国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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成育すこやかジャーナル 平成18年度

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     成育すこやかジャーナル      No.51(2007/3/8)
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  成育すこやかジャーナル第51号をご覧いただきありがとうございます。
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◆目 次◆

●小児の人工内耳について
                 第二専門診療部 耳鼻咽喉科 医長  泰地 秀信
  ●副耳・耳瘻孔について
                      第二専門診療部 形成外科 大原 博敏
  ●熱性けいれん
                    手術・集中治療部 レジデント 池山 由紀
  ●トピックス  
                            「ひなまつりコンサート」
                                「ひなまつり会」

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●小児の人工内耳について
                 第二専門診療部 耳鼻咽喉科 医長  泰地 秀信

 難聴は最も多い先天性の身体障害で、両側の重度難聴は1000人に1人くらいの新生
児にみられています。ちなみに聴覚障害者は身体障害者の10%程度です。両側の高度
感音難聴では、補聴器による聞き取りの改善を試みますが、補聴器の効果が不十分な場
合は人工内耳が唯一の治療法です。人工内耳は挿入した電極が蝸牛(かぎゅう)内の聴
神経を直接刺激して脳が音を感じるようにするもので、すでに20年以上の実績があり
ます。人工内耳は非常によくできた器械で、感覚の補助となる機器としては最も優れて
いるものと考えられます。
  現在、日本ではコクレア社とメドエル社の機種が認可され使われています。小児でも
広く人工内耳が使われていますが、日本耳鼻咽喉科学会では小児の場合の適応基準を
1)1歳6ヵ月以上、2)聴力レベルが両耳とも90dB以上、3)補聴器のみでは聴力
が話し言葉のレベル(50-60dB)を超えず、言語の獲得が不十分などと定めています。
  また学会では手術を行う施設に術後の療育を含めて一貫して行える体制があることを
求めています。
人工内耳は長い歴史を持ち、リハビリテーションをきちんと行えば非常に有用な機器で
すが、日本では欧米に比べまだ普及度が低いようです。健康保険や障害者支援制度があ
るので、日本では欧米に比べ人工内耳にかかる自己負担は少なく、普及しない理由とし
ては“機械”に対する抵抗感があることと医療者側が必ずしも積極的でないことがあげ
られます。
  なお同様に、補聴器も日本では十分に普及が進んでいるとはいえません(中等度以上
の難聴者は600万人といわれています)。欧米では人工内耳の適応は拡大しつつあり、
一側性難聴への施行や、両耳への同時挿入、年齢では6ヵ月の児に行うなどのことがな
されています。人工内耳の機器も大きく進歩しており、小型化・軽量化が図られるとと
もに、有効性・安全性もさらに高まっています。当院でも2006年より人工内耳埋込術
を開始しておりますが、当院の医師および言語聴覚士は人工内耳のための所定のコース
を修了しており、また学会の定める診断からリハビリテーションまでの一貫した体制を
とっておりますので、安心して受診いただければと思います。

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●副耳・耳瘻孔について
                      第二専門診療部 形成外科 大原 博敏

 耳の形態的先天異常には副耳、耳瘻孔(じろうこう)、埋没耳(まいぼつじ)、折れ
耳、立ち耳、カップ耳、小耳(しょうじ)症など様々なものがありますが、特に副耳・
耳瘻孔は発生頻度が高く、日常遭遇することもよくあると思います。耳は元々、複数の
モトとなる組織(第一鰓弓(注1)・第二鰓弓(注2)、第一鰓溝(注3))がさらに
変形(分化)しながら移動、癒合してその複雑な形状が作られます。その移動や癒合に
何らかの障害があった場合に耳の変形が発生します。また耳のモトである組織は顔面の
他の部位(上顎や下顎、頬など)のモトでもあるので、耳に変形がある場合は、他の部
位にも変形、異常(第一・二鰓弓症候群、顔面神経麻痺等)を来していることがあるの
で、初期診断は慎重に行う必要があります。
〈副耳〉
  副耳とはおおよそ、耳の前(耳珠)から口元(口角)の間に生じる隆起性の組織で、
1.5%の頻度で発生すると言われています。隆起性の組織とは皮膚だけの事もあります
が、多くは軟骨も存在しています。自然に小さくなって消失することはありませんが、
副耳だけが大きくなることもありません。
  治療は整容的改善を目的に切除術を行います。以前は生後早期に糸で根元を縛って脱
落させる方法が行われました。皮膚のみの副耳では現在でも有効です。しかし基部に軟
骨があるものは、この方法では傷跡が盛り上がった状態になることが多いです。我々の
施設では1歳以降に全身麻酔で切除術を行います。切除は隆起した部分の根元を切開し
ますが、切除幅を不用意に広げないよう、皮膚をできるだけ温存し、余分な軟骨は外か
ら触れない深さで切除し、皮膚の自然な曲面を再現するように縫合します。また、副耳
といっても単発の単純なものから、複数であったり、耳の部分的変形(耳珠や耳珠切
痕)を伴うものまで実に様々です。一般的には6歳以降であれば局所麻酔での切除も可
能です。
〈耳瘻孔〉
  耳瘻孔とは耳や耳の前に小さな穴が開いている状態のことで、発生頻度は1~10%と
されています。小さな穴は塞がっているように見えることが多いのですが、実際はトン
ネル状となっていて、皮膚の深部や耳の穴(外耳道)まで繋がっていたり、トンネルの
先が袋状に広がっていたりします。耳瘻孔は外見的に目立つことはありませんが、白い
カス状の分泌物が出てきます。2,3度細菌感染によって腫れあがったりするようであ
れば、早めに摘出術を行うことをおすすめします。
  摘出術は瘻孔周囲を切開し、トンネルの入り口から尖端まで完全に摘出します。トン
ネルを取り残すと再発しますので、注意が必要です。またすでに感染している場合は、
先に切開、排膿、抗生剤内服などを行い、感染の沈静化を待ってから摘出術を行います。
〈当院の方針〉
  当院で副耳・耳瘻孔の手術を行う場合、基本的には1泊2日の入院とし、手術日の午
前中に入院、午後に手術を行い、翌日退院としています。皮膚縫合は皮膚の中で溶ける
糸(吸収糸)で傷口を合わせて(皮下縫合)、表面には外科用テープを貼って保護しま
す。退院後、1週間後に来院して頂き、外科用テープを剥がし、手術部位のチェックを
行います。その後は間隔を開けて通院していただき、傷跡の経過観察を行っています。

(注1)第一鰓弓(さいきゅう):下あごになる所
(注2)第二鰓弓:のどぼとけの上にある舌骨になる所
(注3)第一鰓溝(さいこう):外耳道になる所

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●熱性けいれん
                    手術・集中治療部 レジデント 池山 由紀

 暖冬と言われている今シーズンも突然の高熱で発症するインフルエンザが流行してい
ます。急激な体温の上昇に伴ってけいれんを起こす熱性けいれんで、救急センターを受
診されるお子さんも多くみられます。
・熱性けいれんとは

 通常38度以上の発熱に伴って乳幼児にみられる発作性の病気です。日本人は欧米人
に比べて多くみられ、7-8%の人が熱性けいれんを起こしたことがあるとされています。
原因はよく分かっていませんが、脳が未熟であることや遺伝的な要素が関係していると
言われています。左右対称性の強直性間代性(全身がつっぱった後、手足をガクガクふ
るわせる)けいれんであることが多く、ほとんどの場合5分以内でおさまります。意識
がなくなり、眼球上転(白目をむく)したり、顔色が悪くなったりするため、はじめて
けいれんを見た保護者の方はとても驚かれると思います。けれども髄膜炎などその他の
病気が原因でない場合、数分のけいれんが原因で後遺症を起こすことはありません。再
発する割合は30%程度と言われており、過半数の子どもは生涯に1回しかけいれんを
起こしません。

・もしけいれんしたら

 まず、落ち着いてください(これが難しいのですが)。そして安全なところへ移動さ
せ、衣服、特に首のまわりをゆるくします。嘔吐をすることがあるので、できれば体よ
り頭を少し低くし、顔を横に向けます。以前は口に割りばしを噛ませるようにといった
ことが言われていましたが、口の中に物は入れないでください。けいれんの始まった時
間を見て、様子(左右対称か、目はどこを向いているかなど)を観察し、元に戻るまで
は必ずそばにいるようにします。

・緊急に病院を受診する目安

 初回発作(特に1歳未満)であるとき、発作が5分以上続くとき、意識の戻りが悪い
とき、身体の一部に強く見られる発作の場合、そして24時間以内に2回以上発作が見
られるときは、緊急で病院を受診してください。また、発作が30分以上続く状態(痙
攣重積)にならないように、けいれんが5分以上続いている時には救急車でも構わない
と思います。

・予防について

 多くの場合は生涯に一度しかけいれんを起こさないため、基本的に予防は必要ありま
せん。発作が長く続いたことがあるお子さんや何度も再発する場合は抗けいれん剤の座
薬(や内服薬)を熱が出始めた時に使います。予防については個人差もあるので、かか
りつけ医に相談しましょう。
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●トピックス
                            「ひなまつりコンサート」

 3月1日、豆の木広場にて成育医療センター・ボランティアの会主催のひなまつりコ
ンサートが行われました。
                                「ひなまつり会」

 3月2日、病棟にて保育士によるひなまつり会が行われました。


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     成育すこやかジャーナル      No.50(2007/2/8)
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  成育すこやかジャーナル第50号をご覧いただきありがとうございます。
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◆目 次◆

 ●育児心理科より
                 こころの診療部 育児心理科 医長  笠原 麻里
  ●神経内科ってどんなところ?
                     第一専門診療部 神経内科  長澤 哲郎
  ●子どもの治療行動を考える その1-大人を困らせる行動の意味は何?
            第一専門診療部 アレルギー科 心理療法士  小嶋 なみ子
  ●トピックス  
                          「親子で楽しむパントマイム」

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 ●育児心理科より
                 こころの診療部 育児心理科 医長  笠原 麻里
  今回は、育児心理科に寄せられるご相談の数々のうちでも比較的多く、かつご家庭で
も対応していただける部分が大きい「子どもの心的トラウマへの対応」についてお話さ
せていただきます。
  トラウマという言葉は、最近ずいぶん一般的になってきましたが、かえって不安をあ
おっている面もあるかと思います。たとえば、何か衝撃的な出来事や事故が起こった時
に「トラウマになるのでは?」と周囲の者が敏感になりすぎてしまうというようなこと
もあるように思います。けれども、まず大切なことは、子どもにとって衝撃的な出来事
や事故が、全て心的トラウマになるのではないということです。
  交通事故や予期せぬ負傷などは、まず身体的にケアされることを優先することは言う
までもありませんが、その後にお子様の置かれている状況が安全で、安心できる環境で
あれば、お子様の心理的動揺をかなり緩和することができます。起きてしまった事態そ
のものへの衝撃はある程度残るかもしれませんが、その直後からの対応が適切かつ安全
に行われていれば、お子様には安心していく力があります。しかしながら、お子様がそ
の出来事を「覚えていない」と言う場合には、必要なことを聴取した後は、当面、繰り
返し状況を問い質したりしない方がよいでしょう。どうしても語ってもらわなくてはな
らない場合には、その子が信頼している大人(できれば両親)が極力付き添ってくださ
い。
  それでも、出来事の直後ないしは数日後から、眠れない、一旦寝ても目を覚ましてぐ
ずる・泣く・奇声をあげる、物音や出来事に関連するものごとを異常に怖がる・避ける、
親から離れたがらない、表情がなくなる、ハイテンションではしゃぎすぎるなど、それ
以前にはみられなかった様子が出現することがあります。このような反応はトラウマ反
応とよばれるものですが、先のような対応ができていれば、数日~1ヶ月以内に軽快す
ることも多いものです。
  ただし、上記の症状が数週間以上長引く、あるいはだんだん強くなる場合、もしくは、
心理的衝撃の程度が非常に大きい出来事であったり、繰り返し衝撃を受けたなどの場合
には、当科やお子様の精神面を診ていただける小児科への受診をお勧めいたします。
  さて、お子様の衝撃的出来事によるトラウマからの回復過程ですが、二つの軸がある
と考えております。一つは、トラウマ反応を軽減していくこと、もう一つは健康な心理
的発達を促進することです。前者は、症状の程度に応じて、自然に経過を待つことから
専門治療機関で治療をうけることまで幅がありますが、後者は、むしろそれまでそのお
子様が育ってきた環境の中で育まれていくものです。子どもは、本来の心理的発達を促
進するだけでも、「僕は大丈夫。」「私は元気になれる。」といった力を持つことがで
きます。心配な出来事があったときこそ、周囲の大人は冷静に、子どもの成長を見守る
力を持ちたいものです。

