国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

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成育すこやかジャーナル 平成19年度

 

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    成育すこやかジャーナル     No.63(2008/03/12)
  
  ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
 
  ━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━

 ●内分泌代謝科の外来紹介
                    第一専門診療部 内分泌代謝科  内木 康博
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●頭の画像検査について
                      第一専門診療部 神経内科  長澤 哲郎
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●周産期診療部産科のご紹介
                         周産期診療部 産科  渡辺 典芳
  ……………………………………………………………………………………………………… 
  ●小児がんと小児放射線治療について
                     放射線診療部 放射線治療科  北村 正幸
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●誤飲についてのお話し
                           外来 看護師長  樫原 恵子
  ……………………………………………………………………………………………………… 
  ●トピックス

  ……………………………………………………………………………………………………… 
  ●インフォメーション

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  ●内分泌代謝科の外来紹介
                     第一専門診療部 内分泌代謝科  内木 康博

  「内分泌」と「代謝」と聞いてどのようなイメージをもたれるでしょうか?腫瘍や神経と
  違いなじみのない医学用語だと思いますが、簡単に言うと内分泌も代謝も、身体の中のバラ
  ンス(恒常性)が悪くなる病気と言えます。内分泌=ホルモンのバランスが悪い病気、代謝
  の病気=糖分やタンパク質、脂質などのからだの中のバランスが悪い病気ということになる
  でしょう。「ホルモン」という言葉は耳にしたことがあるかもしれません。下垂体、甲状腺、
  副腎、膵臓など分泌腺と呼ばれる臓器から血中に分泌される特定の働きを持ったタンパク質
  です。
   それではこのような病気に入るのはどのような症状でしょうか。低身長、外性器や二次性
  徴の異常など、親ごさんや患者さん自身でわかる症状もありますが、他に生後5日ほどに産
  婦人科で行われる新生児マススクリーニングの結果で異常が認められた場合や、学校健診や
  かかりつけの先生に指摘されて紹介になる場合もあります。
   ここで私達の科に初めてかかられる患者さんに多く見られる訴えについてお話します。一
  番多いのは身長についてで、多くは幼稚園や小学校で一番小さいから、もしくは最近背が伸
  びていないからと心配されて受診されます。その場合、まず母子手帳、幼稚園、小学校など
  の今までの成長の記録を外来にお持ちいただきます。外来でお聞きするのはご両親の身長、
  ご両親の思春期年齢、妊娠、出産の様子、乳幼児期の食事量、中学生であれば思春期開始の
  時期などを問診で聴いてから、必要であれば手のレントゲン写真を撮って骨の成熟度を評価
  します。診察の際には顔つき、四肢のバランス、側彎の有無、外性器の成熟度などを観察し
  ます。ここで特に注目するのは、現在同じ歳の平均身長からの差と年間あたりの背の伸び具
  合です。必要であれば血液検査を行うこともありますが、程度が軽い場合はそのまま外来で
  成長の経過を観察します。その際ご家庭でできることはないかとよく聴かれるのですが、バ
  ランスのよい食生活と適度の運動、充分な睡眠時間、就寝したらぐっすり熟睡できる環境を
  作ってくださいとお話します。
   昨年度から世田谷区の学校健診に生活習慣病健診が加わったことで、肥満に加えて高脂血
  症、高血圧、高尿酸血症、高インスリン血症を持った子供が紹介されてくるようになりまし
  た。この場合は、ご家族の体格、祖父母などの血縁の方の成人病の有無、妊娠、出産の様子、
  乳幼児期の食事量、本人の現在の生活パターン、食事パターンをお聞きします。さらにレン
  トゲンで体脂肪率、内臓脂肪、成人身長の予測や栄養指導で日頃の摂取カロリーの計算をし
  ます。糖尿病やその予備軍が疑われる時には、経口糖負荷試験を行います。このようなお子
  さんには、大人になって病気が進んでしまう前に早めにわかってよかったこと、成長期の今
  なら少しの生活改善でよくなること、それと家族全員の協力が必要であることなどお話しま
  す。

 
  〓〓〓===--------------☆☆☆☆☆☆☆☆☆--------------===〓〓〓----☆☆☆

 ●頭の画像検査について
                       第一専門診療部 神経内科  長澤 哲郎

  今日は、神経内科でよく行われる頭の画像検査、すなわちCTとMRIについて説明します。
  この二つは、テレビのニュースやドラマなどを通じて一般の方にも名前は知られるようにな
  りました。しかし、具体的にどんな検査であり、またCTとMRIでは何が違うのか、と聞か
  れてきちんと答えられる人は少ないのではないでしょうか?
   まず、CTは骨などの密度の高いものではX線が通りにくいことを利用して、体のある断
  面で密度の高低をあらわしたものです。この断面を並べたものがよく目にするCTの画像と
  なります。CTは、石灰化や出血といった密度が高いものを描出するのに優れ、また撮像時
  間も5~10分程度と短く(当院では)24時間いつでもとれるといった利点がありますが、
  あくまで密度のみを見ているので「質的」な情報は限られます。沈静が必要な年齢では、専
  門の先生に診察をしていただいてから眠くなるお薬を使って一時的に眠っていただいてとる
  ことがあります。
   これに対してMRIは、磁気の力を利用して内部構造を描出するものです。見た目はCTと
  よく似た画像となりますが、CTと違って密度を見ているのではなく「性状」をあらわして
  います。磁気のかけ方を変えることによって、CTではわからない炎症や変性をより細かく
  見ることができます。欠点としては動きに弱く、小さいお子さんの場合はしっかり沈静する
  必要があります。当院では安全のためMRI検査については、原則として入院の上検査をす
  ることになっています。
   神経内科で頭の画像検査が必要になった時は、症状や年齢、緊急度などを総合的に判断し
  て頭部CTかMRIを選択します。場合によっては両方行うこともあります。なお、CTでは
  X線、MRIでは磁気を使うため、健康に対する影響をご心配される方がいらっしゃいますが、
  妊娠されているのでなければ影響はありませんのでご安心ください。
   最後に血流検査(SPECT「スペクト」と略されます)についても簡単に述べさせていただ
  きます。SPECTは、頭の中の血流を画像化したもので、手から注射でいれるごく弱い放射
  性同位体(これも健康に影響のあるものではありません)が、血流の多いところに取り込ま
  れるのを利用して画像を作ります。CTとMRIがあくまでも「かたち」を見るものであるの
  に対して、SPECTによって機能や活動性といった「うごき」を見ることができます。具体
  的には、脳血管に狭窄がある時の予備能力や脳炎・脳症で炎症の程度を知るのに優れていま
  す。欠点としては、解像度が低いこととあらかじめ放射性同位体を注文する必要があり、そ
  の日にすぐ検査ができないことが挙げられます。
   私たちは、こういった画像検査から得られる情報を活用して、病気を診断したり治療方針
  を決めています。疑問点がありましたら、お気軽に神経内科スタッフまでお尋ねください。
  なお、バックナンバー35号
  http://www.ncchd.go.jp/mailmagazine/sukoyaka2005.html#35
  に脳波検査について解説してありますので、あわせてお読みいただければ幸いです。

 自己紹介
   「ことば」に興味を持っています。同じ人間なのになんで言葉が異なる人々がいるのだろ
  うと、小さい頃から疑問に思っていました。成人してハングルやタイ語、ベトナム語といっ
  た個性豊かなアジアの言葉をかじってみて、ますますその疑問が大きくなってきました。

 〓〓〓===--------------☆☆☆☆☆☆☆☆☆--------------===〓〓〓----☆☆☆

 ●周産期診療部産科のご紹介
                          周産期診療部 産科  渡辺 典芳

  国立成育医療センター産科のご紹介をさせて頂きます。
   昨今産科医療の危機が報道などで報じられていますが、ハイリスクの妊婦さんの受け入れ
  場所が少ないことが大きな問題となっております。私達のユニットでは3次施設の使命とし
  てハイリスクの患者さんをできるだけ受け入れるよう努力しています。母体の出血性疾患、
  合併症妊娠、妊娠高血圧症候群や切迫早産・多胎妊娠の患者さん方を関連各科(新生児科・
  麻酔科・母性内科など)の御協力を頂き、安全に分娩して頂くことが私達の仕事です。また
  正常分娩についてはこのような関係で、ある程度制限してやっていく必要があり、多数の産
  婦さんを受け入れたいジレンマもあります。
   分娩については全例LDRで、産科・新生児科医および助産師の立ち会いのもと行うこと
  で、安全面に配慮することを第一としております。また御希望の患者さんには麻酔科医の管
  理の下、無痛分娩も行っております。
   なかなか多くの方のニーズにお答えできないことが目下の問題点ではございますが、安全
  なお産を多くの方に提供できるようにスタッフ一同日々努力しておりますので、今後ともよ
  ろしくお願い申し上げます。

 〓〓〓===--------------☆☆☆☆☆☆☆☆☆--------------===〓〓〓----☆☆☆

 ●小児がんと小児放射線治療について
                      放射線診療部 放射線治療科  北村 正幸

  小児がんは、白血病と小児固形腫瘍をあわせて国内で年間2千人から3千人の発生があり
  ます。成人の癌と比較すると圧倒的に少数です。しかし、化学療法の発達に伴って現在では
  全体で7割以上の方が完治するようになり、成人より治癒率が高くなりました。
 
   小児がんの約半分は白血病関連疾患で、残りが小児固形腫瘍と呼ばれる疾患群です。主な
  小児固形腫瘍として、神経芽細胞腫(神経芽腫)、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、ウィルムス
  腫瘍(腎芽腫)、網膜芽細胞腫(網膜芽腫)などがあげられます。

  白血病は主に化学療法(抗癌剤)で治療しますが、小児固形腫瘍の治療は、化学療法と外
  科療法(手術)と放射線治療を組み合わせた治療が行われます。これを集学的治療といい、
  腫瘍医と外科医と放射線治療医の連携が重要となります。最近、成人では「切らずに治す放
  射線治療」として手術の代わりとなる放射線治療も増えつつありますが、小児では放射線治
  療の単独治療はほとんど行われません。

  当科では、集学的治療に基づいた放射線治療を行っています。毎日一定量の照射を必要な
  期間(2週間から6週間)行う、分割照射という標準的な方法を用います。寝台の上で横に
  なってもらい必要な部位に2方向あるいは多方向から放射線ビームを照射します。照射その
  ものは痛みも何もありませんが、寝台の上でじっとしてもらう必要があります。位置合わせ
  などを含め通常10分程度のことで大人であれば問題ないことですが、子供の場合は時に簡
  単ではありません。そのため、2歳未満では全身麻酔が必要となります。麻酔科医2名のチ
  ームが照射室で短時間の全身麻酔を行います。2歳以上では、寝台上で見られるようにセッ
  トした液晶モニターで好きなDVDのアニメや映画を楽しんでもらいながら薬剤鎮静なしで
  行っています。毎日、照射が終わると好きなシールを貼れる「通い帳」を楽しみに、通って
  くれるお子さんも多いです。

  小児への放射線治療は部位や線量によりますが、二次発癌や成長障害に関する一定のリス
  クがあります。あるいは化学療法によるリスクに放射線によるリスクが加わるとも言えます。
  放射線治療を行う場合には、ご家族にそのリスクを十分ご理解頂き、ご家族も治療に参加す
  るような気持ちになって頂くよう心がけて治療しています。また、全国の小児科医や放射線
  治療医からの小児放射線治療に関する相談やセカンドオピニオンについてもお応えしていま
  す。

 〓〓〓===--------------☆☆☆☆☆☆☆☆☆--------------===〓〓〓----☆☆☆


 ●誤飲についてのお話し
                            外来 看護師長  樫原 恵子

  乳幼児は何でも口にします。小さなゴミを口に入れたり、おもちゃをなめたりと本当に目
  が離せません。気をつけていたはずが、ほんの一瞬目を離した隙に誤飲をします。5歳以下
  が多く、そのうち3歳以下が80%を超えます。予防するには先ず整理整頓・危険な物はお
  子様の手の届かない場所に置きましょう。又おもちゃの選択にも気をつけましょう。なめて
  も安全で口に入れても飲み込めないサイズを選択をしましょう。サイズのチェックに丁度良
  いのがフィルムケースです(市販されている誤飲チェッカーもあります)。このケースに入る
  大きさは飲み込む危険がありますので、おもちゃを選択する目安にするとよいでしょう。
   それでは次に、実際の場面を想定しましょう。
   成育医療センター 救急センター パンフレットより
  ★ のどがつまった?
   異物が見えてとれそうなら取り除きましょう。それ以外は無理に手を入れないでください。
  異物を押し込んでしまう危険性があります。固形物がのどにつまって苦しそうなときは、
   1. 乳児(1歳まで):うつぶせにして頭をさげ、あごの下をお母さんの手で支え背中を
     たたきます。
   2. 幼児・学童:(1歳以上)子どもの後ろから、両腕を腹部に回します。片方の手でに
     ぎりこぶしをつくり親指側をへそとみぞおちの間に置き、もう片方の手でにぎりこぶ
     しを覆います。そのままの体勢で上に向かって突き上げるように押しましょう。

 *事故につながる危険な物
   ナッツ類・あめ・皮ごとブドウ・ウインナー・こんにゃくゼリー・風船・ブロック・
   ビー玉・コイン等、フイルムケースに入るサイズの物
  *気道につまると窒息し生命の危険があります!!

 ★ 誤飲:何かを飲んだ!?
   まずは落ち着いて次の事を確認しましょう
    ・ 意識はどうか顔色はいつも通りか?
    ・ 呼吸は規則正しいか
    ・ 吐いてないか?
    ・ けいれんを起こしてないか?
    ・ 何を・いつ・どのくらい・飲んだのか

 ◎ こんな時には救急車を呼びましょう!!
    ・ 意識がない
    ・ けいれんを起こしている
    ・ 息が苦しそう、ぜいぜいしている

  飲んだものにより対処方法が変ります。小児科や中毒センターに問い合わせてからその後
  の処置をしましょう。水や牛乳を飲ませた方がよい物や何も飲ませない方が良い物様々です。

 ◎吐かせてはいけない:
      灯油・トイレ用洗剤・マニキュア・除光液・漂白剤・しょうのう・ボタン電池
   →すぐに病院に行きましょう

 ◎無理に吐かせない:
      たばこ・ホウ酸団子・ナフタリン・防虫剤・医薬品
   →すぐに病院に行きましょう

 ◎吐かせなくても良い(口の中に異物があればかき出す):
      化粧品・シャンプー・芳香剤・石けん・クレヨン乾燥剤・粘土・保冷剤・乾燥剤・
      粘土・保冷剤
   →自宅で様子を見ましょう

 ★ NO.1はタバコの誤飲
   タバコを食べてしまった時は吐かせてはいけません。無理に吐かすと誤嚥を起こす危険性
  があるのでやめましょう。よくあるのがジュースの空き缶を灰皿変わりに使い間違ってお子
  様が飲んでしまうケースです。ニコチンは水に溶けやすい性質があります。タバコをそのま
  ま食べるよりも中毒症状をおこしやすくします。急いで病院を受診しましょう。タバコを誤
  飲してしまった場合は絶対に水など飲ませてはいけません
   ニコチンの致死量:大人 タバコ2本分  子ども タバコ1/2~1本分

  ◇使用されることがないことを祈りつつ、下記に中毒センターの電話番号を載せます
      (財)日本中毒情報センター110番 つくば:029-852-9999 9:00~21:00
                         大阪:072-727-2499 24時間対応
                  タバコ専用(テープによる情報提供)072-726-9922
              *携帯電話・公衆電話からもかけられます。通話料がかかります。

  誤飲は危険と同時に生命も脅かされます。子育ての大変な時期と誤飲の起こしやすい時期
  が重なります。
   どうぞパパとママが力を合わせ、お子様の安全な環境作りをお願いします。すべてのお子
  様の健やかな成長をお祈り申し上げ、誤飲のお話しを終了いたします。

          言葉の説明  誤飲:食べ物以外の物を誤って口から摂取する事
                  誤嚥:食物又は異物を気管に吸い込む事

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 ●トピックス
    
  * 2月21日ウルトラマン・ウルトラセブンが成育医療センターの各病棟にやってきました。
    http://www.ncchd.go.jp/center/information/event/080221ultraman.html

 * 2月28日安倍元首相ご夫妻が当センターを来訪されました。
    院内学級(そよ風分教室)とボランティアショップタン・トン・トン等を見学され、大変
   興味をもたれていらっしゃる様子でした。

 * 3月1日6周年記念公開講座が開催されました。
    当日は、西川厚生労働副大臣も来訪され、講演会の冒頭でごあいさつもいただきました。

 
  〓〓〓===--------------☆☆☆☆☆☆☆☆☆--------------===〓〓〓----☆☆☆

 ●インフォメーション

 *  3月13日(木)16時から3月18日(火)9時までの間、電子カルテ等システムの更新
   にあたり、救急診療業務に支障を来す恐れがあるため外来を休診いたします。休診中につ
   きましては、かかりつけの医療機関、お近くの休日夜間診療所、東京消防庁、インターネ
   ット利用による東京都医療機関案内「ひまわり」をご利用下さいますようお願い致します。

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     成育すこやかジャーナル     No.62(2008/02/07)
  
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━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━

