国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

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成育すこやかジャーナル 平成16年度

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     成育すこやかジャーナル No.29(2005/3/8)
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◆目 次
  ●妊婦さんの糖代謝異常について
                 総合診療部 成人期診療科 荒田 尚子
  ●国立成育医療センターにおける診療放射線技師の役割
              放射線診療部 診療放射線技師長 梶谷 敏郎
  ●ご購読者の皆様方へ◇◇~アンケート調査のお願い~◇◇
  ●新任医師の紹介
  ●インフォメーション◇◇第3回成育医療国際シンポジウム開催のご案内
  ●トピックス◇◇ひなまつり会の開催~保育士より~◇◇

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●妊婦さんの糖代謝異常について
                 総合診療部 成人期診療科 荒田 尚子

 日本人は本来、糖尿病に罹患しやすい民族であり、生活スタイルの変化と
ともに糖尿病人口は増加してきています。平成14年度の調査では糖尿病を
強く疑われる人は約740万人、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると
約1620万人いるといわれています。年令別にみると、女性では、糖尿病を強
く疑われる人は20歳代で0.8%、30歳代で0.9%、40歳代で3.6%
と、治療および生活習慣を変える必要のある女性が30代から40代でこん
なに増えるのです。
  一方、妊娠中は血糖を下げるホルモンであるインスリンの必要量が非妊娠
時の2~3倍になり、そのために、妊娠前にはなかった糖代謝異常が妊娠中
に明らかになってくることがあります。我が国における糖代謝異常妊娠全国
調査によると、糖代謝異常合併妊娠の頻度は、1996年の0.55%から
2002年には0.87%へと明らかに増加しています。そのうち、妊娠中に
はじめて明らかになった糖代謝異常は約60%を占めますが、その約半分は
妊娠前より糖尿病を持っていたのに気付かなかっただけと考えられる人たち
です。この人たちのうち、妊娠初期に血糖コントロールが不良とされた妊婦
さんの児の25%に先天異常が認められ、妊娠前の糖尿病の診断と血糖コン
トロールが重要と考えられます。また、糖代謝異常合併妊娠では、妊娠中毒
症を高率に合併し、帝王切開術を受ける頻度や新生児合併症を認める頻度も
高く、妊娠中の血糖コントロールも重要と考えられます。すなわち、糖尿病
家族歴がある方、肥満のある方、4000g以上の児を出産されたことのある
方、検診などで糖尿病を疑われたことのある方、35歳以上の方など糖尿病
の危険性がある方は妊娠前に糖尿病のチェックをおすすめします。
  最後に、産後糖代謝異常が消失した方々も、将来糖尿病になりやすいこと
は明らかになっており、適度な運動や至適カロリー摂取による肥満の回避、
定期的な糖尿病の検査が必要となってきます。
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自己紹介:子供の欲しい女性、妊婦さん、子育て中のお母さんの味方に少し
でもなれればと思ってここにやって来ました。2歳児の母。内科内分泌代謝医。

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●国立成育医療センターにおける診療放射線技師の役割
              放射線診療部 診療放射線技師長 梶谷 敏郎
 
  診療放射線技師は、一般エックス線検査(以前はレントゲン検査と呼ばれ
ていたもの)、エックス線テレビ検査(主に胃・腸等の検査)、エックス線
CT検査、MRI検査、ラジオアイソトープ検査、放射線治療等の業務を行う他、
超音波検査や眼底カメラ検査を行う事が出来る医療専門職種です。
  当院の特徴として子供の患者さまが大部分を占めると言う事が第一に挙げ
られます。その為、患者さまの安全の確保と言う事については、他の医療機
関以上に病院を挙げて取り組んでいる最優先課題です。放射線診療部でも、
おいでになった患者さまに検査を安全にお受け頂く事は基より、患者取り違
えや、検査ミスの無い様、IDカード(診察カード)のバーコード認証の徹底、
IDカードをお持ちでない患者さまにはご面倒でも生年月日をお聞きして確認
をさせて頂く事を指導いたしております。
  また、今いろいろマスコミ等で話題になっている医療放射線被曝の管理に
ついても、専門職種として充分な取り組みを心掛けており、限りない未来の
夢と希望に満ち溢れた子供たちに必要最小限の被曝で済むような検査方法、
検査条件の検討や、影響を受け易い部分への遮へい(鉛入りゴムで覆う)等
で安心して検査をお受け頂ける体制をとっております。
  検査にお見えになる患者さまの大部分は付き添いの方(お父様・お母様等)
がご一緒にいらっしゃいますが、放射線検査時は原則として患者さま以外の
付き添いの方には検査室から退出頂き、付き添いの方の放射線被曝防止につ
いても考慮する事と致しております(時間外・休日等は一人勤務の為お手伝
い頂く場合もございます)。検査に立ち会えない事で付き添いの方がお感じ
になる不安を取り除く為、検査概要について事前にご説明するように致して
おりますのでご理解をお願いいたします。
  放射線診療部の検査について何かお感じになる事がございましたら何なり
とお近くの職員にお尋ね頂きたいと思います。また、直接言い難い事につき
ましてはご意見箱もご利用下さい。尚、もう少し詳しく状況をお聞きしたい
時、誤解に基づくご意見で是非ご説明させて頂きたい時、不十分な対応等で
謝りたい時の為に是非連絡先をご記入頂きます様お願い致します。ご投書頂
いた事で不利益をお受けになると言うような事は一切ございません。私ども
の努力研鑚は当然の事ですが、貴重なご提案、ご意見を併せてより良い検査、
より良い医療の実践を目指して行きたいと思いますので宜しくお願い致しま
す。
  また、このメールマガジンをご覧頂いている医療機関の先生方におかれま
しては、当院で推進いたしております大型医療機器の共同利用(CT・MRI検
査等の医療連携)につきましても是非ご検討いただき何なりとお問い合わせ
頂きます様宜しくお願い致します。

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●新任医師の紹介
  平成17年3月1日付
      手術・集中治療部 集中治療科医師 宮本 義久

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●インフォメーション◇第3回成育医療国際シンポジウム開催のご案内◇◇
 
平成17年3月26日(土)13時30分より、国立成育医療センター講堂に於いて、
長寿科学振興財団事業助成の下に、第3回成育医療国際シンポジウムを開催
致します。
    テーマ:21世紀の小児医療の体制と医療効率
    日 時:平成17年3月26日(土)13:30-17:00
    場 所:国立成育医療センター 講堂 参加費無料

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●トピックス◇◇ひなまつり会の開催~保育士より~◇◇

 平成17年3月3日(木)、7~9階東西各病棟で、保育士さんによる
「ひなまつり会」が行われました。入院中の子どもたちも、付き添っている
ご家族のみなさんもほんの一時でしたが、「おおかみと7匹のこやぎ」の紙
芝居ペープサート(詳しい様子は下記のアドレスをクリックしてみて!)を
見たり、「ひなまつり」の歌を唄ったりして楽しみました。
紙芝居では、保育士さんのアドリブが子どもたちに大うけ!“おかあさん
じゃーないよ、おおかみの手だよー”とか“おおかみだから、ドア開けちゃ
ダメー”などみんな活発に参加し、楽しい時間を過ごしました。
  なお、成育ボランティアさんや院内スタッフなど多くの方々にご協力をい
ただきました。   

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成育すこやかジャーナル No.28(2005/2/4)
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◆目 次
  ●<特集 花粉症について>
   1)子どものアレルギーとその対策(春に向けて)
              第一専門診療部 アレルギー科 野村 伊知郎
   2)花粉症のシーズン到来です
                  薬剤部 比留間 康二郎・熊田 稚子
  ●救急外来診療でふと感じたこと
                 総合診療部 小児期診療科 石井 徹仁
  ●新潟県中越地震における取り組み
   1)新潟県川口町での災害支援活動(第1班) 
                総合診療部 救急診療科医長 阪井 裕一
   2)新潟県中越地震での災害支援活動(第3班)
                      看護部 手術室 川口 洋子
  ●インフォメーション
   1)年報・業績集(平成15年度(2003))について
   2)成育ボランティアより「チャリティーバザー開催」のお知らせ

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●<特集 花粉症について>
1)子どものアレルギーとその対策(春に向けて)
              第一専門診療部 アレルギー科 野村 伊知郎

 2005年の春はスギ花粉が普段の数倍飛ぶという予想があり、花粉症をお持
ちの方やご家族は不安に思っていらっしゃるのではないでしょうか。この花
粉の影響を完全になくすことは難しいのですが、普通2-3ヶ月間続くつらい
症状を、緩和することは可能です。
  スギ花粉で最も影響を受けるのが、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜
炎であることは言うまでもありませんが、アトピー性皮膚炎もこれによって
悪化すると考えられています。
  スギ花粉を避けるには以下のような方法があります:
  1)使い捨ての紙マスクを着用する。
  2)目を覆う形のゴーグルを着用する。通常のメガネでも裸眼よりはよい。
  3)外から屋内に入ったら、うがい、洗顔を行う。
  4)布団を外で干さずに、室内で布団乾燥機などを使用する。外で干したな
ら、掃除機で表面を吸引する。
  5)ヘパ(HEPA)フィルターを内蔵した空気清浄機を使う。
  6)つるつるした上着を着用する。
  7)最も花粉が浮遊している午前11時から夕方までは外出を控える(これ
は東京の場合。山間部では、早い時間帯があぶない)。
  目や鼻に花粉が侵入し、粘膜にくっついて花粉内容のアレルゲンを少しず
つ放出しますので、目や鼻の粘膜にくっついた花粉を洗い流すことも有効で
す。水で洗うと非常な痛みを伴うので、必ず生理食塩水で行います。これは、
普通のコップ約200ミリリットルの水に、小さじ半分の塩を入れて作ります。
目はまぶたを少し持ち上げて、5ミリリットルの注射器(もちろん針なし!)
を水鉄砲のようにして、まぶたの内側にかけてあげます。アレルギー性結膜
炎では、まぶたの内側でもっとも炎症が起きるために、ここを洗うことが大
切です。1回洗っただけで、かゆみがとれるのがわかると思います。また、
8歳以上のお子さんでは、この生理食塩水を鼻から吸って洗うことも可能で
す。これもすばらしい効果がありますが、気管に吸い込まないように慎重に
行う必要があります。
  薬については、局所治療として、目には抗アレルギー点眼薬とステロイド
点眼薬があります。ステロイド点眼薬は緑内障などの副作用がありますので、
必ず眼科医の検診を受けながら使うべきでしょう。鼻にも抗アレルギー点鼻
薬とステロイド点鼻薬があります。こちらは、ステロイドであっても、1日
1-2回なら副作用の心配はあまりないと考えられています。
内服薬は、眠気の少ない抗アレルギー薬が使えるようになっています。

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自己紹介:アレルギー免疫を専門として働いています。患者さんの慢性的な
症状や不安に、科学の光をあてて、どんどん解決できる医師になりたいと考
えています。趣味はドライブと読書です。

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●<特集 花粉症について>
2)花粉症のシーズン到来です
                  薬剤部 比留間 康二郎・熊田 稚子

 花粉症のシーズン到来です!昨年の夏が猛暑だったため、例年の数倍にも
及ぶ花粉の飛散が予測されています。そんな花粉対策として最近お店では、
高性能マスクや保護めがね、花粉をガードするスプレーや鼻に塗るクリーム、
花粉洗浄スプレー、機能性乳酸菌や漢方薬など様々な快適便利グッズが販売
されているようです。
  病院では主にアレルギー症状(目のかゆみ、鼻水や鼻詰まり、くしゃみな
ど)を抑えてくれる薬がよく処方されています。その薬の種類は様々で、錠
剤、シロップ、散剤、点鼻薬、点眼薬、吸入薬などがあります。花粉症のア
レルギー症状を予防するような薬は、効果が現れるまでに時間がかかるので、
早い時期に使用を始めると症状がより軽くなります。花粉の飛散シーズン中
は症状が軽くなったからといって途中でやめないことも大切です。以前この
種の薬は1日2~3回の服用が必要で、日中服用すると眠くなりやすかった
のですが、最近では服用回数が1日1回で、日中に服用しても眠くなりにく
い薬が主流となってきました。
  また、花粉症の薬には、気管支喘息やアトピー性皮膚炎と共通して使用さ
れる薬があるので、これらの疾患に処方された薬や大衆薬との併用により、
一般的な副作用である眠気が強まることがあるので注意しましょう。
  何か気になる点がありましたら、医師・薬剤師に気軽にご相談ください。

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●救急外来診療でふと感じたこと
                 総合診療部 小児期診療科 石井 徹仁

 ここ最近寒い日が続き、救急外来を受診する患者様も増えてきています。
その中に発熱で受診する患者様もいます。ご両親にお話しをうかがった際に、
発熱に対してどのように対処してよいか十分には解かっていない点に気付き
ます。私自身、振り返ってみますと、うがい・手洗いなどについては小学校
の保健の授業で教わった記憶がありますが、恥ずかしながら発熱の対応につ
いては医療に携わる仕事につかない限り知り得なかったことと思います。
  学校教育において、発熱などの対応についてもふくめて公衆衛生の教育を
行っている国も実際にあり、日本はその点においては発展途上だと思われま
す。今の状況では救急外来を受診する親が知らなくても全く不思議な事では
なく、実際、救急外来を受診した際に、発熱時の対処法について教わった方
も多いかと思います。
  今後は、発熱のみではなく嘔吐、下痢、痙攣などをおこした際の一般的な
対処法などについても啓蒙をしてゆく場を救急外来以外で作ってゆく事も大
切であると思います。
  救急外来で診療をすすめながら感じたことを書きましたが、小児の公衆衛
生、予防医学的な役割も小児科医も担ってゆく必要があると実感いたしまし
た。

