります。産後は妊娠中血圧上昇のなかった方でも一時的に高血圧を認めることがあり、母性内科ではそれらの治療も行います。また、風疹・麻疹・ムンプス・水痘や子宮頸がんワクチン接種も行っています。また、慢性疾患は産後に疾患活動性が上がることもあるため、注意深く経過観察を行います。

○産後健診
  母性内科では妊娠・出産前後のみではなく、出産後の長期的な健康管理も行っています。とくに妊娠中に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病にかかられた方は、出産後一旦はよくなりますが、その後長期的な経過でそれぞれ高血圧症や糖尿病を発症しやすいことが分かっています。そのため子育てで忙しい中でも自身の健康管理に気を付けていただくよう指導を行っています。そして、実際に定期的な健康診断によるヘルスチェックを行っています。

今回母性内科について、おおまかではありますがご説明しました。このような診療科が存在することを知っていただき、皆さまのより良いご妊娠・ご出産のためにご活用いただけますと幸いです。


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●関節が硬い赤ちゃんの「しるし」

整形外科 内川 伸一

        

 健診で赤ちゃんの股関節が硬いとき,整形外科に診察依頼がきます。股関節の開きが硬い,その様な状態を「開排制限(かいはいせいげん)」と呼んでいますが,何が起こっているのでしょうか。

 大きく分けて,「脱臼していて硬い」のと,「単に硬い」のと2通りがあります。脱臼している,いわゆる「先天性股関節脱臼」は,股関節がはずれているため骨が引っかかってしまい正常の球関節の動きをしないので,動きが硬くなっているのです。「単に硬い」は,「元々硬い」と,「発育段階で硬くなった」場合があります。元々硬いのは,男児に多く両側とも硬いことが特徴ですが,単に体質・性差によるものであり,特に心配はありません。

 一方,発育段階で脱臼はないけど硬い場合は,ほとんどが片側だけに起こり,左に多く,冬~春にかけて多い特徴があります。それはなぜでしょうか。

 生まれつき,右への向き癖を持っている赤ちゃんが多いことはご存じでしょうか。すると右の股関節は下肢の重みで開く方向へストレッチされても,左の股関節は内側に倒れてしまい閉じている体勢をとってしまうのです。そのまま月日が経つと左の股関節が右と比べて硬いという状態になっています。また寒い時期には,厚着をさせたり,足に毛布を掛けたりと,股関節の自由な動きが妨げられてしまって,なかなか柔らかくなっていかないのです。

 また,股関節をピンと伸ばした状態にすると腸腰筋という筋肉が緊張して,股関節が脱臼しようとする力が発生してしまいます。赤ちゃんがたまにピンっと足を伸ばすのは問題ないのですが,「股関節が伸びた横抱き」などを大人が長い時間強制してしまうと股関節にとっては良くないストレスとなります。

  最近,ハンモック状の抱っこ紐がお店に並んでいますが,これは悪い例の代表です。足が突っ張ってしまうような服や,ベビーシートに長く座らせるのも避けるほうが良いです。使い方によっては,赤ちゃんの股関節を傷めてしまいます。

 ではどのような「育児法」がいいのでしょうか。

 われわれは,「コアラ抱っこ」を勧めています。コアラが抱きつくように「縦抱き」で,股関節がお母さんを跨ぐように横に開いて自由に動かせる抱っこの仕方です。向き癖の改善,動きやすい服装,冬場は厚着や掛け毛布を避けて部屋を暖めるなども効果的です。

 既に硬くなっている場合は,上記の育児法を守って,自然に柔らかくなるのを待ちましょう。間違っても大人が股関節を無理に開いて「柔らかくなれ」はしないようにしてください。なぜかというと,赤ちゃんの股関節の球の部分である大腿骨頭はまだ柔らかい軟骨で非常にデリケートなため,大人の力でストレッチをすると傷がついたり,骨頭壊死と言われる状態になり障害を残してしまうことがあるからです。

 実は,先天性股関節脱臼のほとんどは股関節が柔らかすぎる赤ちゃんに起こります。硬いのが良くないのに柔らかいと脱臼??と思われるかもしれません。 脱臼がゆるい股関節に起こりやすいのは,想像しやすいかと思います。柔らかい関節も脱臼したら硬くなるわけです。