  ●国立成育医療センター肝移植プログラムの現在
                  特殊診療部 移植免疫診療科 医長  笠原 群生 
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●冬期のスキンケア
                        第二専門診療部 皮膚科  幸田 太
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●女性総合外来の紹介
                        11階東病棟 看護師長  川島 浩美
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●インフォメーション
                     国立成育医療センター6周年記念公開市民講座 
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●ちょっとお役に立つ情報
 
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●国立成育医療センター肝移植プログラムの現在
                  特殊診療部 移植免疫診療科 医長  笠原 群生

  国立成育医療センターの肝移植プログラムは、2005年11月に開始され、ほぼ2年が経過
しました。現在までに45名のお子さんに肝臓移植を実施しています。昨年度の年間肝移植症
例数は国内2位(小児肝移植症例数は最多)でした。移植後の観察期間はまだ短いですが、
肝移植の成績は91%と全国平均を上回っており、ドナーさんに大きな合併症を認めていませ
ん。通常の肝移植施設では、最も一般的な適応である胆道閉鎖症が80%を占めます。当院で
は胆道閉鎖症のお子さんは38%と比較的少なく、代謝性肝疾患(31%)・劇症肝炎(18%)等
のまれな病気で移植に至るお子さんが多いという特徴があります。「リプロダクション・サイ
クルの中で生じる疾患に対する医療を行う」というセンターの特殊性から、出生前診断され
たあるいは出生直後に搬送される赤ちゃん、他院で集中治療が難しい急性肝不全のお子さん
が多く搬送されることが理由にあげられます。

  先天性代謝性肝疾患である尿素サイクル代謝異常・有機酸代謝異常症、また急速に肝不全
が進行する劇症肝炎では、発症直後から高アンモニア血症を認め、食事制限とともに・強力
な内科的治療、補助療法として血液濾過透析・血漿交換・交換輸血治療が行われます。当院
の腎臓科・集中治療部では日頃適応していますが、小さな赤ちゃんに透析を行うことは危険
を伴います。更にこのような出生直後の赤ちゃんに対して生体肝臓移植を行うことは、体(血
管)が小さいため技術的に大変難しく、肝臓移植が安全に施行できる体重・日齢まで、安全・
有効な治療方法の確立が急務です。脳死移植の推進もそうですが、それよりも前にできる「理
想的な肝補助療法の開発」さらには「肝細胞移植を含めた再生医療」を確立すべく、研究所
の先生・生命倫理の先生・手術集中治療部・腎臓科・救急部・内分泌代謝科・総合診療部・
消化器科・神経内科・小児外科・放射線科・病理診断科・こころの診療科等の専門診療科と
協力し診療しています。移植医療を通してより多くの子供たちを救命し、この医療が成育医
療センターを通して広く世間に受け入れられるよう努力しています。

-自己紹介-
移植免疫診療科 医長 笠原群生
1966年 群馬県前橋市出身 A型
趣味:妻娘と散歩、手術見学、仲間と食事、アラビア語
スポーツ:Football(アーセナル)、野球(阪神)
心がけていること:志し高く


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●冬期のスキンケア
                        第二専門診療部 皮膚科  幸田 太

  暦の上では大寒を過ぎ、これから徐々に暖かくなっていく時期とは言うもののまだまだ寒
い日が続いています。

  この季節にお肌で気をつける事と言えば乾燥肌です。この時期の小児の肌のトラブルのほ
とんどは保湿をきちんとすることで防げると言っても過言ではありません。

  そもそも何故冬は寒くて空気が乾燥するのでしょう?それはシベリア寒気団が日本海を渡
って日本にやってくるからです。その冷たい北風は日本海側で雪を降らせた後、乾いた風と
なって太平洋側へやってきます。その冷たい乾いた風にさらされるとどんどん肌は乾燥して
ゆきます。さらに暖房器具や長風呂が乾燥に拍車をかけます。お肌が乾燥するとかさかさ、
粉粉になって見かけが悪いのはもちろん、かゆみの原因にもなります。そこをかゆみにまか
せてごしごし引っかくと真っ赤な湿疹の出来上がりです。

  そうならないためにも、乾燥肌のお子さんは保湿を中心としたスキンケアを行いましょう。
それでは具体的にはどうすればいいのでしょうか?肌の潤いを保っているのは皮脂というア
ブラです。熱いお風呂に入ると皮脂が流れやすくなるのでよくありません。もちろん、長湯
が良くないことも考えてみるとわかると思います。「石鹸は使った方がいいですか?」とよ
く聞かれますが、やはりきちんと汚れを落とすためには使った方がいいでしょう。汚れは肌
トラブルの原因のひとつです。理想的には皮脂は落とさず、汚れはきちんと落とすという事
ですが、これはなかなか両立しません。残念ながら入浴後は皮脂の量が減ってますので、せ
っかくお肌にたくさんたまった水分は、あっと言う間に蒸発して行きます。

  ですから、入浴後はすぐに保湿剤を塗る習慣をつけましょう。入浴剤に関してもよく聞か
れます。「保湿効果」のある入浴剤は有効ですが、「保温効果」があるものは避けてくださ
い。体が火照ってかゆみの原因となります。「保湿効果」があって「保温効果」のない入浴
剤を選んでください。

  保湿剤はお風呂の後に塗っても1日中保湿してくれるわけではありません。可能であれば
朝にもう一回保湿するようにしましょう。保湿剤でよく使われる尿素含有軟膏はバリア機能
を障害することが報告されており、アトピー性皮膚炎のお子さんではよく考えて使う必要が
あります。

  保湿剤はケチケチ塗っていても効果なく、ある程度たっぷりと塗る必要があります。参考
までに1グラムで塗れる範囲は大人の手のひら4つ分の面積と言われています。お子さんの
体に手を当てて手のひら何枚分か数えてみてください。もしも手のひら20枚分でしたら1
回の外用量は5グラムと言うことになります。もしもお使いの保湿剤が30グラム容器でした
ら1日2回塗ると3日分、200グラム容器でしたら20日分、という具合です。

  そう言ったことを考慮しながらお子さんに正しいスキンケアをしてあげましょう。


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●女性総合外来の紹介
                        11階東病棟 看護師長  川島 浩美

  寒さが一層身にしみるこの頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
  「最近疲れやすい」、「肥満が気になる」、「生理の周期に関連したイライラ、頭痛、ゆう
うつ」、「子供が欲しい」、「気になる症状があるけどどこに相談したら良いのかわからない」
など、女性であるが故の症状・悩みをひとりで抱えていませんか?
  今回は当センターで行われている、『女性総合外来』について紹介したいと思います。
  『女性総合外来』は、女性が抱える“こころ”と“からだ”の悩みを気軽に相談できる
外来として、2003年7月に開設されました。
  まず、気になる症状・悩みがありましたら、女性総合外来専用ダイヤルでご相談くださ
い。女性総合外来専属の看護師が簡単な問診をさせていただき、相談内容に合った医師へ
の診察予約をお取りします。
  『女性総合外来』は、婦人科、不妊診療科、こころの診療部、(母性)内科など、総勢6
名の医師が担当しています。『女性総合外来』の特徴は、時間をかけて、問診・カウンセリ
ングのみを行うこと、医師は、女性の医師のみでなく、男性医師も担当していることなど
があげられます。診察は、完全予約制で、ゆったりとしたお部屋で1対1でお話を伺うた
め、他の方を気にせず何でも気軽に相談できます。どの先生方も親身にお話を聞いてくだ
さるので、充実した時間が過ごせると思います。そして、十分にお話を伺ったあと、総合
的に診断し、必要に応じて当センターの専門外来での治療プランを作成しています。
  最近では、甲状腺や膠原病、糖尿病などの持病をお持ちで妊娠を考えている方、不妊で
悩んでいる方、生活習慣や月経不順で悩んでいる方など、様々な方から相談の電話を頂い
ています。

*申し込みの方法は、次の通りです。
  ・受診いただける方:16歳から
  ・受診方法:まず、『女性総合外来』専用電話にお電話下さい。
        診察の予約をお取りします。
  ・専用電話番号:03-3416-0277
  ・電話受付:月・水・金曜日(休日、祝日は除く)の午後1:00~4:00まで
  ・『女性総合外来』の受診費用は保険がききません。自費での診療となります。
  ・相談費用:自費(10500円/30分)
 
  将来のために“こころ”と“からだ”の健康診断を受けてみませんか?ぜひ、お気軽に
ご相談ください。


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●インフォメーション
                     国立成育医療センター6周年記念公開市民講座

  平成20年3月1日(土)13時から15時まで講堂にて、「子育て世代の女性へのメッセー
ジ、子育て世代のからだとこころの健康、自分を見直そう」と題して公開市民講座がありま
す。
入場は無料ですが、お申し込みが必要です。
詳しくはホームページでご確認ください。


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     成育すこやかジャーナル    No.61(2008/01/10)
  
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  ●年頭のご挨拶
                                病院長  松井 陽
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●豆まきに思う…こどもの気管支異物にご注意
                         総合診療部 救急診療科  辻 聡
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●小児の嘔吐・下痢
                        10西病棟 看護師長  野口 美穂子 
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●新任医師の紹介
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●ちょっとお役に立つ情報
 
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●年頭のご挨拶
                                病院長  松井 陽

  平成20年の年頭に当たりご挨拶を申し上げます。国立成育医療センターは、この3月1
日で創立から6周年を迎えます。「成育医療」は、これまでの診療科や年齢の枠を越え、胎
児から新生児、小児、思春期を経て成人へ発達し、そして女性は妊娠して胎児を宿す、この
サイクルを、総合的かつ継続的に診ていく、新しい概念の医療です。わが国の小児病院など
でこの「成育医療」の名称が少しずつ取り入れられているのをみると、この概念が少なくと
も小児医療関係者の間に知られるようになっているものと思います。

  しかし一方で、当センターは病院に限ってみても、大きな問題点を抱えています。第一に
は、平成22年4月に国立の組織から独立行政法人に移行することです。当然の結果として
当センターは、従来に比べると大きな経営努力を求められます。第二には、当センター病院
の掲げる目標の一つである、二十歳を過ぎた患者さんの診療が、一部で実態とかけ離れてき
たことです。こどもの頃から診療してきた患者さんには、成人専門の病院に紹介した方が、
ご自身にとってより望ましい場合もあるのです。第三には、当センター病院の総合診療部が
担当する患者さんで、慢性的な管理を必要とする人が増加した結果、急性期の集中治療を必
要とする患者さんの受け入れが困難な場合が生じていることです。

  国立成育医療センター職員一同は、このような問題点を不断の努力によって解決していく
覚悟でいます。この1年間は大きな転機ではありますが、それはまた再生してよりよい病院
になるための好機でもあります。皆様のご理解とご協力を切にお願いします。

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●豆まきに思う…こどもの気管支異物にご注意
                         総合診療部 救急診療科  辻 聡

  2月3日は節分の日です。「節分」とは文字通り「季節を分ける」という意味で、年の数
だけ豆を食べると体が丈夫になり風邪を引かないとも言い伝えられており、今でも鬼の仮面
や外に向かって豆まきをしたりする風習が残っています。

  旧来の伝統が薄れていく現代にあって、こうした年中行事は大切にすべきでしょう。ただ
し、豆まきには子どもにとって大きな危険が潜んでいることに注意して下さい。

  毎年、数名の子どもが気管に物を詰まらせて救急を受診しています。節分当日から翌日の
受診が目立ち、節分でまいた豆を喉(気管支)に詰まらせています。

  「気管支異物」は聞き慣れない言葉かもしれませんが、食べ物が口からお腹ではなく、気
管の方に落ち込んでしまうと、消化できずにやがて感染や呼吸困難の原因になってしまいま
す。子どもが急にむせ込んだり、ぜーぜーした場合にはもちろん、咳が長引いたりする場合
には気管支異物の可能性があります。特に大豆等の豆類は気管支粘膜に対する刺激が強く、
呼吸困難をきたしたり、ひどい場合には窒息してしまうため、注意が必要です。取り除くに
は全身麻酔下での特殊な操作が必要になり、小さな子どもには大変な負担になります。

  こうした誤飲事故の多くは3歳以下の子どもに見られ、特に0~1歳の乳児に多く起こって
います。乳幼児では興味を持ったものを口に入れて確かめようとするため、子どもの成長発
達の段階に応じた事故の予防が必要です。残念ながら日本では「事故予防」に対する取り組
みが他の先進諸国に比べてかなり遅れており、当院としても現在、事故予防に関する積極的
な取り組みを検討しています。

  小さなお子さんでは、興味を持ったものを口に入れて触感や舌触りを試そうとしますから、
ビーズや飴玉、あるいは風船の切れ端までありとあらゆるものに危険が潜んでいます。保護
者を始め、周囲の大人が危険なものを子どもの傍に置かないようにすることが事故予防の第
一歩になります。

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●小児の嘔吐・下痢
                        10西病棟 看護師長  野口 美穂子

  地球の温暖化・・・といってもこの季節、寒さがひとしお身にしみます。風邪などひいて
ませんか?今回は冬場に多い、小児の嘔吐と下痢についてお話します。

  嘔吐と下痢は小児にはよく見られる症状の一つです。しかも突然に始まることも多く、あ
わててしまった経験をお持ち方も多いのではないでしょうか。嘔吐と下痢を繰り返すと、脱
水症になりやすいので、家庭での看護が重要になります!

<原因は?>

  65%がロタウィルス。その他にはノロウィルス、アデノウィルスなどが原因になります。

<症状は?>

   はじめは軽い発熱や鼻水、咳など風邪に似た症状で始まります。そのうちに突然吐き始
  め、続いて半日後位から下痢が始まります。下痢は泥状便から水様便で、便の色はレモン
  色から白っぽくなることもあります。たいていは、1週間くらいで良くなります。

<病院の受診は?>

  次のような症状がある場合は、至急病院を受診して下さい。
  ・顔色が悪く、ぐったりしている。
  ・意識がもうろうとしている。
  ・便に血液が混ざっている。
  ・12時間以上嘔吐が続いている。水分が全く取れない。
  ・高熱がある。

<食事療法は?> 一番大切です!   
                            
  吐いた直後は、胃は何も受け付けない状態になっているので、初めの2~3時間は何も与え
ない方がよいでしょう。脱水にならないようにと、急いで水分を与えようとすると、かえっ
て嘔吐を誘発することも多いので、注意して下さい。吐くのが落ち着いたら、水分を少量ず
つ与えます。この場合の水分は、糖分と電解質を含むいわゆるイオン飲料が理想的です。最
近は飲みやすい小児用経口補液剤が、薬局などに市販されていますので利用されるとよいで
しょう。野菜スープや味噌汁の上澄みなどもOKです。最初はスプーン1杯~20~30mlを
頻回に(30分前後に1回)与え、徐々に増量します。

       
  下痢の治療にも食事療法が大切です。胃腸に負担をかけないよう、  
軟らかく消化の良い、お粥やうどんのくたくた煮、おじやなどが良い
 でしょう。母乳・ミルク栄養児では、哺乳は中止せず、授乳は1回
 7~10分くらいまで、1~2時間毎に与え、適宜経口補液剤を加えます。
 経口補液療法は点滴療法と同じくらいの効果があることが、臨床試験
 によって証明されています。さあ、家族の腕の見せ所ですよ!

 
<予防は?>

  ふだんからていねいな手洗いを心掛け、タオルは共有しないなどの工夫が必要です。特に
オムツを扱うお母さん方は手洗いをまめにするようにしましょう。

※家族みんなで、明るく元気に、この寒い冬を乗り切りましょう!!