● 新潟県中越地震における取り組み
1)新潟県川口町での災害支援活動(第1班) 
                総合診療部 救急診療科医長 阪井 裕一

平成16年10月27日に当院を出発した私たち医療班第1班6名(事務伊
藤、長野、看護師林、荒武、薬剤師中島、と私)は、東北道、磐越道、北陸
道と遠回りして柏崎の国立病院機構新潟病院で一泊させてもらった後、翌28
日に川口町に入りました。
  人口5,000人の川口町は、今回の地震で最も震度の大きかった場所です。
最初の地震後すでに5日目の朝を迎えていましたが、住民のほとんど全部が
避難所や自動車の中で暮らしておられました。私たちは末広荘という避難所
(もともと高齢者のための通所施設)で3日間に数十人の診療をしました。
前日に診察した84歳の糖尿病のおばあさんが、翌朝パンを喉に詰まらせて今
度は心肺停止で搬送されてきた、という出来事もありました。実際の震災の
被害を目の当たりにし、また電気、ガス、水道の無いところで診療をする、
という初めての経験を通して、様々なことを感じました。私たちは現地には
限られた時間しかいませんから、無事に東京に戻りさえすれば元の生活が
待っている、と思うと衣食住の不便には耐えられます。が、自分の体だけで
なく家族や友人も傷つき、住居や仕事を失い、愛する町が変わってしまった
現地の人たち、特にご老人には何と言葉をかけてよいか分かりません。ただ
ひたすら診療を行い、見聞きし、「一体これからこの人たちはどうなるのだ
ろう」と考えていました。
  非常によかったこともあります。それは、「どんな患者さんが来られるか
分からないが、逃げ出さずにまず自分のできることを行う」「他の医療施設
から来た人たちと協力して、お互いの知識、技術や持ってきた物を共有して
診療する」という活動が、日々当院の救急センターで私たちが行っているこ
とそのものである、と感じられたことです。特に、他院からの依頼を受けて
出かけて行き、そこの医師、看護師と協力して患者さんの状態を安定させた
後、当院まで連れて帰ってくる、という「患者搬送」の経験が大いに生きま
した。「高度先進医療」を目指すナショナルセンターの医療においても、基
本はそこにあると再確認することができました。
  川口町は今、深い雪の中にあると思います。私たちが出会ったあの忍耐強
い人たちの無事を祈ってやみません。自分たちの医療の原点に気づかせてく
ださった皆様に感謝すると共に、いつかまた現地に行って復興を見てみたい
と思っています。

2)新潟県中越地震での災害支援活動(第3班)
                      看護部 手術室 川口 洋子

 平成16年11月2日~5日まで、当センターの医療班第3班として、私
達7名(事務、薬剤師、医師、看護師)は、被害を受けた小千谷市近郊の川
町へ入りました。出発した日は被災後11日目の朝を迎えており、東京―新
潟を結ぶ国道17号線が開通した日でしたが、道路の亀裂やがけ崩れ、墓地
そして家屋の倒壊、半壊などはあちらこちらに見られ波打つ道路を走ったり
する状況でした。川口町では5700人に避難指示が出されており、車中泊、
自衛隊の野外テント、避難所へ滞在している方が殆どでした。私達は避難所
「末広荘」を拠点として、他の医療班と協力しながら24時間診療、往診、
巡回診療を中心に医療援助を行いました。地震直後約2週間が経過した時期
であり、急性期は過ぎ幸いにも大きな外傷や疾患の患者さんは少なく被災時
の熱傷や炊き出しによる熱傷、後片付けの際の外傷の処置、包交が多かった
です。高齢者が多く、かかりつけの病院に行けない方や、高血圧、心臓病、
糖尿病など持病を抱えている方の内服継続のフォローにも関わっていきまし
た。疲労からくる感冒症状を訴える人も多く、水道が使用できない状態での
集団生活、気候も寒さを増し感染症の流行が懸念され、仮設トイレの手指消
毒剤の設置、うがいの奨励などの衛生指導等を積極的に行いました。
  不自由な生活を余儀なくされ被災住民の方は本当に心身ともに疲れきって
いましたが、その中お互いに協力し励まし合う姿、キャッチボールをする子
供達の笑顔に触れ希望を見た気がしました。
  ボランティアの方々の努力、各医療施設から派遣された医療班による支援、
自衛隊による道路の補修や救援物資の運送などなど、全国各地から不眠不休
で援助が行われている姿に、人の絆の大切さを感じました。また、あらゆる
モノが崩壊した被災地の光景を目の前にし、自分自身も余震を肌で感じ不安
で眠れなかった夜を過ごしました。この体験はテレビや情報から受けるもの
とは違い、自然の力の厳しさや大きさを知ると同時に、当たり前の日常生活
ができるという事への感謝を感じました。
  今回、支援活動を通して限られた医療資源で看護をする中、戸惑いや力不
足を感じながら、本当に幅のある看護技術と知恵が必要であることを教えて
いただきました。そして、あらためて「看護のあり方」を考える機会となり、
支援に行かせていただいたことに感謝の思いでいっぱいです。
  現在、川口町は豪雪の中で住民の皆様は仮設住宅生活をしており、まだま
だ大変な状況であることと思いますが、「冬は必ず春となる」との言葉のよ
うに1日も早い復興がくることを信じ祈っています。
  

●インフォメーション

 1)「年報・業績集 平成15年度(2003)」を国立成育医療センターホー
ムページに掲載いたしました。
     
  2)成育ボランティアより「チャリティーバザー開催」のお知らせ
     平成17年2月7日(月)~10日(木)11時~14時の間、成育ボ
ランティア事務所(地下1階)にてバザーを開催いたします。収益金は入院
中のお子様のために使われます。皆様のお越しをお待ちしています。

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    成育すこやかジャーナル No.27(2005/1/14) 

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 成育すこやかジャーナル第27号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

 ●年頭のご挨拶                   病院長 佐伯 守洋 

 ●子どもとテレビ       研究所 成育社会医学研究部長 谷村 雅子 

 ●心理療法士とはどんなことをするの?

   1)こころの診療部では   こころの診療部 心理療法士 佐藤 栄一

   2)アレルギー科では  

          第一専門診療部 アレルギー科 心理療法士 益子 育代

 ●トピックス

   1)“ドナルドのショータイム”

   2)“クリスマス会”

 ●医師の紹介

 

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●年頭のご挨拶                    病院長 佐伯 守洋 

 

 新年おめでとうございます。素晴らしい天候に恵まれた2005年のはじまり 

を皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。 

 2002年3月1日に開院した当センター病院はもうすぐ3年目を迎えようと 

しています。入院治療をして頂いた方々は、開院の年よりは一昨年、一昨年より 

は昨年と年々多くなっており、成育医療という新しい考え方による診療を行って 

いる、国立成育医療センターという病院があるという認識が広まってきたのかな 

とも思えます。また、それと同時に成育医療という概念が少しづつ理解されてき 

ているようにも感じられます。 

 これまで、新しい病院として数々の経験をしてきました。これらの経験を通し 

て、受診された方々やそのご家族の方々にお教え頂いた多くのことを糧として、 

良いところは伸ばし、至らぬ点は改めながら本年も一歩づつ進んでいきたいと思 

っております。一層のご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。 

 

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●子どもとテレビ        研究所 成育社会医学研究部長 谷村 雅子

 

 テレビは、台風や誘拐情報を速報したり、被災状況を報じて救援の架け橋にな

るなど、人々の暮らしに貢献しています。子どもと一緒に歌ったり、踊ったり、

笑ったりと家族との楽しい一時を促してくれることもあります。けれども、健康

に良い運動もやり過ぎると害があるように、子どもがテレビの前で毎日、長時間

過ごすと好ましくない影響も出てきます。テレビを見過ぎても疲労感や痛みのよ

うな自覚症状がないので、決まりを決めて使う習慣を身につけさせることが大切

です。年齢に応じて適切に使いましょう。

 

 2歳までは、テレビを長時間見せないように、子どもの近くでテレビを長時間

付けっぱなしにしないように、心がけて下さい。

 多くの大人はテレビが付いていると、会話が少ない、会話が短い、相手の顔を

あまり見ないで話すため、親子のコミュニケーションが少なくなります。よちよ

ち歩きの頃までの子どもには、顔を見てゆっくり話しかけ、子どもからの働きか

けに丁寧に返すことで、言語能力、親への信頼感、社会性の基礎が築かれます。

 また、この頃はまだ同時に複数のことを上手に行うことができないので、テレ

ビを見ている時は手が休んでいます。テレビの前に長時間いると手先を使ったり

運動する時間も少なくなり、言葉だけでなく、手足の運動機能の発達も遅れます。

 

 自由に歩けて言葉を話せるようになる頃には、登場人物やキャラクターの動作

や言葉を真似し、覚えます。テレビを真似て工作を作ったり、料理を手伝いたが

ったり、テレビで見た生き物を外で見つけて喜んだり、テレビで見たお話の絵本

に興味をもったりします。工作用に紙や空き箱を用意したり、外に連れて行った

り絵本を読み聞かせたりすると、テレビが間接体験で終わらずに、むしろ直接体

験のきっかけになります。しかし、善悪や危険性の判断がまだできないので、危

険な真似や好ましくない言動も真似します。番組を選んで見せましょう。真似を

して困るときは注意するか、面白がらないでいるとそのうちに忘れます。

 生活がテレビだけに偏らないように、見る番組を決め、見終わったら消すこと

を教えましょう。ビデオやテレビゲームについても同様です。

 

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●心理療法士とはどんなことをするの?

 1)こころの診療部では     こころの診療部 心理療法士 佐藤 栄一

 

 心理療法士は「こころの診療部」に所属をしています。こころの診療部には、思 

春期心理科、発達心理科、育児心理科の3科があります。各科の医師の指示によ 

り心理療法士と患者様との関わりが始まります。 

 発達障害や問題行動、心の病等に対して望ましい改善援助を展開するため心理 

検査を行います。患者様が初めて心理療法士とお会いするのはこの検査を目的と 

する場合が多いと思います。検査には様々な種類がありますが、1つの検査に対 

し概ね1時間前後を目安としご家族の方のお話を聞く事も含め1時間半を検査時 

間としています。この検査結果を担当医と話し合い今後の方針を立てます。その 

結果「心理相談」「心理療法」が必要となった場合定期的に通う事が始まります。 

これらは 50分を目安に予定が組まれます。

 心理検査・心理相談・心理療法は予約制になっています。1人の患者様に 50

分から1時間半の時間をかけますので医師の指示を受けた日に予約をお取りする 

事となります。 

 心理検査には多くの種類があり「知能・発達検査」と「性格検査」に大別さ 

れます。ひとつの検査では測れる範囲が限られるため複数の検査を行い検査結果 

の信頼性を高めます。検査によっては1回で行う事ができず複数回来院してもら 

う場合もあります。 

 心理相談は発達障害や問題行動、心の病を持つお子さんのご家族に対して生活 

上の問題や学校等地域との連携について相談して行きます。 

 心理療法は面接やプレイセラピー、箱庭療法等、患者様の望ましい改善援助と 

なる手法により定期的に行われます。 

 このように患者様の発達の問題や行動上の問題、心の病について検査・相談・ 

心理療法を行う職種が心理療法士です。 

 

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●心理療法士とはどんなことをするの? 

 2)アレルギー科では   

           第一専門診療部 アレルギー科 心理療法士 益子育代 

 

 全国的にアレルギーを専門とする心理療法士は少なく、小児のアレルギー領域 

でとなるとかなり珍しい存在となります。では、どんな仕事をしているかと言う 

と・・・。 

喘息やアトピー性皮膚炎に代表されるアレルギーの病気の多くは、患者さまやご 

家族が病気のことをよく理解し、自分たちで治す努力をしなければ良好なコント 

ロールは得られません。そうは言うものの、スキンケアやお掃除、吸入や三度の 

食事と毎日の生活の中でのコントロールはなかなか大変なものです。まして、親 

御さんご自身のことならどうにでもなりますが、言ってもやらないのが子どもで 

す。子どもに対して声は大きくなるものの状況は悪くなるばかり。これでは、互 

いにストレスが高くなるばかりで、努力の成果は得られません。このような悪循 

環を断ち切り、治療効果が上がるようにサポートするのが心理療法士の仕事です。 

 アレルギー科でサポートしている具体的な例をあげますと、 

・子どもはかゆくて掻いているというより、親の気を引くために掻いているので 

 は・・・ 

 ⇒痒い時しか親に構ってもらえないと、構ってもらいたいという気持ちから痒 

  くなる時もあります。 

 ・子どもがスキンケアを嫌がる、親が言っても吸入をやろうとしない・・・ 

 ⇒嫌がるのを無理にさせようとすると、ますますスキンケアを嫌いにさせてし 

  まうことがあります。楽しく行う工夫、出来た時に褒めることなど工夫が必 

  要です。 

 他にも、次のような問題があります。 

 ・学校でいやなことがあると発作がおきる 

 ・子どもを叱ったりすると蕁麻疹が起きる 

 ・湿疹でクラスメイトにいじめられる 

 ・親がイライラしていると、子どもの病気が悪くなる 

などなど・・・ 

 このように、子どもが自分の気持ちをうまく表現できず病気と関連したアレル 

ギー症状として現れる心身症的な問題、親の対応によって起きやすい条件付け 

(掻いた方が親の気が引ける)の問題などが潜んでいることがあります。こうし 

た場合、通常の治療と平行して心理療法を行います。主にはストレスマネジメン 

トや行動療法などを行っています。「どうせやったって・・・」と不合理な考え 

方を修正したり、子どもの気持ちの伝え方、親の対応の仕方を調整して親子関係 

を改善したりして、セルフケアが習慣化できることをめざしています。 

 子どもの対応がうまくいかなかったり、治療に行き詰まりを感じたりしたとき 

は、診察時に医師に相談していただければ、必要に応じて心理療法士への依頼を 

してもらえます。 

  

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●医師の紹介

  平成 17年1月1日付

    第一専門診療部 呼吸器科医師 肥沼 悟郎 

    第二専門診療部 整形外科医師 日下部 浩 

 

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●トピックス 

 

 1)“ドナルドのショータイム” 

 平成 16年12月17日(金)、マクドナルドハウスのご好意により、エントラ

ンスホール豆の木にて“ドナルドのショータイム”が開催されました。 

ドナルドと一緒に歌ったり、踊ったり、子どももおとなも一緒になって楽しみま 

した。 

 

 2)“クリスマス会” 

 平成 16年12月24日(金)、7~9階各病棟で保育士さんたちによる“クリ

スマス会”が開催されました。クリスマスイブの日にふさわしい素敵なイベント 

のプレゼントに子どもたちはたくさんの拍手と笑顔で応えてくれました。 

 

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    成育すこやかジャーナル No.26(2004/12/8) 

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 成育すこやかジャーナル第26号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

 ●<特集 生活習慣病について> 

   ・生活習慣病外来について   

             第一専門診療部 内分泌・代謝科医長 堀川 玲子 

   ・子どもの偏食について     栄養管理部 管理栄養士 張替 まき

 ●子どもの事故についての注意事項とその対処法 

                   総合診療部 救急診療科長井孝二郎 

 ●おもちゃライブラリーのご紹介~発達に障害のあるお子さんのために~ 

                  第一専門診療部 神経内科医長 岡 明 

 ●報告~こころの診療部主催~院内コンサート

         

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<特集 生活習慣病について> 

●生活習慣病外来について   

            第一専門診療部 内分泌・代謝科医長 堀川 玲子 

 

 肥満症や生活習慣病が先進各国で社会問題となり、アメリカでは” Fat Land"