 それとは別に,硬い股関節は,「発育が遅れてしまう」というのが問題です。股関節が健康に発育するためには,球全体にまんべんなく刺激が伝わることが必要で,動きが硬いといい刺激が入りにくくなり,股関節の発育が悪くなります。 そのほとんどが受け皿側で起こる発育不全でそれを「臼蓋形成不全」といいます。臼蓋形成不全は,大人になってから変形性股関節症に進展するリスクがあり,程度が強い場合は就学前に手術(骨盤補正手術)が必要になります。

 このように「先天性股関節脱臼」と「臼蓋形成不全」はそれぞれ股関節の硬さと関わっていますが,病態も治療も異なります。 前者の場合,2~7か月児の段階で治療を始めないと治療が難しくなるため,あまり待てません。一方,後者の治療は4歳以降になります。

 股関節に異常をもつ赤ちゃんを見分ける「しるし」は他にもあります。片側だけ太ももの内側の皮膚の皺が深く,数が多い,下肢が短い,大きな音がする,おむつが替えにくいなど。これらの「しるし」をよく観察してみてください。

 最近,先天性股関節脱臼が歩行開始後になって発見される例が増加しております。少しでも発見遅延例をなくすため,「しるし」のある赤ちゃんを見かけたら整形外科までご相談ください。


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●リスクのあるお母さんと胎児の看護―安心して産めますように―

6階東病棟・MFICU看護師長 宇田川 恵里子

 近頃では医療の進歩によって、全てではありませんが、生まれる前に胎児の病気が分かるようになり、お母さんのお腹の中にいる時点で胎児の治療が出来るようになってきています。また、出産年齢も高齢化しており、妊娠中に合併症を起こして予定よりも早い週数での出産となってしまう方もいます。昔であれば母も赤ちゃんも命を落としていたような状況でも、現在では母児それぞれが治療を受けることで、無事に出産までたどり着く事が出来るようになりました。

 当センターでは平成24年4月にMFICUが開設されました。MFICUとは、Maternal Intensive Care Unitの略で、日本語では母体胎児集中治療室と言います。入院している方は多くが30代後半から40代で、一般的な出産年齢よりはやや高い傾向があります。胎児に対する先進的な治療や切迫早産、合併症のある妊婦さんたちや、近隣の産院・病院からも専門的な治療を必要とする方が紹介されて来院され、年間で400人ほどの方が入院されています。

 MFICUでは、母体の体調の変化に早く気付いて赤ちゃんの命が守られるように、看護師・助産師が配置されており、スタッフの目が届きやすい状態を作っています。部屋に機械類があるために、少し過ごしにくいようですが、最長14日を目途に、安心して過ごせるように看護をしています。また、開設当初は柄物のカーテンを使用していましたが、落ち着かないと訴える妊産婦さんがいたので、今は穏やかなベージュにして、少しでも落ち着ける環境にしています

 おなかの赤ちゃんに病気があることを説明されたら、誰でもとても不安になると思います。私たちは、妊婦さんとご家族の不安が少しでも少なくなり、生まれてくるお子さんのための準備ができるように、主治医・新生児科医師・遺伝カウンセリングナース・ソーシャルワーカー・育児診療科医師・心理士・チャイルドスペシャリストなどと定期的に話し合い、その人に合った支援が提供できるようにしています。また、バースプランを作成していただくときには、妊婦さんとご家族の意思を尊重できるように考えながら相談に乗るように心がけています。

 時には待ち望んだ妊娠が、喜びだけで過ごせない方もいらっしゃいますが、安全な出産となり、妊婦さんとご家族が妊娠期間と出産・産後の生活が安心して過ごせるような支援をしていきたいと思います。


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『成育すこやかジャーナル第122号』いかがでしたか?


 梅雨の季節になりました。 自然の恵みの雨ではありますが、お出かけが煩わしく、洗濯物がたまってしまいそうな時期でもありあます。この時期、湿度が高く部屋の中ににおいがこもりがちですが、洗濯物の室内干しの下に新聞紙をひき扇風機をまわしたり、小雨のときは少し換気をしたり、お台所で生ごみが出るたびに新聞紙でくるみ捨てるとかなり湿度やこもったにおいが軽減されるそうです。 お出かけの際は、携帯電話で徒歩のルートや屋根の下を歩ける道を検索すると濡れずにお出かけできそうですね。(注:有料、地域限定)

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成育すこやかジャーナル     No.121(2013/5/16)

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●プレーン・パッケージ(無広告包装)って知っていますか?