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●新任医師の紹介

  平成20年1月1日付
  周産期診療部 産科医師  高橋 宏典

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     成育すこやかジャーナル     No.60(2007/12/06)
  
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━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━
 ●安全で快適な分娩のお手伝い-産科麻酔医の役割
                    手術集中治療部 産科麻酔部門  角倉 弘行
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●世界の子供たちの今 ~成育の取り組みから~
                      総合診療部 小児期診療科  堀越 裕歩
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●インフルエンザの予防法
                         9東病棟 看護師長  伊東 一代
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●トピックス
                             「メジャーリーガー来訪」
                                「マンドリン演奏」
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●イベントのお知らせ
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●ちょっとお役に立つ情報
 
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●安全で快適な分娩のお手伝い-産科麻酔医の役割
                     手術集中治療部 産科麻酔部門 角倉 弘行

  麻酔科医は一般の人から「具体的にはどんな仕事をしているのですか?」と聞かれること
があります。ましてや、麻酔科の中でもさらに専門的な産科麻酔科医の仕事について知って
おられるかたは非常に少ないと思います。しかし米国では、産科麻酔科医は一般の人々の間
でも非常に身近な存在となっています。その理由のひとつは多くの女性の出産に際して無痛
分娩を担当しているからです。

  現在、無痛分娩は多くの国々でごく一般的な医療行為となっており、米国やフランスなど
では生まれてくる赤ちゃんの半数以上が無痛分娩です。一方、日本でも無痛分娩という言葉
はそれなりに浸透していますが、実際にわが国で無痛分娩により出産される女性は必ずしも
多くありません。しかし、人の移動や情報の伝達の国際化に伴い、無痛分娩を希望する産婦
さんは確実に増加しています。特に当院では、外国人の産婦さんや最初のお子さんを外国で
無痛分娩により出産した産婦さんなども多くおられ、無痛分娩に対する需要は大きいようで
す。当院では開設以来、麻酔科が無痛分娩を積極的に担当してきましたが、最近では、一人
目を無痛分娩で出産された妊婦さんが、二人目も是非、無痛分娩でお願いしますとこられる
ようになりました。このように妊婦さんに頼りにされることは、産科麻酔科医にとって非常
にありがたいことです。

  もちろん産科麻酔科医の仕事は、無痛分娩を担当して快適な分娩をお手伝いするだけでは
ありません。それ以上に重要な仕事は、無痛分娩や帝王切開の麻酔などを担当して分娩が安
全に行えるようにお手伝いすることです。当院では現在、帝王切開(約30%)と無痛分娩(約
30%)をあわせると全分娩の半分以上に麻酔科医が関与しており、それ以外の分娩に関しても
常に産科の先生方と連絡をとりながら、全ての分娩が安全で快適におこなわれるように注意
しています。出産は女性にとって不安なことばかりだと思います。無痛分娩や帝王切開の麻
酔に関して心配なことがあれば、気軽に産科麻酔外来を受診してください。


(注)産科麻酔外来は、患者様が直接予約できません。産科受診時に担当医とご相談下さい。
                               『メルマガ編集部より』
   
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●世界の子供たちの今 ~成育の取り組みから~
                      総合診療部 小児期診療科  堀越 裕歩

  世界的規模で取り組む保健衛生課題として、2000年に世界各国のリーダーにより、国連ミ
レニアム開発目標が出されました。これは世界の国々が一致団結して、同じ目標に向かって
進もうという壮大で画期的な目標です。大きく8つの目標が掲げられ、実はそのうちの3つ
もが国立成育医療センターに関わりが深く、

(1)乳幼児死亡率の削減
(2)母子医療の改善
(3)感染症対策

が挙げられています。これらの目標は、2015年までの達成を目標としていますが、残念なが
ら2007年に出された中間報告では、いくつかは達成困難とされています。全世界の5歳未満
死亡の98%以上が開発途上国といわれる国で起きています。世界トップレベルの医療統計指
標を達成した日本は、今、国際社会に貢献を求められています。そういった背景から、国立
成育医療センターの総合診療部が中心となり、2005年11月に東南アジアにあるラオス人民
民主共和国の国立母子保健病院と友好病院協定を結び、臨床、研究、教育などで相互交流を
はかっていくことが約束されました。

  現在、

・ラオスの子供たちの出生コホート
・高校生たちのオートバイによる事故予防プログラム
・妊婦に対するヨード欠乏調査
・ラオス医療者のベトナムへのNICU研修支援

など多岐に渡る支援活動を行っています。こういった活動は、決して一方通行ではなく、実
は自分達にも得るものが大きいのです。開発途上国から世界に広まった医療として、カンガ
ルーケアがあります。出産後、新生児を母や時には父が抱き保温をはかることで、新生児ケ
アの基本の保温を高価な哺育器がなくとも行うことができます。また、医療人として他国の
医療事情を知るということは、振り返って自分自身を知ることにもなります。文化や考え方
の違い、医療の限界やシステムの違い、生命倫理など様々なことを考えさせられます。

  ラオスの病院の現場でよく相談を受けるのが、重い病気の子でどうにかならないかと聞か
れます。ラオスにおける家族を取り巻く環境、医療状況、死生観、経済状況などを一切考え
ずにテクニカルに答えを求めれば、先進国に搬送して治療をすれば助かるであろう子供もい
ます。しかし、それが必ずしも最良の選択肢にはならないのです。家族離散や家計崩壊にも
なりかねなかったり、そもそも死生観の違いで子供の死は耐え難いことですが、日本とは違
った域値で家族には受け入れられるのです。このような経験は、全人的でグローバルな医療
人育成に重要であると考え、後期研修医にも現地での活動を担ってもらっています。世界で
今もなお、簡単な方法で助けることができるけれども、幼くして亡くなっていく子供達がた
くさんいます。

  あなたは何ができますか?ぜひ“知る”ということから始めてみてください。そうすれば、
次の“行動”がわかるはずです。

-自己紹介-
堀越 裕歩
出身地 茨城県水戸市
高校までは競泳選手で専門は個人メドレー
趣味は旅行、映画鑑賞、サッカー観戦、スノーボード

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●インフルエンザの予防法
                         9東病棟 看護師長  伊東 一代

  日暮れも早まり、いよいよ冬の到来です。そこでもっとも注意したいのは、インフルエン
ザです。今年は例年に比べて一ヶ月以上も早く流行の兆しが見られ、すでに学級閉鎖された
ところもあります。インフルエンザへの備えをいま一度、確認しておきましょう。

  インフルエンザの特徴は、38~40度の高熱、頭痛、全身のだるさ、関節痛などが急に現れ
ることです。原因はインフルエンザウイルスの感染にあり、くしゃみや咳、痰などを介して
感染する「飛沫感染」が中心です。乳幼児はインフルエンザ特有の症状が少なく、鼻汁、咳
など風邪と症状が似ていることがあり、判別が困難です。合併症を極力少なくするためにも
なるべく早く受診することをお勧めします。

  インフルエンザの予防でもっとも大切なのは、うがいや手洗いをしっかり行うことです。
日常生活ではまず、体調を整えて抵抗力をつけ、人混みをさけるなど、ウイルスに接触しな
いことが大切です。また、インフルエンザウイルスは湿度に非常に弱いので、加湿器などで
適度な湿度(50~60%)に保つとよいでしょう。

  予防に有効なのは、流行前に予防接種を受けることです。予防接種による抗体が体内にで
きるまでには、2週間程度かかります。遅くとも12月初旬までに済ませるのが理想です。ワ
クチンには1回接種と2回接種があり、2回接種する場合は2回目は1回目から1~4週間
あけて接種します。赤ちゃんなどは、ご家族の方からうつることもありますので、ご家族の
方も予防接種を受けることをお勧めします。もしもお子様が、はしかや水ぼうそうなどに感
染している場合は、完全に治ってから4週間は予防接種をひかえた方がよいとされています
ので、主治医に相談してから接種しましょう。

  日ごろから、まず予防に力を入れ、感染が疑われたら早めに医療機関を受診し、インフル
エンザかどうか診てもらうようにしましょう。

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●イベントのお知らせ

  ・12月17日、豆の木広場で成育医療センター・ボランティアの会主催「クリスマス
   コンサート」が開催されます。みなさまお誘い合わせのうえ、お越し下さい。
  
  ・1月7日、豆の木広場で成育医療センター・ボランティアの会主催「新春コンサート」
   が開催されます。みなさまお誘い合わせのうえ、お越し下さい。

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●トピックス
                             「メジャーリーガー来訪」
11月9日、メジャーリーガーが訪問されました。

  
                                「マンドリン演奏」

11月19日、豆の木広場にて「マンドリン演奏」が行われました。

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     成育すこやかジャーナル     No.59(2007/11/08)
  
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━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━
 ●在宅医療の見直しについて
                第一専門診療部長(外来診療管理委員長)  横谷 進
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●第一大臼歯(6歳臼歯)について
                        第二専門診療部 歯科  勝又 由紀
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●不登校の背景 発達障害
                    こころの診療部 発達心理科  中野 三津子
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●《風邪予防には手洗いとうがいを》
                    看護部 8階西病棟看護師長  淺田 美津子
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●新任医師の紹介
  ………………………………………………………………………………………………………  
  ●トピックス
                                「にんぎょうげき」
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●ちょっとお役に立つ情報
 
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●在宅医療の見直しについて
                第一専門診療部長(外来診療管理委員長)  横谷 進

  国立成育医療センターでは、900人以上の通院患者さんが在宅医療を行っています。この
8月より、在宅医療に必要な物品のお渡しを中心にして、在宅医療の見直しを行っています
が、皆様からいろいろな御意見をいただきました。そこで、遅くなりましたが、あらためて
その変更点について説明させていただきます。

【これまでの問題点】
  1. ひとりひとりに異なった多種多様な物品を、ひとりひとりに異なった数量で誤りなく
お渡しするだけで仕事の量がたいへんに多かったため、在宅相談室が行うべき在宅指導(医
学的に適切で安全な在宅医療が行われるように、具体的な工夫も含めた有用な情報をお伝え
すること)がほとんどできませんでした。
  2. 保険の決まりと主旨から見て、お渡しする物品の種類・数量に不適切な点もありまし
た。
  3. その結果、不公平になったり病院の経済的負担になったりしていました。

【8月から行われている変更の内容】
  こうした問題を解決するために、本年8月より次の2点を主に変更いたしました。

  1. 在宅医療(指導管理)の種類ごとに物品の種類と数量について標準を決めさせていた
だきました。在宅医療では、患者さんの状況によって指導管理の種類が決まり、その指導管
理に対応する物品が支給できるしくみになっています。センターでは、指導管理の種類ごと
に支給できる物品を明確にし、また、通常の使用では1か月でどれくらいの数量があれば十
分かを調べて、それを標準量としました。標準量の決定には、たくさんの患者さんの実績、
医学的な判断、他院からの情報、物品の金額などを参考にしました。その結果、これまで標
準量より多くお渡ししていた患者さんには、医学的な判断や他の患者さんからの役立つ情報
(節約の工夫など)もお伝えして、標準量の範囲内にできないか、なるべく節約していたた
だけるようお願いするようにしました(もちろん、適切な理由があれば、標準量を超えてお
渡しします)。また、これまで指導管理の要件を満たしていないにもかかわらず物品をお渡し
してきたこともありましたが、その場合には物品をまったくお渡しできなくなりましたので、
売店等で購入いただけるように、ご案内しています。
  2. 支給日数を原則1か月にさせていただきました。それは、在宅医療の医療費のしく
みが1か月ごとになっているからです。たとえば、2ヵ月分の物品をお渡しした場合にも、
病院は1か月分の請求しかできません。在宅物品を必要とされている方には、ご負担をおか
けしますが、原則1か月ごとに(各月に一度)受診していただけるよう、お願いしています。
また、次に受診されるまでの日数の長短にかかわらず毎回の物品の数量を30日分で一定にさ
せていただければ、毎回数量を細かく増減しなくてよいのでありがたく存じます。

【お願い】
  在宅での毎日のケアに疲れながら、将来もずっとそれが続くかと、気の遠くなるような思
いで毎日を過していらっしゃる方も多いと存じます。これまでよりも不便になったり、お金
がかかったり、ということが重なるとすれば、たいへん申し訳なく存じます。しかし、医療
への公的支出が厳しく制限される中で、国民すべてが限られた医療資源を上手に節約しなが
ら使ってゆかなければならない時代になっています。センターも、国立だからと言ってサー
ビスを多くしたり非能率のままでいたりすれば、赤字が増し、結局は税金で負担してもらわ
なければならない立場にいます。さらに、2010年にはセンターは独立行政法人化されるので、
今後、病院の機能を保つためには経営上の改善がどうしても必要になってきました。
  どうか、この在宅医療の見直しについて、ご理解いただき、ご協力をいただきたくお願い
申し上げます。
   
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●第一大臼歯(6歳臼歯)について
                        第二専門診療部 歯科  勝又 由紀

  5~6歳くらいになると、乳歯の奥歯(第二乳臼歯)のさらに奥から永久歯が顔を出して
きます。これが第一大臼歯。6歳頃に生えてくることが多いので6歳臼歯とも呼ばれていま
す。これは永久歯の中でいちばん大きな歯で、食べ物を噛み砕く力もたいへん大きく、長い
人生おいしく食べて健康に生活していくために大切な役割を担っています。しかし、第一大
臼歯はとても虫歯になりやすい歯でもあるのです。

それは、
・生える場所が乳歯の奥歯の後方なので、歯ブラシが届きにくく歯磨きが難しいこと。
  この歯が生えてくる時期は本人の歯磨きではまだまだ上手にきれいに磨けるとはいえない
  状態なので、保護者による仕上げ磨きが重要です。

・歯が生え始めてから十分に生えて上下の歯で噛めるようになるまでに長い時間がかかるこ
  と。
  生え立ての歯は噛むところにある溝が深く複雑で、汚れが溜まりやすい形をしています。
  また、歯が生える途中では歯の頭の部分が歯肉で一部覆われた状態がしばらく続くので汚
  れが溜まりやすく取れにくいのです。

  口の中に生えてきたばかりの歯の表面はまだやわらかく、1~2年かけて少しずつ硬くな
っていきます。このため、生え立ての歯は虫歯の原因菌の出す酸に対してとても弱く、虫歯
になってしまうとその進行も早いのです。歯科を受診してシーラント(深い溝を埋める処置)
やフッ素塗布をしてもらうことも虫歯予防に効果がありますが、大事なのは毎日の歯磨き。
日常の食生活に気をつけるのはもちろんです。前歯が生えかわるのと違い、第一大臼歯が生
え始めていることに本人も保護者の方もしばらく気づかないこともあるようです。気がつい
た時には第一大臼歯に大きな虫歯の穴が開いていたということにならないようにしたいもの
です。

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●不登校の背景 発達障害
                    こころの診療部 発達心理科  中野 三津子

  先日、昨年度の不登校の小中学生の数が発表されました。文部科学省の学校基本調査によ
ると、昨年度30日以上の不登校だった小中学生は、約12万3300人、全体に占める割合は、
中学校が2.73%、小学校が0.32%で、前年度とほぼ変わっていないようです。不登校は数字
にはならない学校要因を含めて、一般には見えにくい内容も考えられなければならない問題
だと思います。

  子どもの精神的問題は、行動や身体症状になって現れます。そのひとつが、不登校あるい
は学校に行き渋る行動です。不登校などの問題となる行動が現れて始めて、子どもが何らか
の問題をかかえて動きにくい状態になっていることに気付かされることもあります。

  不登校や行き渋りのきっかけとして、
・学業不振
・友人関係の問題
・いじめの問題
などがよくあげられます。学校という社会での生きづらさ、人間関係の難しさ、さらにその
背景に、現実の課題に対する対処能力の微妙なアンバランス、自己評価の低さ、安心感の乏
しさといった問題が潜んでいることもあります。

  対処能力の問題は、社会に適応するための学習がなされていない場合もありますし、生来
の発達障害が問題の核となっている場合もあります。学習がなされていない場合には、治療
的な人間関係の中で、その子どもの感覚にあった社会に適応的な方法を学習することが解決
に向かう道になるでしょう。もし発達障害が問題であれば、専門的な評価とアドバイスが、
子どもの発達の次のステップへと向かう方法になります。

  現在、発達心理科では、お子さんの発達段階に応じて心理療法的アプローチ(遊戯療法、
社会技能訓練、リラクセーション、認知行動療法、臨床動作法などの方法)を試みています。
小児科医として多くの発達障害のお子さんを診てこられた宮尾医長を中心として、精神科医
として子どもの精神的問題に携わってきた中野、様々な背景を持つ心理療法士がチームでお
子さんとご家族に関わらせていただいております。

  発達障害のお子さんは、多くの子どもと同じように“がんばれば”学力や社会への適応能
力を獲得できるというわけではありません。お子さんの独自の認知の仕方が、一番身近な社
会であるご家族にとっても、理解しづらいことはよくあります。そのために悪循環が生じて、
個人の持つ力が発揮されにくくなり、家族全体が膠着状態になってしまうことがあります。
このような膠着状態のときには、表面に現れたお子さんの症状だけでなく、その症状の成り
立ちや背景、生育歴などを含めた全体的な評価をもとに、子どものもつ生来の独自の認知の
仕方に沿った細やかな援助が必要です。治療関係を作っていくのに時間がかかることもあり
ますが、治療関係ができてくると、独自の認知で整理された本人なりの体験が少しずつ語ら
れます。その体験から見えてくるその子の感受性や認知の方法を基盤として、前に進んでい
く小さなステップを探すことが重要になります。

  今、地域社会との関係が薄れているために、子どもが属している社会は、ほぼ家族と学校
です。多くの同年代の子ども達が属している学校に行くことがうまくできないことを子ども
達は、悩みます。その悩みは大きいものです。子どもの力を伸ばしていくことを目標とした
とき、学校に行くことが必ずしも解決につながらない場合もあります。ご家族と一緒に新た
な道を創っていくことになります。

  生きづらい子ども達が、自分なりの方法で少しずつでも元気に過ごせるようになること、
周りの方々にもご理解いただくことが私達の望みです。

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●《風邪予防には手洗いとうがいを》
                    看護部 8階西病棟看護師長  淺田 美津子

  朝・夕の気温が下がり、寒い季節になりました。風邪の流行が本格化する季節です。風邪
は鼻・のど等の上気道の炎症性の病気で、主にウイルスの感染で起こります。風邪を起こす
ウイルスはたくさんの種類が知られていますが、それらのウイルスに対して有効なワクチン
は、まだ開発されていないのです。一説には、風邪そのものを治す薬を開発すると『ノーベ
ル賞を狙える!?』などともいわれています。
風邪を治すお薬がないのなら、かからないようにすることが大切になります。つまり、風邪
は「予防が一番!」ということになります。

  風邪の予防には、「手洗い・うがい」が効果的です。
なぜ「手洗い・うがい」が良いのでしょうか? 風邪ウイルスの体への進入経路は口や鼻・の
どの粘膜です。そして、風邪ウイルスを口やのどに運ぶのは手指のことが多いので、手に付
いたウイルスを洗い流し体に侵入させないために「手洗い」は欠かせません。また、のどに
到達したウイルスが体に入りこみ増殖する前に除去しようとするのが「うがい」なのです。
「手洗い」「うがい」を行ってもウイルスが洗い流されず、除去されなければ予防効果は発揮
されません。「手洗い」「うがい」を正しく、効果的に行うことが大切です。