  (邦題:デブの帝国 )がベストセラーとなるほど問題は深刻です。我が国でも肥

満は急激な増加を示し、これは大人だけの問題ではありません。

 日本では小児における肥満による2型糖尿病は他国に類を見ない速度で増え続

けています。糖尿病を発病していなくても、肥満のお子さんの検査をすると「耐

糖能異常」が多く見られ、糖尿病予備軍が多く存在することがわかります。糖尿

病だけでなく、高脂血症、脂肪肝、高尿酸血症なども見られます。

 小児生活習慣病の予防は、まさに「生活習慣」の見直しから始めます。生活習

慣病外来では、家庭医や学校と連携してリスクのあるお子さんたちを早く発見し、

早期介入していきたいと考えています。外来にいらした方には、毎日の生活がど

のようなリズムで送られているのか、そのなかでどのように食事をとっているの

か、どの程度体を動かしどの程度テレビゲームの前に座っているのか、食べ過ぎ

ているお子さん(ご家族も)にはなぜ食べ過ぎてしまっているのか、心理的な要

因はないか、などを医師・栄養士・心理士やこころの診療部医師・看護師がチー

ムになって診ていこうとしています。こうしたチーム医療が必要なのは、ただ体

重を減らそうとするのには無理があり、体重が増える背景から考えていかなけれ

ばならないからです。

 肥満も生活習慣病も、痛くもかゆくもないのが困ったところです。でも将来の

健康には大きく影響するのです。この点を子供たちにどのように理解してもらえ

るか、どのように生活習慣の改善を実行に移してもらえるか、どんなふうにお手

伝いすればよいのか・・・試行錯誤の毎日です。

 

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<特集 生活習慣病について> 

●子どもの偏食について       栄養管理部 管理栄養士 張替 まき

 

 近年、子ども達にも肥満、高脂血症が急増しています。幼児期以降の肥満は思 

春期、成人へとつながり、生活習慣病を発症する率も高くなっております。肥満 

の要因として、食べすぎ・運動不足などが挙げられますが、とくに子どもの食事 

面で注意することは、孤食・偏食・間食・欠食・夜食です。今回は、偏食につい 

てお話させていただきます。 

 食べ物の嗜好はたいがいが、離乳期から幼児期にかけての食経験によって変化 

しながら形成されます。味覚も成長するにつれ発達していく部分もありますが、 

子どもの頃から磨いておかないと、どんどん感じる味の幅が狭くなってしまいま 

す。 

 野菜嫌いで野菜を残してしまう、逆にお肉やフライドポテト、牛乳は大好きな 

ので、おかわりしてそればかり食べてしまうという子ども達も多くみられます。 

これではエネルギ-と脂質のとりすぎになってしまいます。 

子どもの食事えらびの始まりは家庭にあります。家庭の食環境が大切というわけ 

です。 

 飽食の時代、いつでもどこでも食べ物が手に入るようになりましたが、効率化 

で忙しい現代社会では手軽で便利な加工食品や出来合いのお惣菜を買ったり、フ 

ァ-ストフ-ドだけで済ませてしまう家庭も多くなりました。もちろん、これら 

加工食品や外食がすべて悪いわけではありません。ただし、これら一辺倒な食卓 

では、マニュアル化された味付け、同じような食材が集まった料理・・・といっ 

た画一化された味ばかりに舌が慣れ、味覚を育てることがありません。結果とし 

て偏食になり、健全な成長も阻害されてしまいます。 

 今日『スロ-フ-ド』という運動がクロ-ズアップされていますが、このよう 

な子ども達の味覚形成、味の教育を進めていく主旨も含まれています。単にファ 

-ストフ-ドを反対するものではありません。多彩な本当の味・食を守り、地域 

や家庭に伝わる味を大切にします。そして、それを子どもに引き継ぎ、家族や親 

しい人たちと食卓を囲み、和やかな会話でひとときをすごすというものです。野 

菜の収穫や蕎麦打ちなど食材の生産・加工など、流通段階前に目を向けることで、 

食べ物のありがたさを感じ、安心なものを必然と選ぶ姿勢になります。 

 ここで、当院の外来で私がお会いした3歳の女児のお話をします。 

その児はトマトが大嫌いでしたが、幼稚園でトマトの収穫をしてから、トマト嫌 

いでなくなり、さらに同じ赤い食材のにんじんも残さなくなったそうです。トマ 

トの存在を知り、『食べてみよう!』という興味がその児の好き嫌いを変えたの 

でしょう。     

 手作りの家庭の味は一汁三菜のうち、みそ汁だけでも構いません。味噌の種類 

もさまざま、地域により風味が異なり、中に入る具でもその家庭の個性が出ます。 

手作りの家庭の味を食卓に並べ、豊かな食生活をすごし、子どものすこやかな成 

長を見守りたいです。 

 

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●子どもの事故についての注意事項とその対処法 

                   総合診療部 救急診療科長井孝二郎 

 

 当院救急センターでは、 24時間体制で患者様の診療にあたっております。

救急センターをご利用になる患者様のなかには、熱傷や転落などの事故の患者様 

も多くみられます。なかでも、やけど、家具や自転車からの転落、玩具やコイン 

などの誤飲を多く経験します。子どもの事故はその運動面や精神面での発育・発 

達と密接に関係しており、逆にいえば、その特性を理解することで事故を予防す 

ることが出来ます。今回はやけど、転落、誤飲について特徴とその予防について 

お話します。 

 

 1)やけどについて

 生後7~8ヶ月の乳児期ではテーブルの上の物に手を伸ばし、みそ汁やカップ 

ラーメンなどの熱いものに手をいれたり、つかまり立ちをしてテーブルクロスを 

引っ張ってテーブルの上のものをかぶる、などで受傷したり、1~2歳ではいろ 

いろな物への興味が芽生え、ストーブに触れて火傷、などということもでてきま 

す。4歳以上になると自分で危険なもの、と判断出来るようになりますが、子ど 

もの皮膚は大人に比べて薄く、深いやけどになりやすいという特徴もあり注意が 

必要です。熱い飲み物はテーブルの中央に置く、テーブルクロスはしない、スト 

ーブには柵をつけるなどで予防できます。もし家庭でやけどをしてしまった場合 

は流水で充分に冷やし、医師の診察を受けてください。やけどの程度によって処 

置も異なるため安易な判断は禁物です。 

 

 2)転倒・転落事故について

 平衡感覚も未熟で体のわりに頭部が大きく、バランスの悪い幼児期は良く転び 

ます。寝返りするようになると、ソファーやベビーベッドから転落したり、歩行 

器で移動するようになったり、やっと歩けるようになった1歳前後の幼児は階段 

からの転落などがみられます。ベッド柵は必ずあげる、階段や転落の可能性があ 

る場所には柵をもうける、などで予防することが出来ます。 

自転車の前かごに子供さんを乗せて走行中に、お母さんがとっさの出来事に耐え 

きれず自転車ごと転倒し放り出される事例も多く経験します。不安定な二人乗り 

を避けるのが一番ですが、最低でもお子さんにはヘルメットを着用させて下さい。 

頭部打撲後に短時間だけでも意識に変化がみられたり、嘔吐するなどの症状がみ 

られたら至急診察を受けて下さい。 

 

 3)誤飲事故について

 乳児の発達の過程で5ヶ月程度になると手にしたものは何でも口にする時期に 

なります。欧米では内径 32mm以下の物は乳児の口に入る危険性があるとされ、

乳児検診時に直径 32mmのプラスチックの円筒を使い指導がされています。

身近なものではトイレットペーパーの芯がほぼこれと同じ内径になるといわれて 

いますがこれに入る大きさのものは乳児が飲み込む危険があると認識し、畳の上 

などに放置しないことが重要です。胃の中に飲み込んでしまった場合は多くは便 

とともに排泄されるのを待つだけで良いのですが、急に激しく咳き込んだり、ゼ 

コゼコいいだすなどは気道に異物が存在する可能性があります。 

すぐに診察を受けて下さい。 

 

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●おもちゃライブラリーのご紹介~発達に障害のあるお子さんのために~ 

                  第一専門診療部 神経内科医長 岡 明 

 

 おもちゃライブラリーという名前は、あまりなじみがないかもしれません。実 

は、遊びを通じて子どもたちを支援していく目的で、世界中に数多くのおもちゃ 

ライブラリー(英語では Toy Library)が活動しています。

その中でも、私たち成育医療センターのおもちゃライブラリーは、発達などに問 

題のある患者さんを対象として、前の国立小児病院時代に開設されました。おも 

ちゃの専門家と一緒に良質のおもちゃで遊ぶ機会をもっていただき、発達を支援 

することを目指しています。 

「子どもと楽しく遊ぶ」というには当たり前のことのように思われがちです。し 

かし、知的障害などの障害を持つ乳幼児のお子さんの場合には、その当たり前の 

ことが、実際にやってみると難しいことがしばしばあります。私たちの外来でも、 

「こちらからの働きかけに応えてくれない」、「遊ぼうとしても興味を持ってく 

れない」、そんな胸の内を話される親御さんたちがいます。あきらめかけている 

親御さんもいます。おもちゃライブラリーは、どうしたら障害を持った子どもた 

ちと心から楽しく遊び共に笑えるか、親御さんと一緒になって考える場所です。 

おもちゃライブラリーのスタッフは、東京中野にあるおもちゃ美術館での研修コ 

ースを修了したおもちゃコンサルタントの資格を持った方々で、難病のこども支 

援全国ネットワークのプレイリーダーの方もいます。そうした遊びの専門家に、 

交代で来ていただいています。 

 なお、病院内の施設ですので、対象は成育医療センターに受診されている乳幼 

児の患者さんとさせていただいております。窓口として当院の神経内科に受診し 

ていただいて、診察をした上で、ご家族におもちゃライブラリーのご説明をして 

おります。興味のある患者さんは、お問い合わせください。当センターに入院中 

の患者さんでしたら、主治医より岡の方にでも連絡を取ってもらってください。 

 おもちゃライブラリーでは、病気を治すことはできませんが、私たちセンター 

の憲章にある「こどもたちは、年齢や病状にあった遊び、レクリエーションに参 

加」という理念に沿って活動しております。 

 

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●報告~こころの診療部主催~院内コンサート

                  こころの診療部 育児心理科 高橋礼花 

 

 このたびこころの診療部主催の院内コンサート「こころの癒しと音楽の力」を 

 11月8日に講堂にて行いました。ドイツから来日された、ヴァイオリニストの

コー・ガブリエル・カメダさんとピアニストのペーター・フォン・ウィンハルト 

さんによる演奏をお聞きいただきました。多くの入院患者様、外来患者様がいら 

っしゃり椅子が足りなくなるほどでした。また、この時間に、ベッドサイド端末 

にて同時中継も行いました。感想を書いていただいたところ、楽しかった、癒さ 

れた、またやってほしいというご意見を多くいただきました。 

 またこのような企画をもてますように努力したいと思います。今後ともよろし 

くお願いいたします。 


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    成育すこやかジャーナル No.25(2004/11/10) 

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 成育すこやかジャーナル第25号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

 ●研究所の概要とミッション             研究所長 秦 順一 

 ●フッ素の話           第二専門診療部 歯科医師 勝又 由紀

 ●こどもの歯磨きについて 

              第二専門診療部 歯科 歯科衛生士 天正 千鶴 

 ●胎児検査について     放射線診療部 放射線診断科医師 鹿島 恭子

 ●栄養管理部より~安全な食品を選ぶには~

                   栄養管理部 栄養管理室長 飯塚 隆

 ●お知らせ~お店屋さんごっこ~

 ●新任医師の紹介

 

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●研究所の概要とミッション              研究所長 秦 順一 

              

 平成16年10月より、国立成育医療センター研究所は病院のある大蔵の地に 

新設された研究所に移転し活動を開始しました。このように、病院と研究所が近 

接して存在することによって高度専門医療センターとして互いが連携し、成育医 

療を推進する環境が名実ともに整いました。 

 ここで、改めて研究所の概要とその役割をご紹介します。 

 

 国立成育医療センター研究所の研究目標は、受精からヒトとして成長する過程 

で生じる疾患の成立機序の解明とその予防、診断・治療法の開発です。また、健 

全な次世代を育むために社会がもつべき仕組みを提言することも目的にしており 

ます。具体的には生殖生物学を基盤としたヒトの生殖医学、初期発生および細 

胞・器官形成機序とその異常の解明、先天性疾患を含む小児難病の機序解明とそ 

の理論を応用して診断・治療法の開発などの臨床研究をおこなうことを主要なミ 

ッションとしております。 

生殖細胞の発達を出発点とし、個体発生、胎児、幼児、思春期、成人に至る過程 

はヒトの一生の中で心身ともに劇的な成長を遂げる時期であります。この時期に 

生じる疾病は患者さんのみならず、その家族ひいては地域社会に大きな影響をお 

よぼします。したがって、この時期の疾病発症機序の解明には、心身の成長とい 

う時間軸と家族、地域への影響という水平軸とを念頭に入れておく必要がありま 

す。 

このような観点から本研究所では、自然科学系の研究部のほかに、社会医学系の 

研究部が備わっています。 

 

 自然科学系研究部(発生・分化、成育遺伝、生殖医療、小児思春期発育、免 

疫・アレルギー、薬剤治療、移植・外科、母児感染各研究部)では生殖細胞の発 

生から始まる胎児、乳幼児期、小児、思春期の生理を明らかにするとともに、そ 

の破綻で生じる疾病の原因(先天異常、小児難治性疾患、小児がん)を分子遺伝 

学、分子細胞生物学、蛋白化学、発生生物学、システムバイオロジーなどの方法 

論を駆使して研究を進め、その成果を臨床で実践できることを目標としています。 

小児がんは総合的かつ継続的医療を目指す本センターの医療のモデルともなる疾 

患であり、その原因と治療法の改善ばかりでなく、小児がんを克服した患者さん 

の長い人生を支援するための研究も重要です。また、先天性疾患の先駆的治療法 

として再生医学の理論を基にした(胎児治療を念頭に入れた)細胞治療を臨床応 

用するための研究を推進したいと考えています。また、種々の成長障害の原因を 

明らかにし、患者さんのQOLを充分に考慮して、早期診断、予防、治療を図る 

研究も重要なテーマです。 

 

 社会医学系の研究部(成育社会医学,成育政策科学各究部)では乳幼児期から 

思春期におけるこころの発達とその異常のメカニズムをあきらかにするとともに 

家族、コミュニティー(地域社会)がその問題の解決に向けどのように機能すべ 

きか、調査し、あるべき姿を提言します。また、わが国の小児保健のデータベー 

スの作成とその分析によって得られた成果(出生コホート、わが国独特の疾病構 

造など)を政策提言することも求められています。 

 

 このように本センターでは研究所で得られた成果を安全性への配慮と患者さん 

の意思を尊重しつつ病院部門で実践し、同時に臨床の場で明らかにされた課題を 

科学的に解決することを通じて、健全な次世代を育成するための臨床研究を進め 

たいと考えております。 

  

今後とも皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。 

 

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●フッ素の話            第二専門診療部 歯科医師 勝又 由紀

 

 虫歯予防にはフッ素が効くというような話を聞いたことがある方も多いかと思

います。

 フッ素には、

  1)歯の表面を強くする(耐酸性の向上)

  2)初期の虫歯を修復する(再石灰化)