成育医療政策科学研究室長(総合診療部禁煙外来担当)   原田 正平

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●看護学生の「臨地実習」

看護部 臨床教員   松下 ゆかり

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●トピックス

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●プレーン・パッケージ(無広告包装)って知っていますか?

成育医療政策科学研究室長(総合診療部禁煙外来担当)   原田 正平

 みなさん、タバコの箱に書かれている「警告表示」はご存じですね。日本の「たばこ事 業法第39条」では「注意表示」となっていて、「消費者に対し製造たばこの消費と健康と の関係に関して注意を促すための財務省令で定める文言を、財務省令で定めるところによ り、表示」とされています。例えば受動喫煙の害については、「たばこの煙は、あなたの周 りの人、特に乳幼児、子供、お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には、 周りの人の迷惑にならないように注意しましょう。」と文字で書かれています。

 2011年の成育すこやかジャーナルで紹介させて頂いた「タバコの規制に関する世界 保健機関枠組条約(略称:FCTC)では、第11条「たばこ製品の包装及びラベル」の 中に「大きなもの、明瞭なもの並びに視認及び判読の可能なものとする」「主たる表示面 の五十パーセント以上を占めるべき」「写真若しくは絵によることができ」とされ、諸外 国の多くが衝撃的な画像を使っているのに対し、日本の文字だけの「注意表示」は警告の 意味をなさないという指摘もなされています。

 さらに世界では、プレーン・パッケージ(Plain cigarette pack aging)と呼ばれる、タバコ会社独自のロゴマークなどを排除した単色の包装を法律 で義務化しようという動きが始まっています。プレーン・パッケージの定まった日本語訳 はなく、タバコ会社のウェブサイトには白黒パッケージとかノーブランド・パッケージ (ジェネリック・パッケージ)と載っていますが、むしろ「無広告包装」とでも言うべき もので、FCTCの第13条「たばこの広告、販売促進及び後援の禁止」ともつながっ てきます。

 今年2013年のWorld No Tobacco Day-日本では「世界禁煙 デー」と訳されていますが、それではまるで「喫煙者が1日だけ吸わない日」のようです ので、私は「世界からタバコを無くする日」と呼ぶことにしています-のテーマがまさに 「Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship」、つまり「タバコの宣伝、販売促進活動、スポンサー活動を禁 止しよう」です。日本のメディアは、FCTCの本当の意味を正しく伝えていないのです が、世界の多くの国では、国民にタバコを吸わせないよう、あらゆる手段を尽くしており、 その根拠がFCTCなのです。

  本当であれば、街の中のいたるところにある「タバコの新製品の大看板」や「JT提供 の喫煙所・灰皿」、テレビでのべつ流れている「喫煙のマナーCM」は、全て国際条約であ るFCTC違反と考えることができます。今年の「世界からタバコを無くする日」のテー マである「タバコの宣伝、販売促進活動、スポンサー活動を禁止しよう」を実のあるもの として、子どもと家庭をタバコの害から守りましょう。


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●看護学生の「臨地実習」

看護部 臨床教員   松下 ゆかり

        

 突然ですが、「看護師になりたい」と思ったことのある人はいませんか?報道で耳にする、 子どもが将来就きたい職業のランキングでは、「看護師」は女子では常に上位にランクイン しています。

 看護師になるためには、法律で定められた養成施設で勉強して、国家試験受験資格を取 得後、国家試験に合格する必要があります。養成施設の「3年課程」といわれるカリキュ ラムでは、97単位、3000時間以上の学習が必要で、このうち講義や演習で学んだ知 識・技術を実践する「臨地実習」は23単位、1035時間とされています。つまり、看 護師になるための学習時間の約3分の1が「臨地実習」ということになります。

 看護師養成施設に在籍する学生は、当然ですが「看護師になりたい」という志を持って います。私も学生時代は、同じ志を持つ仲間と一緒に、看護師を目指して学習しました。 とくに「臨地実習」で担当させていただいた患者さん、指導を受けた看護師さんのことは 今でも詳細に思い出すことができ、「臨地実習」での経験は、今の自分の大きな支えになっ ています。

 「臨地実習」を実践する場は病院です。国立成育医療研究センターでは、主に小児看護 学、母性看護学、助産学という分野の臨地実習を受け入れています。

 そのため、学生がみなさんやみなさんのご家族を担当させていただくことがあるかもし れません。学生が看護師といっしょに援助させていただくことがあるかもしれません。そ のとき、目の前にいる学生は、「看護師になりたい」という志と、未経験のことを実践する ことへの不安でいっぱいだと思います。学生は、担当させていただく患者さんやご家族、 指導を担当する看護師など、たくさんの方々のご理解とご支援によって、「臨地実習」を通 して貴重な経験を積み重ね、「看護師になりたい」という志を現実に近づけていきます。