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●神経内科ってどんなところ?
                     第一専門診療部 神経内科  長澤 哲郎
  皆さんは、「神経内科」と聞いてどんな病気を思い浮かべるでしょうか? 他の科、
たとえば「呼吸器科」や「腎臓科」などと比べて具体的なイメージが持ちにくいと思い
ます。今日は、私たちがどんなことを行っているのかについて、簡単に述べさせていた
だきます。

 神経には、大脳や脊髄などの「中枢神経」から、手足を走っている「末梢神経」まで
多種多様のものがあります。関連して「筋肉」の病気も神経内科で扱っています。中枢
神経の病気では、「てんかん」と「発達のおくれ」で受診される患者さんが多いです。
  てんかんは人口の1%弱で発症する病気で、大脳の中に電気信号がショートしてしま
う部分があるため定期的にけいれんを起こします。けいれんは、全身がガクガクする以
外にも、意識が一時的に消失したり、目だけが横を向いてしまうといった軽い症状のこ
ともあります。脳波にて異常な波(=ショートする部分)があることで診断できます。
小児期に発症するてんかんは、基礎に別の病気がないかぎり大半が成人するまでに治る
ので、その間はしっかりけいれんを抑える薬を内服することが大切になります。遺伝す
る病気という迷信がありますが、ごく一部の特殊なてんかんを除いて遺伝性はありませ
ん。当科では、薬の反応が悪い難治てんかんに対して、脳外科にお願いして「てんかん
外科」を検討することもありますが、難治てんかんすべてに手術ができるわけではあり
ません。
  発達おくれは、知的な遅れのため全般性に遅れる場合が多いですが、筋肉の病気があ
るために運動が遅れる場合や基礎に代謝(体の成分やエネルギーを作ったりする働き)
の病気が隠れていることもあり、診察のあと必要な検査を進めていきます。知的な発達
に極端な偏りがある場合は、他人との係わり合いが苦手な「発達障害」(自閉症が代表
的)を疑います。発達障害が強いお子さんは、こころの診療部の先生に診ていただいて
います。
  「脳性麻痺」の患者さんも神経科が中心に見ています。脳性麻痺は知的障害を合併す
ることが多いですが、知的には正常のお子さんもたくさんいます。脳性麻痺の程度が強
いと、脚に勝手に力が入ってしまったりオムツが替えにくいといった不都合が出てきま
す。このような状態を「痙縮(けいしゅく)」と呼んでいます。痙縮が強くて日常生活
に支障をきたす場合は、脳外科やリハビリ科と協力して特殊な治療にも取り組んでいま
す。
  「急性脳炎・脳症」では、ICUの先生方とチームを組んで急性期の集中治療を行っ
ています。当科では、突発性発疹(HHV-6感染症)に関連した脳症の患者さんを多く
みており、今年1月には国際学会で発表をいたしました。また、筋肉の病気として、次
第に筋力が弱くなっていく「筋ジストロフィー」が、末梢神経の病気は、電気信号が神
経を伝わりづらくなる「ギランバレー症候群」が代表的です。

 最後に、インターネットの利用について一言申し上げます。インターネットの検索機
能は、短時間に多くの情報が得られるので病気の理解を深めるのに有効である反面、誰
でも勝手に書き込みができるため、よほど注意しないと情報に振り回されてしまいます。
たとえば、ご家族が書かれたブログで、その病気としては例外的な症状や治療法が「こ
の病気は~です」と断定的に書かれていたり、薬の副作用について頻度を無視して網羅
的に並べてさも怖い薬と感じてしまったり、極端な場合は「○○研究所の××先生のリ
ハビリをすれば、どんな脳性麻痺も治ります」というような怪しげなものもあります。
病気についての疑問点はまず、われわれ医師に直接尋ねて全体像を正しく把握し、イン
ターネットはあくまでもその補完とお考えください。

 少し長くなりましたが、神経内科はこのようにたいへん幅広い病気を扱っています。
心の問題を扱う「精神科」とよく混同されますが、中身はだいぶ異なります。私たちの
やっていることについてのイメージを少しでも持っていただければ幸いです。

-自己紹介-
  東京都出身。学生時代にあちこち貧乏旅行していたことから、外国語に興味を持つよ
うになりました。今はタイ語を習っていますが、日々忙しくて勉強する時間がなく、進
歩がありません。

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●子どもの治療行動を考える その1-大人を困らせる行動の意味は何?
            第一専門診療部 アレルギー科 心理療法士  小嶋 なみ子

 成育すこやかジャーナル No.45(2006/07/31)では、当院アレルギー科の様子
をお話し、チーム医療と心理療法士の役割について述べましたが、今回は、ただでさえ
大変な治療を少しでもスムーズに行う方法について考えたいと思います。

 ぜん息、アトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー疾患は、慢性疾患であるため、治
療は長期に継続しなければなりません。「調子が良くても薬物療法は継続」というのが
原則です。想像してみてください。「調子が良いのに、お薬をしなければならな
い」・・・どこか矛盾を感じませんか?そこにアレルギー疾患を持つ子どもと保護者は、
多大なるストレスを感じるのです。
  しかし、そんな時に限って、子どもは大人の言うことを聞かなかったりします。その
結果、症状が悪化したりすると、保護者のストレスはふくれあがる一方です。赤ちゃん
をだっこしてお風呂に入ったり、吸入をさせたりするときも、言葉で説明して理解でき
る年齢ではないですから子どもが泣くとストレスのぶつける先がありません。言葉を話
すようになる幼児期には、「いやいや病」が始まりますから、素直にお風呂に入らない、
薬を飲まないなど大人を困らせます。そして、小学校になれば、病気の治療よりも優先
されることが多くなり、思春期以降になれば、治療の主体が保護者から子どもに移るの
で、保護者よりも子どもの方がスキルが下手だったり、反抗期があったりで、一時的な
悪化が認めれて、保護者からみれば「今までの努力は一体・・・」という気持ちにもな
ります。
  でも、そこで大事なことは、子どもの「大人を困らせる行動」には必ず意味があり、
そのサインに気づくことです。サインを受け取るためには、子どもの行動をよく観察す
ることです。人間が行動を起こし、それが維持されるときは必ず、その行動の後にその
人にとって「何か良いことがある/嫌なことから解放される」ことがあるはずです。こ
れを専門的には「三項随伴性」といいます。例えば、『薬が面倒で「飲みたくない!」
と大暴れしたら飲まなくて済んだ』という経験をすると、子どもは、「毎回、薬を飲み
たくないと大暴れしたら飲まなくていいかも・・・」と考えます。厳密には、意識のレ
ベルで考えるのではなく、むしろ意識下の脳の働きで考えて体がそのように反応し、行
動していることが多いので、子どもに理由を聞いても無駄です。普通の会話のほとんど
が「病気についての話」だと、子どもは治療がうまくいってしまうと保護者との会話が
減ってつまらなくなるので、病気が治らないように治療の拒否をし始めたりします。つ
まり、子どもの「大人を困らせる行動は、ちょっとしたよく見る子どもの行動ですが、
実は深い意味を持っているのです。

 このように、問題行動の意味がわかったら、次は実際の介入で、行動が起こった後の
環境を変えるか、行動が起こる前の状況を工夫するかなのですが、今回はここまでに。
子どものことだけでなく、何か困ったこと・うまくいかないことがあれば、まずは行動
観察をしてみましょう。

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●トピックス
                          「親子で楽しむパントマイム」

 1月17日、病棟にて成育医療センター・ボランティアの会主催の特定非営利活動法
人パントマイムクリエイション・マリオによるイベントが行われました。

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     成育すこやかジャーナル      No.49(2007/1/25)
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  成育すこやかジャーナル第49号をご覧いただきありがとうございます。
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◆目 次◆

 ●年頭のご挨拶
                              病院長  加藤 達夫
  ●「硬膜外無痛分娩」をご存じですか
                手術・集中治療部 疼痛管理科 医長  近藤 陽一
  ●腸内細菌の話
                    総合診療部 小児期診療科  有瀧 健太郎
  ●薬はおいしい?
                      薬剤部 医薬品情報管理室  中島 研
  ●新任医師の紹介

 ●トピックス  
   『クリスマスコンサート』
   『病棟クリスマス会』
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 ●年頭のご挨拶
                                病院長 加藤達夫

 新年おめでとうございます。今年の冬は暖冬のようです。話題視されていたヒトへの
H5N1インフルエンザの出現も無く、毎年流行するソ連型、香港型のインフルエンザ
の流行も今のところ見られないようです。その一方で11月頃より兆しの見えていた
「ノロウィルス感染症」が全国的に流行し、いまだその流行は終焉していないようです。
そんな中で始まった2007年皆様いかがお過ごしでしょうか。
  さて、国立成育医療センター病院はこの3月で開院5周年を迎えます。昨年は患者さ
んやそのご家族の皆様、また全国の医療関係の皆様から多くを教えていただきながら、
さまざまな経験を経、入院数、外来数ともに増多し、職員全員が一致してよりよい医療
を行うべく努力してまいりました。本年も、これらの経験を糧として、至らぬ点を改め、
皆様にとってより良い病院でありますよう努力を重ねてまいりますので、今年も一層の
ご指導とご支援を戴きますようお願い申し上げます。
  本年が皆様にとりましてより良い年となりますように心からお祈りいたします。

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●「硬膜外無痛分娩」をご存じですか
                手術・集中治療部 疼痛管理科 医長  近藤 陽一

1.はじめに
  日本の医療の中で欧米先進国と比較して著しく異なっているものに、分娩の麻酔があ
ります。分娩には、経腟分娩(自然分娩)と帝王切開による分娩がありますが、外科手
術が必要な帝王切開を麻酔なしで行うことは日本でもありませんが、経腟分娩の場合、
日本では麻酔なしで行われることがほとんどです。正確な統計はありませんが、麻酔を
して経腟分娩を行う(つまり硬膜外無痛分娩の)割合は1%に満たないのに、欧米先進
国たとえばフランスでは経腟分娩の90%が硬膜外無痛分娩だといわれています。「日
本の女性は特別で痛みに強いの?」と非常に不思議そうに外国人は質問してきます。

2.日本で硬膜外無痛分娩が広まっていない理由は?
  「お産の痛みに耐えてこそ母親になれる」としてきた痛みを美徳とする我が国の伝統
的な考え方や「痛みを我慢して出産しなければ子供への愛情は育たない」といった偏っ
た妊産婦教育も理由のひとつと考えられます。かつてキリスト教文化圏においても、労
働の苦しみと分娩の痛み(どちらも英語ではlaborと呼びます)はアダムとイブが禁断
の木の実を食べたために神から与えられた原罪と考えられ、欧米では分娩の痛みを取り
除くことは神への冒涜とされていました。時代は変わり、女性の意識の変化とともに現
在では出産時に痛みを取ることは産婦の当然の権利であり、たとえ「無痛分娩」を選択
したとしても罪悪感を持つ必要は全くないと考えられています。
  日本で無痛分娩が広まっていない最大の理由は、欧米と異なる日本の産科医療システ
ムにあると考えられています。診療科間の連携の良い欧米では、産科医、助産師、麻酔
科医がチーム医療をしており、日本の病院の何倍もの出産数がある大病院では専門の麻
酔科医がいて、広く硬膜外無痛分娩が行われています。一方、日本では麻酔科医のいな
い産科医個人の産院で分娩が行なわれることが多く、また麻酔科医が勤務している病院
であっても手術室内での一般の麻酔に忙殺され、麻酔科医が産科病棟での硬膜外無痛分
娩に関与している病院はほとんどありません。
  国立成育医療センターは、産科医、助産師とともに産科麻酔のトレーニングを受けた
麻酔科医がチームを組んで、24時間体制で硬膜外無痛分娩に対応できる体制をとって
います。