  3)虫歯の原因菌が酸を作るのを抑える

という虫歯予防作用があります。これらの効果を期待して歯にフッ化物の応用を

するのですが、現在日本で応用されている方法としては、フッ化物を歯面に塗布

する方法、フッ化物の入った洗口液でうがいをする方法、フッ化物入り歯磨き剤

を使う方法などがあります。これらの方法ではそれぞれ使われるフッ化物の濃度

が違います。歯面塗布に使われるフッ化物にはリン酸酸性フッ化ナトリウムある

いはフッ化ナトリウムでできた溶液やゲル状のものがあります。これらにはフッ

素が 9000ppm含まれています。ちなみに日本で市販されているフッ素入り歯磨

き剤のフッ素の濃度は 1000ppm以下です。

 

 フッ化物の歯面塗布は歯科医院などで歯科医師や歯科衛生士によって行われる

方法で、フッ化物応用の中では濃度が高く、その頻度は1年に2~4回くらいが

適当とされています。他にもいろいろなフッ化物の利用法があるかと思いますが、

虫歯にどのくらいなりやすいかは人によって違いますので、ご不明な点はかかり

つけの歯科などでご相談されることをお勧めします。

 フッ素は魔法の薬ではありませんので使っていれば絶対に虫歯にならないとい

うようなものではありません。歯磨きが上手にできているかどうかはもちろん、

食事の内容や食べたり飲んだりする時間、頻度によっても虫歯になりやすさは変

わってきます。フッ素の虫歯予防効果はきれいなお口に使うことでより大きく期

待できるものとなります。

 

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●こどもの歯磨きについて 

              第二専門診療部 歯科 歯科衛生士 天正 千鶴 

                             

  子供の歯は生後6ヶ月前後くらいから、生え始めます。歯が生え始めてくると、

お母さんもお子さんの歯磨きについての疑問点が出てくることもあるかと思いま 

す。今回は成長段階を追って、歯磨きについてのお話をさせていただきます。 

 

★5~11ヶ月頃(平均2~4本 上下の前歯)★ 

 この時期は、まず「歯を磨く」ということに慣れさせていくことが重要になり 

ます。歯が頭を出してきた頃でしたら、ガーゼや綿棒などで汚れをふき取る程度 

でもよいですが、少しずつ歯ブラシを口に入れる練習をしていきましょう。その 

後、数ヶ月で歯の本数も増えていきますから、徐々に歯ブラシでの歯磨きを始め 

ていくようにしましょう。 

 磨く時は、歯ブラシを鉛筆持ちにして、なるべく小刻みに動かして磨く事を心 

がけてください。 

※上の前歯のそばには「上唇小帯」という唇と歯茎をつなぐヒダのような筋があ 

ります。ここに歯ブラシが当たると、お子さんは非常に嫌がりますので、お母さ 

んの指で上唇を押し上げて小帯の部分をカバーしてあげながら磨くようにすると 

よいでしょう。 

 

★1歳~1歳半頃(平均8~16本)★ 

 お子さんも色々な物に興味が湧いてきて、歯ブラシも自分で持って磨きたがる 

時期だと思います。歯ブラシを持ちながら遊んで、口の中を傷つけないように注 

意して見てあげながら、歯ブラシを持たせてください。 

お子さんに好きなだけ自由に磨かせてあげた後は、お母さんによる仕上げ磨きを 

行うという習慣をつけていきましょう。 

 生え始めの歯や表側(頬側)、裏側(舌側)など、お子さんでは磨きにくいで 

あろう部分は注意して磨きましょう。特に歯と歯茎の境目はよごれが残りやすい 

場所ですので、丁寧に磨いてあげてください。 

 

★2歳~3歳頃(20本生え揃う)★ 

 奥歯までの20本が生え揃う時期です。奥歯は臼のような形をしていて溝がた 

くさんあり非常によごれがたまりやすい場所です。また、同様に歯と歯の間もよ 

ごれが残りやすい場所になります。しっかりと磨いてあげましょう。 

 お子さんが仕上げ磨きに協力的であれば、糸ようじやフロスなどの歯と歯の間 

をお掃除する道具を使用することをお勧めします。 

 

★歯ブラシ・歯磨き剤について★ 

【歯ブラシ】 

 お子さんの口の大きさ・歯の大きさなどで多少の差はありますが、基本的には 

歯ブラシの箱に表記してある対象年齢に合わせた歯ブラシで、硬さも《ふつう》 

のものを選んで頂いて問題ありません。 

ただし、本人用と仕上げ磨き用の歯ブラシは使い分けていただく方が望ましいで 

す。お子さんが使用する歯ブラシは、噛んでしまったりするので、どうしても毛 

先が開きやすい状態にあると思います。毛先の開いた歯ブラシを使って歯磨きを 

すると、汚れを落とす効率が下がりますので、歯磨きの時間も通常よりも長くな 

ってしまうことになります。仕上げ磨きに使用する歯ブラシは、毛先が開いてき 

たらこまめに取り替えるようにしましょう。 

 

【歯磨き剤】 

 基本的には歯磨き剤がなくても汚れを落とすことはできますので、使用しなく 

ても問題はありません。もし、お子さんが使いたがった場合には、「ぶくぶくう 

がい」ができるようになってから使うようにしてください。無理に使わせる必要 

はありません。 

 歯磨き剤にも色々な種類がありますが、お使いになる場合には、なるべくフッ 

素が配合されている歯磨き剤を選ぶようにしていただくと良いかと思います。 

 

★その他★ 

【仕上げ磨きについて】 

 小学校低学年くらいまでは仕上げ磨きしていただいた方がよいでしょう。 

低学年の頃は、ちょうど永久歯への生え換わりの時期になり、生え立ての 6歳臼

歯などは、お子さんには非常に磨きにくい部分になるからです。 

また、生え始めの歯というのは一番虫歯にもなりやすいです。永久歯は一生生え 

換わる事のない歯ですから、この生え始めの時期からきちんとケアしていくこと 

が大切になります。 

【歯磨きの時間・回数について】 

 歯磨きは「1日何回磨くか、何分磨くか」という考え方ではなくて、いかに 

隅々までしっかり磨けているかが大切な部分になってきます。 

「何回」とか「何分」という考え方には、そこまで捕らわれなくても大丈夫です。 

 

『最後に・・・』 

 乳歯というのは虫歯になると非常に進行が早いので、お母さんが気づかないう 

ちに大きな虫歯になってしまうことがあります。 

 お家での予防もとても大事なものですが、定期的に歯科医院へ通い、チェック 

をしてもらう事も重要なポイントの一つといえます。 

かかりつけの歯医者さんで定期的に診てもらうようにすることで、歯についての 

心配事や疑問点を解決していきましょう。 

 

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●胎児検査について      放射線診療部 放射線診断科医師 鹿島 恭子 

 

 胎児とは、お腹の中の赤ちゃんのことです。一般に妊娠が分かったら、超音波 

エコー検査が行われます。初期には赤ちゃんの心臓が動いていることの確認。 

中・後期には、赤ちゃんの大きさや成長の様子を知ることができます。超音波で、 

少し赤ちゃんが小さいとか、頭が大きいみたい・・・など、赤ちゃんに何か病気 

が疑われることがあります。こんな時は、もう少し詳しく検査することになりま 

す。 

 

 超音波では、赤ちゃんの動き(胎動)のため十分な検査ができなかったり、胎 

盤の陰に隠れて見えにくかったりすることから、繰り返し検査が必要になる場合 

もあります。胎児の状態を詳しく知るために、羊水検査や臍帯から血液検査をす 

ることもあります。もう一つ、 MRI検査があります。この胎児MRI検査について、

少し詳しくお話したいと思います。 

 

  MRIとは磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略で、磁石の力を利

用して画像を撮影します。頭部、脊椎、大血管、腹部、四肢など、検査可能な部 

位は多く、レントゲン写真や CT検査では分かりにくい情報を得ることができま

す。ただし、検査の部位や目的によっては、 MRI検査が適さない場合もあります。

磁気が胎児に及ぼす影響に関しては、ほとんど問題ないだろうとされていますが、 

まだ未知な部分もあります。そのため、人体として急速に発育する器官形成期 

(妊娠 12週頃まで)の間は、MRIの検査は控えるようにと、the Safety

 Committee of the Society for Magnetic Resonance Imagingで勧告されていま

す。 

 

 胎児で MRI検査が適応となるケースは様々です。超音波は小さな視野でしか画

像に残せないのに対し、 MRIは胎児や胎盤の位置に関わらず、胎児の全身がいろ

いろな角度で観察でき全体像が捉えやすく、画像に客観性があると言えます。そ 

のため、治療に関わる各専門家が、できあがった画像を見て胎児の状態を把握し、 

胎児にとって最良の治療方針を立てることができます。 

 

 実際の検査は、妊婦さんにトンネルのような機器の中で横になって頂き、磁力 

を集中させるためのコイルというベルトのようなものをお腹に巻いて撮影します。 

検査時間は 30分程度。磁石の共鳴音が大きいので驚かれる方もいらっしゃいま

すが、ヘッドホンで音楽を聴きながら検査をするなど、各施設で工夫されていま 

す。 

 

 妊娠中はただでさえ母体の変化も著しく、お腹の赤ちゃんのこととなれば、な 

おさら不安が多いものです。心配なこと、分からないことがあれば十分に説明を 

受け、検査を受けられることをお勧め致します。 

 

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●栄養管理部より~安全な食品を選ぶには~ 

                   栄養管理部 栄養管理室長 飯塚 隆 

 

 入院食を全て任されている栄養管理部では、生鮮、冷凍、加工食品、国産品や 

輸入品等多種多様な食材、食品を扱っています。 

 また、食品情報が氾濫している中で食品に対しての様々な問題があります。  

 

 第一には、食品が安全かどうかの判断です。食品を選ぶ基準として、従来は美 

味しさを判断基準としていましたが、現在では食品が安全かどうかが重要なポイ 

ントとして食事提供がなされています。 

  2000年にJAS法が大幅に改正されて、表示が義務化され、食品を選択する

上でかなり容易になりましたが、まだ様々な問題点があります。 

  

 私達消費者は、普段何気なく見ている表示をどう解釈しているのでしょうか。 

例えば肉でいうと「和牛」「国産牛」「輸入牛」とありますが皆様はどのような 

理解を?「和牛」とは品種名で4品種のみで産地とは関係なく、「国産牛」は品 

種や生まれた所に関係なく一定期間国内で飼育されれば、どんな品種でも国産牛 

になります。つまり日本生まれでなくても国産牛となります。 

牛は輸入されてから3ヶ月以上、豚は2ヶ月以上、鶏は1ヶ月以上国内で飼育す 

れば国産となります。ですから全国の銘柄牛といわれる全てのブランド牛が和牛 

とは限りません。このような1例をとっても消費者にとっては理解し難い表示が 

氾濫しています。 

 

  病院食のような食品制限のある患者さんが多い中で、食品中にある添加物の見

極めが難しかったのですが、最近はかなり細部にわたり表示されるようになりま 

した。成分表示は原材料の多い順に表示しなければならないと義務づけされてい 

ますが、食物アレルギーのある患者さんには小量でも禁止食品や添加物が混入さ 

れていると、アナフィラキシーを起こす危険性があります。 

当栄養管理部では例えば「植物油由来」と表示されている部分は製造会社にどの 

種類の油を使用したかを徹底調査をして安全性を確認した上で使用しています。 

 

 なお、平成14年4月より加工食品のアレルギー物質表示制度ができ「表示義 

務品(5品目)」と「推奨品目(19品目)」に区分されています。 

 *表示義務品目:卵・乳・小麦・そば・落花生 

 *推奨品目:あわび・いか・いくら・えび・オレンジ・かに 

      ・キウィフルーツ・牛肉・くるみ・鮭・さば・大豆 

      ・鶏肉・豚肉・松茸・桃・山芋・りんご・ゼラチン 

 但し、お店での総菜やパン屋のパン、ケーキや注文弁当は表示する義務はあり 

ませんので注意が必要です。 

 

 今後、特に加工食品を選択する時は原材料表示を見て本物か、偽物かを見分け 

るのに加えて、健康面に十分に考慮した食品かを判断基準にしていきたいと考え 

ています。 

 

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●お知らせ~♪お店屋さんごっこ♪~

 

 平成 16年 10月 29日(金)、7~ 9階各病棟で、保育士さんたちがハロウィ

ンの扮装をして、ワゴンの「お店屋さん」をオープンしました。子どもたちは事

前にわたされた手作りのお金で、それぞれ好きな品物を選んで買っていましたよ。

ネックレスやバッグ、お面などほとんどの品物は子どもたちの手作り品だそうで

す。とっても上手に出来ていました。

当日は、ボランティアさんの協力もいただき大盛況!繁盛していました。

 

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   成育すこやかジャーナル No.24(2004/10/12) 

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 成育すこやかジャーナル第24号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

 ●妊娠中の飲酒について    周産期診療部 胎児診療科医長 左合 治彦 

 ●母乳育児・スキンシップについて  周産期診療部 新生児科 藤永 英志 

 ●子育ての悩みひとりで抱えていませんか?