〈正しい手洗いの方法は〉
1. 最初に、手を水でぬらして、石けんをまんべんなく手にひろげて十分泡立たせます。
   石けんは泡立たせることで、洗浄力が増します。     
2. 手のひらをあわせて5秒程ゴシゴシ洗う         
3. 手の甲を伸ばすように5秒程ゴシゴシ洗う         
4. 指先やつめの間も渦を描くように5秒程ゴシゴシ洗う   
5. 指の間も十分に5秒程ゴシゴシ洗う             
6. 最後に、石けんを流水できれいに洗い流して、       
   タオルやハンカチで手を拭いて乾燥させます。    

1~6までをきちんと行うと約30秒かかります。30秒なんてすぐ終わると思われますか?
実は意外に長いのです。そんなときは、童謡の「ぞうさん♪」を歌いながら♪♪手を洗って
みましょう。2番まで歌うと約30秒、手もきれいになり、気持ちも楽しくなることでしょう。

〈効果的なうがいは〉
1. うがいがしやすい量(約20ミリリットル)の水、またはうがい薬を希釈したものなどを
   コップにとります。
2. まず、口中の雑菌や残った食べ物などを取り除く目的で、口に含んで強くブクブクうが
   いをします。
3. 次に、天井が見える程度上を向いて、のどの奥まで液が回るようにして15秒程度「ガラ
   ガラガラガラガラ」とうがいをしてのどの雑菌を洗い流し吐き出します。
4. 3と同様に15秒程度のうがいを何回か繰り返します。

口の中、次にのどの奥がポイントです。1回のがらがらうがいは15秒ほど、そうです、「ぞ
うさん♪」のワンコーラス分です。心の中で歌いながらうがいをしてみてください。

「風邪は万病の元」と昔からよく言われます。予防を第一に、そして風邪を引いてしまった
ら、しっかり栄養をとり、ゆっくり静養する事が大切です。皆さん、お風邪など召されない
よう予防を心がけて下さい。

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●新任医師の紹介

  平成19年10月16日付
  周産期診療部 新生児科医師  中尾 厚


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●トピックス
                                「にんぎょうげき」

10月24日、豆の木広場にて「にんぎょうげき」が行われました。

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     成育すこやかジャーナル     No.58(2007/10/11)
  
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━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━
 ●「お産は怖い」
                      周産期診療部 産科 医長  久保 隆彦
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●粉ミルクの調乳温度が変わりました
                            栄養管理部  川尻 貴美子
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●「元気な子ども」を育てる~睡眠について考える~
                     看護部 7階西病棟看護師長  諸橋 容子
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●肝移植を受けた患者さんの長期follow-up
                      特殊診療部 移植免疫診療科 森岡 大介
  ………………………………………………………………………………………………………  
  ●トピックス
                            「2007 救急の日イベント」
                               「テーブルマジック」
                                    「バザー」
  ………………………………………………………………………………………………………
  ●ちょっとお役に立つ情報
 
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●「お産は怖い」
                      周産期診療部 産科 医長  久保 隆彦

  インターネットの医療ニュースを検索すると産科関係のニュースが無い日は無いというほ
どに「お産」関係のことが最近話題となっています。このニュースには大きく3つに大別さ
れます。

  一つは病院、産院がお産を止めたためにお産をする場所が無い、いわゆる「お産難民」に
ついてです。これは北海道・東北あるいは離島の話だけではなく、首都圏ですらそうなので
す。この結果が「たらいまわし」と表現される事態をおこしています。しかし、「妊婦たらい
まわし」の持つ悪いイメージではなく、ハイリスク妊婦・赤ちゃんを受け入れる施設が現実
に無くなったため、何件も探さなければいけないのです。病院が断っているのではなく、受
け入れるNICU(重症な赤ちゃんを管理するベッド)と妊婦のベッドが著しく足らないのです。

  二つ目は産科医が少ないことについてです。先進国の中で国民に占める医師の割合は日本
はダントツに最下位です。そのなかでも産婦人科医、さらには分娩に従事している産婦人科
医(産科医)は激減しています。労働基準法を全く無視した長時間ハードワークで低賃金の
産科医のなり手が減少しただけではなく、心身共にボロボロとなった産科医がお産から撤退
しているのです。

  三番目は今日お話をしようとしている産科医療事故についてです。今、刑事裁判となって
いる「福島大野病院事件」、全く不可解な「堀病院看護師内診事件」、「どんな病院でも救命で
きなかった脳実質内出血による妊婦死亡した奈良大淀病院事件」が大きなものですが、全国
で見ると数多くの妊婦死亡、新生児死亡事故が掲載されています。これらのことに共通する
のは、現場の産科医の認識とマスコミ・一般国民との認識のズレです。「こんなことは日常的
に起こり、救命することは極めて困難なのになぜ事件として取り上げるのか」と思う産科医
師と、「日本の進んだ医療の中でお産は安全なはずなのに、なぜ妊婦や赤ちゃんは死ななけれ
ばならなかったのか」と思うマスコミ・一般国民の印象の違いです。良く考えると、毎日お
産に携わっている産科医は普通のなんてことないお産が一変して、蛇口の栓を開放したよう
に迸りでる大量出血(数分間で2000-3000mlの出血)はまれならずあることなのです。また、
生まれた赤ちゃんが息をせずに蘇生しなければならないことにも遭遇します。大家族制が機
能していた第二次世界大戦までの日本では、お嫁さんが妊娠するとお婆ちゃんがそっとお嫁
さんを呼んで、「お産を甘くみたらいかん、棺桶に片足突っ込んでいるようなものだから」と
諭したそうです。しかし、我が国は核家族化し、その貴重な情報が伝達されなくなったので
す。

  確かに、日本の周産期医療は世界最高まで上昇し、妊産婦死亡に関しては米国の半分、新
生児死亡は世界で一番低いと極めて素晴らしい成績なのです。世界平均の妊産婦死亡率(先
進国も全て含んだ)は分娩250人に1人が死亡するという、日本の約60倍も高いものです。
そこで、日本の妊娠・分娩で死にかけるような重症の妊産婦数の全国調査を、日本産科婦人
科学会の指示で私が昨年行いました。日本の妊産婦死亡の約2/3を網羅する調査で分かった
ことは、たくさんの妊産婦さんが大量出血、頭蓋内出血、救急救命センターでの管理を受け
ていたことでした。その数は年間4000-5000人であり、これを分娩数で割ると250人に1人
が重症管理を受けていたことになり、世界の妊産婦死亡率と全く同じだったのです。という
ことは、妊娠・分娩が持つ本来の危険性は250人に1人といえるのです。幸い、産科医が労
働基準法で定められた時間の倍以上働き、その多くを救命したわけです。事件となっている
妊婦死亡は氷山の一角であり、妊娠・分娩には危険はつきものなのです。

  また、赤ちゃんに関しても厚生労働科学研究「産科領域における医療事故の解析と予防対
策」(中林班)でのローリスク妊婦(妊娠の危険性の極めて低いと考えられる妊婦)から出生
した赤ちゃんの仮死率(専門の新生児科医が蘇生を要する状態)は3%であり、当院でのロ
ーリスク妊婦1965人の検討でも仮死率は6%でした。このことは種々の合併症や高齢の妊婦
だけではなく、正常に分娩できるだろうと考えていたお産で生まれた赤ちゃんの30人中1
人に適切な治療を行なわなければ、重篤な後遺症を含めた不幸な結果となりうることを示し
ています。

  最後に、妊娠・分娩の母児の危険性は、妊産婦は1/250人、赤ちゃんは1/30人が日本の実
態です。お産はお母さんにとっても、赤ちゃんにとっても本当は怖いのです。賢い妊産婦さ
んはご自分で自分と赤ちゃんを守らなければいけません。「お産の安全神話」は全くの虚構で
す。ご自分の妊娠、分娩管理を受けている施設の母児救急対応能力と連携施設について良く
知っておかなければいけません。


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●粉ミルクの調乳温度が変わりました
                            栄養管理部  川尻 貴美子

  粉ミルク(乳児用調製粉乳)調乳時のお湯の適温が50℃から70℃以上に変更になった事を
ご存知でしょうか?

  これは、世界保健機関(WHO)及び国連食糧農業機関(FAO)より出された「乳児用
調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」に沿い、厚生労働省が指導
しているものです。とは言え、今、まさに各ミルクメーカーが対応している状況で、皆様の
お手元のミルク表示変更はもう少し先の事となるでしょう。これらのガイドライン作成の背
景には、乳児用調製粉乳を原因とするサカザキ菌(Enterobacter sakazakii)の感染による
乳児疾患や死亡例が諸外国で報告された事にあります。

  サカザキ菌とはヒトや動物、環境中に確認される多数の菌種を含む腸内細菌の一種で、特
に乳幼児の髄膜炎や腸炎の発生に関係し、感染した乳幼児の20~50%が死亡したという報告
もあります。また、死亡に至らなかった場合も神経障害等重篤な合併症が継続するとされて
います。成人が感染した場合は、その症状はかなり軽度だそうです。

  乳児用調整粉乳(以下「ミルク」)は、製造工程で無菌にする事は現在の技術では困難であ
り、開封後に病原微生物に汚染される可能性もあります。しかし、これらの事を認識した上
で、正しい調乳方法と取扱い方法の実施によって、感染リスクを減少させる事が出来るので
す。以下に家庭での調乳時のポイントを示します。

<家庭での調乳時のポイント>

(1)調乳用のお湯は一度沸騰させ、少し冷ましてから使用する(70℃以上)
(2)調乳後のミルクは直ちに流水をあてる、もしくは冷水の入った容器に入れ冷ます
(3)ミルクは授乳の都度新しく調乳し、飲み残したミルクは使用しない

これらの実施により、

・70℃以上の湯を用いた調乳でサカザキ菌が死滅する
・調乳から授乳までの時間と授乳時間の短縮により細菌の繁殖を防ぐ  など

リスクの軽減につながるのです。その他、ガイドラインでは調乳する方の手洗い・哺乳瓶・
調乳器具の洗浄、消毒の重要性を改めて提示しております。

  新生児期は授乳間隔が短く、調乳作業も1日8回以上になる事も少なくありません。また、
オムツ換えも頻繁で、慌しい中での調乳作業になる事もあるかと思います。いくら高い温度
で菌が死滅するとはいえ、沸騰直後のお湯を使用するのは大変危険です。多少冷ます必要が
あるでしょう。また、70℃まで冷ましたお湯であっても、まだかなり熱く、慌てるとやけど
の原因にもなります。やけど防止には、清潔なタオルを哺乳瓶に巻く事や専用の鍋つかみを
利用する事など工夫してみると良いでしょう。また、赤ちゃんのやけどを防ぐ為には授乳前
に内部の温度が40℃程度まで下がっているかの確認も忘れてはいけませんね。

  慌てず落ち着いて、時には周りの方の力を借り、清潔・正確・安全を合い言葉に調乳に取
り組んでいきましょう。


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●「元気な子ども」を育てる~睡眠について考える~
                       看護部 7階西病棟看護師長  諸橋容子

  今日の子ども達を取り巻く生活環境が大きく変化していることにより、子ども達の生活時
間にも著しい変化が起こっています。
  元気の源になるものとして、「睡眠」「食事」「運動」が上げられます。これらは切り離せな
いものですが、その中で「元気な子ども」を育てる-「睡眠」について、昔から言い伝えら
れた言葉から考えてみたいと思います。

  ~寝る子は育つ~

  成長ホルモンは傷ついた細胞を修復したりする働きの他に、筋肉を増やし、骨を伸ばした
りする働きがあります。食事や運動だけではこの成長ホルモンは分泌されません。成長ホル
モンは生後3ヶ月から分泌され、最も分泌されるのが幼児期4~5歳と言われています。昔
から『寝る子は育つ』と言われていますが、『成長ホルモン』は睡眠中に分泌され、大量に分
泌されるのが熟睡(ノンレム睡眠)のときです。ですから、幼児期の子どもには体や脳の発
育を形成する上で熟睡している睡眠時間が必要不可欠です。成長ホルモンが十分に分泌する
時間は、夜の9時から明け方の5時までです。ご両親の生活パターンにあわせて遅くまで起
きていることは、子供さんたちの成長を考えるとあまりよくないことのように思います。

  ~早寝・早起きは3文の徳~

《早起きをするとこんないいことが!》

(1)朝の時間に余裕ができる→朝ご飯がしっかり食べられる→学校始業時間までに脳が働
    く→授業に集中できる→結果:成績が良くなるかもしれませんね。
(2)日中の遊び時間が十分取れる→元気に遊べる→結果:体力作りができ、抵抗力が備わ
    る。
(3)精神を安定させるセロトニンが分泌する→記憶・集中力がアップ→授業に集中できる
    →結果:授業がよくわかり、勉強が楽しくなる。

    さらに、昼間しっかり活動することで早寝にもつながります。

《早寝するとこんなにいいことが!》

(1)成長ホルモンの分泌が促進→結果:元気なからだ作りの元となる。
(2)体内時計を整えるメラトニンが分泌→結果:生活リズムが整いやすくなる。
    子どもが早く寝る→お父さん、お母さんの時間がもてる

早寝・早起きは3文の徳と昔の人はいいましたが、昔の人ってすごいですね!

  ~良質な睡眠をとるためのワンポイントアドバイス~

(1)遅くともよる夜9時までには布団に入る習慣作り。
(2)寝るための準備として、眠気を強くするために 促すため、部屋を暗くする。
(3)やさしい声で静かな言葉かけをする。
(4)午前中の太陽の光を十分浴びる。
(5)昼寝は午後3時までに切り上げる。

良質の睡眠をとるための習慣は、まず早起きからはじめましょう!


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●肝移植を受けた患者さんの長期follow-up
                      特殊診療部 移植免疫診療科 森岡 大介

  肝移植を受けられて無事退院した後は、定期的に外来通院をすることになります。退院し
てまもない頃は、免疫抑制剤をはじめとする色々なお薬を飲む必要があります。いいかえれ
ばそれだけ色々なことが起こる可能性があるため、その予防のために色々なお薬を飲む必要
があるのですが、肝移植を受けてから月日が経てば経つ程、色々なことが起こる可能性が低
くなっていき、飲むお薬の種類、量も減っていきます。
  肝移植を受けて無事に退院したあとは定期的に外来通院をしていただくことになります。
具体的には退院して2-3ヶ月は1-2週間に1度の外来通院。3-6ヶ月は1月に一度、6-
12ヶ月は2-3ヶ月に1度。1年経てば3-4ヶ月に1度、というように外来通院の頻度も減
っていきます。
  基本的には免疫抑制剤は一生飲み続けなければいけないので、病院への定期的通院も一生
続くことになりますが、最終的には1年に1度くらいの通院でよくなることがほとんどです。


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●トピックス
                            「2007 救急の日イベント」

9月10日、講堂と1階総合受付前にて救急の日のイベントが行われました。

                               「テーブルマジック」

9月19日、3病棟にてテーブルマジックが行われました。


                                    「バザー」

9月20日、ボランティアルームにてバザーが行われました。

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     成育すこやかジャーナル     No.57(2007/9/6)
  
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━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━
 ●お子さんが「腎臓が悪い」と言われたら
                      第一専門診療部 腎臓科  鈴木 輝明
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●先天性股関節脱臼の予防
                     第二専門診療部 整形外科  日下部 浩
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●周産期病棟 成育医療センターで出産される方へのサポートのご紹介
                    看護部 6階西病棟看護師長 浜岡 幸加子
  ……………………………………………………………………………………………………  
  ●新任医師の紹介
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●イベントのお知らせ
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●ちょっとお役に立つ情報
 
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●お子さんが「腎臓が悪い」と言われたら
                    第一専門診療部 腎臓科  鈴木 輝明

  今では、腎臓の検査もいろいろあります。最初の関門は「胎児エコー」。次に「3歳
時健診の尿検査」。次は「学校検尿」となります。その間に、「オムツに付いた尿が赤
い」とか、発熱時の「尿路感染症を疑っての尿検査」とか、何かの病気のついでに血液
検査をしたら「腎機能が悪い」とか、発見のチャンスはたくさんあります。
腎エコー検査でわかる「腎臓の形態異常」、尿検査でわかる「検尿異常(血尿、蛋白尿、
膿尿)」、血液検査でわかる「腎機能異常」などがあります。

  “腎エコー”では、(1)腎臓が大きい・小さい(2)水腎症(腎盂の拡大)(3)
腎嚢胞(4)尿路結石(5)腎腫瘍などの形態異常を調べることが出来ます。

(1)小さい腎臓は通常機能も低下することが多いのです。

(2)尿路の流れの異常で、尿管・膀胱にも異常を伴うことがあり、泌尿器科も受診
    する必要があるかもしれません。

(3)腎臓の中に水分の貯留した袋が出来るもので、遺伝的素因も認められます。あっ
    ても支障のないものや、将来的に腎機能障害を伴うものがあります。

(4)症状がなく偶然見つかるものと、血尿・痛みを伴い気づくものがあります。

(5)腎臓が大きくなっていることが多く、外科的対処が必要となることもあります。
   

  “尿検査”では、(1)血尿のみ(2)蛋白尿のみ(3)血尿+蛋白尿(4)膿尿
(白血球尿)などを調べることが出来ます。

(1)学校検尿で一番多い異常です。経過観察が必要となります。
    (女子生徒の場合、生理の日は避けて検査を受けてください)