3.「硬膜外無痛分娩」は実際にどのように行われるのでしょうか?
  静脈点滴を確保の後、硬膜外カテーテルを背中に入れます。カテーテルを入れる間、
妊婦さんは横向き(普通は右側を下にする)になるか座るかして、背中を丸めた姿勢にな
り、背骨の間を広くして針を入れ易くしていただきます。
  背中の皮膚に痛み止めの注射をしてから、硬膜外針といわれる特殊な針を使ってカテ
ーテルを入れます。
  硬膜外カテーテルから麻酔薬の注入を開始すると、下肢が温かくなると同時に痛みが
和らいできます。まだ陣痛が強くない場合には、硬膜外カテーテルの留置のみを行って
おいて、陣痛が強くなるまで麻酔薬の注入開始を待つこともできます。
  分娩が進行するにつれ、痛みが強くなるようでしたら注入ポンプにつながっているボ
タンをご自身で押していただければ、麻酔薬が追加注入され痛みは和らぎます。ボタン
は何回押しても安全なようにセットされていますので、自分でボタンを押す必要がある
と感じられた場合は自由にボタンを押して下さい。子宮が規則的に収縮し、タイミング
を合わせて自分で「いき」むことができれば出産は間近です。この「いきみ」のタイミ
ングをうまくつかめない場合は看護スタッフがお手伝いします。
  出産後、分娩に関する処置がすべて終わるまで麻酔薬の注入を続けます。その後硬膜
外カテーテルを抜去します。
  硬膜外カテーテルを挿入して無痛分娩を開始するタイミングは、通常子宮口が4cm
程度開いてからということになっていますが、陣痛の痛みが強くなって我慢ができなけ
ればその前にも始めることがあります。当センターでは麻酔科医が24時間待機してい
ますが、手術室や集中治療室をはじめ院内の様々な場所で仕事をしていますので、突然
の無痛分娩には対応できない場合もあります。このため前もって出産のスケジュールを
決めて、確実に硬膜外無痛分娩を受けていただける「計画出産」をおすすめしています。
計画出産では陣痛が強くなる前に硬膜外カテーテルを背中に入れておき、子宮収縮を助
ける薬(子宮収縮促進剤)によりお産を進めながら硬膜外無痛分娩を行います。

4.硬膜外無痛分娩の合併症は?
  非常にまれな合併症としては、硬膜外カテーテルの先端が硬膜を通じてさらに奥にあ
る、くも膜下腔という場所に入ってしまうことがあります。そこに麻酔薬が入ることで、
麻酔が上半身まで広がり呼吸が苦しくなったり、足に力が入らなくなったり一時的に意
識が遠のいたりする場合があります。また、硬膜外カテーテルの先端が血管に入ってし
まった場合には舌がしびれたり、ひきつけをおこしたりすることがあります(局所麻酔
薬中毒)。さらに、カテーテルを抜いた後に一時的に硬膜に孔ができることで、しばら
く強い頭痛が続くことがありますが、これらには適切な対処法があります。
  私達は、常にこのような合併症が起きないように万全の注意を払ってはおります。し
かし残念ながら、こうした問題は、目に見えない深い場所に手探りでカテーテルを入れ
るため、一定の頻度で起きてしまいます。しかし万が一発生した場合にも十分対応でき、
安全が確保できる準備をしています。産婦さんだけでなく赤ちゃんの安全も守るため、
常に対話をしながら手技を進めます。腕には血圧計、指にはパルスオキシメーター(体
内の酸素量を測定するモニター)、お腹には胎児心拍数モニター、陣痛計をとりつけて
様子を見守ります。そして産科医、看護スタッフ、新生児科医だけでなく麻酔科医も
24時間院内に待機し、適宜診察をさせていただきます。
  このように「硬膜外無痛分娩」の間、痛みを取り去ることだけではなく、産婦さんと
赤ちゃんの安全に注意し、何か異常が発生すれば素早く対応できる体制となっています
ので、麻酔の合併症だけでなく産科的な問題が発生した場合(出血、妊娠中毒症による
痙攣、緊急帝王切開など)にも麻酔科医が素早く対応でき、安心して硬膜外無痛分娩を
受けていただいてよいと考えています。

5.硬膜外無痛分娩が赤ちゃんと分娩経過に与える影響は?
  硬膜外無痛分娩をしたからといって、赤ちゃんに麻酔薬の影響が出ることはなく、赤
ちゃんに危険が迫って仮死状態になる頻度も麻酔なしの分娩と「硬膜外無痛分娩」に差
はありません。
  子宮収縮が規則的になって(分娩開始)から子宮口が10cmに開く(全開大)までの
時間を分娩第一期、子宮口全開大から赤ちゃん誕生までの時間を分娩第二期、赤ちゃん
誕生から胎盤が出て分娩が終了するまでを分娩第三期と呼んでいますが、一般的に分娩
第一期は初産の方で10-12時間、経産の方で5-6時間、分娩第二期は初産の方で2時間、
経産の方で1時間、分娩第三期はいずれの方の場合も15-30分程度です。硬膜外無痛分
娩を行うと分娩第一期の長さは変わりませんが、分娩第二期は多少長くなると考えられ
ています。しかし、赤ちゃんへの悪影響はないとされています。
  場合によっては、子宮収縮を強くする薬を使用したり、吸引分娩となることもありま
す。しかし、産科医、助産師、新生児科医、麻酔科医らが産婦さんと赤ちゃんの状態を
注意深く観察していますので御安心下さい。

6.おわりに
  成育医療センターでは年間300例以上の硬膜外無痛分娩を行っていて、その数は国内
では1,2を争うほどになっていますが、まだまだ麻酔なしにお産をする方も大勢いら
っしゃいます。硬膜外無痛についてもっと知りたい方のために、もう少し詳しい内容を
記した小冊子もご用意しております。

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●腸内細菌の話
                    総合診療部 小児期診療科  有瀧 健太郎

 ヨーグルトなどに含まれている、乳酸菌やビフィズス菌が体に良いということは、皆
さんご存知のことと思います。でも具体的に何が良いのかについては、ご存知ない方も
おられるかもしれません。今回は腸内細菌がヒトにとってどんな役割を持つのか、医療
にどのように応用されているかをご紹介したいと思います。
  腸管は、水分、ミネラル、栄養素の吸収など、生命を維持するには欠かせない機能を
担っており、その機能維持には腸内細菌の存在が欠かせません。腸内細菌と一口にいっ
ても小腸、大腸など、その場所により数・種類とも異なりますが、成人一人当たり100
種類以上100兆個もの菌を持っているといわれています。近年腸内環境の改善が健康維
持や疾病予防に重要であることが分かってきました。
  善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌などが腸内で優位であると、栄養の吸収を良
くする、免疫力を高める、アレルギー反応を弱める、生活習慣病の予防、大腸がんの予
防や老化の予防などの、有益な作用があると考えられています。しかし善玉菌は、食生
活や生活習慣の乱れ、抗生剤の使用などにより容易に減少してしまいます。
  近年よく耳にするプロバイオティクスとは、腸内細菌叢を改善し健康に有益な作用を
もたらす生きた微生物のことで、乳酸菌やビフィズス菌などを指します。また耳慣れな
いかもしれませんが、プレバイオティクスという概念もあります。これは体内で消化吸
収されずに、善玉菌の成長や活動を選択的に刺激するもので、食物繊維やオリゴ糖など
がこれに当たります。この2つを組み合わせたものをシンバイオティクスと呼び、病原
菌の増殖抑制、抗体産生・マクロファージ活性化・補体の活性化などの腸管免疫の活性
化、腸内上皮細胞からの病原菌の付着や進入予防、発ガン予防、コレステロール上昇抑
制作用などがあることが分かってきています。
  臨床医学への応用としては、乳糖不耐症、抗生剤使用による下痢症、感染性腸炎や炎
症性腸疾患の治療、未熟児の壊死性腸炎予防、食物アレルギーの予防などに有効である
との報告がされており、我々の経験でも、長期間栄養剤を使用している方を対象にした
投与により、便性改善・体重増加といった効果が得られています。
  腸内細菌の活性化のためには、ヨーグルトやオリゴ糖などを摂取するだけでは駄目で、
規則正しい生活、バランスのとれた食事、抗生剤をむやみに使用しないことなどを心が
けることが大切です。健全な腸内細菌で健康な生活を送れるように、今日から腸内細菌
の活性化を実践してみませんか。

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●薬はおいしい?
                      薬剤部 医薬品情報管理室  中島 研

 病院で処方された薬をお子様にのませてあげる際に、きれいな色でおいしそうな香り
がする薬がありませんか?子供にも処方されることが多い抗生剤に「アモキシシリン」
(アモキシシリンは薬の成分の名前です)がありますが、日本で使用可能な代表的な5
つの製品を紹介します。

         見た目      におい        味
     A    橙赤色      オレンジ       甘い
     B    うすい橙色    オレンジ       オレンジ味
     C    桃色       ミックスフルーツ   甘い
     D    うすい橙色    ヨーグルト      甘い
     E    橙色       パイナップル     甘い

どれも子供が好む味や香りですよね。どれか1つくらいは、お子様にのませてあげたこ
とがあるのではないでしょうか。
  「アモキシシリン」のように子供でも飲みやすいように設計されている薬ばかりだと
良いのですが、残念ながら「あまりおいしくない」薬も多いというのが本当のところで
す。しかし大事な点は、やはり薬ですから、おいしいからのむのではなく、必要だから
のむということではないでしょうか。

 国立成育医療センター薬剤部では、「服薬指導」という形で、入院されている患者様
に薬についての説明を行っています。その際には保護者の方だけではなく、なるべく患
者本人であるお子様にもいっしょにお話を聞いていただいています。こうした取り組み
により、薬をのむことの大切さを理解したお子様は、周囲からの押し付けのときよりも、
きちんと薬をのんでくれるようになるようです。
  これから風邪の季節となりますので、薬を飲むこともあるかもしれませんが、薬につ
いて何か質問がございましたら、薬剤師にお気軽にご相談ください。

<自己紹介>
   中島 研(なかじま けん) 薬剤師
1971年生まれ 茨城県出身
一番の趣味はサッカー観戦です。昔はファンバステン、今はカカがお気に入りです。

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●新任医師の紹介

 平成18年12月15日付
  手術・集中治療部 麻酔科医師  青山 和由

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●トピックス

年末は、クリスマスイベントが病院のあちこちで開催されました。
クリスマスを病院で迎えた患者様もボランティアさんや、保育士、看護師、医師の演奏
や演技!?を楽しんでいました。
  ・クリスマスコンサート~ふれあいトリオ  成育医療センター・ボランティアの会
  ・病棟クリスマス会

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  成育すこやかジャーナル      No.48(2006/12/14)
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  成育すこやかジャーナル第48号をご覧いただきありがとうございます。
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◆目 次◆

 ●免疫アレルギー研究部より~
                 研究所 免疫アレルギー研究部 部長  斎藤博久
  ●「放射線診療部より」
                     放射線診療部 放射線診断科  宮崎 治
  ●食育基本法とは
                      栄養管理部 栄養管理室長  飯塚 隆
  ●トピックス
                              「お店屋さんごっこ」

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●免疫アレルギー研究部より~
                 研究所 免疫アレルギー研究部 部長  斎藤博久

 こんにちは。国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部の斎藤博久です。病
院の隣の建物(研究所)の9階で免疫異常やアレルギーでおこる病気について研究をし
ています。

 免疫アレルギー研究部の中にはアレルギー研究室と免疫療法研究室があります。アレ
ルギー研究室の室長は高知医大小児科出身の松本健治先生でアレルギー疾患発症予防を
テーマにしています。免疫療法研究室の室長は東京大学小児科出身の阿部淳先生で川崎
病の仕組みの解明をテーマとして研究を行っています。以上の二人の室長を中心に、千
葉大学、名古屋大学、昭和大学など全国の施設から免疫アレルギー疾患の仕組みを解明
するために医師や研究者が集まって研究しています。
  私は慈恵医大小児科出身で、1988年より国立成育医療センターの前身の国立小児病
院や国立相模原病院の小児科にてアレルギー患者様の診療をおこなっていました。外来
で患者様の訴えを直接聞くことは、臨床研究者にとって大変大事なことですが、日本ア
レルギー学会や世界アレルギー機構などの業務が増え2002年以降は残念ながら外来に
出る時間がなくなってしまいました。しかし、アレルギー科の大矢先生や総合診療部の
赤澤先生など病院のアレルギー診療グループと定期的に協議して患者様のための研究を
最優先目標として研究を行っています。