             運営部 医事課 医療社会事業専門員 實方 由佳

 

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●妊娠中の飲酒について     周産期診療部 胎児診療科医長 左合 治彦 

 

 妊娠中の飲酒はよくないことはわかっているが、少しぐらいならいいだろうと 

思っていませんか?最近のワインや焼酎ブームを反映して、飲酒する女性が増え 

ています。特に若い女性に多く、妊娠中の飲酒により胎児がアルコールに被爆さ 

れる機会が増えていて懸念されています。 

 

 妊娠中にアルコールを飲酒することにより、流産、死産、先天異常などが生じ 

ることが知られています。先天異常としては、子宮内胎児発育遅延ならびに成長 

障害、精神遅滞や多動症などの中枢神経障害、特異顔貌・小頭症など頭や顔の奇 

形、心奇形などの奇形があります。これらの症状を有する典型的なものは「胎児 

性アルコール症候群」と呼ばれています。 

  

 一般には「胎児性アルコール症候群」は大量のアルコールを常習している母親 

から生まれていますが、これ以下の飲酒量であれば胎児に影響がないという安全 

量はわかっていません。早期に禁酒した場合はそれなりの効果が期待できるので、 

妊娠とわかったらすぐ禁酒することが重要です。 

 

 妊娠と知らずにワインを少量飲んだ程度であれば実際には問題なく、あまり不 

安になる必要はありません。ただ妊娠中の飲酒に関しては「少ない量でも胎児に 

影響をおよぼす可能性がある」ので、少しぐらいなら大丈夫だろうという甘い考 

えは捨てて、厳しい態度で禁酒を守ってください。 

 妊娠を考えたら禁酒することが重要です。 

 

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●母乳育児・スキンシップについて   周産期診療部 新生児科 藤永 英志 

 

 母児関係の形成、母性の成熟、児の人格形成において、授乳・スキンシップな

どの果たす役割は大切です。

 

 1)母乳育児

 母乳は、栄養素に富み、吸収されやすく、豊富な免疫物質も含まれ、正常な腸

内細菌叢の確立による感染予防、アレルギーの発症も少なくなるなど、児に対す

るメリットだけでなく、産後の子宮収縮を促し、出血を減少させ、回復を早める

など母体へのメリット、スキンシップによる母児間の信頼関係の形成にも役立ち、

いつでも適温で衛生的であり、経済的であるなど、良い点が多くあります。

 

 2)スキンシップ

 赤ちゃんに依存したいだけ依存させ、その要求に応え、肌と肌をなるべく密着

させるという育児方法が最近は注目されています。身体、精神、運動神経、平衡

感覚、などの健全な成長、赤ちゃんに自信・自立心を芽生えさせる、ストレスへ

の適応能力を高める、社会的な人格の形成、知能を高める、 泣く時間が減少す

る、親子の絆を深める、楽しい楽な子育てを可能にするなどの効果が見られます。

 

 以上の事は、元気な赤ちゃんにとっては、ごく自然なことですが、未熟児など

出生時に問題のある場合は困難なこともあります。当施設では、次のようなこと

を試みています。

 

 1)母児同室

 出産の瞬間から 1-2週間は、母性の成熟に最も大切な時期と言われています。

母児のスキンシップを図り、母乳栄養も促します。また、母児同室により母児の

サーカディアンリズム(体内時計)の同調を確立します。

赤ちゃんの感染予防にも効果があることがわかっています。

 

 2)母乳投与の推奨

 搾乳・冷凍保存により、できる限り母乳を赤ちゃんに与えています。

 

 3)カンガルーケア(主に NICUにて)

 カンガルーケアは、もともと南米コロンビアの病院で、保育器の代わりに母親

の乳房の間に赤ちゃんを抱かせて保温・母乳保育・愛情を与える目的で始まった

のですが、その結果未熟児の救命率、養育を遺棄する母親の減少という成果を得

たものです。

 母親の不安の解消、面会時の充実感、母児関係の確立にも有効であることが分

かってきています。

 

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●子育ての悩みひとりで抱えていませんか?

             運営部 医事課 医療社会事業専門員 實方 由佳

 

 日々のお子さんとの関わりの中で「こんな時はどうしたらいいの?」と疑問や不 

安を感じる事はありませんか? 

 

  そんな時に市区町村役場や保健所にご相談されたことのある方も多いのではな

いかと思います。役所や保健所には相談員や保健師の方が配置されている為、ど 

こに相談したらよいか分からない時や、お子さんとの関わり方に悩んでいる時な 

どにも力になってくれます。最近では市区町村のホームページでも子育て支援に 

関する情報を提供していますのでそちらも参考になると思われます。地域によっ 

ては「子育て支援センター (名称は地域によって異なる場合があります)」を立ち

上げ、子育て家庭をバックアップする体制を整えているところもあります。また 

児童相談所でもお子さんの発達や育児に関する相談に児童福祉司や心理判定員、 

医師などの専門のスタッフが対応しています。 

  

  国立成育医療センターにも患者さんやそのご家族の生活全般に関わるご相談に

対応するソーシャルワーカー(医療社会事業専門員)という相談員がおります。 

ご不明な点があればお気軽にお声を掛けてください。 

 

 お住まいの地域によってサービスの種類や数に差はありますが、使えるサービ 

スの存在自体を知らなかったり、誰に相談したらよいか分からずに悩みを抱え込 

んでしまう事もあるようです。まず困った時、不安を感じた時に相談できる相手 

を作ってみては如何でしょうか? 

 

  今回の原稿を担当させて頂いたのは10月から成育医療センターで勤務する事

になりましたソーシャルワーカーの實方(じつかた)といいます。まだ不慣れな 

事の多い身ですが、皆さんのお力になれるようがんばりたいと思います。どうぞ 

よろしくお願い致します。 


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    成育すこやかジャーナル No.23(2004/9/6) 

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 成育すこやかジャーナル第23号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

 「特集」予防接種について 

 ●予防接種の実際    第一専門診療部 膠原病感染症科医師 小林 信一 

 ●アレルギーのお子さんの予防接種 

                総合診療部 小児期診療科医師 河原 秀俊

 ●予防接種後の注意事項について  看護部 外来看護副師長 渡辺 久美子 

 ●母子手帳と成育医療センターの電子カルテ

                   総合診療部 医療情報室長 大原 信 

 ●イベントのお知らせ☆~ハート toハートミニコンサート~☆

 

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●予防接種の実際     第一専門診療部 膠原病感染症科医師 小林 信一 

 

 予防接種には、定期接種と任意接種があります。定期接種は市区町村がおこな 

うもので対象者は受けるように努めなければなりません。これにはポリオ、 BCG、

日本脳炎、麻疹、風疹、ジフテリア・百日咳・破傷風 (3種混合)が含まれます。

これに対し、任意接種は親や本人の意思で受けるもので、インフルエンザ、水痘、 

肺炎球菌、 A型肝炎などがあります。

 さらにワクチンの種類により、生ワクチンと不活化ワクチン、トキソイドに分 

けられます。 生ワクチンは弱毒化した生きた細菌やウイルスで、麻疹、風疹や 

 BCGなどです。不活化ワクチンは、抗体産生にかかわる微生物の一部を精製した

ものです。トキソイドも同様に毒素の一部を精製して作られます。この違いが実際 

どういうことに関係するかということですが、第1に効果が異なります、生ワク 

チンは、体内でウイルスや細菌が増殖することで抗体産生が起こりますので、非 

常に強い免疫ができます。このため通常 1回しか接種しません。例外はポリオワク

チンです。このワクチンは2回接種しますが、これはポリオウイルスには3つの 

種類があり、この3つに十分な抗体を得るために2回の接種を行います。 

しかし、最近、生ワクチンを接種したにもかかわらず、麻疹や風疹にかかる人 

 (子どもと成人)が多くなっています。これはほとんどが、接種後時間がたつこと

で抗体が消えてしまうためです。これを防ぐため、厚生労働省は最近麻疹、風疹 

を2回接種することに決めました。これに対し不活化ワクチンやトキソイドは、 

つくられる免疫が弱いため、複数回の接種が必要です。特に、インフルエンザは、 

抗体の持続が約5カ月といわれています。さらに毎年流行する型を予想してワク 

チンにする株を決めますので、毎年変わることが多くなります。このために毎年 

接種する必要があります。 

第2に副反応の問題があります。生ワクチンは生きた細菌やウイルスが体内で増 

殖しますので、場合により感染症状がでる可能性があります。たとえばポリオで 

すが、現在我が国では、野生株による発症例はありません。ポリオ様麻痺の発症 

はすべてワクチンのウイルスが原因で、ここ 20年間で21例報告されています。

また出現時期も生ワクチンは接種後1週間前後、不活化やトキソイドは2日以内 

と異なります。第3としては、ワクチンの接種間隔です。生ワクチンを接種した場 

合は次のワクチンが何であれ4週間あける必要があります。不活化ワクチンやト 

キソイドでは1週間で次の接種が可能です。 

 以上のように、予防接種にも多くの種類があり特徴もそれぞれ異なっています。 

重要なことは、定期接種は出来る限り規定された年齢で接種すること、任意接種 

も可能な限り接種しておくことです。これが個人のためにも社会のためにも役立 

つ実際的なワクチン戦略です。 

 

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●アレルギーのお子さんの予防接種 

                総合診療部 小児期診療科医師 河原 秀俊

 

 アレルギーのお子さんへの予防接種に関しては、ワクチン液に対する過敏反応 

の可能性が指摘され、その接種にあたっては慎重な対応が必要とされてきました。 

特に卵アレルギーのあるお子さんへの卵成分含有ワクチン接種は以前より大きな 

問題として取り上げられ、いろいろな対応策が考えられてきました。一部の保護 

者の中には「卵成分含有ワクチンである麻疹、インフルエンザは接種したくな 

い」という考えもあるようですが、ただやみくもに接種を恐れる必要はありませ 

ん。ワクチン精製技術の向上により、その安全性は年々高くなってきていると考 

えられます。麻疹ワクチンはニワトリ胚細胞を培養細胞として用いていますが、 

卵の主要アレルゲンはほとんど含まれていません。 

 当院での麻疹ワクチン接種で、全身性の過敏反応をきたしたお子さんは1人も 

いません。一方インフルエンザワクチンですが、これは発育鶏卵増殖ワクチンの 

ため、卵の主要アレルゲンが微量混入しています。多くの患者さんでは問題あり 

ませんが、卵アレルギーが非常に強いお子さんは慎重な対応が必要です。当院で 

は、ワクチン液を使った皮膚テストにより接種可能かどうか判定を行い、さらに 

接種後にしっかり経過観察をおこなっています。これによりワクチン接種による 

トラブルを回避できると考えています。 

 ワクチン接種は、さまざまな感染症からお子さんを守る最も有効な予防治療で 

す。アレルギーのお子さんにも、通常通り接種をしてあげてください。 

 

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●予防接種後の注意事項について   

                  看護部 外来看護副師長 渡辺 久美子 

            

 ここでは、予防接種後の注意点についていくつかあげてみます。 

予防注射を接種したあと、「もんだほうがいいのか」という質問をよく受けます 

が、最近では、注射の効果や副反応の面から「もまない方がよい」といわれてい 

ますので、軽く抑える程度にしておきます。その後30分~1時間くらいは病院 

内にいて、顔色が悪くなったり、蕁麻疹が出たりなど、いつもと違った様子がな 

いかどうか(即時型アレルギー)の観察が必要です。1時間を経過すればいつも 

通りの生活で、入浴も差し支えありませんが、プールなどの激しい運動は、それ 

自体で体調の変化を起こすことがあるため、2~3日は避けた方がいいでしょう。 

また、生ワクチンは接種後1週間前後に発熱などの副反応が出ることがあるため、 

スイミングスクールやスポーツクラブなどに通っている場合は、接種時に医師に 

相談して下さい。 

 注射後の副反応として、注射部位の発赤や腫脹が見られることがありますが、 

通常3~4日で消失します。熱感が気になる場合は、冷やしても差し支えありま 

せん。また、硬結(しこり)は発赤や腫脹よりも長引きますが、次第に小さくな 

り2~3ヵ月後には消失しますので様子を見てあげましょう。 

 接種後1ヶ月以内に、発熱などの体調不良で病院を受診する場合は、予防接種 

を受けたことを必ず医師に伝えるようにしましょう。 

その他、抜歯や緊急性の無い手術なども接種後1ヶ月間は避けることが望ましい 

とされていますので、予定のある場合は、かかりつけの医師とよく相談してから 

予防接種を受けるようにして下さい。 

 

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●母子手帳と成育医療センターの電子カルテ

                   総合診療部 医療情報室長 大原 信 

 

 妊娠が確認されると「妊娠届」を保健センターなどに提出することで「母子手 

帳」が交付されることはご存知だと思います。母子保健法第 16条に基づき、母

と子どもの健康を管理するため、妊娠・出産・育児に関する記録をする手帳です。 

 内容は、妊婦の健康状態・妊娠中の経過の記録、出産の状態と産後の経過、 

乳幼児の発育等の記録、予防接種の記録、健やかな妊娠・出産・育児のためのア 

ドバイス、母子保健に関する制度紹介などが含まれています。 

 成育医療センター病院では、お腹の中の赤ちゃんも生まれる前から(妊娠12 

週頃から)、一人一人の(電子)カルテを作り、お母さんと共に診させて頂き記 

録します。そして出生後もそのまま継続して、健診の記録に引き継がれます。い 

わば、電子カルテが、電子母子手帳として機能するのです。 

 成育医療センターの電子カルテは、このように単なる病気の診療録としてだけ 

でなく医療・保健・福祉に役立つ記録として情報を保管させて頂いています。 

 

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●イベントのお知らせ☆~ハート toハートミニコンサート~☆

 

 8月30日、エントランスホール横プレイルーム「豆の木」にて、目黒星美学 

園中学高等学校、管弦楽部によるミニコンサートが開催されました。 

 1)フルート三重奏 

    ラブラブラブ 

 2)弦楽三重奏(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ) 

    水上の音楽、カノン 

 そとの喧騒も楽器の奏でるメロディに惹きこまれ、皆さん静かに聴き入ってい 

ましたよ。

 

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    成育すこやかジャーナル No.22(2004/8/10) 

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 成育すこやかジャーナル第22号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

 ●副院長の挨拶      国立成育医療センター病院 副院長 名取 道也 

 ●糖尿病外来の紹介   第一専門診療部 内分泌・代謝科医長 堀川 玲子 

 ●ドラマ“光とともに”を鑑賞して         

          第二専門診療部 リハビリテーション科医長 高橋 秀寿 

 ●子どもの声が聞こえますか?(思春期の心理) 

              こころの診療部 思春期心理科医長 生田 憲正 

 ●国立成育医療センターの女性総合外来について 

                 周産期診療部 母性内科医長 村島 温子 

 ●イベントのお知らせ~ボランティアから~☆ 

 ●新任医師の紹介 

 

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●副院長の挨拶       国立成育医療センター病院 副院長 名取 道也 

 

 7月より国立成育医療センター病院、副院長に就任致しました名取道也です。 

病院がスタートして以来、あっという間に2年数ヶ月の月日が流れた感じがして 

おります。 

 今まで「出産」や「こども」というキーワードが、昨今ほど大きく取り上げら 

れることはなかったと思いますが、私どものセンターはまさに、一人でも多くの 

かたに、妊娠、安全で快適な出産、生まれてきた赤ちゃんの健やかな成長をお届 

けすることを大切な使命の一つとしております。 

 この目標を追いかけていくためには、日々の診療だけをやっているだけでは限 

界があります。常に問題点を発掘して、それをどのように解決していけばよいか 

を研究し、そこで得られた成果を再び患者の皆様に還元していくことが必要で、 

これを臨床研究と言います。私どもの病院では、日頃から幾つもの臨床研究が行 

われております。もちろんこれらの研究は事前に患者の皆様の了解を得て行われ 

ております。新しい薬や新しい治療法の有効性の検討、現在行っている治療法が 

本当に有効であるかの再検討などが日々行われています。これらの検討には患者 

の皆様のご協力が不可欠ですので、わが国の将来を担う「こどもたち」のために 

ご協力いただきたいと思います。 

最初のご挨拶から不躾とは存じますが、このジャーナルをお読みいただく方々と 

ともに、わが国の成育医療の発展に微力を尽くしたいと思っており、皆様のご支 

援を心からお願い申し上げます。 

 

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●糖尿病外来の紹介    第一専門診療部 内分泌・代謝科医長 堀川 玲子 

 