 臨床教員は、病院で学生の指導をする看護師と養成施設の教員との間の橋渡しをして、 病院内の学習環境を整えたり、直接学生の教育を行ったりする活動をしています。学生の 臨地実習について何か気になることがありましたら、臨床教員にお気軽にお声かけくださ い。

 最後になりますが、やはり「子どもと家族の看護」にたずさわる看護師の一人として、 この病院での「臨地実習」を通して、「子どもと家族の看護にたずさわっていきたい」と感 じる学生が一人でも増え、近い将来同僚として働くことになる看護師が増えていってほし いと思っています。学生のみなさんも何か気になることがありましたら、臨床教員に遠慮 なく声をかけてください。

 今後もあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。


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●新任医師の紹介

成育医療研究センターとワシントン小児病院との間で提携を致しました。
http://www.ncchd.go.jp/center/information/international/washington.html


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『成育すこやかジャーナル第121号』いかがでしたか?


 皆さんは、母の日にプレゼントを渡しましたか?もしくは、もらいましたか? 母の日は日ごろの母の苦労を労り、母への感謝を表す日ですが、国によって日付が異なる そうです。

 最近は子供からだけではなく、ご主人からもプレゼントが欲しいと思う女性も少なくな いそうですが、家事代行でも、プレゼントでもその労いの気持ちが嬉しい一日でもありま す。

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成育すこやかジャーナル     No.120(2013/4/18)

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●赤ちゃんの赤いあざ

感覚器・形態外科部 皮膚科   吉田 和恵

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●「遺伝カウンセリングナースとしての活動」

遺伝カウンセラー   藤村 千鶴子

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●新任医師の紹介

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●赤ちゃんの赤いあざ

感覚器・形態外科部 皮膚科   吉田 和恵

 赤ちゃんには生まれつき、または生まれてまもなくして、あざがみられることがありま す。赤いあざ、青いあざ、白いあざ、茶色いあざなどがありますが、今回は赤いあざにつ いてお話しします。

 あざがあった場合、一番気になるのは自然に消えるのかどうか、痕は残らないのか、と いう事だと思います。

 自然に消える赤いあざには、額やまぶたにできる赤い平らなあざ「サモンパッチ(正中 母斑)」があります。生まれたばかりの赤ちゃんの約30%にみられるあざで、多くは自然 に消えます。1歳から1歳半頃にはほとんど痕を残さず消えますので、多くは治療せずに 消えるのを待ちます。もし自然に消えない場合もレーザー照射による治療が効果的な事が 多いです。

 「苺状血管腫(乳児血管腫)」も自然に消える赤いあざです。生まれつきではなく、生ま れて数日後からできてくることが多く、最初は赤い点ができ、徐々に大きくなり,盛り上 がってくる事があります。苺のような見た目をしているため、苺状血管腫と呼ばれていま す。生後6ヶ月をピークに、5~6歳までには大部分の色は消えます。ただし、一旦大き く盛り上がってしまったものは、色が消えても皮膚のしわやたるみが残って,みために問 題が残る場合があります。早めにレーザー治療をすると、盛り上がるのを防ぐ効果がある と言われています。目,口のそばにできた場合は、目や口の機能を妨げる事があるので、 血管を収縮させる薬を使って治療することもあります。あざの場所が体のめだたない場所 のときには圧迫療法(盛り上がってしまったところを押さえつける方法)や、何もしない で様子を見ることもあります。痕が残ってしまった場合は,手術で目立ちにくくする方法 もあります。

  自然に消えない赤いあざの代表は、「単純性血管腫(ポートワイン母斑)」があります。 生まれたときから体のさまざまな部位にできる、平らな赤いしみのようなあざで、自然に 薄くなったり消える事はなく、大人になるとさらに色が濃くなったり,一部盛り上がった りすることがあります。しかし、レーザー照射による治療で薄くする事ができます。当科 では0歳からレーザー照射を行っています.レーザー照射には輪ゴムではじかれたような 痛みを伴いますが,なるべく苦痛を少なくするよう,年齢,部位,範囲により麻酔の方法 を選択しています.麻酔無し,局所麻酔薬のクリームを塗る方法の他,1歳以上で範囲が 広い場合や眼の周りなどには,全身麻酔下でのレーザー照射も行っています