(2)高度蛋白尿となると、ネフローゼ症候群と呼ばれる病気である可能性があります。
    尿量の減少・浮腫の出現には注意が必要です。
    (指定されているように、朝一番の尿を提出してください)

(3)急性腎炎であれば通常予後の良い腎炎です。しかし、慢性腎炎の可能性もありま
    す。経過観察とともに原因を詳しく調べる必要が出てきます。既往歴・家族歴も
    原因に迫るための情報を提供してくれることがあります。

(4)発熱を伴う時は尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)の可能性があります。尿中の細
    菌検査も必要となります。また、尿路の形態異常を伴うことも多く、詳しい検査
    が必要となります。

  “血液検査”では、およその腎臓機能(働き具合)を知ることが出来ます。特に
BUN(尿素窒素)、Cr(クレアチニン)がそのための数値となります。Cr値は体格・
年齢により基準値が異なります。したがって、「この子は○歳だから、Crの基準値は
○○程度である」と考えることが求められます。

オマケ) 基準値とは「一見健康に見える人の多くが収まる数値」のことです。
     そして、基準値に収まるものを正常値と考えてください。

  「悪い」とは何が悪いのかハッキリしない言葉ですが、上記の検査を組み合わせれば、
「何が悪いのか」「どのくらい悪いのか」を知ることが出来ます。そして、「今のうち
に治してしまう」、「今より悪くならないための対策」を立てることが求められます。

  心配な方は、一度小児科腎臓専門医を受診されることをお勧めいたします。

-自己紹介-
腎臓科  鈴木 輝明
多くの腎不全(自身の腎機能では不十分となった状態)の方を見てきました。そこまで
腎機能を悪くしない医療を求めてゆきたいと思います。

趣味)寝ること(食べることより寝ることが好きです)、なぜか「太め」です。
    運動不足のせいでしょうか。


★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★゜・。。・゜゜・。。・゜☆

●先天性股関節脱臼の予防
                     第二専門診療部 整形外科  日下部 浩

  先天性股関節脱臼の病因には、3つの因子があります。

1.遺伝性の因子

2.子宮内での2次的因子

3.生後の環境因子

このうち、1は遺伝子の関与する他の奇形を合併していたりするもので、きわめてまれ
です。2の子宮内での2次的因子とは、骨盤位、妊娠末期から分娩時にかけて膝伸展位
(膝が伸びた状態)であるときなどが含まれ、出生直後から脱臼している状態です。

  実際には3の生後の環境因子が最も重要とされております。胎内では、赤ちゃんは膝
と股関節を曲げた状態でいますが、生後、このあしをいきなり伸ばすと、あしの内方の
筋肉が緊張して、股関節を脱臼させる方向に力が働きます。赤ちゃんには妊娠末期の母
体から分泌されるリラキシン、プレゲステロンというホルモンの影響で、関節やじん帯
がのびやすい状態になっているため、脱臼してしまうものです。古くから先天性股関節
脱臼は、地域的に発生率の差があることが知られており、ヨーロッパ、アメリカインデ
ィアン、そして日本に多く発生しておりました。ヨーロッパでは特に北部ラップランド
地方に多く、日本では、東北地方に多く、また、冬生まれの子に多いことがわかってお
りました。これらの地域では、赤ちゃんのあしを伸ばした位置でぐるぐる巻きにするタ
イプのおむつを使用している特徴があり、日本では、戦前から使用されていたT字型の
おむつや、第二次世界大戦後アメリカから入ってきたと思われる、かつて流行した三角
おむつなどがこれにあたり、とくに冬は赤ちゃんのあしを伸ばした状態で厚く綿入れな
どでくるむ習慣がありました。

  そこで、1967年に石田勝正医師らは、京都市伏見区で、赤ちゃんのあしを自然な
状態(膝と股関節を曲げて、開いている状態)で、股関節の運動を妨げないおむつの使
用、抱き方(コアラ抱っこ)、背負い方、衣服の工夫など育児法の改良を呼びかけるキ
ャンペーンを行ったところ、先天性股関節脱臼の発生を10分の1に減らすことに成功
しました。その後、石田医師らは全国の産婦人科と整形外科の学会でこれを報告し、こ
のキャンペーンを全国に広めました。

  現在では先天性股関節脱臼は、まれな疾患となりましたが、同時にこうした先人の努
力の歴史も、次第に過去のものとなり、忘れ去られようとしております。最近の日本で
は、結核がまた増え始めている、はしかで大学が休校になるという事態が発生していま
す。そして、街では赤ちゃんのあしを伸ばした状態での横抱っこを多く見かけるように
なりました。先天性股関節脱臼の多くは、保護者の皆さんの育児方法により、予防でき
る疾患です。


★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★゜・。。・゜゜・。。・゜☆

●周産期病棟 成育医療センターで出産される方へのサポートのご紹介
                    看護部 6階西病棟看護師長 浜岡 幸加子

  国立成育医療センターでは、当院で妊婦健診を受けられている妊婦様が、妊娠・分娩
についての理解を深め妊娠中の生活が健康に過ごせ安心して出産を迎えることができる
ように、周産期外来での保健指導のほか2つの産前クラスを実施しております。また成
育医療センターでご出産をされた方を対象に、赤ちゃんとの生活・育児を楽しく行って
いくことができるよう、産後クラス等を実施しております。

*母親学級(=産前クラス)は、毎月第1、2、4木曜日に開催しております。このクラ
  スでは分娩の経過についてのお話や、分娩中の過ごし方のポイントなどをお話しして
  おります。また予定日が同じ月の方々が一緒にクラスを受けるので、妊娠中のとまど
  いや、出産に向けての不安などを同じ妊娠時期の妊婦さん同士で共有することができ
  たり、経産婦さんの体験談などを聞くことができたりといった交流の場にもなってお
  ります。

*立ち会いクラスは、毎月第3土曜日に行っております。分娩時立ち会い出産をご希望
  されるご主人、ご家族を対象に、出産の際のご家族のサポートについてお話をしてい
  ます。1回のクラスに約50~60組の参加があり、ご主人同士の交流や、父親とし
  ての役割意識をもてるようにと取り組んでいます。

  これらのクラスは妊婦健診時に周産期外来で予約を受け付けております。参加費用
は2000円を頂いております。

*産後クラスは、退院後の育児支援を目的として「エクササイズ編」「おっぱい編」の2
  種類のクラスを隔週水曜日に開催しております。「エクササイズ編」は産褥体操やベビ
  ーマッサージを行います。「おっぱい編」は産後さまざまなトラブルや不安を生じるこ
  とのある授乳や乳房の手入れについて実際に授乳の様子などを観せていただきながら
  アドバイスをさせていただいております。

*にこにこクラスは、双子・三つ子を出産されたお母さんを対象に育児不安への精神的
  フォロー、仲間作りの支援、多胎育児に関する情報の提供を目的として2ヶ月に1回
  開催しています。「にこにこクラス」の名前の由来は、双胎を意味するのと「にこにこ」
  と笑顔が絶えない育児ができるようにと願いを込めています。

  これらのクラスはご出産後、周産期病棟で予約を受け付けております。参加費用は
2000円を頂いております。

  以上のように周産期病棟では外来や様々なクラスを通して成育医療センターで出産を
される方々のサポートを行っています。


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●新任医師の紹介

  平成19年9月1日付
  第一専門診療部 神経内科医長  久保田 雅也


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●イベントのお知らせ

  ・9月10日、1階総合受付前・講堂で看護部主催「救急の日イベント」が開催されます。
   みなさまお誘い合わせのうえ、お越し下さい。
 

  ・9月20日11時から14時、地下1階ボランティアルームで成育医療センター・ボランティア
   の会主催「バザー」が開催されます。みなさまお誘い合わせのうえ、お越し下さい。


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     成育すこやかジャーナル     No.56(2007/8/9)
  
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 ●妊娠と葉酸
                        周産期診療部 産科  種元 智洋
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●妊娠と薬情報センター 電話相談が可能に!
                             薬剤部  石井 真理子
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●赤ちゃんの外出
                    看護部 NICU病棟副看護師長  川上 智代
  ……………………………………………………………………………………………………  
  ●新任医師の紹介
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●イベントのお知らせ
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●トピックス
                              「夏休みお楽しみ会」
                              「サマーコンサート」
 
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●妊娠と葉酸
                        周産期診療部 産科  種元 智洋

  葉酸というものをご存じでしょうか。これはビタミンB群のひとつで、緑黄色野菜、
豆類、果実類などに含まれています。葉酸の欠乏は神経管閉鎖障害と関連があるといわ
れ、これから妊娠を計画している女性に葉酸を補充することが推奨されています。成人
女性の葉酸の一日平均摂取量は約200μgといわれており、その他に一日400μgの摂取
が勧められています。神経管閉鎖障害とは、二分脊椎や脊髄髄膜瘤といった中枢神経系
(脳や脊髄)の形成に関する病気のことですが、この病気自体はいろいろな原因でおこ
るとされています。現在では妊娠に関連した本、雑誌などで取り上げられて、葉酸につ
いては少しずつ普及してきていることと思いますが、少し整理したいと思います。

  まず、妊娠を計画している女性は、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで、葉酸を食
事の他に栄養補助食品から一日400μg摂取することが勧められています。葉酸は水溶性
ビタミンなので取りすぎても問題ないと思いますが、一日1000μgは越えないように用
法用量はお守りください。(多量摂取することで、胎児発育が促進されたりすることは
ありません。)その他に一般的なことですが、バランスの良い食事や禁酒、禁煙も心が
けましょう。以前に、神経管閉鎖障害のお子さんを妊娠したことのある方や、てんかん
の治療薬を内服している方は、主治医に相談してください。

  注意すべきこととしては、神経管閉鎖障害は必ずしも葉酸欠乏のみで起こるものでは
ありません。そのようなご病気をお持ちのご家族が、自責の念に駆られないような配慮
も必要となります。また、サプリメントを開始すると食生活がおろそかになってしまう
方も見られます。バランスの良い食事を心がけることは忘れないようにしましょう。妊
娠成立後には、妊娠悪阻や嗜好の変化などが起こることもありますので、なかなか困難
なこともありますが、お困りの方やもともとご病気をお持ちの方は主治医とご相談され
ることがよいと思います。

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●妊娠と薬情報センター 電話相談が可能に!
                             薬剤部  石井 真理子

  妊娠中の薬の相談に応じている妊娠と薬情報センターでは、2007年
 7月より、電話で相談することができるようになりました。

 自宅に居ながら相談でき、しかもほとんどの場合、妊娠と薬情報セ
  ンターが問診票を受け取った翌日から相談が可能となります。 


  日本で最大規模の情報センターの専任スタッフが、直接相談に応じております。
また、相談料は無料です。ぜひ、ご利用ください。相談方法は以下の通りです。

  <相談方法>

   (用意するもの)

    (1)問 診 票:妊娠と薬情報センターのホームページから印刷可能です。
             大事な情報になりますので、正確に記入してください。

    (2)返信用封筒:80円切手を貼り、相談希望のご本人様の郵便番号、住所、
             氏名を記入してください。

   (申し込み)

    (1)と(2)を一緒に郵送でお送りください。

     宛先  〒157-8535
         東京都世田谷区大蔵 2-10-1
         国立成育医療センター内 妊娠と薬情報センター

   (相談方法のお知らせを受け取る)

    (2)の返信用封筒を使って、センターから電話相談の方法のお知らせを郵送
    します。

   (相談する)

    相談方法に従って、相談を受けてください。時間は20分くらいです。

  =電話で相談できる薬剤= (2007.7現在)
   風邪薬、解熱・鎮痛剤、アレルギーの薬、胃腸薬、薬局で購入した薬など

   *ご相談の内容によっては、電話での相談ができない場合があります。

   *電話相談のほか、成育医療センターをはじめとした専門外来での相談も
    できますので、ぜひご利用ください。

  <お問い合わせ>

   妊娠と薬情報センターの事業内容や相談方法などはホームページで詳しく案内して
  おりますので、一度ご覧になってみてください。

     ホームページ 
        http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

  なお、ご不明な点は下記にお問い合わせください。

     妊娠と薬情報センター
     電話:03-5494-7845
     受付時間:10:00~12:00、13:00~16:00 月曜日~金曜日(祝日を除く)
                           
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●赤ちゃんの外出
                    看護部 NICU病棟副看護師長  川上 智代

  
  これから本格的な夏がやってきます。今年は暑い夏になると言われていますね。
そこで今回はこれからの季節、赤ちゃんが外出する際に必要な日焼け対策についてお話
します。

  これからの季節、赤ちゃんが外出する時には日焼け対策が必要になります。
最近では夏の陽射しを浴びせることは、赤ちゃんの身体にとって良くないことが分かっ
てきました。外出する際は、日焼け(紫外線)対策を忘れずに。

  まず、服装は長そで・長ズボンが最も良いとされています。しかし、暑くて無理な時
は、大きめのタオルを用いて日に当たる際は覆って陽射しから赤ちゃんを守ります。ま
た、帽子も忘れずに。つばの広い帽子をかぶると半分程度の紫外線を防ぐことができる
といわれています。

  日焼け止めを選ぶ際には、紫外線吸収剤は赤ちゃんの皮膚がかぶれることがあるので、
これが含まれていないベビー用を選びます。
とにかく露出している部分すべてにぬってあげましょう。特に、手・耳・鼻・首はぬり
忘れやすい部位なので、忘れずにぬってあげましょう。日焼け止めはあまり少なすぎる
と効果が半減しますので、白浮きしない程度に均一にぬってあげます。

  また、夏は汗をかきやすい時期でもあります。そのままにすると日焼け止めが落ち、
またあせもの原因にもなります。こまめに汗を拭いて、清潔な状態にして日焼け止めを
ぬり直しましょう。

  万一日焼けしてしまったら、冷たいタオルを日焼けした個所に当ててあげます。症状
が悪化したら医師の診察を受けましょう。

  外出の時間は、10時から14時は陽射しがかなり強く紫外線の量も特に強いため、外出
は避けたほうが無難です。午前中の早い時間か、夕方あたりを選ぶといいですね。夏は
汗をたくさんかくので、特に外出中は、水分補給の麦茶やベビー飲料も忘れないように
心がけましょう。日焼け対策を忘れずに、夏の楽しいひと時を過ごしましょう。

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●新任医師の紹介

  平成19年8月1日付
  第二専門診療部 整形外科医長  関 敦仁

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●イベントのお知らせ

9月10日、1階総合受付前・講堂で看護部主催「救急の日イベント」が開催されます。
みなさまお誘い合わせのうえ、お越し下さい。

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●トピックス
                              「夏休みお楽しみ会」

  7月23日、講堂にて夏休みお楽しみ会が行われました。

 

                              「サマーコンサート」
  7月25日、ICU、6階病棟にてサマーコンサートが行われました。
 
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     成育すこやかジャーナル     No.55(2007/7/12)
  
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 ●熱中症
                      総合診療部 救急診療科  上村 克徳
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●免疫抑制剤
                    特殊診療部 移植免疫診療科  森岡 大介
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●ICU(集中治療室)からこんにちは
                       看護部 ICU看護師長  八代 尚美
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●~塩分の摂り方について~
                       栄養管理部 栄養士  峯村 佳代子
  ……………………………………………………………………………………………………
  ●トピックス
                          「バルーンアートコンテスト」
                          「ミュージックボランティア」
                     「そよ風ライブ(学習発表会)を終えて」
 
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●熱中症
                      総合診療部 救急診療科  上村 克徳

はじめに
  暑い夏の季節がやってこようとしています。気象庁の長期予報でも今夏は「夏らしい
夏」が予想されています。夏にしばしば問題となる熱中症について、以下にお示しする
症状説明、現場での対処法、予防法をこれからの季節を過ごすにあたって役立てていた
だければ幸いです。

熱中症とは
  体の内外の「あつさ」によって引き起こされる体のさまざまな不調のことをいいます。
以前からよく耳にする「日射病」という言葉も熱中症の中に含まれます。子どもの熱中
症の大部分は屋外でのスポーツ活動中や炎天下で起きますが、体育館などの屋内でも高
温で換気が悪ければ、起こる可能性がありますので、注意が必要です。また、小さな子
どもが屋外で閉めきった自家用車内に放置され、熱中症で亡くなる事故が絶えません。
「日影だから大丈夫」「冬だから大丈夫」「冷房をかけているので大丈夫」という親の誤
った考えで幾人もの子どもの命が失われています。

熱中症の症状
  汗によって水分と塩分が失われて起こる脱水症状が最も多いですが、熱が脳の体温調
節中枢を破壊して全身の臓器障害を引き起こす重度のものもあり、決して侮ってはいけ
ません。軽度の症状として、大量の発汗とともにふくらはぎの筋肉の痙攣(いわゆるこ
むらがえり)がよくみられます。症状が中等度まで進行すると、顔色が白く呼吸は速迫
し、頭痛・吐き気・めまい・疲労感を訴えて意識を失ってしまうこともあります。この時
点で適切な対処がなされないと、重度の全身の臓器障害へ移行する可能性があります。
熱中症の症状は急速に進行することもありますので、疑ったら必ず医師の診察を受けま
しょう。もし、先に示した中等度の症状がみられる場合は、以下の応急処置を行いなが
ら救急車を呼んで、救急医療機関を受診してください。