 「糖尿病外来」は、1型糖尿病の方のための専門外来です。

「1型糖尿病」という名をご存じでしょうか。一般に知られている「糖尿病」は

その原因によって1型、2型、妊娠糖尿病、その他に分けられます。成人で多く

見られる、生活習慣病で肥満を伴った糖尿病の多くは2型糖尿病ですが、1型糖

尿病は、膵臓でインスリンが作られなくなってしまうためにおこり、生活習慣と

は関係がありません。小児糖尿病では、この1型糖尿病が多く見られます。治療

には血糖を下げるホルモンであるインスリンの補充が絶対に必要です。現在のと

ころ、インスリンは注射薬しかありません。体の中の自然なインスリン分泌にで

きるだけ似せて、種類の違う注射薬を組み合わせて自己注射します。インスリン

をきちんと打って、自分の血糖を管理していけば、普通の生活を送ることが出来

ますし、学校生活やいろいろな活動に制限はありません。それでも毎日の注射や

自己血糖測定、食事のこと、学校生活の送り方などいろいろ悩むこともあります。

糖尿病外来では医師、看護師(糖尿病療養指導士)、栄養士、また患者さんどう

しが一緒に悩み、一緒に糖尿病との付き合い方を考えていく、そんな外来です。

 

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●ドラマ“光とともに”を鑑賞して          

          第二専門診療部 リハビリテーション科医長 高橋 秀寿 

 

 これまで自閉症を扱ったドラマやドキュメンタリーは、自閉症患者の不思議な 

才能のみに焦点を当てたり、逆に親の超人的な努力で特別な才能が開花した話な 

ど、現実感のないものが多かったように思います。今年4月から、2ヶ月にわた 

ってテレビで放映されたドラマ”光とともに”は、自閉症児本人、家族、親戚、 

ご近所の住人、同級生そして教師が直面するさまざまな日常生活の問題を、光君 

を中心にすえて、どのように克服していくものかについての一つの方向性を示し 

た番組であったと思います。 

 その中で、先生が取り組んだ方法が TEACCHプログラムでした。これは、米国

のノースカロライナ州が取り組んでいる自閉症の治療プログラムで、診断されて 

から、少年期、青年期、そして成人して就職したあとも、自閉症児をサポートし 

ていくシステムです。わが国でも、そのプログラムが紹介されていますが、現実 

に自閉症児を一生サポートしていくシステムは日本にはまだありません。しかし 

毎日自閉症児と接している親は、やはり、確固たる療育指針がほしいのであり、 

 TEACCHは多くの示唆を与えてくれます。

 このドラマでは、光君の安心できる居場所を作ってあげる、一日のスケジュー 

ルを作ってあげる、パニックの時、その些細な理由を親や教師が必死で見つけて 

あげる、など、 TEACCHプログラムを応用した場面がありました。一方で、父親、

ご近所、親戚、同級生、教師などの自閉症に対する無理解からくるトラブルも、 

非常にリアルにとりあげていました。 

 自閉症は、こだわりや多動や社会性の欠如など共通点はありますが持っている 

個性や能力はそれぞれ違います。それを尊重しつつ、毎日少しずつでも成長し自 

立していける環境を、親や学校や社会が作ってあげることが必要であると考えま 

す。 

 

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●子どもの声が聞こえますか?(思春期の心理) 

              こころの診療部 思春期心理科医長 生田 憲正 

  

 思春期の心理的発達で、「ジリツ」という言葉がよく使われます。この言葉に 

は二つの意味があり、漢字では「自立」と「自律」になります。通常使われる 

「ジリツ」は、親からの独立を意味する「自立」が多いように思います。「自 

律」とは、本来は自分でできなかったことが、自分でできるようになり、しかも、 

その機能が多少のストレス下におかれても、自動的に行われるということを言い 

ます。代表的なものとしては、トイレット・トレーニングが挙げられます。排泄 

機能は、このトレーニングを親が行うことで、自律的な機能となります。 

 思春期の心理は、よく「自立」と「反抗」の図式で捉えられますが、実は、 

「社会的自律性の拡大」というもう一つの大きな変化が起こります。親にとって、 

非常に将来への不安をもたらすような言動や、反抗的な態度について、この視点 

から見直してみることは参考になるかもしれません。 

 

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●国立成育医療センターの女性総合外来について 

                 周産期診療部 母性内科医長 村島 温子 

 

 最近、女性外来、女性専門外来などの名前がマスコミに取り上げられています。 

皆さんは女性外来をどのようにお考えですか。 

 女性は女性ホルモンの影響を大きく受けながら生活しています。また、妊娠・ 

分娩・子育て・仕事など女性を取り巻く生活環境は複雑なものがあります。女性 

の訴えの裏にこのような複雑な状況があることを考慮して診療することはこれま 

での体制では困難でした。従来の女性医療は乳房と女性生殖器だけを診るという 

ことからビキニ医療とも言われていました。今ブームになっている女性外来の多 

くは「女性の身体だけを診るのではなく女性を取り巻く環境まで配慮し、心のケ 

アまでする」というコンセプトを前面に打ち出しています。 

 当院でもおひとりおひとりからゆっくりお話を聞いて問題点を明らかにし、そ 

の解決方法を見出すことができればと考え、おひとりの外来に50分をあててい 

ます。様々な専門の5人の医師が担当していますが、外来終了後に答えていただ 

いている満足度調査を見ますとほとんどの方が満足してお帰りいただいているよ 

うです。 

 これからもゆったりとした時間と空間のなかで女性のからだとこころのケアの 

お手伝いをさせていただきたいと考えています。 

 受診方法は成育ホームページ「女性総合外来」ないしはパンフレットをご覧く 

ださい。 

 

♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪ 

☆自己紹介☆ 

 女性総合外来担当医師 村島温子 

周産期診療部に所属する母性内科の医長で、内科医です。慢性疾患を持つ女性の 

妊娠前後の内科的管理や内科的診療を必要とする妊婦さんの診療が主な仕事です。 

プライベートでは3児の母です。こどもが大きくなった今、患者さんの小さな赤 

ちゃんを見てむかしを懐かしんでいます。 

 

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●イベントのお知らせ☆~「夏のおはなし会」ボランティアから~☆ 

 

 8月2日各病棟でボランティアさんによる「夏のおはなし会」が開催されまし 

た。 

手遊び歌や絵本の読み聞かせ等盛りだくさんの内容で、子どもたちも大喜び!! 

ほんの一時の会でしたが、子どもたちの大きな笑い声やニコニコ笑顔が印象的で 

したよ。 

 

 

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●新任医師の紹介 

 

  平成16年7月16日付 

 

     総合診療部 救急診療科医師 長井 孝二郎 

     第二専門診療部 婦人科医師 河内谷 敏 

     手術・集中治療部 麻酔科医師  小原 崇一郎 

 

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   成育すこやかジャーナル No.21(2004/7/15) 

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成育すこやかジャーナル第21号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

 ●「特集」夏場に向かって気をつけたいこと 

    -耳鼻咽喉科-   第二専門診療部 耳鼻咽喉科医長 泰地 秀信 

    -皮膚科-     第二専門診療部 皮膚科医長 佐々木 りか子 

    -看護部-             外来看護師長  樫原 恵子 

 ●「無痛分娩」ってご存知ですか? 

        手術集中治療部麻酔科 田中 基、鈴木 康之、宮坂 勝之 

 ●「たなばた会」のお知らせ 

 

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●「特集」夏場に向かって気をつけたいこと(耳鼻科の疾患) 

               第二専門診療部 耳鼻咽喉科医長 泰地 秀信 

 

 夏は中耳炎・鼻出血など耳鼻科の疾患は比較的少ないのですが、子供で夏期に

気をつけたいことをいくつかあげてみます。

1.プールの前に 

 夏には学校の水泳指導などプールが始まりますが、その前に耳あかをとってお

きましょう。耳あかをそのままにして泳ぐと、耳あかがふやけて外耳道炎になり

ひどくなるとおできになることがあります。耳あかにはかさかさのタイプ(乾性

耳垢)と、ベトベトのタイプ(湿性耳垢)がありますが、前者であれば耳掻きを

後者であれば綿棒を用いてとります。耳掻きは先端から1 cm以上は深くいれな

いようにします。鼓膜に穿孔があったり、チューブ留置術を行っていて泳ぐ場合

には、耳せんが必要です。

2.夏の花粉症 

 夏に遠足や川原に遊びに行った後から急に目がはれて、くしゃみ・鼻水が出る

ような場合は、夏の草による花粉症が疑われます。夏(6~8月)の花粉症はイ

ネ科の花粉が代表的で、カモガヤ、オオアワガエリ(チモシー)などがあります。

いずれもどこにでもある雑草で、これらの花粉の飛ぶ距離は短いので、まわりの

草刈りも有効な対策です。花粉症の原因としてはスギ花粉が最も多いのですが、

スギ花粉症は少なくイネ科の花粉症が多い北海道のような地域もあります。

3.急に喉が痛くなって高熱が出たら 

 夏場に重症の咽頭炎が起こることがあり、代表的なものにプール熱(咽頭結膜

熱)やヘルパンギーナがあります。プール熱はアデノウイルスによる感染症で、

 39度前後の高熱や目の充血、のどの痛みが4~5日続きます。幼児に多く、タ

オル・衣類やプールの水からうつることからプール熱と呼ばれます。例年は夏に

多いのですが、昨秋より冬から春にかけても多くみられており、本年夏の発生が

心配されています。ヘルパンギーナも幼児に多く(1歳時が最多)、突然に熱と

のどの痛みが現れます。軟口蓋粘膜の水疱や潰瘍が特徴で、コクサッキーウイル

スなどが原因です。

4.虫さされ 

 夏場は昆虫による咬刺傷にも気をつけたいところです。赤ちゃんの皮膚は柔ら

かく、虫さされでかなり腫れることも多いので、突然に赤ちゃんの顔や耳などが

赤く腫れあがったら虫さされも考えておくべきです。じん麻疹と思っていたらチ

ャドクガの毛が風で飛んできていたということもありますので、家のまわりにツ

バキやサザンカがある場合は注意が必要です。耳の中に虫が入ったということも

ありますが、これで光を当てたら出てくるというのは誤りです(耳の中では虫は

まず方向を変えられない)。このようなときはとりあえず耳の中に油(オリーブ

オイルなど)を流しこんで、虫の動きを封じて下さい。それから耳鼻咽喉科で虫

を除去してもらいましょう。

 

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●「特集」夏場に向かって気をつけたいこと(皮膚科) 

               第二専門診療部 皮膚科医長 佐々木 りか子 

 

こどもの日焼け―日焼け止めの使い方― 

最近、育児雑誌を読むと「赤ちゃんのうちから日焼けを防がないと、皮膚ガンに

なる!」と書いてあります。それを読んでむやみに心配しているお母さんもある

でしょう。赤ちゃんを含めて小さいこどもさんには、どんな日焼け止めを選んで

あげて、どんな使い方をすればいいのでしょうか。また、それだけを塗ったら安

心なのでしょうか?

大切なことは、やけどをさせないこと

一番大切なことは、急に、赤くて痛い、あるいは水ぶくれができるほどの日焼け

つまりやけどをさせないことです。赤ちゃんの皮膚は、まだ大人ほどにメラニン

色素が豊富ではありませんから、今の季節にいきなり肌を露出させて外へ出てし

まったら、ひどい日焼けを起こしてしまいます。

日常の注意 

逆に日焼け止めを塗ったら安心ということはありません。

大切なことは外出するときには

( 1)帽子、衣服で肌を日光にさらさないようにする。

( 2)日陰を選ぶ。

( 3)真昼はなるべく外出をしない。

これらのことは、熱中症にもならないための注意と同じです。水分摂取も忘れず

に。

日焼け止めの選び方 

( 1)低刺激性製品を選ぶ(まず、耳の後ろに塗ってかぶれないか試すとよ

  い)。

( 2) SPF20、 PA++あればよい(海外の海などでは SPF30以上)。

( 3)クリーム、ローション、スプレー、ティッシュなどのタイプがあります

  が、塗ったところがわかりやすいクリームやローションがよい。

その使い方 

( 1)汗で落ちたら、塗り替えが必要( 2時間おきが目安)。

( 2)まぶたや口のまわりにもつけて大丈夫。

( 3)薬を塗っているこどもさんには、薬の上からつける。

( 4)外で塗り替えるときには、水道水で汚れや汗を流してからか、きれいな

  ぬれたタオルで拭いてからがよいでしょう。

( 5)帰宅したら、よく石鹸で洗い流す(日焼け止めにより 1回の洗浄では落

  ちにくいものもあるので注意)。

 

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●「特集」夏場に向かって気をつけたいこと(看護部から) 

                      外来看護師長  樫原 恵子 

 

日本の夏の平均気温は30年前に比べると5℃以上高くなっているそうです。 

「自然が一番」とは言っても高湿・高温を気力で乗り切ることは無理な話・・で 

もちょっとした工夫をして夏を健康にそして元気に過ごしましょう。 

ここでは、「夏バテ」防止対策と「子どもの夏かぜ」の症状と注意点についてあ 

げてみました。 

夏バテ防止対策 

「夏バテ」という正式病名はありませんが日本の夏は厳しく、暑さで体のバラン 

スを崩す人が多く見られます。暑くて眠れない、食欲がない、元気が出ない、だ 

るい・・・・・大人だけではなく、お子様にとっても大問題です。 

1.水分を充分摂る事 

暑い中夢中になって遊ぶと脱水気味になったり、ぐったりしてしまう事がありま 

す。こまめに水分補給をしてあげましょう 

かいた汗の補充が必要です。ただし甘い飲み物を摂りすぎると食欲をなくす事も 

あります。又スポーツドリンクはかなり糖分が含まれているので要注意です。麦 

茶やお水が一番!ただし冷たすぎるとおなかをこわしますので冷やし過ぎないよ 

うにしましょう。 

2.食事をしっかり摂りましょう。 

アイスクリームやゼリーなどカロリーが高いばかりで栄養価の低いものは肝心の 

食事時間におなかがすかずにご飯が食べられません。又さっぱりしたそうめんな 

ど、炭水化物に偏りがちな食生活でも必要な栄養素が摂れず、疲れやすくなりま 

す。汗で出た塩分の補給やビタミン、たんぱく質を充分摂りましょう。夏の気候 

はビタミン B1を普段の3倍も消費します。色の濃い野菜を意識して食事のメニ

ューに入れてください。 

3.自然の環境を大切にし、冷房や扇風機は効果的に使いましょう。 

庭やベランダに打ち水をして涼しい風をいれたり、風鈴の音で涼しさを感じたり、 

自然の環境で過ごす工夫も大切です。 

エアコン・扇風機を使う時は冷風が直接あたらないようにしましょう。扇風機で 

風の流れを作りあまり室温を下げず快適に過ごす工夫をしてみてください。外気 

温との差は5℃以内が良いとされています。就寝時はドライ機能( 26℃~28℃)