 以上、簡単に赤ちゃんの赤いあざについてご説明しましたが,治療するかしないか、治 療をいつから始めるのがよいか、など、ご自分ではなかなか判断が難しいと思いますので, 気になるあざがありましたら、早めにお気軽に皮膚科医へご相談ください。


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●「遺伝カウンセリングナースとしての活動」

遺伝カウンセラー   藤村 千鶴子

        

 およそ25,000のヒト遺伝子の約8%が、ヒトの遺伝性の病気に直接関係をすると言われ ています。遺伝形式は、単一遺伝子疾患の常染色体優性遺伝病、常染色体劣性遺伝病、X連鎖 遺伝病、多因子遺伝病(複数の遺伝要因、環境要因の相互作用でおきる)、突然変異(遺伝子の 並び方の異常)、染色体異常などがあります。親子でもすべての遺伝子を引き継ぐわけではなく、 病気によってはほとんど遺伝しないタイプのものもあります。

 当院には遺伝診療科があり、家系内に遺伝性の病気がある方、お子さんに奇形や病気がある が診断がつかない方、遺伝性疾患を心配されるご家族などが受診されます。遺伝的要因の影響 を受ける病気の可能性があるかを考え、カウンセリングや遺伝学的検査を実施しています。ま た胎児疾患や異常を指摘された方、出生前診断に関する相談を希望する方には、胎児診療科、 産科と協力しながら対応しています。当院では開院時より、遺伝カウンセリングナースが配置 されており、医師とともに問題点を整理し、患者さんの心理支援をする役割を担っております。

 予約の電話でプレカウンセリングを行い、受診目的や病気の経過、家族の情報を確認し、カ ウンセリングの準備をしています。カウンセリングの場では、患者さんは悩んでいる気持ちを 十分に伝えられなかったり、検査を受けるか、受けないかの気持ちが揺らぐ方もいらっしゃる ので、お気持ちを察しながら、ご本人やご家族の意思で決められたことを支援しています。医 師からの説明は専門用語が多くありますので、わかりやすい表現でお伝えしたり、心配事や質 問などを話しやすいように、サポートさせていただいております。

 最近では出生前検査が話題になり、赤ちゃんの情報を知って準備をしたいと思われるご家族 もいます。検査の種類によっては、実施している病院が少ないために、他院に通院中の患者さ んも受け入れをしています。電話で受診のアドバイスをさせていただいておりますが、妊婦さ んが一人で悩まれることがないように、カウンセリングをご夫婦で受けることをおすすめして おります。

 子どもを対象とした臨床試験では、保護者だけではなく参加する子どもにも、その年 齢や発達段階に合わせて理解できる言葉やイラストを用いて、臨床試験で使う薬の効果 と副作用、検査やスケジュールなどの説明を行います。

 私は助産師で、産科病棟や小児科外来で働いておりましたので、これまでの経験を生かして、 妊娠期の検査後の体調や育児相談、他の診療科との調整、地域の情報や患者会の紹介なども行 っています。今後も外来で医師や他の専門職とともに、妊婦さんのご出産やお子さんの成長を 見守らせていただきたいと思っております。


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●新任医師の紹介

総合診療部
救急診療科
野澤 正寛
 
 
加藤 隆宏
 
 
伊藤 友理枝
臓器・運動器病態外科部
外科
高橋 正貴
 
心臓血管外科
森下 寛之
手術・集中治療部
集中治療科
安達 晋吾
 
 
谷 昌憲
 
 
多賀谷 貴史
 
麻酔科
蜷川 純
 
 
大杉 浩一
 
 
水田 菜々子
周産期センター
新生児科
濱 郁子
 
 
五石 圭司
臓器移植センター
移植外科
佐々木 健吾
病理診断部
病理診断科
岩淵 英人

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『成育すこやかジャーナル第120号』いかがでしたか?

 関東以南では、桜の開花が早く、今年の新入社員は場所取りという研修を?受けずに済 んだかもしれません。お花見といえばお弁当ですが、お弁当のおかず人気NO.1のから 揚げをヘルシーに作れる家電が発売されるそうです。油を使わずに熱と空気を使ってあげ る家電が、なぜかヨーロッパで作られ、先行発売され、日本での発売は3年後だったそう です。一億総健康志向の日本で作られ、発売されなかったのが不思議ですが、暖かくなっ てきて薄着になるとかなり魅了的に思えます。

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