 免疫アレルギー研究部の活動状況については研究部のホームページに一般向けに解説
しています。ご覧いただければあり がたく思います。
  そのほか、患者様向けに小児のアトピー・喘息・皮膚炎の病態生理と診断・治療とい
う本を2000年に発刊しましたが、少し古くなったので現在、新しい本を執筆中です
(一年近く遅れています)。テレビにはときどき出ます。2007年はじめにNHK教育
の「すくすく子育て」という番組に出演する予定です。どうぞよろしく。

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●「放射線診療部より」
                  放射線診療部 放射線診断科 医師  宮崎 治

 放射線診療部は、各種の画像診断業務と小児がんに対する放射線治療の2部門があり
ます。
  画像診断とは“からだの内部を影(かげ)としてフィルムに撮影すること”そして
“その影を読み、病気を発見すること”です。
  フィルムに撮影するのは主に診療放射線技師が担当し、“影を読む”部分を医師が担
当します。このためレントゲン写真をみて診断することを読影(どくえい)といいます。
  レントゲン撮影は人体を原寸大のフィルムに文字どおりアナログの“影”として映す
のですが、この分野もすさまじいスピードで進化しており、CT、MRI、超音波、核医
学、透視検査など、殆どの画像はコンピューター化され、通常のアナログのレントゲン
撮影もデジタル化されつつあります。当センターの読影はすべてデジタル化され、コン
ピューターのモニター画面で行っています。
  この最新の技術のおかげで、早く、正確に、病気を診断することが可能となってきま
したが、その反面、画像の枚数は爆発的に増え、一回のCTやMRI検査で400から
500コマの小さな画像が生み出されるようになりました。
  診断の精密さは、画像の枚数にある程度比例するので仕方がありませんが、忙しい外
来の担当医が、自分の専門分野といえども、短い外来診療時間にこれらの画像を正確に
瞬時に読影することは困難な時代になりました。

 当センターでは読影専任の放射線科医が、各診療科の協力体制のもと、技師とともに
質の高い、有意義な画像を提供し、日常診療に貢献しております。また、当センターの
救急外来や院内の緊急画像検査に備え、わたくしたち放射線科医が放射線技師とともに
当直し、24時間体制で勤務しております。
  患者様からは直接見えない病院の舞台裏ではありますが、放射線部門の充実はその病
院の質を左右する重要なファクターと思われます。
  読影のみならず専門的な技術を要するカテーテル治療や成人領域で発展したさまざま
な血管内手術のテクニックを小児領域へ積極的に導入しています。
  また当センターでは日本における小児がん放射線治療の主導的役割を担っております。
これは、小児腫瘍医、小児外科医と密接な連携を保ち、チーム医療として「小児がん」
に立ち向かうことにより得られた国立小児病院からの豊富な経験を生かせる環境が整っ
ている国立成育医療センターならではのことです。

 さらに、全国からの小児がん患者様およびそれに係わっておられる放射線治療医から
のセカンドオピニオン(あらゆる相談)をお受けすることも出来ます。 また患者様お
よびご家族からのご要望があれば、画像診断に対する説明もお引き受けいたします。

-自己紹介-
  宮崎 治(みやざき おさむ)
    出身:愛知県
    趣味:作曲と自宅録音、料理

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●食育基本法とは
                      栄養管理部 栄養管理室長  飯塚 隆

 日本人の食生活が飽食時代や過食時代と多分野から警鐘がなされておりますが、食事
との関係の深い生活習慣病は増加傾向にあります。特に大人の疾患である成人病が低年
齢化となっており、深刻な社会問題となっております。
  平成17年6月に食育基本法が国会で成立しました。
  広辞苑の辞書にも辞書にも載ってない、聞き慣れない言葉の「食育」という言葉につ
いてルーツを調べました。
  「食育」とは1898年に石塚左玄が「通俗食物養生法」という本の中で「今日、学
童を持つ人は、体育も知育も才育もすべて食育にあると認識すべき」又、1903年に
は村井弦斎が連載した人気小説「食道楽」の中で「小児には徳育よりも、知育よりも、
食育が先。体育、徳育の根元も食育にある」と記述しております。
  つまり、食は健康、生活、精神にいたるまで生きるための基盤であり、食を通じて生
きる力を育むことです。
  食育基本法をかみ砕いて説明すると、食育とは、国民一人一人が生涯を通じた健全な
食生活の実現、食文化の継承、健康の確保などが図れるよう、自らの食について考える
習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を楽しく身につけるための学習等の
取り組みを指します。しかし、食育は非常に幅広い内容となっており、個人が抱える問
題や取り組む人の意識によっても様々です。
  食育基本法は国民の健康作りが大きなテーマですが、もう一つの目的として肥満や糖
尿病、心臓病等、いわゆる生活習慣病が若い世代の人たちにも及ぶようになり、健康の
まま寿命を延ばすためにも、今後増大すると思われる医療費の抑制にもつながっており
ます。

 わが国では、身近な食生活の改善策として、誰もが食生活の改善に具体的な取り組み
ができるように配慮して作成された「食生活指針」が策定されておりますが、普及が徹
底されていないのが現状です。(日本の食生活指針の内容や諸外国の食生活指針につい
ては機会ありましたら紹介いたします。)
  従来の日本での家庭での食生活は親から子への伝承がスムーズに行われてきましたが、
現代では社会生活の多様化、食事の欧米化、核家族、孤食等により家庭での伝統的な食
文化の伝承が崩壊しつつあります。
  その食の継承が崩壊しつつある具体的な例を一つ挙げると、最近、日本人の食習慣の
傾向として主菜(魚、肉、卵料理等のタンパク質食品)は、十分過ぎるほど摂取してい
るが、副菜といわれる野菜料理があまり摂られていない、摂るとしても生野菜としてレ
タス、きゅうり等の栄養価の少ない生野菜が主流ではないでしょうか。
  栄養価の高い緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、カボチャ等)は、加熱が必要
とする食品が多いために摂る機会が少ない。いや、家庭での調理する機会が少ないので
はないでしょうか。とりわけ子供達への食育の基礎は保護者の皆様がカギを握っており
ますので毎日台所に立つ習慣をつけましょう。

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●トピックス
                              「お店屋さんごっこ」

10月31日 病棟でハロウィン恒例、保育士による「お店屋さんごっこ」が成育医療
センター・ボランティアの会の方々にも手伝っていただいて行われました。

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     成育すこやかジャーナル 第47号(2006/11/24)
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 成育すこやかジャーナル第47号をご覧いただきありがとうございます。

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◆目 次◆

 ●思春期の不定愁訴 ~起立性調整障害を中心に~
               総合診療部 思春期、成人期診療科 医長  永井 章

 ●「縁の下の力持ち・・・病理医と病理検査」
                      臨床検査部 病理検査室  松岡健太郎

 ●第2回「救急の日のイベント」
          救急センター 副看護師長 小児救急看護認定看護師  林 幸子

 ●トピックス
                            ミュージックボランティア

 ●インフォメーション
                      クリスマスコンサート~ふれあいトリオ

 ●新任医師の紹介

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●思春期の不定愁訴 ~起立性調整障害を中心に~

              総合診療部 思春期、成人期診療科 医長  永井 章

 ‘疲れやすい’、‘体がだるい’、‘めまいがする’などの単独、および複数の症状
を訴え受診される思春期の患者さんと外来でしばしば出会います。こうした‘疲れやす
い’、‘体がだるい’などの症状を不定愁訴と呼ぶことがあります。もともと不定愁訴
という言葉は、その患者さんの訴える症状の原因を医学的に特定できない場合に使われ
ます。
  これまでの報告では、こうした‘疲れやすい’、‘体がだるい’、‘めまいがする’
などの症状で思春期の方が小児科を受診された場合には、起立性調節障害(以下OD
と略)と診断される場合が多いようです(もちろん不定愁訴のすべてがODで説明で
きるというわけではありません)。
  ODとは、わかりやすく言えば、思春期の自律神経失調症とイメージしていただくと
よいかと思います。では、そもそも自律神経とはどのようなものでしょうか?自律神経
は、血圧、 脈拍や内臓の動きなどを司っています。本来、自律神経の働きそのものは、
その名が示すように自分の意思では変えられません。
  その一方では、こうした自律神経の指令基地がある場所は、情動などを司る場所(大
脳辺縁系)の近くにあります。そうしたことにより自律神経の働きは、感情、言い換え
れば心理、社会的な影響をとても受けやすいのです。従ってODなどの自律神経の機
能異常は、基本的には身体的な問題と言えますが、その背景として心理、社会的な影響
を受けて生じやすいとも言えます。

 ODでは、‘立ちくらみ’、‘めまい’などの症状が生じますが、その原因は自律神
経の働きがうまくいかないようになり、そのため血圧調整などの循環系の調節がうまく
いかないために起きます。一般に、立ち上がった直後には血圧は少し低下するのですが、
典型的なODでは、通常より血圧が大きく下がるため、急に立ち上がると脳貧血を起
こして‘立ちくらみ’、‘めまい’を起こしやすいのです。
  しかし、こうした起立時の低血圧を認める傾向は、健康な思春期の方にもしばしば認
められることがわかっていて、ODは思春期で生じやすい身体的な機能異常と言えます。
ただ、先ほど述べましたように、こうしたODの原因には、心理的、社会的な要素が
関連することも多いのです。またODと診断された方が、少なからず不登校の方の前
駆症状と考えられる場合がしばしばあることもわかっています。そうしたことよりOD
の患者さんへの対応に関しては、身体的原因がメインの場合と心理的側面がメインの場
合など、それぞれの患者さんで異なってくるので、その患者さんに応じたものも要求さ
れます。
  治療としては、降圧剤などの薬物療法が有効な場合もありますが、まず日常生活の調
整をしていくのが重要です。つまり規則正しい生活をしたり、ある程度の運動をしたり、
また起立時には、臥位からすぐに立ち上がらないように気をつけることなども必要とな
ります。
  また、患者さんが抱えているODでの身体症状以外の辛さを感じていることにも気
がついてあげる必要あります。たとえば、ODがあるため家庭や学校では、怠けとして
扱われたり、本当は学校に行きたいのに行けないことであせりなどが生じていることも
あり、周囲によく病状の理解してもらったり、環境の調整なども重要になります。

 このようなODの患者さんは、身体的な原因がありながら、しばしば‘精神的なも
の’とされたり、‘怠けている’とされて体のことを心配されていないケースも多いの
で、‘体がだるい’、‘立ちくらみ’などの症状を呈している思春期の方では、身体的
原因としてODがあるかもという視点をもち、医療機関に相談されることは重要と思
われます。
  当科においても、思春期外来、頭痛、腹痛外来などでこうしたODの患者さんに対
応させて頂いています。ODは身体的な面のみならず、心理的、環境面での配慮が必要
な疾患ですが、まず受診された患者さんには、身体的な十分な評価と患者さんの症状を
つらいことであろうと十分に感じ、そこから、その患者さんの様々な状況に応じた対応
を心掛けていきたいと考え診療にあたらせて頂いています。
  なお、当院では、今回のような症状での受診を希望される場合、初診の患者さまにつ
いては18歳以下の方をお受けしており、原則的には、まず総合診療部初診外来をご予
約のうえ受診いただいたのち、症状などにより関係する専門外来を受診いただくように
なっております。現在、総合診療部の初診予約が大変混みあっており、約2ヶ月程お
待ちいただくことをご了承ください。

-自己紹介-
永井 章 (ながい あきら)

出身地  兵庫県西宮市
阪神タイガースの本拠地である甲子園球場は有名ですが、この球場が西宮市にあるのは、
知らない方が多いかもしれません。私が小学校の時には、毎年甲子園球場で市内の小学
校連合体育会があったのですが、その時に甲子園球場のグラウンドに下りて、広さを実
感したのを憶えています。