にしたり、タイマー設定(就寝後 1時間くらいが適当)をしましょう。室内と外

気の温度差が激しいと体の体温調節機能がついていけなくなり夏バテの原因とな 

ります。 

4.外遊び・外出時の工夫 

日差しの強い時間帯の外遊びは控え、外出時には帽子をかぶり、なるべく日陰を 

選んで遊ばせましょう。又水分補給も忘れずに!反対に冷房の強い電車や、スー 

パーに出かけるときは、カーディガンやバスタオルを持参して体温調節をしてあ 

げましょう。赤ちゃんや小さなお子様はご家族の細やかな配慮が必要です。 

 

子どもの夏かぜ 「予防は手洗い・うがいが基本です!!」 

【プール熱】 

咽頭結膜熱ともいわれ39℃程度の高熱 .咽頭の痛み、結膜炎の症状が有ります。

高熱・咽頭通で食欲が落ちますので、水分を充分摂って脱水に気をつけて下さい。 

プールで使うタオルからも感染します。プール熱にかかったお子様とご家族のタ 

オルは別にしましょう。プールに入ったらくれぐれも目を洗い、うがいをしまし 

ょう。 

【ヘルパンギーナ】 

のどに赤い小さな発疹ができます。それが水疱となり破れて潰瘍となります。 

 38℃以上の熱が平均3日間続きます。潰瘍による喉の痛み、つばも飲み込めず、

食事もおっくうになりがち。脱水にならないように注意して、食べられるものを 

与えましょう。喉が痛いときは軟らかい物や、つるつると飲み込める食べものを 

選びましょう。ただし冷たいと喉にしみて食べられません。室温と同じ程度にし 

てあげてください。 

【手足口病 】 

手のひらや足底、口に痛みのない水泡ができます。指から肘、足から腰のあたり 

まで発疹する事があります。熱は37℃~38℃くらい。口内炎もできますが普 

通に食事を食べられる程度が大半です。口の中を清潔にして、食欲をおとさない 

ように水分補給に注意をして症状の軽減を待ちましょう。 

 

夏バテや夏かぜに負けず、夏を元気に乗り切りましょう。  

 

♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪ 

☆自己紹介☆ 

 樫原恵子 年齢不詳 9階の乳幼児病棟から今年の4月に外来担当になりまし 

た。外来でお子様の成長を見守ることができとても楽しく仕事をさせていただい 

ています。趣味は夏山登山と最近はバレーボールに熱をあげています。(自称成 

育バレー部同好会副部長) 

毎日新しい発見を求め外来を歩きまわっています。何がございましたらいつでも 

声を掛けて下さい。 

 

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●「無痛分娩」ってご存知ですか? 

         手術集中治療部麻酔科 田中 基、鈴木 康之、宮坂 勝之 

 

 皆様は無痛分娩を御存知ですか?興味はあってもちょっと心配、という方も多 

いのではないでしょうか。無痛分娩は手術で出産する帝王切開とは異なり、経腟 

分娩の手助けする方法です。我が国ではまだ広まっていませんが、欧米先進諸国 

では一般的に行われています。 

無痛分娩は通常「硬膜外麻酔」という方法で行います。硬膜外麻酔とは、腰に硬 

膜外カテーテルという細いチューブを入れて麻酔薬を機械で注入する下半身麻酔 

のことです。無痛分娩が始まれば痛みは和らぎますが、赤ちゃんの下降感や陣痛 

をある程度感じながら分娩をすすめます。もし痛みが強い場合には、機械につな 

がっているボタンを押せば麻酔薬を自分で追加することもできます。下半身麻酔 

ですので産婦さんの意識が無くなったり、赤ちゃんが麻酔で眠ってしまうことは 

ありません。 

当センターでは専門の麻酔科医が硬膜外麻酔を行います。麻酔科医は 24時間院

内に常駐していますが、手術室や集中治療室をはじめ院内の様々な場所で仕事を 

しているので、突然の無痛分娩には対応できない場合もあります。確実に無痛分 

娩を受けていただけるよう、前もって出産スケジュールを決めておく計画出産を 

お勧めしています。 

開院以来、 2年間で400名をこえる方が当センターでの無痛分娩を経験されてい

ます。興味をもたれた方は是非、産科外来受診のうえ麻酔科外来を受診して下さ 

い。無痛分娩に関する詳しい説明をさせていただきます。 

 

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●♪たなばた会♪~♪ 

 

 7月6日病棟で「たなばた会」が開催されました。 

 ボランティアさんが、エレクトーンの音に合わせて歌を歌ったり、絵本を読ん 

でくださったり、その後保育士さんの1人がスチュワーデスに扮して、いろいろ 

な国を周ります。中国、ハワイ、メキシコ、スコットランド各国の人に扮装して 

保育士さんたちが、かわいい手品をしてくれましたよ。入院中の子どもたちもと 

っても楽しそうでした。 

 

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  成育すこやかジャーナル No.20(2004/6/8) 

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 成育すこやかジャーナル第20号をご覧いただきありがとうございます。 

 

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◆目 次 

●赤ちゃんの嘔吐     (総合診療部 小児期診療科医長 洲鎌 盛一) 

●病気の初期症状の注意事項について 

              (総合診療部 小児期診療科医長 赤澤 晃) 

●発達障害とは何だろう   (こころの診療部 発達心理科医長 宮尾 益知)

●梅雨に向かって気をつけたいこと  (栄養管理部 栄養管理室長 飯塚 隆)

●新任医師の紹介 

 

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●赤ちゃんの嘔吐     (総合診療部 小児期診療科医長 洲鎌 盛一) 

 

生後数ヶ月までの赤ちゃんは胃の解剖学的な特性で(縦型の胃、噴門括約筋が 

未熟)よく吐きます。また空気を嚥下しやすいので、これも嘔吐の原因になりま 

す。このような場合は成長とともに改善していきます。嘔吐があっても、哺乳力 

がよく体重増加がよければとりあえず心配ありません。哺乳不良や体重増加不良 

を伴う嘔吐の場合はかかりつけ医に診てもらって下さい。胃食道逆流、幽門狭窄 

症、胃軸捻転のことや、消化器以外の病気のこともあります。 

乳児期、幼児期の嘔吐の原因で一番多いのは胃腸炎です。特にウイルス性胃腸 

炎が大部分を占めます。突然吐き始め、続いて下痢、発熱がみられます。 

嘔吐は半日ほどで収まりますが、長引くときは脱水にならないように点滴が必要 

になります。腸重積の場合、初期症状は嘔吐ではなく腹痛から始まります。嘔吐 

は症状が進行してからでないとみられません。子どもの嘔吐は臓器に特異的な症 

状ではないので、消化器以外の病気でも起こります。発熱を伴う場合は、膀胱炎 

や腎盂炎などの尿路感染症や髄膜炎、脳炎の場合があります。顔色が悪く、意識 

障害を伴う場合は頭蓋内出血を疑います。様々な病気で嘔吐を主訴としますが、 

 

哺乳力が悪い、座る元気もない、あやしても笑わない、泣き声が弱々しいなどを 

伴うときは、先ずかかりつけ医の先生に相談してみて下さい。普段からお子様を 

診ておられる先生だと適切な判断をしてくれるものと思います。 

 

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★自己紹介★ 

 

国立成育医療センター総合診療部  

洲鎌 盛一 

趣味 剣道 

 

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●病気の初期症状の注意事項について 

         (総合診療部 小児期診療科医長 赤澤 晃) 

 

 この春から保育園や幼稚園に通いはじめたお子さんでこんなことはありません 

か?4月に風邪を引いてからずっと汚い鼻水や咳が続いたり、治ってもすぐに繰 

り返したり、夜中に咳き込むことや喘息と言われて治療しても良くならないこと 

がありませんか。 

このようなときは、副鼻腔炎や鼻の奥に肺炎球菌やインフルエンザ菌が慢性的な 

感染を起こしていることがしばしばあります。こうした状況は保育園や幼稚園の 

環境ではどうしても防ぎきれないことが多いようです。ときどき浸出性中耳炎や 

肺炎を起こしたり、本当に喘息に移行してしまうことがあるので長引く場合はき 

ちんと治療が必要ですが、薬だけではうまくいきません。普段から鼻をかむ練習 

をしたり、鼻水の吸引をしてきれいにしてあげてください。 

ここのところ朝になるとお腹が痛くなったり、頭が痛くなったりすることや、学 

校のことを聞いてもあまり話したがらないことはありませんか? 

腹痛や頭痛は体の病気の症状としても大切ですが、子どもがなんとなくネガティ 

ブな状況を感じているけれども、うまく表現できない時の表現として最も多いも 

のです。学校のこと、友達のこと、先生のこと、勉強のことを相談できずに子ど 

もが一人で悩んでいることがあります。 

そんな子どもの様子に気づいたら、子どもの話を良く聞き、うまく表現できない 

ときは、大人が上手に聞き出してあげましょう。 

「どうしたの?」「何か悩みがあるの?」と子どもがY es/Noで答える質問を

したり、悩みがあるのにうまく表現できないときは、「友達と喧嘩したの?」と 

具体的に聞いてみることです。 

 

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●発達障害とは何だろう    (こころの診療部 発達心理科医長 宮尾 益知)

 

 発達障害、軽度発達障害ということばを、最近聞くことが多くなりました。こ 

のようなことばはどういう意味なのでしょうか。精神発達の全体的な遅れ、部分 

的な遅れあるいはゆがみを呈するために、社会生活上障害を有する状態をいいま 

す。このような子どもにとっての社会は学校です。すなわち学校生活での不適合 

が社会生活上の障害ということになります。最近になって、このような子どもた 

ちの病因や病態が認知、言語、運動あるいは社会的技能の獲得に問題があるとい 

うことがわかってきました。このような観点から、医学的に診断していこうとい 

う考え方が「発達障害」という診断名のもとになっています。 

現在、社会的に最も問題になっている子どもの問題の大部分はこのような観点か 

ら「軽度発達障害」という観点から考えることができます。しかし、軽度という 

ことばは、知的なあるいは身体的機能として程度が軽いという意味で、決してそ 

の子どもの抱えている問題が軽いと言うことではありません。 

このようにしてこれらの状態は、学習障害、注意欠陥/多動性障害、高機能広汎 

性発達障害(アスペルガ-症候群、高機能自閉症)などと医学的に診断されるこ 

とになります。このような子どもたちは、脳科学的(認知障害)に考えていきな 

がら、様々な専門領域の方々と協力して、サポートすることによって社会生活に 

おける障害を減らすことができます。いままでこれらの子どもたちは、社会生活 

に上手に適応できるように自分たちで悩み、考え、挫折しながらがんばってきま 

した。しかしこれらの努力にはとても時間がかかりますし、社会で生きていく自 

信を失ってしまい不登校、引きこもりなどの状態になることもあります。 

 私たちの国立成育医療センターのこころの診療部では、発達心理科を中心に、 

このような考え方で子どもたちに対応しています。そうして、医療の分野でのリ 

ハビリテーション(作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士)や医療ケースワーカ 

ーのみではなく、教育、心理、行政など様々な分野の人たちとの新しいシステム 

作りを始めています。 

子どもの認知障害を客観的に判定するための様々な脳機能検査、様々な分野の人 

と協力して行う社会生活訓練( SST)などの実施、教育や行政を含めた社会資源

の活用、奇数月の最後の火曜日に行っている「発達障害に関する公開講座」、専 

門家の養成など様々な取り組みを始めています。 

これらの取り組みが、発達障害を持つ子どもたちにとって役立つシステムの一つ 

として理解されることを考えながら。 

 

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●梅雨に向かって気をつけたいこと   (栄養管理部 栄養管理室長 飯塚 隆)

 

 梅雨の季節は多くの人はゆううつな気分となってしまいます。しかし、湿気の 

多い梅雨を好むものもおります。それはカビや細菌です。1年で一番元気になる 

季節でもあり、梅雨は黴(カビ)が生えやすいことから「黴雨(ばいう)」とい 

われている位です。この時期は特に細菌が元気に活動し増殖して食中毒という結 

果をおこします。食中毒は旅館や集団給食施設で起こるものと思われがちですが 

家庭での発生する危険性は多く報告では全体発生数の20%は家庭での食事が原 

因となっており、家庭では風邪か寝冷え程度と思い食中毒とは気づかず重症にな 

ったり、死亡した例もあります。 

食中毒の患者数は生活環境の向上とは関係なく40年前とほとんど変化しておら 

ず、さらに暖房や食品大量流通等で年間通して発生しやすい環境となっておりま 

す。 

家庭でできる食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺 

す」です。「付けない」は調理や食事前は必ず手を洗い、「増やさない」は新鮮 

な食材を購入し、適切な方法、温度で管理し、調理後速やかに食べ、残った食品 

の取り扱いには注意する、「殺す」は加熱食品を十分に加熱し、まな板、ふきん 

等はまめに殺菌する。 

特に冷凍庫は-15℃以下、冷蔵庫は10℃以下にして冷凍冷蔵庫の過信はしな 

いようにしましょう。 

また、食事についてお悩みの方は気軽に栄養士にご相談下さい。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

★自己紹介★ 

 

 4月より国立がんセンター東病院から転任して参りました。 

趣味は美味しい料理を食べること、週末は食べ過ぎた分をゴルフ、家庭菜園で汗 

を流すことです。 

 

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●新任医師の紹介 

 平成16年6月1日付 

      総合診療部 成人期診療科医師 荒田 尚子 

      第二専門診療部 形成外科医師 松田 就人 

 

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成育すこやかジャーナル №19(2004 /5/17)

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成育すこやかジャーナル第19号をご覧いただきありがとうございま

す。

 

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◆目次

 ●病院長の挨拶・・・病院長 佐伯 守洋

 ●看護について・・・看護部長 斎藤 理恵子

 ●臨床検査とは・・・臨床検査部 臨床検査技師長 小泉 良一

 ●育児心理科について

   ・・・こころの診療部 育児心理科医長 笠原 麻里

 ●麻酔について・・手術・集中治療部 麻酔科医師 植松 悟子

 ●保育士奮闘記(こいのぼり会)・・・保育士 平 真由美

 ●新任医師の紹介

 

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病院長の挨拶 (病院長 佐伯 守洋) 

 

 皆様こんにちは。病院長の佐伯 守洋です。

 これまでの小児医療は、こども(新生児からおよそ高校生位まで)

の間だけ、小児科が担当して診療するという形で行われてきましたが、

「成育医療」は、このような従来の小児医療とは異なって、生まれた

人が小児期、思春期、青年期と育って次代のこどもを産み育てる、と

いうひとつのライフサイクルのなかで病気を継続的また包括的にみる

という新しい医療の形です。

 国立成育医療センターはこの成育医療を展開する病院で、小児の全

ての病気に対する診療はもとより、不妊治療、おなかの中の胎児に対

する医療、産科医療とそれに続く母子医療、思春期に特有な身体とこ

ころの問題に対する医療、小児期からの病気による問題を持つ成人に

対する医療など幅広い分野での診療を行っています。

 診療の方針は

  1.  1.最適な医療を提供するためにチーム医療を行います。(例

えば、診療を受ける方の病状を総合的にとらえる総合診療部

の医師と専門領域の治療を行う専門診療部の医師達がチーム

を構成して診療に当ります)