現場での対処法
1)まず、症状の観察
  名前を呼んで意識の状態がどうか、顔色はどうか、息づかいが速くないか、手足の皮
膚が温かいか冷たいかをみましょう。意識がもうろうとしたり、顔色が白かったりする
場合は、次に示す体の冷却を開始しながらすぐに救急車を呼びましょう。

2)体の冷却
  まず、涼しい場所(屋内であればクーラーの効いた部屋、屋外であれば風通しのよい
日影など)に移動させましょう。衣服はできるだけ脱がせ、熱が体から放散するのを助
けます。また、体を冷却する方法として以下の2つを知っておきましょう。

・氷で冷却
  氷嚢、アイスバックなどを首の両側、両側の脇の下、両側の太ももの付け根にあてま
す。この部分に太い動脈が走っているので、体温を下げる効果(血液を冷却する効果)
が高いとされています。

・水を吹きかけた体をタオルで拭く、送風する
  服を脱がせた体に水(常温がよい)を吹きかけ濡れたタオルで拭くとともに、うちわ、
タオル、服などをあおいで体に送風します。屋内であれば、扇風機の使用が最も効果的
です。濡れた体に送風することで気化熱を用いた体の冷却が可能です。

3)水分・塩分の補給
  意識がはっきりしていれば、汗によって失われた水分と塩分の補給を行います。意識
が朦朧としている場合は誤嚥の可能性があるので、無理に飲ませてはいけません(救急
医療機関での点滴治療が必要です)。塩分が大切ですので、お茶や冷水よりもイオン飲料
(スポーツドリンク)がよいでしょう。

熱中症を防ぐには

1)屋外で暑い環境が予想されるときには、帽子をかぶり、淡色の服(熱を反射します)
  にして薄着を心がけましょう。汗がすぐに気化するために速乾性のシャツがよいでし
  ょう。

2)屋外・炎天下のスポーツで具合が悪くなったときには、無理せず運動をすぐに中止
  して、涼しい環境へ移動し休みましょう。

3)屋内での活動時には、できる限り換気をよくしましょう。

4)水分補給は頻回に行いましょう。

5)体調が悪いときの運動は禁物です。熱中症が起こりやすいとされています。

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●免疫抑制剤
                    特殊診療部 移植免疫診療科  森岡 大介

  人間には、細菌や真菌やウイルスから体を守ろうとする"免疫"という機能が備わっ
ており、主に血液中の白血球がその機能を担当しています。免疫担当細胞は、どのよう
に細菌などの外敵を見分けるかというと、簡単に言うと"自己"と"非自己"を認識し
ます。その過程で"非自己"と認識したものに対して免疫担当細胞は攻撃を加えます。
そして外部から侵入してきた外敵を破壊します。
  この免疫機能は移植した臓器に対しても同様で、他の人から採取された移植臓器は非
自己と認識され免疫担当細胞から攻撃を受け(これを拒絶反応と言います)、機能が廃絶
してしまいます。この拒絶反応を防ぐために使われるのが免疫抑制剤です。
  人の免疫機構は大まかに2種類に大別可能で、白血球のうちのTリンパ球が主役とな
る細胞性免疫、白血球のうちのBリンパ球が産生する抗体や補体が主役となる液性免疫
に分けられます。一般的に"拒絶反応"と呼ばれるものは"急性細胞性拒絶反応"で、
上記の免疫機構のうち細胞性免疫が主体となって起きる反応ですが、純粋に細胞性免疫
のみで起きるわけではなく、液性免疫も部分的に関与します。したがって、免疫抑制剤
はこの2つの免疫機構をバランスよく抑制する必要があります。
  免疫抑制剤は主に3種類に分けられます。
・主に細胞性免疫を抑制するカルシニューリンインヒビター
・主に液性免疫を抑制する代謝拮抗剤
・細胞性及び液性免疫の両方を抑制する副腎皮質ステロイド
の3つです。
このうちの1種類の免疫抑制剤だけで上記の拒絶反応を防ごうとすると、非常に大量の
免疫抑制剤を必要とし、免疫抑制作用だけではなく、副作用もでやすくなります。そこ
で充分な免疫抑制作用を得、更に免疫抑制剤の副作用を出にくくするために、通常2-
3種類の免疫抑制剤を併用するのが一般的です。小児の肝移植の場合、カルシニューリ
ンインヒビターと副腎皮質ステロイドの2剤を併用することが多く、拒絶を繰り返す患
者さんやカルシニューリンインヒビターの副作用が出やすい患者さんには前述の2剤に
加え、代謝拮抗剤を加えることがあります。
  拒絶反応は移植を行ってから3ヶ月以内に起こることが多く、移植をしてから時間が
経てば経つほど拒絶反応は起こりにくくなります。したがって、移植をしてから時間が
経てば経つほど免疫抑制剤の種類、量も少なくすることができます。大抵の場合、移植
をしてから1年以内にカルシニューリンインヒビターの内服だけになることがほとんど
です。臓器移植を受けられた方は、このカルシニューリンインヒビターだけは基本的に
は一生内服し続けなければいけませんが、移植を受けてから数年経った方のうち約5%
の方でカルシニューリンインヒビターも中止できることがあります。このように、免疫
抑制剤を必要としなくなった状態を"免疫寛容"が成立した状態と呼びます。この"免疫
寛容"が成立した患者さんのほとんどが小児期に臓器移植を受けられた方です。

-自己紹介-

移植免疫診療科 森岡大介

1993年横浜市立大学医学部卒業
1998年京都大学移植外科医員
1999-2003年横浜市立大学消化器肝移植外科常勤特別職
2004年京都大学移植医療部助手
2005-2007年3月横浜市立大学消化器肝移植外科助手
2007年4月~現職

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●ICU(集中治療室)からこんにちは
                       看護部 ICU看護師長  八代 尚美

  すこやかジャーナルをご購読の皆様、こんにちは。今までのバックナンバーを確認し
ましたが、今日がICU看護師のすこやかジャーナルデビューのようです。
ICU、日本語だと集中治療室です。文字通り外科とか内科とかいう診療科の枠を越えて全
身的に集中して治療・看護をする部門です。特に国立成育医療センターのICUは日本国
内でも数少ないPICU(pediatric intensive care unit・小児集中治療室)のひとつです。
国立成育医療センターのICUにはもうひとつの特徴があります。それは成育医療を専門
に担う病院のICUであるということです。そのため、ほかの小児専門病院のICU(PICU)
が年齢的にほぼ15歳を上限としているのに対し、当ICUは特に年齢の制限はありませ
ん。国立成育医療センターの医療を必要とする患者さまのためのICUですのでNICU(新
生児集中治療室)を卒業したての乳児、もちろん幼児、学童、青年、胎児治療を行なっ
た妊婦さんや臓器移植のドナーの方など入室される患者さまの年齢、病名重症度も多岐
に渡っています。そんなICUですから患者さまも日本各地からいろいろな交通手段で集
まっていらっしゃいます。当院の屋上にヘリコプターが離着陸しているのを目撃された
ことはありますか。各地のドクターヘリや防災ヘリが患者さまを搬送してきています。
突然の大きな音に驚かれることもあるかも知れませんが、患者さまに一刻も早くより高
度な医療をということで前医のスタッフも当院のスタッフもがんばっております。
ところでICUは病院のどのあたりににあるかおわかりになりますか。病院4階の手術室
にいらっしゃったことがある方は手術室のドアに向かって左の方向を思い出してみてく
ださい。節電に励んでいるちょっと薄暗い廊下の向こうに黄色いドアがあったのを覚え
ていませんか?あの黄色いドアの奥にICUがあります。4人部屋が2つと、1人部屋が
5つ、7つのベッドが並んだオープンと呼ばれる広いエリアが1つあります。皆様がICU
にお持ちになっているイメージは無機質で冷たいものでしょうか?でも現実はずいぶん
違います。確かに機械はたくさんありますし、医師も看護師も多数おりいざ緊急事態と
なれば緊張が走りますし、専門用語が飛び交いちょっと恐い雰囲気もあるかもしれませ
ん。でも普段はアンパンマンやトトロのテーマソングが流れ、壁には季節ごとの飾り付
けがされ(いまは傘をさしたウサギとテルテル坊主です。)術前に見学にいらしたご家族
からも「思ったより明るい雰囲気ですね。」との感想をいただいています。ウルトラマン
等が訪問してくれたこともあります。そろそろ七夕の飾り付けの季節です。毎年さまざま
な願い事がICUの廊下の天窓を通し七夕の空に届けられています。

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●~塩分の摂り方について~
                       栄養管理部 栄養士  峯村 佳代子

  先日、平成17年の国民健康・栄養調査結果の概要が報告され、その中で日本人の食塩
摂取量について報告されています。この報告では、目標量を超えて摂取している人の割
合は男性で約6割、女性で約7割でした。また、20歳以上の成人の1日当たりの食塩摂
取量の平均値は男性で12.5g、女性で10.7g、全体で11.5gでした。2005年度版の日本
人の食事摂取基準では、食塩摂取目標量は成人男性で10g未満、成人女性で8g未満と
いわれていますので、男性も女性も約2g目標量を超えていることになります。年代別に
みると、50代がもっとも多く平均13.1g、40代で12.2g、30代で11.7g、20代では11.4g
と20~40代が食塩摂取量が少ない傾向でした。しかし20代~40代の人も目標量を超え
ていますので、食事の食塩摂取量を見直してみてはいかがでしょうか。

  ここでいう食塩摂取量はナトリウムから換算した食塩相当量で表されています。食塩
そのものだけでなく食品や加工品に含まれるナトリウムを合わせ求められます。塩分も
同様にナトリウムから換算した食塩相当量のことを指します。食塩相当量は次の数式で
求めることができます。『食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000』

  ナトリウムの量の多いものほど塩分は高くなります。つまり食塩そのものを多く使っ
ているもの(=塩辛いもの)だけが塩分が高いのではなく、ナトリウム量が多いと塩分は
高くなります。

  長年にわたる塩分の摂り過ぎは高血圧の一つの要因と考えられ、様々な生活習慣病に
つながります。高血圧の原因としては他にも遺伝、肥満、喫煙、ストレスなど様々な要
因があります。家庭での食事はお子さんにとって味覚を形成する上で重要な役割を担っ
ており、小さい頃の味覚が将来、大人になったときの食習慣に大きく関わってきます。
味の濃いものに慣れてしまうとなかなか薄味に慣れるのは難しいものです。家庭での食
事の塩分を見直すことは、ご自身の健康だけでなく、子供たちの将来の生活習慣病予防
につながるといえるでしょう。

  では、目標量の男性で10g、または女性8gの量ですが、実際に計って目で確かめてみ
ましょう。計量スプーンで計ると小さじ(5g)2杯で10gです。料理を作る時にこんな
には使っていないと思われる人が多いと思いますが、調味に使うものよりも、加工品に
多く含まれています。買い物をする際には原材料の食品表示とともに栄養表示を見て、
どのくらい塩分量が含まれているかチェックしてみるといいでしょう。栄養表示では食
塩相当量が表示されているものもありますが、多くがナトリウム量で表示されています。
塩分の摂り過ぎが高血圧につながるのですが、厳密にはナトリウムの摂り過ぎが高血圧
を招くといわれています。そのため加工品の栄養表示はナトリウム量で表示されていま
す。加工品の中にはあまり塩辛く感じなくてもナトリウムを多く含む食品がありますの
で、栄養表示でナトリウム量を見るようにしてみましょう。

  塩分を控えるには、加工品の食べすぎには注意をし、調理をする時は酢やレモンなど
の柑橘類を使い、酸味をつけて味付けに変化をつけるといいでしょう。またこしょうや
カレー粉といった香辛料を使ったり、ごまやくるみを焼き物や和え物に使うと香ばしさ
があり塩分をさほど使わなくても美味しく食べることができます。

  すべての料理を薄味にするというのではなく、しっかり味の付いた料理の時は副菜を
塩分の少ない料理を合わせるなどメリハリをつけることで食事を楽しみながら塩分を控
えることができます。ご家庭でできることから始め、健康で楽しい食生活を送っていた
だきたいと思います。

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●トピックス
                          「バルーンアートコンテスト」

  6月8~15日まで、当病院でバルーンアートコンテスト作品が展示されました。

 
                          「ミュージックボランティア」
  6月15日、病棟にてパーフェクト・スマイル・ファミリー・バンドによるイベント
が行われました。


「そよ風ライブ(学習発表会)を終えて」
               東京都立光明養護学校そよ風分教室 教諭 川口 雅寛

  そよ風分教室は、国立成育医療センターの中にある学校です。朝9時を過ぎると子ど
もたちが次々と教室に集まってきて賑やかな声が響き始めます。教室に出てこられない
子どもたちには、先生がベッドサイドに出かけて勉強です。
  6月15日は待ちに待ったそよ風ライブの日です。この日のために子どもたちは、合
奏の練習をしたり(中には放課後残って練習する生徒もいます)、総合的な学習の時間で
調べた自分が興味を持ったことをクイズ形式にまとめたり、劇の練習をしたりと頑張っ
てきました。当日は日頃お世話になっているドクターや看護師さん、退院した友達、家
族のみなさんが駆けつけてくださり大入り満員、ちょっぴり緊張しながらもうれしい瞬
間です。終わってからも「先生、あそこ間違えちゃった」「お客さんにはわからないから
大丈夫だよ。」「本番が一番うまくいった。」「○○先生(ドクター)来てくれたよ!」
などなど盛り上がっていました。一つのことを成し遂げた達成感や来てくださったお客さ
んの声援が治療に向かう励みになることを願っています。

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     成育すこやかジャーナル     No.54(2007/6/7)
  
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 ●予防接種を受けましょう
                    国立成育医療センター 総長  加藤 達夫
  ●肝移植の適応について
                 特殊診療部 移植免疫診療科 医長  笠原 群生
  ●夏場の紫外線ケア
                      第二専門診療部 皮膚科  幸田 太
  ●不妊患者さんの常識は本当なの?
                    周産期診療部 不妊診療科  中川 浩次
  ●トピックス  
                              「看護の日イベント」

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●予防接種を受けましょう
                    国立成育医療センター 総長  加藤 達夫

  子どもは病気にかかりやすく、かかると重くなることもありますが、予防できる病気
もあります。お母さんが生まれた赤ちゃんにプレゼントした病気の抵抗力(免疫)は百
日咳では生後3ヵ月までに、麻しん(はしか)は生後12ヶ月までには殆ど自然に失わ
れていきます。そのため、この時期を過ぎると、赤ちゃんは自身で免疫を作って病気を
予防する必要があります。その助けとなるのが予防接種です。子どもは発育と共に外出
の機会が多くなり、いろいろな感染症に罹患する可能性が高くなります。予防接種に対
する正しい理解の下でお子さんを感染症から守りたいものです。
  現在日本で国が行っている定期の予防接種はポリオ、ジフテリア:破傷風:百日咳
(DPT 3種混合ワクチン)、麻しん、風しん(MR 混合ワクチンを接種することが多
い)、日本脳炎、結核に対するBCGです。私は先ず生後2~3ヶ月にBCGをその1ヶ月
後から1歳までにDPTを3回、その間にポリオを1回、1歳になったら直ぐMRワクチ
ンを、その後ポリオをもう1度接種し、1歳半でDPT、3歳から日本脳炎ワクチンを接
種するように勧めています。但し、現在日本脳炎ワクチンは平成17年接種後にワクチ
ンとの因果関係を否定できない健康被害が発生したところから国が積極的接種の勧奨を
中止していますので、かかりつけの先生に御相談ください。
  平成6年から、それまでは定期接種は義務強制接種でしたが、以後対象者は接種する
ために努力しなくてはならないと法律が変わりました。健康状態のよい時に個人の健康
は個人で守りましょうということになったのですが、現在でも定期接種は無料で接種で
き、何らか大きな健康状態の変化が接種によって起きたことが明らかであれば救済制度
もしっかりあります。予防接種はワクチンという異物を身体に接種するのですから何ら
かの副反応が起きることはあるかもしれません。起きるかもしれない副反応を恐れるか、
接種せずに病気になってしまうかは保護者が判断することになっていますが、なかなか
判断は難しいと思われますので、かかりつけ医の先生に御相談ください。
  感染症は罹ってしまった方は被害者ですが、今度は周りのお子様にうつしてしまう加
害者にもなりえます。保育園、幼稚園、遊園地、病院など集団で生活するようになる前
に予防接種は受けておきたいものです。このほか定期の予防接種ではないので国が定め
たワクチンではありませんが、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜワクチンも同じよ
うに考えてよいでしょう。

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●肝移植の適応について
                 特殊診療部 移植免疫診療科 医長  笠原 群生