趣味
スキー、野球観戦
好きな球団はやはり、阪神です。

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●「縁の下の力持ち・・・病理医と病理検査」

                     臨床検査部 病理検査室  松岡健太郎

1.『病理医』ってご存知ですか?
  医療ドラマにたまに出てくる『病理医』って、ご存知ですか?最近では「サトラレ」
での鶴田真由さんや「ナイトホスピタル」での仲間由紀恵さんをご覧になって、ご存知
の方もちょっとは増えているようですが、仕事の内容となるとご存じの方はまだまだ少
ないようです。
  私も『病理医』という医師が病院にいることは医学部の最終学年(6年)になるまで
知りませんでした。学生実習中、胃癌の手術の見学の際、癌が切り取られ、「無事終
了」と思ったら、外科医も、麻酔科医も、看護師さんも、みんなほとんど動かずに何か
を待っています。5分くらい待ったでしょうか、スピーカーから「癌組織残っていませ
ん!」といった声が聞こえてきました。その後手術室はふたたび動き出し、患者さんの
おなかは閉じられ、1週間後には無事退院されました。
  声の主は『病理医』でした。これは『術中迅速診断』といって、大急ぎで癌の診断を
したり、癌細胞が体に残っていないかを確かめたりする作業です。その時、私はたくさ
んの医師を待たせて、診断をしていた病理医という存在に憧れのようなものを感じ、つ
いには病理医になりました。
2.『病理医』の仕事・・・『病理診断』
  私たちは患者さんの体の一部・・・正しくは手術で体から切り取った病気の部
分・・・を顕微鏡で調べ、診断します。これを『病理診断』といい、医師が行う行為で
す。私たちが診断結果を患者さんに直接説明することはめったにありません。私たちの
診断とほかの検査(レントゲン、心電図、血液・尿など)の結果をあわせて、患者さん
の状態が臨床医によって総合的に判断されます。ただ、『がん』の診断などでは病理診
断が”最終診断(Final diagnosis)”となり、患者さんの運命を決めてしまうこともあ
ります。私たち病理医は病院における縁の下の力持ちとして、臨床医が安心して診断・
治療がおこなえるよう努力しています。
3.成育医療センターでの病理医の仕事
  私は、成育医療センターで『成育医療』にかかわる病気の診断を専門としています。
多くは、小児科や産婦人科の病気です。この分野には多くの大人がかかる「癌」、「心
筋梗塞」といった病気はほとんどありませんが、病気の種類は千差万別です。私たちで
も出会うことの少ない病気もままあります。そのようなときは、他の専門病院の病理医
との情報交換を積極的に行い、正しい診断ができるよう心がけています。

-自己紹介-
松岡 健太郎 (まつおか けんたろう)

 東京医大卒業後、慶応大学大学院で発生学の研究を行い、医学博士となりました。病
理診断のトレーニングは慶応大学病院病理診断部で受けました。そのときの指導医は宇
宙飛行士向井千秋さんの夫としても有名な、ヒゲの向井萬起男先生で、私たちの指導を
熱心にして下さいました。
  趣味は学生時代から続けているバスケットボールです。当院の先生などと一緒のチー
ムで楽しくやっています。

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●第2回「救急の日のイベント」

         救急センター 副看護師長 小児救急看護認定看護師  林 幸子

 「救急の日」とは、「きゅう(9)きゅう(9)」の語呂合わせから9月9日のこと
をいいます。この日を含む1週間を「救急医療週間」(本年は9月3日~9月9日)と
して、全国各地において救急業務や救急医療について理解と認識を深めてもらうための
実技指導などが行われています。
  国立成育医療センターでは、救急センターが中心となり小児救急医療を行なう医療機
関として、『救急の日のイベント』を9月8日(金)に開催しました。10時から14時
という短時間でしたが、乳幼児の保護者および幼稚園・保育園で仕事をされている方た
ちが150名ほど参加されました。

 『子どもの救急時の対処法』をテーマに、1.『子どもの心肺蘇生法』、2.『子どもの
事故予防』、3.『家庭でできる症状への初期対応』についてプログラムを作成しました。

 1.『子どもの心肺蘇生法』については、看護師・医師とが協力して新ガイドラインに
   基づいた実技演習を行いました。事前にご応募いただいた方を中心に実技演習を行
   いましたが、飛び入りで見学の方にも参加していただきました。「とてもわかりや
   すかった」「何か起こったときに勇気がもてそうに思った」など受講してよかった
   というコメントを多数いただきました。
  2.『子どもの事故予防』として、子どもに多い事故とその予防のポスターを掲示し、
   家庭での事故防止グッズを数点紹介しました。事故防止グッズは、実際に手にとっ
   てみてもらったので使い勝手を試されている方も多く、使用されている方からは、
   工夫されている点などのお話も聞けて私達も参考になりました。また、自転車から
   の転落による頭のけがや自転車のスポークに足を巻き込まれてのけがを予防するた
   めの、子ども用のヘルメットと自転車補助椅子を、数点紹介しました。実際にヘル
   メット装着を体験し、記念写真を撮ってお渡ししました。ヘルメットをつけて自慢
   げに笑う子ども達の姿が印象的でした。子どもの事故は、救急事態が起こってしま
   った時の対処のみではなく、起こさないための予防の大切さを理解してもらえたも
   のと思います。
  3.『家庭でできる症状への初期対応』は、子どもの急な発熱や嘔吐(吐いていると
   き)などの症状への対応を看護師が説明し、リーフレットやパンフレットをお渡し
   しました。経口補水液の試飲コーナーは一番人気で、今回は果汁入りと果汁なしと
   で作成しました。小さい子どもには果汁なしのもののほうが飲みやすいのではない
   か、幼児になるとジュース感覚で、果汁入りが飲みやすいのではないかなどの意見
   も出て、検討する機会にもなりました。

 今回は、2回目の救急の日のイベントでしたので、昨年頂いた要望などを取り入れな
がらプログラムを作成しました。「また参加したい」「このような機会を増やしてほし
い」などのコメントをいただきました。今後も『子どもの救急』について情報発信を続
けていきたいと思います。

 様子はこちらから↓
     http://www.ncchd.go.jp/childfamily/kyuukyuunohi060908.html

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●トピックス
                           ~ミュージックボランティア

10月20日 病棟を訪問しました。
紙芝居やハンドベルに大合唱、楽しいひとときを過ごしました。

 様子はこちらから↓
     http://www.ncchd.go.jp/childfamily/top47_mv061020.htm

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●インフォメーション

2006年12月22日(金) 国立成育医療センター講堂にて、国立成育医療センタ
ー・ボランティアの会主催、ふれあいトリオ(吉田恭子&フレンズ)によるクリスマス
コンサートが行われます。

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     成育すこやかジャーナル No.46(2006/10/6)
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 成育すこやかジャーナル第46号をご覧いただきありがとうございます。

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◆目 次◆
  ●男と女:性差の遺伝学
                 研究所 小児思春期発達研究部 部長  緒方 勤
  ●細胞の変身と再生医療
                   研究所 生殖医療研究部 部長  梅澤 明弘
  ●希少疾患の新薬開発の現状(ムコ多糖症の場合)
                   特殊診療部 遺伝診療科 医長  奥山 虎之
  ●新任医師の紹介
  
  ●トピックス           ~院内オブジェ「ハートフルサイン」のご紹介

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●男と女:性差の遺伝学
                 研究所 小児思春期発育研究部 部長  緒方 勤

 私たちの研究テーマの1つは性差です。この性差にまつわる話を少ししたいと思いま
す。
性分化:
  一言でいうと、ヒトの原型は女であり、これに複数の因子が作用すると男になります。
未分化性腺は、Y染色体が存在すると精巣になり、存在しないと卵巣になります。性
管・外性器および脳は、精巣由来の男性ホルモンが働くと男性型に誘導され、男性ホル
モンがないと女性型になります。男は大変です。
知能:
  知能障害は、男において女よりはるかに高率に見られます。この理由は、X染色体上
に非常に多数の知能障害遺伝子が存在することにあります。これらの遺伝子は、男では
1個しかないために遺伝子変異が直ちに障害を引き起こすのに対し、女では2個あるた
めに1つの遺伝子が変異してもスペアがあるため障害を生じにくいことになります。
身長:
  男が女より高身長であることはよく知られています。これは、女が巣を守り男が外で
餌を取ってくるという長い進化の過程で男が獲得した形質と推測され、ホルモン効果よ
りも遺伝子効果が主体です。これは、幾多の性分化遺伝子の作動を必要としながら、な
おも知能障害の危機に瀕する男に対する神の恩恵のような気もします!?

 この性差に関する私たちの研究内容には、以下のものがあります。
新規性分化異常症責任遺伝子:
  私たちは、新しい性分化異常症(尿道下裂)責任遺伝子を同定しました。この臨床的
意義は、単一遺伝子変異による尿道下裂の存在を確認できたこと、マウス精巣において
胎児期のみに発現していることから妊孕性が期待される尿道下裂である可能性が高いこ
と、マウス卵巣では成獣期に発現していることから卵巣機能不全に関連する可能性があ
ることが挙げられます。
内分泌撹乱物質と男児外陰部異常症:
  多くの内分泌撹乱物質は、女性ホルモン様作用を有し、雄性性機能障害を招くと考え
られています(やはり男が弱い)。私たちは、このような内分泌撹乱物質の効果を介在
するエストロゲン受容体α型遺伝子の特有のハプロタイプを持つ人が停留精巣や尿道下
裂を生じやすいことをみいだしました。これは、内分泌撹乱物質の影響を受けやすい体
質を持つ人がいることを初めて示唆するデータです。
SHOX遺伝子と身長:
  SHOX遺伝子は、性染色体の擬常染色体領域に存在し、正常では男女ともに2個存在し、
これが、1個になると低身長や軟骨骨異形成症を発症します。私たちは、性腺エストロ
ゲン(これは女性ホルモン!)の骨成熟作用が成長障害や骨変形の増悪因子であること
を見いだし、性腺抑制療法の有用性を報告しています。

 性差は、成育医療における種々のテーマに直結します。私たちは、この性差に関する
研究により、少しでも社会に貢献できることを願っています。

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●細胞の変身と再生医療
                    研究所 生殖医療研究部 部長  梅澤明弘

 小学校のプール掃除の際にヤゴを救出するという目的で、息子が家にヤゴを持ち帰っ
てきました。家の中の水槽でヤゴはミミズを食べて大きくなり、最終的には水の中にい
れておいた枝を上り、変身してトンボになります。変身とは、さなぎにならない不完全
変態のことであります。
  ある真夜中の1時過ぎに偶然ヤゴが水面からでてきて、枝の先端のところまで上り、
そこで止まり、ヤゴからエビぞりながら成虫であるトンボがでてきました。もう少しで
エビぞりすぎて水面に落ちるのではないかというギリギリのところで反転して、自分の
脱いだ殻にしがみついて羽を伸ばし乾かします。研究所にいる虫博士に聞きますと蝶々
も同じようにでてくるんだそうです。研究所には虫博士が何人かいます。羽が伸びてき
て観察者の興味がだいぶ薄れてきたので、写真を撮り、枝ごと屋外においておきました。
  次の朝、もうトンボはいなくなっていたので、飛んでいったのでしょう。実は、この
ヤゴを含めた虫の大変身を観察したのは人生初の経験で、その変身ぶり、つまり水の中
にいる生物が空飛ぶ生物になる様子はかなりな驚きでした。

 「平成18年は再生元年」と言われるくらい、再生医療がスタートしています。国立循
環器病センター病院及びいくつかの大学病院にて、新たな医療として骨欠損、軟骨欠損、
虚血性心疾患、歯槽膿漏に、細胞を移植して症状を軽減しようとする戦略です。これら
の治療では、骨の中の細胞が変身して、必要な細胞として、組織に移植され力を発揮し
ます。骨髄からの細胞だけではありません。胎盤から、子宮内膜から、月経血から、臍
帯から、皮膚から、たくさんの大切な細胞が増え出してくれて、変身して、力を発揮す
るのです。
  ヒトクローン胚が話題になり、マスコミで話題として紹介されています。現在、クロ
ーン胚作成は法律で禁止されている一方、将来に向けて基礎的な研究はひとつひとつ進
められています。それも、細胞が神経や心筋や骨格筋や血管になって、患者様の症状を
軽くしたり、治したりすることが期待されているからです。細胞にもきちっとした変身
をしっかりやってもらって、わたし達を元気にしてもらいたいものです。

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●希少疾患の新薬開発の現状(ムコ多糖症の場合)
                   特殊診療部 遺伝診療科 医長  奥山 虎之

 私たち遺伝診療科では、ムコ多糖症という日本では患者数が極端に少ない希少疾患の
診療を行っています。ムコ多糖は、体の主要な構成成分のひとつで、体内で合成と分解
が繰り返されています。ムコ多糖の分解には、約10種類の「酵素」と呼ばれるたんぱく
質が必要です。ムコ多糖症(MPS)とは、ムコ多糖を分解する酵素のひとつが先天的に
欠損し、分解できない物質が過剰に体内に蓄積することにより発症する遺伝性の疾患で
す。欠損している酵素の違いにより7つの病型に分類されます。病型により症状には若
干の差がありますが、共通する症状は、難聴、中耳炎、骨の変形、関節拘縮、肝臓・脾
臓の腫大、無呼吸、閉塞性呼吸障害、心臓弁膜症などです。わが国のムコ多糖症の患者
さんは推定で約400~500人です。2型(ハンター症候群)が全体の50%以上を占めて
います。

 治療は、個々の症状を緩和する対症療法と、原因の除去を目的とした根治療法に分け
られます。対症療法は、中耳炎に対するTチューブの挿入、無呼吸に対するアデノイド
除去、角膜混濁に対する角膜移植、心疾患に対する弁置換などです。根治療法の原理は、
欠損している酵素を種々の方法で体内に供給することです。骨髄移植や酵素補充療法な
どが一部の病型で実用化されていますが、効果は限定的であり、新たな治療法の開発も
必要で、遺伝子治療や細胞移植療法などが検討されています。

 ムコ多糖症の最近のトピックとして、酵素製剤の開発があります。最初に開発された
のは、1型酵素製剤のラロニダーゼです。2002年に欧米で承認・販売されていますが、
日本ではいまだに未承認薬の状態です。新薬が承認・販売されるためには、わが国の施
設での新薬臨床試験(治験)が必要ですが、治験の対象となる患者さんの数が極端に少
ないこと、日本での治験に莫大な費用を要することなどの理由から、ラロニダーゼの国
内開発は一昨年までまったく進展しない状態でした。
  しかし、一昨年後半から私たちは、ムコ多糖症親の会とともに厚労省への積極的な働
きかけを行い、本年10月には承認される見通しとなりました。日本人患者を含まない海
外の治験データのみで新薬の承認申請を認め、審査経過中に日本人患者による安全性確
認試験を行うという現実的な対応が厚労省から示されたためです。実際にこの安全性確
認試験は、成育医療センターで行われました。
  この方式は、これまでに例のないもので、いまでは、ムコ多糖症だけでなく種々の希
少疾患治療薬の国内開発におけるプロトタイプとなっています。昨年、米国で販売が開
始されたMPS6型治療薬ガルサルフェースについても同様の対応が計画されています。
  また、2型治療薬は、本年7月に米国で承認されました。日本でもできるだけ早く承認
されるように、厚労省に対して積極的な働きかけを続けています。
  日本における希少疾患を取り巻く医療は、十分ではありません。患者数が絶対的に少
なく、患者様やその御家族の「声」が、行政に届きにくいという問題があります。小児、
周産期医療を行うナショナルセンターとして、適切な情報を厚生労働省と共有して医療
の質を改善することも、国立成育医療センターの重要な役割のひとつです。

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●新任医師の紹介

 平成18年8月1日付
     第一専門診療部 消化器科医長  新井 勝大
     周産期診療部 産科医師     井原 規公

 平成18年9月1日付
     第二専門診療部 外科医師    田中 秀明

 平成18年10月1日付
     総合診療部 救急診療科医長   羽鳥 文麿
     総合診療部 小児期診療科医師  長田 雅樹
     第一専門診療部 循環器科医師   金 基成
     特殊診療部 移植免疫科医師   福田 晃也

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●トピックス ハートフルサインのご紹介

病院内には、たくさんのハートフルサイン(オブジェ)があります。
今回は、見上げたときにホッと心を和ませてくれる「天井画」をご紹介します。

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     成育すこやかジャーナル No.45(2006/8/1)
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 成育すこやかジャーナル第45号をご覧いただきありがとうございます。

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◆目 次
  ●ヘルパンギーナ・手足口病
                        総合診療部 小児期診療科 松本務
  ●胎児診療科
                    周産期診療部 胎児診療科 医長 左合治彦
  ●アレルギー科心理療法士より
                第一専門診療部 アレルギー科 心理士 小嶋なみ子
  ●トピックス
   院内オブジェ「ハートフルサイン」の紹介

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●ヘルパンギーナ・手足口病
                       総合診療部 小児期診療科 松本 務

 今年は梅雨が長引いて冷夏が予想されていますが、夏に流行するヘルパンギーナ、手
足口病などのウイルス性発疹症は例年同様に流行が見られています。

ヘルパンギーナ

 ヘルパンギーナは発熱と口の中の粘膜にみられる水疱性の発疹を特徴とし、その大多
数はエンテロウイルスやコクサッキーウイルスの感染によるものです。毎年5月頃から
流行し始め、6~7月がピークとなります。年齢は4歳以下がほとんどで、1歳代がもっ
とも多いです。感染経路は接触感染を含む糞口感染と飛沫感染で、2~4日の潜伏期の
後、突然の発熱に続いて咽頭の粘膜の発赤が目立つようになり、主に軟口蓋に直径1~
2mmほどの小水疱が出現します。小水疱は破れて浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴うことが
あります。発熱は2~4日間程度で解熱します。口腔内の疼痛のため不機嫌や哺乳障害、
経口摂取不良を起こし、乳児では脱水症をきたすこともあります。発熱時に熱性痙攣を
起こしたり、無菌性髄膜炎を合併するケースもありますが、ほとんどは予後良好です。
症状が強い急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強いですが、回復後にも2~
4週間の長期にわたって便からウイルスが検出されることがあります。

手足口病

 手足口病はその名のとおり、手や足、口の中の粘膜の水疱性の発疹を主な症状としま
す。この病気もエンテロウイルス、コクサッキーウイルスの感染によりおこり、基本的
に予後は良好な疾患です。年齢は4歳頃までの幼児が中心で、2歳以下が半数を占めま
すが、学童でも流行がみられます。3~5日の潜伏期の後、手のひらや足底・足背、口
の中の粘膜に2~3mmの水疱が出現します。時に肘や膝、おしりなどにも出現すること
があります。
  手、足、口の症状は必ずしも揃いません。発熱は約1/3に見られますが軽度なことが
多く、38℃以下のことがほとんどです。通常は3~7日で発疹は消えて、水疱がかさぶ
たをつくることはありません。稀に髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併
症が知られています。

治療・予防

 ウイルス性の感染症のため、通常の感冒と同様に抗菌薬は効果がありません。通常は
対症療法のみで、発熱や頭痛、口の中の水疱の疼痛などに対して解熱・鎮痛剤を用いる
ことがあります。脱水に対する治療が必要なこともあります。水分摂取を心がけ、安静
と栄養に気をつけることが大切です。口の中の痛みが経口摂取不良の原因となっている
場合があり、のど越しのよい食事をお勧めします。特別な予防法はなく、感染している
人との密接な接触を避けることや、うがいや手洗いが大切です。ヘルパンギーナも手足
口病も学校で予防すべき伝染病に含まれていません。症状が回復してからもウイルスは
長期にわたって排泄されることがあり、急性期だけ登校・登園停止を行っても流行阻止
の効果はあまり期待ができません。登校・登園は本人の状態によって判断すればよいと
考えられます。

<自己紹介>

松本 務 (まつもと つとむ) 総合診療部 小児期診療科 医員
出身地: 神奈川県横浜市 (海まで1時間以上かかる山の中です)
趣味: 読書(推理小説)、音楽鑑賞(ジャズ)、楽器演奏(ウクレレ、
ギター・・・ 練習中です)
総合診療部で療育や在宅医療、緩和医療にも関心を持っています。
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●胎児診療科
                      周産期診療部 胎児診療科 左合 治彦

 胎児診療科とは聞きなれない科だと思います。名前のとおりに胎児医療を専門に行う
診療科で、産科や新生児科と同じく周産期診療部に属しています。産科から独立して
「胎児診療科」という名の科ができたのは成育センターが日本で初めてです。出生前の
胎児も患者さま(Fetus as a patient)として診ていくのが「成育医療」です。
  胎児に病気が疑われる場合にどんな病気でどのような治療が必要となるかを正確に診
断する「胎児診断」と、お母さんのおなかの中で胎児の治療を行う「胎児治療」が当科
の仕事です。胎児超音波検査のみならず、必要に応じてMRI検査、羊水染色体検査な
どを行い、胎児診断がより正確に行えるようにしています。また当科では絨毛検査、臍
帯血検査も行っています。
胎児の病気についてできるだけ正確に知ることにより、生まれる前からいろいろ準備す
ることができます。心疾患であれば循環器科、外科疾患であれば小児外科、また生まれ
たばかりの赤ちゃんを専門にみる新生児科といったように病気に関連する各専門診療科
と連携・協力して、出生前からチームをつくり出生直後から円滑に治療ができるような
お手伝いをします。
  胎児の病気の多くは出生後の適切な内科治療や外科治療で管理できますが、そのまま
では手遅れとなり胎児が亡くなる場合は胎児治療により命が救える場合があります。
胎児治療には内科的治療法と外科的治療法があります。内科的治療法は母体に薬を投与
して胎児を治療するもので胎児不整脈などに行います。外科的治療法には、胎児の貧血
に対する胎児輸血、胎児胸水に対する胸腔・羊水腔シャント術、無心体双胎に対するラ
ジオ波凝固術など超音波を用いる方法と、双胎間輸血症候群に対するレーザー凝固術な
ど胎児鏡を用いる方法があります。レーザー凝固術は胎児鏡で原因となる胎盤吻合血管
をみつけてレーザーで凝固遮断し治療するものです。治療成績はよく、現在このレーザ
ー凝固術が胎児治療法の中で最も多く、もう少しで通算50例となります。
開院以来の約4年半で、約900例の病気を有する胎児の診療にあたりました。そのうち
胎児治療は100例に行いました。胎児治療で救える命はまだ限られていますが、当科で
は子宮内の胎児に対して最善の医療を提供することをモットーとしています。

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<自己紹介>
左合治彦 さごう はるひこ 周産期診療部 胎児診療科 医長
出身地:岐阜
趣味:読書、旅行
スポーツ:テニス、スキー
心がけていること:1)心と体の健康 2)仕事と仲間を愛する 3)正直
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●アレルギー科心理療法士より
                第一専門診療部 アレルギー科 心理士 小嶋なみ子

 喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、アレルギー疾患の多くは慢性疾患で
あるため、長期間に渡る治療の継続を余儀なくされます。そのため、お子様やその保護
者の方々が病気のことをよく理解し、「自分達で治そう」と思って努力しなければ良好
な症状のコントロールはできません。
  症状が出ている間は「なんとかしなければ」と思えるのですが、一旦、症状が消失し
てしまうと、日常の忙しさに、つい、治療がさぼり気味になったり、反対に、「また、
あんなヒドイ症状になったらどうしよう」と不安になり、過度に心配性になったりする
ことで日常生活に支障をきたす場合があります。また、症状が出ていない時はとても
「元気」に見えるため、周囲からもなかなか理解されにくい状況があります。
  このように、アレルギーを持つお子様やそのケアにあたる保護者の方々は、いろいろ
な面で大変な思いをされています。国立成育医療センターアレルギー科では、医師・看
護師・心理士がチームを組み、アレルギー疾患に対して症状をコントロールしよう!と
頑張る患者様や保護者を支えていく体制を作っています。医師が、アレルギーの病気に
対する知識や薬の使い方をわかりやすく、かつ、患者さまの状態に合わせて教えていま
す。そして看護師が、実際に毎日の生活の中で効果的にケアができるように、いろいろ
なコツを教えています。
  また、心理士が日常生活の中で治療がうまく行かないことを整理していきます。例え
ば、「子どもが嫌なことがあるとポリポリ掻き始めるので、なかなか湿疹が良くならな
いんです」とか、「子どもに薬を飲ませようとすると、子どもが嫌がって逃げ出すので、
なかなか医師に言われたとおりにできないんです」とか、「兄弟喧嘩がひどくて、思っ
たように治療ができないんです。」とか・・・。子どもの年齢が小学校以上だと、「自
分で自分のことをやってくれないんです」とか、「病気のことで友達にいじめられた」
とか・・・。社会的にも「病気のことについて学校の先生が理解してくれない」とか、
「祖父母の理解が得られない」とか・・・。
  これらの悪循環に対してお話を詳細にお聞きし、悪循環のメカニズムを明確にし、悪
循環を断ち切る方法をお子様、保護者の方々と一緒に考えていきます。この時役に立つ
のが「行動療法」ですが、その詳細はまたの機会に。
  最初にも述べましたが、アレルギー疾患の治療は「毎日の継続」がとても重要になっ
てきます。毎日のことだからこそ、「当たり前のようにやれる」そして「負担感なくや
れる」工夫をし、症状がなく、アレルギーの無いお子様と同じように毎日が送れるよう
に一緒に頑張っていきましょう!
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成育医療センター内には、たくさんのハートフルサイン(オブジェ)があります。
今回は子ども達に大人気の「ゲンキザウルス」をご紹介。