  今回は肝移植の適応について説明させていただきます。原則的に、他の治療法で救命
できない肝疾患は全て肝移植の適応となり得ます。ただし、重篤な他臓器障害を合併し
ている場合(心肺腎障害)、肝臓以外に悪性腫瘍がある場合、肝胆道系以外に重篤な感染
症がある場合は、移植の成功率が著しく低下するため、移植適応外と考えています。
  至適移植時期について、肝移植医療が確立される途中の1980年代は、1年生存率を
考慮して決められる傾向にありました。現在は移植術後のQuality of life(QOL:生活
の質)が良好であることから、肝障害のためにQOLが著しく障害される頃を至適時期と
しています。劇症肝炎のように急速に肝不全に至る病態では、生命予後を考慮して移植
時期が決められています。
  末期肝疾患小児の重症度はPELD(Pediatric end stage liver disease) scoreである
程度知ることができます。PELD scoreは米国の脳死移植の患者重症度を決める指標に
用いられており、Waiting順位(移植時期)を決める要素になっています。移植登録さ
れた日、生年月日、身長、体重、ビリルビン値、血液凝固能、アルブミン値で計算され
ます。肝硬変患者では非常に有用ですが、劇症肝炎など血液浄化療法が必要な症例や、
呼吸不全で呼吸管理を要する症例では必ずしも重症度が正確ではありません。また小児
代謝性肝疾患の重症度は判定できないという問題点があります。末期肝疾患患者では驚
くほど感染症になりやすくその管理にも難渋しますが、PELD scoreでは術前感染症も
評価されていません。

  小児肝移植適応疾患は大きく分けて胆道閉鎖症を代表とする進行性慢性肝疾患、肝芽
腫などの腫瘤性病変、劇症肝炎、代謝性肝疾患の4つに分類可能です。保険適応疾患は
2004年1月に拡大され「対象疾患は、先天性胆道閉鎖症、進行性肝内胆汁うっ滞症
(原発性胆汁性肝硬変と原発性硬化性胆管炎を含む)、アラジール症候群、バッドキア
リー症候群、先天性代謝性肝疾患(家族性アミロイドポリニューロパチーを含む)、多
発嚢胞肝、カロリ病、肝硬変(非代償期)及び劇症肝炎(ウィルス性、自己免疫性、薬
剤性、成因不明を含む)です。なお、肝硬変に肝細胞癌を合併している場合には、遠隔
転移と血管侵襲を認めないもので、肝内に径5cm以下1個、又は径3cm以下3個以内が
存在する場合に限る。」とされています。しかし小児肝移植では、肝芽腫、門脈閉塞症
などが保険適応になっておらず、成人に比べてまだまだ保険適応疾患に改善の余地があ
ると考えています。
  小児肝疾患・臓器移植に精通したスタッフがそろっていますので、いつでもご相談下
さい。

-自己紹介-
移植免疫診療科 医長 笠原群生
好きな町:京都、ロンドン、前橋

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●夏場の紫外線ケア
                      第二専門診療部 皮膚科  幸田 太

  夏が近づき保護者の方々から「子供の頃から日焼け止めを塗ったほうがいいです
か?」という質問を良く受けるようになりました。答えは「イエス」です。近年の
美白ブームですっかり悪者になってしまった紫外線。WHO(世界保健機関)や環境
省も声高らかに子供の頃からの日焼け防止の必要性を訴えています。日焼け防止の
目的は最終的には皮膚癌の予防なのですが、そこには近年、世界中で皮膚癌患者さ
んが急激に増加しているという背景があります。実際、紫外線の悪影響は様々なメ
ディアで取り上げられ皆さんもご存知の事と思います。
  紫外線には、
・しわ、たるみなど肌の老化をもたらすUVA
・シミ、ソバカスだけでなく遺伝子を傷つけ皮膚癌を引き起こす力のあるUVB
・オゾン層で吸収されほとんど我々の肌には届かないUVC
の3種類があります。
  それでは具体的にはどのような日焼け止めを使えばよいのでしょうか?UVBの遮
断効果を示すSPFは15~25、UVAの遮断効果を示すPAは+~++程度のもので十分で
す。基本的には国産の子供用のものであれば間違いないでしょう。日本の子供用の
日焼け止めのほとんどは有機化合物の紫外線吸収剤は使用されておらず、またかぶ
れの原因となる防腐剤のパラベンなども含まないものも見受けられます。クレンジ
ングなどを使わなくても通常の石鹸でも落ちやすくなっているのも子供用の日焼け
止めの特徴です。
  もちろん、真昼の外出は控える、帽子、衣服で肌を直接紫外線にさらさないよう
にする、日陰を上手に利用するといった基本的なことは心がけましょう。また、日
焼け後のスキンケアも大切です。これからの季節、海水浴や海外旅行などで、どん
なにがんばっても強い紫外線を浴び、日焼けしてしまうこともあるでしょう。もし
も強い紅斑や、痛み、水疱ができるほどの強い日焼けをした場合には、皮膚科を受
診されてください。
  以前は日光浴をしないと「くる病」になると言われていましたが、現在の日本は以前
のような低栄養状態ではなく日焼け止めによる「くる病」の心配はないでしょう。しか
し、日光浴によってビタミンDが作られ骨が強くなったり、屋外で元気に遊び回ること
により精神的・身体的発達が促されるのも事実です。これからの季節、上手に紫外線と
付き合う方法を身につけてください。

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●不妊患者さんの常識は本当なの?
                    周産期診療部 不妊診療科  中川 浩次
  今日は妊娠するうえでもっとも大切な「夫婦生活」についてのお話です。患者さ
んからのよくある質問で、Q1:「本日排卵です」と伝えると、「精子は3日間は生
きているので、3日前に夫婦生活したから、タイミングとしては大丈夫ですか?」
とか、Q2:「大切な排卵日まで、主人の精子をためておく必要はありますか?」な
どがあります。患者さん向けの不妊症の解説本などをみると、前者の内容に近い記
載を見つけることができます。しかし、ここで大切なことがあります。一般に、精
子の生存期間と受精能力を保持する期間とは一致しないという事実があります。こ
のことは意外に知られていません。精子は卵子と受精する前に、“受精能獲得”の
段階を経ないと卵子と受精することができず、射精したら大多数の精子は24時間
以内には終了してしまうと考えられています。この理論から考えると射精後3日目
に排卵した場合は、通常、精子と卵子が出会ったとしても、精子に受精する能力が
ないと考えられるので、Q1の質問に対する答えは「タイミングとしては不適切で
す。可能であれば、本日、夫婦生活をしてください」となります。一方、精子は貯
めておいた方が本当によいのでしょうか?答えは“No”です。考えてみてください。
一ヶ月間、片足をギプス固定していたとして、1ヶ月後、突然ギプスを取り除いて
も、歩行はおろか立っていることもままならなくなります。生殖器官や生殖細胞も
同じだと考えられます。一ヶ月貯めておいた精子が肝心な時にその責務を果たせる
とは到底、考えられません。
  近年、妊娠を希望して医療機関を受診するカップルは増加の一途をたどっていま
す。晩婚化は女性だけでなく、男性にも認められる現象であり、晩婚化の影響は、
「夫婦生活の回数の減少」という大きな問題を引き起こしています。しかしながら、
これは医療機関の手を借りなくても、カップル二人の小さな努力で解決できる問題
でもあります。今、赤ちゃんを望むカップル、これから妊娠を考えているカップル
に声を大にして訴えたいのは、「時期を考えずに励め」ということです。このこと
は、不妊診療の、いや、もっと大きな「種の保存」という観点からも、本質的で、
かつ効果的な方法であると思います。

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●トピックス
                              「看護の日イベント」

  5月11日、看護部主催「看護の日イベント」が行われました。
 
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     成育すこやかジャーナル     No.53(2007/5/10)
  
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━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━
 ●肝臓移植の歴史
                 特殊診療部 移植免疫診療科 医長  笠原 群生
  ●どうして子どもと妊産婦さんの病院に禁煙外来があるのでしょうか。
               総合診療部 成人期診療科・禁煙外来担当 原田 正平
  ●妊娠と薬情報センター事業拡大について
                              薬剤部 石井 真理子
  ●離乳食の進め方について
                      栄養管理部 栄養係 主任 二木 巨悦
  ●イベントのお知らせ
  ●トピックス  
                               「春のコンサ-ト」
  ●お知らせ

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●肝臓移植の歴史
                 特殊診療部 移植免疫診療科 医長  笠原 群生

  今回は肝臓移植の歴史についてご紹介したいと思います。肝臓の移植は米国の
T.E.Starzl先生によって始められました。3歳の胆道閉鎖症男児に対して1963年3月
1日におこなわれたのが世界最初の症例です。脳腫瘍の手術中に亡くなったお子さんが
ドナーだったそうです。続けてT.E.Starzl先生は2名の移植を行ったようですが、手
術合併症・拒絶反応で成功しなかったそうです。最初の長期生存は1967年7月に報告
されました。患者さんは1歳7ヶ月女の子で、400日生存したそうです。開始当初の想
像を絶する苦労と肝移植が一般医療として定着するまでの歴史は、T.E.Starzl先生著
の「ゼロからの出発」講談社に詳しく書いてあります。黎明期の苦労を乗り越えて、肝
臓移植は、手術手技・臓器保存方法・免疫抑制療法・周術期管理の改善により、飛躍的
にその成績が向上しました。米国では現在まで72,021症例(年間約6,000例)の脳死
肝臓移植が行われており、既に確立された医療であるといえます。
  日本ではT.E.Starzl先生に遅れること1年、1964年3月20日に千葉大学で5ヶ月
の胆道閉鎖症男児に異所性肝移植(本来肝臓のある場所と違うところに移植する方法)
が行われたのが最初です。同所性肝移植(本来肝臓のある場所に移植する方法)は同じ
千葉大学で、1968年12月12日胆道閉鎖症の3ヶ月男児に行われたのが最初です。残
念ながら移植肝臓の状態が良くなかった等の理由で、ともに術後早期に死亡しています。
その後長い間、日本で脳死肝移植が行われることはありませんでした。1997年10月に
脳死臓器移植法案が施行され、脳死肝移植が法制上は実施可能となりましたが、2007
年4月現在まで37例(年間3.6例)の脳死肝移植が行われたにすぎません。
  わが国の肝疾患による死亡者数は年間約40,000人と言われています。主な疾患は肝
硬変、肝細胞癌、劇症肝炎です。これら疾患のほとんどはある時期に肝移植の適応があ
ったと考えられます。潜在的に年間約2,500人の肝移植適応患者が存在すると予想され
ています。脳死肝臓移植が進まない背景のもと、わが国の肝移植は健常人の部分肝臓を
用いる生体肝移植が中心で行われています。世界で初めて生体肝移植を行ったのはブラ
ジルの先生です。ブラジルのRaia先生が1988年12月8日に行ったのが世界最初の生
体肝移植です。その後11ヶ月経過した、1989年11月13日島根大学の永末直文先生が、
胆道閉鎖症の男児に父親の外側区域を用いた生体肝移植を行いました。その後、日本で
は京都大学・信州大学で相次いで生体肝移植がおこなわれ、安定した成績が見られるよ
うになり、医療として軌道に乗っていきます。
  初回例から現在まで4000例を越える生体肝移植が日本で行われています。生体肝移
植は肝臓が分割可能な臓器であること・再生する臓器であることを最大限に生かした医
療です。生体肝移植は、脳死肝移植と違い大きく2つの利点があります。
  第一に生体ドナーからの臓器提供のため、Viabilityの良好な(活きがいい)臓器を
移植できることです。すなわち術前に十分ドナー評価が可能で、摘出から移植までの保
存時間(冷保存時間)が短い、良好な状態の肝臓を患者さんに提供することが可能です。
  第二は患者さんの状態に応じて、至適時期に待機手術が可能なことです。一方、欠点
は健常人(ドナー)に医学的メリットのない臓器提供のための手術が必要なことです。
  当院では2005年11月からたくさんの診療科・看護部・医療スタッフ協力のもと、こ
どもの肝移植を開始しました。まだ始まったばかりのプログラムですが、各部門の協力
のおかげで昨年度の小児肝移植年間症例数は国内最多でした。劇症肝炎など大変重症で、
緊急に移植が必要な患者さんにも対応しています。またドナーさんの精神的なケアも、
こころの診療科と協力して行っています。小児肝臓病に精通したスタッフがおりますの
で、いつでもご相談ください。

-自己紹介-
移植免疫診療科 医長 笠原群生
1966年生まれ(ロマン・アブラモヴィッチと同世代です)
趣味:妻娘と砧公園散歩、ICU回診、手術見学

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●どうして子どもと妊産婦さんの病院に禁煙外来があるのでしょうか。
               総合診療部 成人期診療科・禁煙外来担当 原田 正平

  国立成育医療センターに禁煙外来があるのはご存知でしょうか。
  主に子どもと妊産婦さんが通院する病院に「禁煙外来」があるのは不思議に思われる
かもしれませんが、実は「子どもをタバコの害から守る」ためには「子どもと妊産婦さ
んが通院する」医療施設(病院やクリニック)にこそ「禁煙外来」が必要なのです。今
回はその理由をご説明したいと思います。

  厚生労働省が行っている「21世紀出生児縦断調査」(第5回調査、2006年11月公
表)によりますと、父母と共に同居している37,356名の子どものうち、父母のいずれ
かが喫煙している割合は55.6%となっています。つまり子どもの2人に1人は、家庭
内で「受動喫煙」による健康被害を受けている恐れがあることになります。
  一方、ある製薬会社が喫煙者7,091名を対象に2006年中に禁煙を試みたかどうか調
査したところ、そのうち23.8%が禁煙に挑戦し、禁煙が続いているのはその中の
47.4%という結果がでています。その方達の禁煙方法は、49.5%が「気合いとガマン」、
42.7%が「水やガムなどで気を紛らわした」、20.3%が「タバコを捨てた」と続き、わ
ずか2.2%だけが禁煙外来を受診し、その場合の禁煙成功率は69.2%でした。

  受動喫煙(2003年5月に施行された健康増進法第25条の定義では、「受動喫煙」と
は「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをい
う。」とされています)の子どもへの有害性をまとめると次のようになります。
1)受動喫煙は、タバコを吸わない子どもと大人の寿命を縮め疾病の原因となる。
2)受動喫煙を受けた子どもは、乳幼児突然死症候群、急性呼吸器感染症、耳の病気、
重症気管支喘息のリスクが高まる。親の喫煙は、子どもの呼吸器症状を増やし、肺の成
長を遅らせる。

  このように子どもが有害な受動喫煙に曝されることから守られるためには、子どもの
周りが完全禁煙となることが望ましく、その第一歩は家庭から始まります。しかし、喫
煙されるかたの多くは、禁煙の上手な方法をご存知ありません。
  2006年4月から、「敷地内禁煙」となっている医療機関では「禁煙外来」での保険
診療が可能となりました(ただし一定の条件を満たした場合です)。国立成育医療セン
ターでも「子どもとお腹の赤ちゃん」をタバコの害から守るため、お父さんやお母さん
の禁煙のお手伝いをしたいと考え、禁煙外来を始めているというわけです。

  毎週月曜日の午後2~5時、予約制で行っていますので、お子さんの担当の先生を通
して予約して頂くか、予約センター(月~金9時~17時、(直通)03-5494-7300)に
お電話してみてください。

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●妊娠と薬情報センター事業拡大について
                              薬剤部 石井 真理子

【全国からの相談が可能に】
  国立成育医療センターに、妊娠と薬情報センターが設置されていることはご存知でし
ょうか?厚生労働省の事業として平成17年10月から対象地域を限定して「妊娠と薬に
関する」相談業務が開始されました。
そして、平成19年4月からは、協力病院のネットワークを構築し、全国からの相談
をお受けすることができるようになりました。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/03/h0330-3.html

【妊娠と薬】
みなさんは、「妊娠中にお薬を使うことは赤ちゃんにとても危険なので、絶対に使用
してはいけない」と考えていませんか?普段からお薬を飲んでいる方や妊娠と気づかず
にお薬を飲んでしまった方は、どうして良いのかわからず、悩んでしまいますよね。
日本では残念ながら、こうしたことに関する信頼性の高い情報が乏しく、インターネ
ットなどでは誤解を招く情報が氾濫しています。そして、一般の方だけではなく、医療
機関においても十分な情報を収集して評価していくことが難しいというのが現状です。

【妊娠と薬情報センター】
妊娠と薬情報センターでは、世界中で研究・発表されている最新の情報を集め、それ
らの情報を検討し、お薬の安全性・危険性を評価しています。そして、この情報をもと
に、不安を抱える妊婦さんからの相談に応じています。
妊娠中のお薬の使用は、お母さんとおなかの赤ちゃんとの二人分の命にかかわる重要
な問題です。妊娠と薬について悩んだら、「妊娠と薬情報センター」にご相談ください。

【相談手順】
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.htmlで詳細をご確認ください。)

(1)問診票(相談者が記載)と相談依頼書(主治医が記載)を「妊娠と薬情報センタ
ー」に郵送して、申し込みとなります。

(2)当センターからの「回答方法のお知らせ」を待って、妊娠中もしくは妊娠を考え
ているご本人様がカウンセリングをお受けください。

【調査への協力のお願い】
  カウンセリングの時にみなさんにお話しする情報は、過去の妊婦さんがお薬を使用し
て出産された結果の積み重ねにより、検討されたものです。将来の妊婦さんにも不安の
ない妊娠を迎えてもらえるよう、より正確な情報を築き上げる調査業務も当センターの
業務のひとつです。是非、出産結果の調査にもご協力ください。

【お問い合わせ】
妊娠と薬情報センターについて、詳しくはホームページをご覧ください。
  http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