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     成育すこやかジャーナル No.44(2006/7/14)
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 成育すこやかジャーナル第44号をご覧いただきありがとうございます。

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◆目 次
  ●低年齢発症の摂食障害について
                  こころの診療部 思春期心理科 医長 生田憲正
  ●移植免疫診療科より
                   特殊診療部 移植免疫診療科 医長 笠原群生
  ●「女性総合外来」のご紹介
                        周産期診療部 母性内科 荒田尚子
  ●新任医師の紹介
  ●トピックス
   院内オブジェ「ハートフルサイン」の紹介

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●低年齢発症の摂食障害について
                    こころの診療部 思春期心理科 生田 憲正

こころの診療部では、総合診療部と協働して摂食障害の入院チーム医療を行っていま
す。
当センターの特徴は、神経性食欲不振症(思春期やせ症)の、最も低い年齢層(小学校
高学年から中学生まで)を対象としていることです。2002年3月から2005年12月ま
での間、摂食障害の診断・疑いのために入院治療を行った方は35名ですが、その半
分近くの方は月経が未発来でした。このような低年齢発症の摂食障害には、次のよう
な特徴や問題点があります。
第1点目に、発症の経過が従来言われているものと異なる、という点があります。思
春期に伴う体の変化に対し、多くの女子は「肥満感」(実際は肥満ではありません)を
抱くようになり、「やせ願望」などのダイエット心理を持つようになります。このダ
イエット心理や行為が、摂食障害の入り口となると言われています。多くの女子はこ
のダイエットを途中で断念しますが、何らかの心理的な悩み、あるいは社会的な要因
が働いた場合に摂食障害を発症するものと考えられてきました。しかしながらこれま
でに経験した方の中には、7歳頃からすでに体重増加の停滞が始まっていた方も認め
ております。
第2点目に、このような小児期発症の摂食障害に関して、学校保健室や学校医から体
重減少を指摘されることが少なく、発見が遅れがちになっているという問題がありま
す。
小児期から思春期までの年齢では、体重が増加していくのが普通です。もし体重増加
が停滞したり、体重が減少したりしている時は、何らかの問題(摂食障害に限らず他
の身体的な病気の可能性もあります)が生じているサインだ、と考えてよいかと思い
ます。
そのような場合、まず保健室あるいはかかりつけの小児科医に相談して頂き、生まれ
てから現在までの「成長曲線」を一度作ってもらうことをお勧めします。グラフの形
にしますと、いつ頃から、どのような変化が生じてきたのかが、良く分かる場合があ
ります。
また、そのような変化に周囲の大人が早く気づくことで、摂食障害の発症を未然に防
ぐことも可能になると思われます。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<自己紹介>
生田 憲正(いくた のりまさ)こころの診療部 思春期心裡科
出身地:福井県福井市(冬の日本海の荒海とかに料理がお勧めです。)
趣味:SF物が好きです。読書は、「I/W/G/P」シリーズや古い物では「人間の条件」を
最近読みました。音楽は、マーラーの交響曲が好きです。
スポーツ:昔はテニスをしていましたが、今はできるだけ歩くようにしています。

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●移植免疫診療科より
                  特殊診療部 移植免疫診療科 医長 笠原 群生

 末期臓器不全の患者さんへ新しい臓器に入れ替える臓器移植医療は、1960年代に米
国ではじまりました。広い意味では、輸血治療も移植医療の一つです。今も昔も欧米で
は脳死者からの臓器提供が中心ですが、日本では社会的背景からなかなか臓器移植が進
みません。そんな背景から、健康な人より臓器提供を受ける生体移植が始まりました。
  生体移植はまだ歴史の浅い医療です。現在、腎臓、肝臓、膵臓、小腸、肺等の臓器で
生体移植が行われています。生体移植には、予定した手術ができること、臓器の活き
(Viability)がいいこと、近親者からの移植なので生着しやすいことなど、脳死移植
よりも優れていることが多くあります。特に生体腎臓移植、生体肝臓移植はそれぞれ
7,200例、4,000例の数が日本で行われており、その成績も安定していることから、安
全で確立された医療といえます。
  しかしながら生体移植には、本来手術を受ける必要のない健康な臓器提供者が手術を
受けなければならない、という大きなリスクがあります。安全な手術を提供することは
もちろんですが、当院では臓器提供をしていただくドナーさんの抱く様々な不安を十分
に受けとめるため、こころの診療科等と協力しながら、今まで十分ではなかったドナー
さんのケアに全力を尽しています。
  国立成育医療センターでは昨年6月に移植免疫診療科を新設し、豊富な移植医療経験
のもと、肝臓移植を中心に移植医療を広く提供しております。当院では充実した集中治
療部、麻酔科、消化器科スタッフとの連携で、緊急を要する劇症肝炎に対する肝臓移植
にも成功しております。お気軽にご相談ください。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<自己紹介>
笠原群生(かさはらむれお)特殊診療部 移植免疫診療科
出身地:群馬県前橋市 
群馬県生まれのため、このような名前になってしまいました。名前を人前で言えるよう
になったのはごく最近のことです。
趣  味:プレミアリーグ観戦、娘と散歩、仲間と食事,手術見学
好きな球団:阪神タイガース

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●「女性総合外来」のご紹介
                       周産期診療部 母性内科 荒田 尚子

 成育医療センターの診療の大きな柱である母性医療の一環として、女性が抱える“こ
ころ”と“からだ”の悩みを気軽に相談できる、「女性総合外来」が、2003年7月
より開設されています。
  妊娠可能な年齢の女性を主に対象として、婦人科に関連した症状や病気についての悩
み、子供ができないことへの悩み、こころの悩み、産前産後の体調不良、育児中や仕事
で疲れた女性の体調不良、慢性的な病気を持った方の妊娠についての相談などを、6人
の医師がそれぞれの専門分野を生かしながらお受けしています。
  電話での予約の時点で専門の看護師がお話をうかがいますが、診察や治療が早急に必
要と思われるような場合は、通常の外来をおすすめすることもあります。相談者の立場
に立った適切なアドバイスを予約の時点から行い、さらに最も適した専門家が、十分な
時間をかけてカウンセリングを行っています。昨年度は約330名のご相談を受けてい
ますが、受診された方の受診後の調査においても、満足度の高いものとなっています。
  私は内科医として、主に漠然とした体調不良や慢性的な病気を持った方の妊娠につい
てのご相談をお受けしています。
  特に産後1年目は、妊娠中に増加していた女性ホルモンの低下、免疫状態の変化がお
こり、育児による不眠や疲労、授乳による体力の消耗などもあって、心身の不調を訴え
て来院されるかたが多くみられます。たいていは、疲労や産後の体調回復の過程からく
るものですが、なかには自己免疫疾患や産後うつなど治療の必要な状態もありますので、
「慣れない育児のせい」と思うよりは、一度女性総合外来でご相談されることをおすす
めしたいと思います。また、病気を持ったかたの妊娠への不安については、医療の進歩
とともに多くの病気が妊娠可能となっていますので、どうぞご相談ください。

外来の詳細はホームページをご覧ください。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<自己紹介>
荒田尚子(あらたなおこ)周産期診療部母性内科
趣味:オペラ鑑賞(今は子育てでお休み中)
3歳児(反抗期真最中)の母。専門は内分泌代謝内科(甲状腺疾患、糖尿病など)で
す。
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●新任医師の紹介

 平成18年7月1日付
      特殊診療部    小児腫瘍科医長  森 鉄也
      総合診療部    救急診療科医師  辻 聡
      第一専門診療部  アレルギー科医師 成田 雅美

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成育医療センター内には、たくさんのハートフルサイン(オブジェ)があります。
今回は「ひとりじゃないね」と「ようこそ」の2点をご紹介。

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     成育すこやかジャーナル No.43(2006/6/23)
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 成育すこやかジャーナル第43号をご覧いただきありがとうございます。

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◆目 次
  ●国立成育医療センター病院長に着任して
                            病院長 加藤達夫
  ●脊髄脂肪腫の安全な手術を目指して
                   第二専門診療部 脳神経外科 井原哲
  ●成育庭園の紹介
                         運営部 次長 山崎完好
  ●新任医師の紹介

 ●トピックス
   「看護の日」

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●国立成育医療センター病院長に着任して
                            病院長 加藤 達夫

 当センターは「安心してこどもを産み育てるための医療」を行動計画の第1の
柱にしています。胎児から新生児、乳幼児期、小児学童、思春期を経てあらゆる
分野の疾患に対し精鋭の医師を配し、最先端の治療を行ってきております。
チーム医療を柱としての365日24時間誰にでも開かれたプライマリーケアー、
救急、救命救急、最先端を行く未熟児網膜症の手術、生体肝移植、再生医療、胎
児医療、PICU、NICU等、多彩にわたる医療を行っております。更に身体
的疾患のみならず「こころ」の問題を持つ方々にも配慮した医療を行っておりま
す。
  「こども病院」のイメージが強いかと思われますが、産科では年間1,500人を
越えるお産があり、その30%はご希望により無痛分娩を施行いたしております。
更に16歳以上の女性を対象とした女性(母性)外来も、専門医が治療いたして
おります。
  また、外来では日帰りで出来るマンモグラフィーやMRI検査も積極的に行っ
ておりますので、近隣医療機関の方々にご活用いただければ幸いです。
  建物の構造、各施設などにも工夫を凝らし、皆様が快適に、まるでご自宅で過
ごすのと同じような気持ちを持ってお過ごし頂けるよう努力致しております。外
来では診察待合室前で長くお待ちにならなくてもよいように、皆様にPHSをお
渡しして診察直前にお呼びするシステムを導入し、長い待ち時間でも退屈されな
いよう工夫いたしているところでございます。
  開院以来皆様の御意見、御指摘を戴き、至らぬところは改善いたして参りまし
たが、今後とも最適な医療を行うことを目的として努力いたす所存です。
  当院はますますの超少子化を迎えた今日、「健全な次世代を育む」ための医療
を更に前進させるため、本年も、昨年にも増した活発な活動を行ってまいります。
皆様の変わらぬご支援を心からお願い申し上げます。

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●脊髄脂肪腫の安全な手術を目指して
                   第二専門診療部 脳神経外科 井原 哲

二分脊椎をご存知でしょうか?
腰からお尻にかけての背骨(腰椎から仙椎)の後半部分(椎弓)が部分的に欠
損した状態を総じて二分脊椎と呼びます。本来脊柱管(背骨の中の脊髄の通り
道)の中にある神経組織が欠損した椎弓からはみ出して露出している開放性二分
脊椎と、皮膚に覆われており外から見ただけでは二分脊椎になっていることが分
かりにくい潜在性二分脊椎に大別されます。前者の代表が脊髄髄膜瘤で、後者の
代表が脊髄脂肪腫になります。潜在性二分脊椎ではしばしば腰からお尻にかけて
の皮膚(多くは正中部分)の異常を伴います。小さなくぼみがあったり、異常な
毛が生えていたり、瘤のように盛り上がっていたりといった所見です。
脊髄脂肪腫では脊髄や神経根に脂肪が付着したような、あるいは脂肪が絡まり
あったような状態となっています。このことが原因で脊髄が足側に引っ張られる
ような状態を起こす事があり、これを脊髄係留と呼びます。脊髄係留は下肢の運
動感覚障害や排尿障害を引き起こす事があるため、明らかな脊髄係留が確認され
れば脊髄の引っ張られた状態を解除する手術、脊髄係留解除術が必要になります。
しかし脂肪腫の周囲は下肢の運動感覚機能あるいは排尿機能に関係する非常に大
切な神経ばかりです。手術にあたってはいかに周囲の神経機能を温存できるかが
問題になります。私たちは、術中に神経生理学的手技を駆使して陰部神経や下肢
運動機能をモニターしながら手術を進めることで機能温存を図っています。脊髄
係留による障害、特に排尿障害は長期間放置された後では術後の改善も思わしく
ありません。やはり早期発見、早期治療が重要となります。

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(自己紹介)
井原 哲(いはら さとし)第2専門診療部 脳神経外科 医員
出身地  : 兵庫県尼崎市
ですが、大学入学後関西に全然戻っていないため関西
人のダシは抜けつつあります。
趣味   : スポーツ観戦、スケッチ
スポーツ : アイスホッケー(今でも細々と続けています)
好きな球団: 中日ドラゴンズ

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●成育庭園の紹介
                         運営部 次長 山崎 完好

 成育医療センターには、病院と研究所とに囲まれた成育庭園と屋上庭園があり
ます。
  成育庭園は、安全な場所を確保するために車の動線から分離された場所にあり、
多くの樹木や広場、せせらぎ、池等があります。
  庭園には橋、滝、散策路等の様々な仕掛けが盛り込まれ、子どもたちが自然の
なかで自由な発想を生み、「あそび」を通して育っていくことができる環境が図
られており、北側玄関入り口には「象」さん(四方菜々子さんの作品)が皆さん
をお迎えするように立っております。
  また成育庭園はいつも利用することができ、災害時には地域の皆さんの避難場
所であります砧公園、世田谷運動場への避難通路にもなっております。
  屋上庭園は5階から7階にありますが、5階の庭園は院内学級に面して設けら
れ、教室から直接出入りでき、子ども達の活動が屋内から屋外へ展開されるよう
に図られております。6階の庭園は妊婦さんが自然の環境に触れながら、リラッ
クスできるような雰囲気を醸し出しております。7階の庭園は入院している「こ
どもさん」が病棟から庭園を眺めたり、屋外に出て自然な環境に触れられること
ができるようになっております。
  屋上庭園は一般の皆さんは見ることはできませんが、成育庭園は何時でも開放
されておりますので、ぜひ一度お越し頂ければと思います。

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●新任医師の紹介

 平成18年6月1日付
      第二専門診療部    形成外科医師  大原 博敏
      手術・集中治療部   集中治療科医師 齊藤 一郎

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●トピックス
  看護の日
  毎年5月12日は「看護の日」。
  12日を含む週の日曜日から土曜日までが「看護週間」でした。
フローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ制定されました。1965年から
国際看護師協会(本部:ジュネーブ)は、この日を「国際看護師の日」に定めてい
ます。
  21世紀の高齢社会を支えていくためには、助け合いの心、看護の心を私たち
一人一人が育んでいくことが必要です。このような意識を喚起するきっかけとな
るように、旧厚生省により1990年に制定されました。
  当センターでも「看護の日」に、患者さまを対象とした取組みを行いました。

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     成育すこやかジャーナル No.42(2006/4/17)
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 成育すこやかジャーナル第42号をご覧いただきありがとうございます。

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◆目 次
  ●「医師主導治験」への取り組みについて
                        治験管理室 室長 中村秀文
  ●小児腫瘍科
                    特殊診療部 小児腫瘍科 清谷知賀子
  ●ぜん息の治療について
                  第一専門診療部 アレルギー科 二村昌樹
  ●新任医師の紹介
  ●トピックス
   ソプラノ二重唱コンサート

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●「医師主導治験」への取り組みについて
                        治験管理室 室長 中村秀文

 治験とは、我が国における薬や機器の使用を正式に厚生労働省に認めてもらう
ために、患者様を対象として、「安全かつ効く」ことを評価する試験のことです。
  子どもで薬や機器を試験するためには、細胞や動物などによる実験を繰り返し
さらには大人での試験を行って、子どもに対しても、「安全である」と考えられる
薬のみが、子どもでの治験の対象となります。

 国立成育医療センターには、日本で初めて、「成育医療」を専門とした治験管理
室が病院開設と同時に設置され、子どもでの治験をより安全に行えるように、ま
たより質の高い治験が行えるように、多角的な活動を行っています。今回はその
うち「医師主導治験」への取り組みについてご説明しましょう。

 子どもの薬や機器の開発は、製薬会社にとって利益が上がりにくい、治験の実
施が難しいなどの理由で行われないことも多く、子どもでの正式な使用が認めら
れていないものも多くあります。このため、海外ではあたりまえのように使える
薬や機器が、日本では自費で輸入しないと使えない、あるいは保険で使用が認め
られていないので必要な子どもに使えない等の問題が起きています。平成16年
からは、このような薬や機器について、医師が独自に子どもでの治験を行う「医
師主導治験」が薬事法で制度として認められることになりました。もちろん、製
薬会社が治験を行うのと同じレベルの安全基準が課せられており、同じレベルの
安全性が保証されています。

 国立成育医療センターでは、製薬会社による治験を積極的に行っているのみな
らず、製薬会社が開発に乗り出さないような薬を子どもさんの元に早く届けるた
めに、この「医師主導治験」にも積極的に取り組んでいます。
  現在実施中の治験は、1)麻酔中に用いるクエン酸フェンタニル(2歳以下で
使ってはいけないとされている)の評価、2)新生児のけいれんに対する静注用
フェノバルビタールの評価、3)難治性のがんに対する塩酸イリノテカンの評価
の3治験です。また現在準備に参加しているものとして、4)てんかん様発作を
伴うミトコンドリア性脳症(MELAS)という病気に対するL-アルギニンの評価、
があります。これらの薬の使用を早く厚生労働省に認めていただくことも、ナシ
ョナルセンターとしての我々の大切な仕事であると考えています。

 将来的には、研究所で開発中の治療法についても「医師主導治験」によって早期
に実用化が出来るように、医師主導治験の体制をさらに強化していきたいと考え
ています。また当センターのみでなく、日本全体における治験の体制整備にも積
極的に取り組んで、我が国の子ども達が、世界最高の治療を受けられるよう環境
を整備していきたいと考えています。

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<自己紹介>
中村秀文(なかむら ひでふみ)治験管理室 室長
出身大学:九州大学医学部、久留米大学小児科臨床大学院
経  歴:久留米大学小児科、国立病院医療センター(現国立国際医療センタ
      ー)、トロント小児病院 (カナダ)、レインボー小児病院(アメリ
      カ)、医薬品医療機器審査センター等を経て2002年3月のセンタ
      ー設立時より現職。「子どもの薬」の専門家です。
趣  味:料理、キャンプ、音楽鑑賞等
夢   :1、日本の小児医療を世界最高にすること
      2、台所の大きな一軒家に住むこと

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●小児腫瘍科
                    特殊診療部 小児腫瘍科 清谷知賀子

 本来からだにないものが生じた場合、それを腫瘍とよびます。その場所に留ま
ってあまりからだの負担にならないものもあれば、全身に広がってからだに大き
な影響を与えるおそれがあるため積極的な治療が必要なものまで、その性質は千
差万別です。

 小児腫瘍科・血液科は各科と密に連携をとりながら、それぞれの腫瘍の性質や
広がりをみきわめ、必要な治療を組み立てていく役割を担っています。手術、化
学療法、放射線が腫瘍治療の3本柱ですが、小児腫瘍科・血液科は化学療法の中
心的存在です。診療対象は白血病・悪性リンパ腫や骨髄異形成症候群といった血
液系腫瘍から、神経芽腫、横紋筋肉腫、Ewing肉腫、肝芽腫といった固形腫瘍、
網膜芽腫(両側)や脳腫瘍と多岐に渡り、2005年はそれまでの患者様に加え、
新たに約40名の患者様の診療にあたりました。

 また造血幹細胞移植も小児腫瘍科・血液科の仕事です。造血幹細胞移植といっ
ても、主に白血病や免疫不全症で行われる同種骨髄移植や臍帯血移植から、大量
化学療法を目的に行う固形腫瘍での自家幹細胞移植まで、その方法は様々ですが
8Wの2室のクリーンルームを中心に年間15例程度行っています。

 わたし達の何よりの強みは各科の風通しがよくフットワークが軽いことです。
2週に1回開かれる腫瘍カンファレンスでは関係各科が集まり逐次新規症例や問
題症例の討議を行っていますし、それ以外の時でも普段から情報を共有している
おかげで必要な時にスムーズに協力しあえていると感じています。こういった細
かいことの積み重ねがよりよい治療ができるような環境作りに通じているのだと
思います。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<自己紹介>
清谷知賀子(きよたに ちかこ)特殊診療部 小児腫瘍科
趣  味:ダイビングと乗馬(年1回、夏休みの時ぐらいしか行けない)
スポーツ:学生時代はテニス部
好きなもの:かば(旅行に行くと現地の動物園にはとりあえず行ってみます)

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●ぜん息の治療について
                  第一専門診療部 アレルギー科 二村昌樹

 「夜ゼーゼーして眠れない」、「運動すると胸がヒューヒューいって苦しくな
る」、このような症状がお子さんに出ていませんか?繰り返して起こるようなら
「ぜん息」の可能性があります。

 ぜん息は、酸素を肺まで運ぶ通り道(気道)のうち気管支といわれるところの
病気です。ダニやホコリなどに対するアレルギー反応や、冷たい空気やたばこの
煙などさまざまな刺激によって気管支が細くなってしまいます。こうなると気道
が狭くなり、呼吸が苦しくなるわけです。この状態をぜん息発作(ほっさ)とい
います。

 発作の治療には気管支をひろげる内服薬や吸入薬などを使います。しかし治療
をして一旦よくなっても、ぜん息の患者さんの気管支は過敏な状態にあるので、
また刺激を与えると細くなって苦しくなります。これを防ぐためには、ぜん息で
は発作が起きていない時の治療も大切です。
  発作を起こさないようにするためには、まず原因となる刺激を避けることです
ダニやホコリを減らすように掃除を心がけたり、周囲の人間が禁煙したりするこ
とで、発作を引き起こす要因は減らすことができます。
  その次に大切なことは、気管支の過敏性を治療することです。発作の回数が多
い場合にはステロイドの吸入薬などの薬剤を毎日使用することで過敏性が減少し
ていきます。薬を使うだけではなく、規則正しい生活やバランスのとれた食事で
丈夫な体を作っていくことも必要です。

 昨年秋に「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005」が発刊されまし
た。これはぜん息の患者さんが、一般的に効果が高いと考えられる治療を日本全
国どの病院でも受けられるようにするために作成されたもので、その内容は治療
の進歩に伴って定期的に改訂されています。現在ではぜん息の子供たちを診察す
る多くの小児科医や内科医に認知されており、治療に役立てられています。こち
らの内容は医師向けなので、一昨年発刊されたものですが、一般の方々向けにも
本が出版されています。興味のある方はご一読ください。

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<自己紹介>
二村昌樹(ふたむら まさき)第一専門診療部 アレルギー科(2006年3月
まで)
  今年の3月まで当センターアレルギー科医師として勤務しておりました。
4月よりあいち小児保健医療総合センター アレルギー科に勤務先が変更致しま
した。これからもアレルギーに関する様々な問題に取り組んでいきたいと思って
おります。

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●新任医師の紹介

 平成18年4月1日付
      第一専門診療部  循環器科医長  磯田 貴義
      第一専門診療部  消化器科医師  肥沼 幸
      第一専門診療部  循環器科医師  豊田 彰史
      第二専門診療部  脳神経外科医師 井原 哲
      第二専門診療部  皮膚科医師   幸田 太
      手術・集中治療部 疼痛管理科医師 喜久山 至
      周産期診療部   産科医師    堀江 裕美子
      周産期診療部   婦人科医師   三井 真理
      周産期診療部   新生児科医師  難波 由喜子
      周産期診療部   新生児科医師  伊藤 直樹

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●トピックス
  ソプラノ二重唱コンサート

 3月28日に病棟6Fと11Fで「ボランティアの会」主催によるソプラノ二
重唱のコンサートを行いました。「ピアチェーレ」の皆さんに春を意識した曲目
をたくさん演奏していただき、まるで外の満開の桜が見えるようでした。両病棟
あわせて40名を超える患者さんに聞いていただきました。皆さんと一緒に歌う
コーナーもあり、楽しいひと時を過ごしていただけたことと思います。

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