なお、ご不明な点は下記にお問い合わせください。
妊娠と薬情報センター
電話:03-5494-7845
受付時間:10:00~12:00、13:00~16:00 月曜日~金曜日(祝日を除く)

-自己紹介-
石井 真理子(いしい まりこ) 薬剤師
1977年生まれ 東京都出身

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●離乳食の進め方について
                      栄養管理部 栄養係 主任 二木 巨悦

  離乳の進め方については平成7年に当時の厚生省から発表された「改定 離乳の基
本」を目安に行われていますが、すでに10年が経過し、母子を取り巻く社会環境や食
生活が変化したためにその現状に合わせた離乳指導が求められるようになり、厚生労働
省より平成19年3月に新たに「授乳・離乳の支援ガイド」が公表されました。その中
で大きく変わった点としては、「離乳の開始及び完了時期」と「離乳の準備時期におけ
る考え方」の2点です。

  まず「離乳の開始及び完了時期」ですが、開始の時期が「5ヶ月になった頃」から
「5、6ヶ月頃」となり、完了時期も「12~15ヶ月頃、遅くとも18ヶ月頃まで」か
ら「12ヶ月~18ヶ月頃」と遅くなりました。その理由として、開始・完了時期とも1
0年前に比べて遅くなる傾向がみられたことによります。また、離乳の開始から完了ま
では連続して変化していく過程なので初期・中期・後期といった区分はなくなり、個人
差に考慮して離乳初期を「5、6ヶ月頃」というような表現に変わったことも大きな変
化といえます。

  次に「離乳の準備時期における考え方」ですが、今まではこの時期に鉄の吸収をよく
するために薄めた果汁等の摂取がすすめられていました。その理由として、発売当初の
人工乳にはビタミンCが不足していたことがあげられます。しかし、現在の育児用ミル
クや母乳にはビタミンCが不足することなく入っているので、薄めた果汁等の摂取は特
に必要ではなくなったといえます。また、その他の目的としてはスプーンに慣れさせる
ことがあげられていましたが、その時期ではどんなものであっても反射的に口の外に押
し出してしまう傾向が乳児にあるため、哺乳反射がなくなっていく離乳食時期からスプ
ーンにならしていくことで問題がないとされるようになりました。しかし、充分なビタ
ミンCの補給を考えるとこの時期における薄めた果汁等の摂取はやはり重要であると考
えます。
  その他に関しては、食品の目安量で蛋白質食品は今まで卵が第一項目としてあげられ
ていましたが、魚・肉・豆腐・卵の順となったことです。これは、最近の乳幼児時期に
おける食物アレルギーの中ではもっとも卵のアレルギーが多く、卵を積極的に使用しな
くなったお母さん方が多くなったことによります。しかし卵はアミノ酸バランスにすぐ
れており、良質なたんぱく質なので与えるタイミングさえ間違えなければ特に問題なく
使用してもらいたい食品ではあります。また、妊娠・授乳中の母親のアレルゲン除去制
限については、両親や兄弟にアレルギー体質などの場合ではある程度の予防効果は期待
できるようですが、それ以外に関しては予防効果があるといったエビデンスが特にない
のでその必要性は特にないとされています。その他には生後7、8ヶ月以降における鉄
摂取の重要性も強調されています。一般的に生後7、8ヶ月頃から体内の貯蔵鉄は減少
し始め、貧血症状を起こさない程度であっても神経伝達物質が作られなかったり、脳細
胞の機能が低下して鉄欠乏が長く続くと精神運動の発達に遅れが生じる可能性があるこ
とが明らかにされています。そのため、この時期には鉄が不足しないように赤身の肉、
魚、レバー(ベビーフードを利用すると便利)などの動物性蛋白質を多くとるようにし
たり、育児用ミルクなどを調理に利用するなどの工夫が必要であるといえます。

  以上のことから、時代とともに離乳食の進め方の意義も変わってきていますが、ライ
フスタイルに合った母子ともにストレスのない離乳期を過ごしていくことが必要だと思
います。

-自己紹介-
東京都出身。今現在は藤沢に住んでいます。趣味はビーチバレーで、週末には足繁く湘
南の海に通っています。休みの日にビーチバレーで普段の運動不足を解消し、リフレッ
シュして日々の仕事に取り組んでいます。

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●イベントのお知らせ
  5月11日豆の木広場で看護部主催「看護の日イベント」が開催されます。みなさま
お誘い合わせのうえ、お越し下さい。

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●トピックス
                               「春のコンサ-ト」

  4月11日、26日、成育医療センター・ボランティア会主催「春のコンサート」が行
われました。
 
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●お知らせ
  会計課では4月23日より自動精算機を導入しました。ご協力のほどよろしくお願い
致します。

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     成育すこやかジャーナル     No.52(2007/4/12)
  
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━━━━━━━━━━━━━━━━■ 目   次 ■━━━━━━━━━━━━━━━━
 ●国立成育医療センター病院長に着任して
                                病院長 松井 陽
  ●「アレルギー疾患とうまくつきあう」
                    第一専門診療部 アレルギー科 成田 雅美
  ●急性虫垂炎
                         第二専門診療部 外科 寺脇 幹
  ●新任医師の紹介
  ●トピックス  
                      「calboo♪ミュージカルショー」
                 「東京ヤクルトスワローズの選手がやってくる!」

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●国立成育医療センター病院長に着任して
                                病院長 松井 陽

  私は、この4月1日から当センターの病院長に就任しました。そこで「成育すこやか
ジャーナル」をご覧の患者さんとそのご家族の皆さんにご挨拶いたします。この病院
は、わが国で5番目のナショナルセンターである国立成育医療センターに附属する病
院として、平成14年3月1日に開院して以来5年が経過しました。それでも成育医
療ということばになじみのない方も少なからずいらっしゃると思います。成育医療と
は、胎児、新生児、乳児、幼児、学童、思春期までという、これまでのこどもの年齢
の枠を超えて、健康なおとなへの成長・発達と、胎児の発生を図る総合的かつ継続的
な医療です。ですから普通の小児科とは違って、病気のこどもが大人になっても、話
し合いの結果によっては、通院や入院ができるしくみになっています。またここでは
1年に1,500人をこえる妊婦さんがお産をしていますし、16歳以上の女性を対
象とした女性(母性)外来もあります。
  この病院は、「安心してこどもを産み育てるための医療」と「わが国だけでなく世界で
もトップレベルの医療」を目指しています。
  その内容として第一には、高度でかつ先端を行く医療を開発し、実施します。具体的
には、不妊・不育、出生前診断・治療、先天異常や小児がんなど難病の予防・診断・治
療法を実行し、改良を重ねています。最適な医療を提供するために、総合的に病状をと
らえる総合診療部の医師と各専門領域の治療を行う医師達が、チームを構成して診療に
当たっています。
  第二にわが国のどこにいても標準的な医療が受けられるように、モデル医療を実施し
ています。難病のこどもたちを長期間にわたって見守る、医療連携室を通じて全国の医
療機関と連携を図る、小児救急医療体制における中核病院のあり方を示すなどはその例
です。また、当センターでは365日、24時間、小児・産科領域での救急診療を行っ
ています。病院は常に家族の皆さんたちに開かれ、入院しているこどもの安静が乱され
ない限り、面会の時間に制限はありません。
  第三に成育医療の担い手を育成します。育成する対象は小児科医、産科医、こころの
診療医、専門医・指導医、看護師、助産師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師などに
わたります。
  開院以来、皆さんのご意見、ご指摘をいただき、至らないところは改善してきました
が、今後も最適な医療を行うように努力するつもりです。不適切なところはどうぞ遠慮
なくご指摘くださるよう、お願いします。

-自己紹介-
松井 陽 (まつい あきら)
出身地 : 福井県福井市(ですが、東京都で育ちました)
家 族 : 妻、一女二男
モットー: こどもを大切にする社会にこそ未来がある

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●「アレルギー疾患とうまくつきあう」
                   第一専門診療部 アレルギー科  成田 雅美

I. アレルギー疾患の発症には多くの原因が関与している
  アレルギー科では気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの患者様を中心に、
アレルギー性鼻炎を合併する方や、薬物アレルギー、ラテックスアレルギー(天然ゴム
製品によるアレルギー)などの方々を診ています。これらのアレルギー疾患は世界的に
増加する傾向にあります。
アレルギー疾患の子どもたちの多くはアレルギー体質を遺伝的に持っており、ダニや
ハウスダスト、食物といった外の世界からの刺激(アレルゲン)に対して過剰に反応す
るという性質があります。しかしこのアレルギー反応だけですべてが説明できるわけで
はなく、アレルギー疾患の発症には多くの因子が関係しているのです。すなわち、生活
様式の近代化、住宅環境の変化による環境のアレルゲン濃度の増加、大気汚染や揮発性
の化学物質、食品添加物の増加や食文化の変化に伴う食物自体の変化、少子化、核家族
化による子ども側の免疫応答の変化、文明化による夜型の生活パターン等々、実に様々
な因子に影響されるアレルギー疾患は「多因子性疾患」であるといえるのです。

II.アレルギー疾患治療の3本柱
  アレルギー疾患が多因子性疾患であることから、治療においてもまた様々な増悪因子
を視野に入れた「包括的な治療」を行う必要があります。これは大まかに以下の3つに
分けられますが、そのすべてに対してバランスよく対策を立てていくことが、適切な治
療への早道となることを忘れないでください。
①アレルゲンの除去:原因となるダニ、ホコリ、ペット、かび等を減らすための環境整
備、食物アレルゲンを避ける除去食等がこれに当たります。またアレルゲンではありま
せんが、タバコや揮発性有機物質、刺激性の強い一部の食品添加物などは極力避けるよ
うにしたいものです。
②薬物療法:アレルギー疾患がいったん発症すると、アレルギー反応の悪循環のために
アレルゲンを取り除いただけではなかなか症状が消えない場合があります。その場合に
はアレルゲン除去と並行して、現在の症状をおさめるために、薬物治療が必要となりま
す。薬物を使用するにあたっては、必要に応じて適切な薬を、副作用の起こらない範囲
で使用することが重要です。
③鍛錬と心理療法:自らの体をより健康的に保つことにより、体に本来備わっている免
疫機能、防御機能を最大限に引き出せるようにします。またアレルギー疾患の治療にあ
たっては治療へのモチベーションを長期間維持することが重要です。うまく続けられな
い患者様や保護者の方には、臨床心理士が心理的なサポートをすることもあります。

III.アレルギー疾患とうまくつきあう
  成育医療センターアレルギー科では、アレルギー疾患をもつ子どもたちのために、平
日は毎日専門外来診療を行い、年間のべ1万5千人の患者様を診ています。また初診の
患者様は他の医療機関からの紹介を含めて1年間に500人程度います。多くの患者様に
できるだけ早く適切な治療を受けていただくために、患者数の多い気管支喘息とアトピ
ー性皮膚炎については毎週火曜日、木曜日に初診患者様の保護者の方々を対象にした集
団での「教室」を開催し、医師、看護師が疾患の病態生理、原因、治療法、自己管理の
方法等について詳しく説明しています。
  アレルギー科では、患者様とそのご家族が、アレルギー疾患について充分に理解した
上で適切な治療を自ら積極的に行って生活上の制限を最小限にとどめ、アレルギーを持
ちながらも、「アレルギー疾患とうまくつきあう」ことができるよう、お手伝いしてい
きたいと願っています。アレルギー科の詳しい紹介については下記のホームページにあ
りますので是非ご覧ください。

-自己紹介-
横浜市出身 
好きなこと:絵をみること(最近は美術館にも足を運ぶゆとりがなく、残念です)
スポーツ:バトミントン (こちらも最近は本物のシャトルを使う機会がありません)
好きな言葉:初心忘るべからず (小学校以来)
みんながそれぞれのしあわせを感じることができればすばらしいと思います

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●急性虫垂炎
                         第二専門診療部 外科 寺脇 幹

  これまで外科からは、No.11(腹痛に対する応急処置)、No.18(血管腫について)、
No.34(便秘の話)の各号でお話してきていますので、バックナンバーを見ることができ
る方はそちらも改めてご覧になっていただければ幸いです。
  今回は、俗に「もうちょう」と言われることもある、急性虫垂炎についてお伝えしま
す。急性虫垂炎は子どもだけがかかる病気ではなく大人もかかりますが、子どもの場合、
次のような特徴があります。

・痛みの訴え(部位、程度、性状)が不確実。
・虫垂の壁が薄いなどの理由により、診断がついた時点で穿孔(腸の壁に穴があくこ
と)してしまっている割合が高い。

  これらは低年齢ほど顕著です。事実、当院で虫垂炎の手術をした患者様をまとめてみ
ますと小さいお子さんほど穿孔率が高く、4-6歳では55%にのぼります(2002年-2005
年のデータ)。穿孔してしまうと入院期間が長くなりますし、腸閉塞や不妊など年余に
わたる合併症を生じるリスクも高まりますので、進行する前の早い段階で診断すること
が求められます。

  虫垂炎は炎症の進行具合によって軽度のものから順に、カタル性(虫垂が少し腫れて
充血している状態)、蜂窩織性(炎症がもう少し進んで、虫垂の壁の全層にわたって
(内部から外部まで)炎症が及んでいる状態)、壊疽性(さらに炎症が進んで、組織の
破壊や壊死が認められる状態)の3段階に分けられます。このうち、カタル性の段階で
あれば、抗生剤を使用せずとも絶飲食として腸の安静を保つことにより、症状が改善す
ることが多いです。しかしそれよりも進行した蜂窩織性や壊疽性では、抗生剤による治
療または手術治療(=虫垂切除術)が必要になります。なお、抗生剤による治療(いわゆ
る「ちらす」治療)については、一旦収まった炎症がしばらくたってから再燃すること
があります。その割合についてはさまざまな報告があり、手術を選ぶべきか抗生剤治療
を選ぶべきかはケースバイケースとなります。

  虫垂の場所は、ほとんどの人は右下腹部に存在します。ですから右下腹部を強く痛が
るときには虫垂炎が頭に浮かびますが、最初から右下腹部が痛くなるとは限りません。
最初は心窩部(みぞおち)のあたりが痛くて、次第に右下腹部に痛みの部位が移動して
いく、というのが典型的パターンです。ただし先にも触れましたように、小さいお子さ
んほど痛みの部位をはっきりと指し示すことはできませんから、このパターンに当ては
まらないからといって虫垂炎を除外することはできません。

  それ以外の特徴的な症状としては、発熱(高熱ではなく37度台のことが多い)の他に
上腹部不快感・嘔吐が挙げられますが、年少児の場合は不機嫌や何となく元気がないと
いう症状で現れることもあります。いずれにしましても、「腹痛」「発熱」「嘔吐」と
いうのは胃腸炎などの症状と重複しますから、これらの症状がみられたときに、親御さ
ん、医師ともに「虫垂炎の可能性はないだろうか?」と考えてみることが大切になりま
す。

  虫垂炎を診断することは一昔前までは意外に難しく、手術をしてみたら虫垂は正常で
あり、周囲のリンパ節が腫れていただけであったということがありました。しかし、超
音波検査機器の性能が向上した現在ではそのような事例はほとんどなくなっています。
特に小児の場合は腹壁や内臓の脂肪が薄いので超音波によって腹腔内(お腹の中)を観察
することは比較的容易で、虫垂が腫脹しているかいないか、虫垂の周囲に液体(腹水)が
貯留していないかなどについては、熟練した術者(当院では放射線科医師が担当します)
であれば、正確に診断することができます。

  また、腹膜刺激症状と呼ばれる症状の有無が、手術すべきか否かの判断材料の一つと
なります。これをチェックする方法はいくつかありますが、「歩行するだけで響くよう
な痛みがあり前かがみに何とか歩いている」「片足ケンケンは痛くてできない」という
ようなときは、虫垂の炎症が虫垂の外側に及びつつあることを反映していることが懸念
されますので、速やかに診察を受ける必要があります。可能であれば、超音波検査機器
を備えた医療施設を受診することが診断への早道でしょう。

-自己紹介-
寺脇 幹(てらわき かん)
出身地:長野県松本市 出身大学:東京大学
趣味:山歩き、テニス、ピアノ  ですがどれも最近はあまりやっていません。
好きなスポーツチーム:
・(弱かった頃の)阪神タイガース
・(弱かった頃の)Boston Red Sox
・(それほど強くはなかった頃=1990年代の)FCバルセロナ
  どのチームも最近は強くなったので複雑です・・・

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●新任医師の紹介

平成19年4月1日付
      第一専門診療部  部長           横谷 進
      総合診療部    小児期診療科医師     小穴 愼二
      第一専門診療部  アレルギー科医師     明石 真幸
      第二専門診療部  泌尿器科医師       長谷川 雄一
      特殊診療部    移植免疫診療科医師    森岡 大介
      手術・集中治療部 集中治療科医師      遠山 悟史
      手術・集中治療部 麻酔科医師        六車 崇
      周産期診療部   妊娠と薬情報センター医師 入江 聖子
      放射線診療部   放射線診断科医師     谷 千尋

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●トピックス
                      「calboo♪ミュージカルショー」

  3月22日、豆の木広場にて成育医療センター・ボランティアの会主催のミュージカ
ルショーが行われました。

                 「東京ヤクルトスワローズの選手がやってくる!」

  3月28日、成育医療センター・ボランティアの会主催、東京ヤクルトスワローズの
選手によるトークショーが豆の木広場にて行われました。

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