  1.  2.いつでも(365日、24時間)、誰にでも開かれていま

す(例えば、面会時間の制限はありません)。

  1.  3.成育医療に関する救急医療を行います(小児領域と産科領

域の救急診療を常時行っています)。

  1.  4.こころの問題に配慮した医療を行います(こころの診療部

の医師がチームに入ります)。

  1.  5.アメニティに配慮した医療を行います(職員はもとより建

物の構造、設備などにも皆様が快適に、できればご家庭にい

るのと同じような気持ちでお過ごしいただけるよう心を配っ

ています)。

  1.  6.年齢に応じた教育環境を整備します(例えば、病院内に小

学校から高校生までが入学できる都立養護学校の分教室があ

ります)。 

です。

 開院以来の2年間、皆様のご意見、ご指摘を参考にさせていただき

ながら良いところを伸ばし、至らぬ点は改善してまいりました。これ

からも職員一体となってお一人お一人に最適な医療を行って参りたい

と考えています。

 病院の内容や受診のご案内など、くわしくはホームページの中にも

ご紹介させて頂いております。どうぞお気軽にご来院下さいますよう

お願い申しあげます。

 

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看護について (看護部長 斎藤 理恵子) 

 

 成育すこやかジャーナルをご覧のみなさま、こんにちは。国立成育

医療センターが、開院して3年目を迎えました。日頃より、みなさま

方からのご支援に感謝申し上げます。

 看護部は、次の5つの方針を掲げ看護活動を行っています。

  1.  1.生命と人間性を尊重した、あたたかい看護を提供することを

目指します。

  1.  2.安全と安楽を重視した看護を行います。
  2.  3.成長発達を助け、さらにQOL(クオリティ・オブ・ライフ

生活の質)を配慮した看護を行います。

  1.  4.患者中心の医療を提供するためのチーム医療を行います。
  2.  5.アメニティ及び利便性を重視した快適な環境を提供します。

 国立成育医療センターは、一般の医療機関では対応困難な高度先駆

的医療(特殊医療)を必要とする患者さまが多くご入院されています。

看護は、チーム医療のなかで診療の介助や生活援助といった機能を分

担し、24時間継続して看護にあたっています。そして、患者さま一

人ひとりの健康上の問題について、看護過程という問題解決法を用い

て客観的に科学的根拠に基づいたより良いケアの提供ができるよう目

指しています。

 入院患者の約50%は、6歳未満の患者さまです。自分では、苦痛

や意志を十分表現できず、しかも自分で危険を回避することもできな

い年齢です。私たち看護師が、最も気を配っていることは、安全と安

楽です。十分な観察と安全な環境の提供、確かな看護技術の提供を目

指しています。また、小児病棟には保育士が配置されています。保育

士とともに、こども達の成長発達を助け生活の質を高める取り組みを

しています。

 周産期病棟においては、妊娠したお母様たちが無事出産、産後に至

るまでをバースプランに基づき支援しております。

 患者さまの早期回復を願いながら、日々看護活動を進めて参ります。

看護職員の教育にも力を注ぎ、より良い看護の提供ができるよう研鑽

していきたいと考えています。今後とも、どうぞよろしくお願い致し

ます。

 

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臨床検査とは (臨床検査部 臨床検査技師長 小泉 良一) 

 

 臨床検査は、大きく分けると「検体検査」と「生体検査」に分ける

ことが出来ます。検体検査は、化学分析技術を利用する分野と、形態

を見極め技術を駆使する分野があり、生化学検査、血液検査、免疫検

査、微生物検査、病理検査、一般検査などがあります。生体検査は、

呼吸機能検査(肺機能、基礎代謝)、循環機能検査(心電図、心音

図)、神経機能検査(脳波、筋電図)、感覚機能検査(聴力、眼振電

図)、画像検査(超音波、熱画像、眼底写真)などがあります。

また臨床検査は時間を考慮した臨床的役割から分類すると、一般的な

病態を把握する為の検査で、毎日予定された時間に多量に処理される

日常検査と、日常検査の中でも診断、治療の為に出来るだけ早く知り

たい検査の迅速検査(至急検査)や、緊急処置を必要とする場合や、

急激な病態の変化を把握し治療を行う為の検査の緊急検査などがあり

ます。

そのほか最近の傾向として、検査技師が直接、外来や病棟に出向いて

行うベットサイド検査なども増えてきています。

 臨床検査は病気の診断、治療方針の決定、予後の推定、健康の診断

など広い範囲にわたって利用され、情報として不可欠なものとなって

おります。しかし何もかも検査情報至上になりすぎ、その情報なくし

ては診断が進まない、患者様不在の医療が展開されていると危惧され

ている先生方もいらっしゃいます。確かに検査情報は、いかにも客観

的な情報としての信頼性が高く、今の科学至上の時代に果たしている

役割は非常に大きいといえます。またこの事が、臨床検査技師として

のやり甲斐となっております。

 医療の最終目標は、「的確な診断と迅速な治療」と極言する事が出

来ます。その視点から見ますと、臨床検査の原点は、「客観的で正確

な検査情報を手段として、医療に直接参加し、貢献することである」

といえます。

 臨床検査の歴史は、省力化、微量化、迅速化、効率化等を目指して

進んできました。それが機械化、自動化、システム化によって次々と

実現化し、広く社会、医療に貢献しています。検査情報が益々評価さ

れ、信頼される為に今後もたゆみない臨床検査側の努力が求められて

います。

 

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育児心理科について(こころの診療部育児心理科医長 笠原麻里) 

 

 育児心理科では、お子様のこころの発達や心理的変化について、お

母様方が心配されている事柄がある場合、ご相談に乗らせて頂いてい

ます。これまで、お母様方の育児に関するさまざまな不安を伺ってま

いりましたが、現代の育児には実に多岐にわたっての心配事や困難が

つきまとうものであると実感しております。例えば、お子様の身体的

発育や健康状態に何らかの問題を察知されたとき、あるいは明らかに

何らかの疾患にかかられたとき、まずはお体の問題に取り組まれるわ

けですが、その時は多くのお母様方が夢中でおそらくご自身のお疲れ

も省みず無理もなさることでしょう。お子様の治療がすすみある程度

状態が落ち着いた頃に、今度はお子様のこころの問題や、子育てへの

心配が出てくることも少なくありません。また、子育ての環境自体が

とても支援の少ない状況であることは、核家族化、都市化など社会の

構造の中で切実です。「こんなことを相談したらおかしいかしら?」

「私の育て方が悪かったのじゃないかしら?」そのような悩みにぶつ

かられたら、どうぞ育児心理科へご相談にいらしてみてください。医

師として、お貸しできる知恵を絞って問題への対応策を考えさせてい

ただきます。

 

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麻酔について (手術・集中治療部 麻酔科医師 植松 悟子) 

 

麻酔には色々な種類がありますが、よく耳にされるのは「局所麻酔」

と「全身麻酔」ではないでしょうか。「全身麻酔は怖いので、局所麻

酔にしてもらえませんか?」と言う質問をよく受けます。局所麻酔と

は、手術部位の痛みだけを取り去ります。一方、全身麻酔は、意識が

無くかつ、痛みを取り除き、痛みに対して手を引っ込めたりする防御

反射を含め本来備わっている様々な反射も取り去った状態になります

ので、麻酔科医による注意深い全身状態の管理が必要となります。麻

酔科医は患者様の傍から離れる事なく、呼吸を助け、心電図、血圧、

体温などをチェックし、調整をします。そして手術の経過をみながら

手術が終了後間もなく麻酔から覚めるようにします。

「麻酔が覚めないことはあるのでしょうか」と言う質問もよくありま

す。麻酔薬の効きには個人差や年齢差がありますので、覚めにくいと

いうことはありますが、全く覚めないということはありません。確か

に、全身麻酔に関する不安を持たれることは当然だと思います。しか

し、小さいお子様の場合にたとえ短い時間でも手術室という特別な場

所でじっとはしていてくれませんし、大人でさえも長い時間の手術は

耐え難いものです。安全にかつ確実で最善の手術をするために全身麻

酔は必要なのです。

 麻酔を受ける予定の方や家族の方で、疑問点や不安がありましたら

どのようなことでも御遠慮なく、麻酔科外来受診の際にご相談くださ

い。

 

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保育士奮闘記「こいのぼり会」 (保育士 平 真由美) 

 

 新しい年度になり、子供たちが楽しみにしている最初の行事と言え

ば「こどもの日」です。連休の関係で今年は4月30日(金)にこど

もの日の行事を行いました。この日は保育士が配属されている小児6

個病棟を、保育士6人と当日お手伝いしてくれるボランティアさん達

と回り、それぞれの病棟で同じ内容の出し物をします。

 さて、最初の出し物は″のびるのびるシアター〝です。のびるのび

るシアターはお話が進むごとに絵が上にのびていきます。

「お散歩中の亀さんがりんごの木を見つけました。亀さんはりんごが

とても食べたくなりました。でも小さいのでりんごに手が届きません。

そこへお友達が来て亀さんを持ち上げてくれました。」子供たちは

次々に現れる動物たちをじっと見つめ話の展開を楽しみ、動物たちが

時々見せるお茶目な様子に笑ったり「変なの!」と声を掛けたりと面

白そうでした。

 次の出し物は″パネルシアター〝で、シルエットクイズ(影当て遊

び)をしました。やさしいシルエットあり、難しいシルエットありで、

「はい!はい!」と手を上げて答える子、当たると大喜びする子、思

っていたのと同じだったとホッとした笑顔を見せる子。また、隣同士

で「4個わかったよ」「僕は5個わかった」と競い合う子と反応も

様々で、短時間でしたが楽しい時間を過ごしました。

 普段、入院している子供たちが一同に集まることはありませんが、

この日だけは看護師さんたちの協力を得て子供たちがプレイルームに

集まります。

『同じ場所で他の子と同じ体験をする』このことは当たり前のようで 

すが、普段点滴をしたり、治療のためベットから降りられない入院中 

の子供たちにとっては貴重な体験です。 

 これからも子供たちが病院での生活に潤いを感じ、治療に前向きに

なれるような、そして四季の感じられる行事を行っていきたいと思い

ます。今年は他に七夕、お店屋さんごっご、クリスマス会等で子供た

ちに楽しんでもらえるものを計画しています。

 

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新任医師の紹介 

 

 平成16年5月1日付

 

  第二専門診療部 リハビリテーション科医師  関 勝

  放射線診療部 放射線診断科医師  佐藤 宏朗

 

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成育すこやかジャーナル No .18(2004/4/13)

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成育すこやかジャーナル第 18号をご覧いただきありがとうございます。

 

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◆目 次 

 

●総長のご挨拶 (総長 柳澤 正義) 

●血管腫について  (第二専門診療部 外科医師 森川 信行)

●赤ちゃんへの接しかた  (周産期診療部 新生児科医師 塚本桂子 )

 

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●総長のご挨拶 (総長 柳澤 正義) 

 

私は、この度国立成育医療センター総長に就任いたしました柳澤正義 

と申します。成育すこやかジャーナルをご覧の皆様に一言ご挨拶申 

し上げます。 

わが国で5番目のナショナルセンターとして、平成14年3月1日、 

国立成育医療センターが開設されて以来、2年が経過しました。これ 

まで大過なく発展を遂げてこられたこと、皆様のご支援、ご協力の 

賜と感謝申し上げます。 

本年秋には研究所の建物も竣工し、この地にセンターが完成するこ 

とになります。 

成育医療センターは、胎児から始まって、新生児、小児、思春期を経て 

次世代を産み育てる成人世代の心身の健康まで、リプロダクションのサイ 

クルを連続的・包括的に捉える医療、すなわち「成育医療」の診療と研究 

を推進します。またこの新しい理念の医療を担う人材の育成やこの領域 

に関する情報の集積・発信の役割も担っています。病院はナショナルセン 

ターとしての高度先駆的医療の提供とともに、小児救急医療や周産期医 

療のように地域に根差した医療にも力を入れています。 

少子社会に生きる子ども達とそのご家族の心身の健康に寄与し、こ 

れからの世代に夢と希望を与えるセンターとなるよう職員一同努力 

いたします。 

引き続き皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。 

 

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●血管腫について (第二専門診療部 外科医師 森川 信行) 

 

血管腫は胎児期(お母さんのお腹の中にいる間)の血管組織の名残りが 

増殖したものと考えられており、小児にみられる良性腫瘍の中で最も頻度 

の高いものです。男の子より女の子に2倍多く発症します。最もよくみられ 

るのは苺状血管腫で、その名のとおり苺のような赤い隆起が生まれてまも 

なく発生します。 

生後半年ぐらいまでは大きくなりますが心配はいりません。その後は徐々 

に小さくなり、多くの場合は自然に消えてしまいます。ただ、その痕が多 

少残ることがありますのでレーザー治療などが試みられており、当院では 

皮膚科で行っています。また、スポンジ状の血管の塊が皮膚の下や肝臓 

などの内臓にできる海綿状血管腫という血管腫もあります。これは皮膚と 

同じ色か青っぽくみえる弾力性のある腫瘤で自然に消えてしまうことはあ 

りません。腫瘍が大きい場合には、血液を固まらせるために必要な血小 

板が腫瘍の中で消費されて出血しやすくなる病態(カサバッハメリット症 

候群といいます)や、心臓に負担がかかり心不全のような危険な病態に 

陥ることもあります。治療は腫瘍が限局している場合は外科的にとるの 

が一番ですが、腫瘍が大きい場合や血小板が減るような病態では、ステ 

ロイドホルモン、インターフェロンを投与する内科療法、放射線療法を行 

います。最近、これらの治療にも反応しない患者さんに対しては、抗癌剤 

を投与すると良くなることも報告されています。当院ではこのような難治例 

には外科、腫瘍科、放射線科、病理検査科が集まり相談しながら治療方 

針を決めています。 

 

自己紹介:第二専門診療部 外科 森川信行 

     出身地:東京 出身大学:筑波大学、昭和 60年卒 趣味:子育て 

 

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●赤ちゃんへの接しかた (周産期診療部 新生児科医師 塚本 桂子) 

 

赤ちゃんと一言にいっても、いろんな赤ちゃんがいます。赤ちゃんにも様々 

な個性があります。健康で元気な赤ちゃんもいれば、生まれながらにして病 

気を持ち、いくつもの治療をしなければ生きていけない赤ちゃんもいます。 

また、母乳を一杯飲んですくすく大きくなる赤ちゃんもいれば、なかなか飲 

んでくれなくていつまでも小さい赤ちゃんもいます。いろんな赤ちゃんがい 

る中で、お母さんやご家族にとって、その赤ちゃんだけが唯一無二の存在 

であり、かけがえのない生命です。そうです。とにかく、誰でも、かわいい赤 

ちゃんなのです。大きくても、小さくても。病気があっても、なくても。泣いて 

いても、笑っていても。それは、おなかの中にいるときからずっと続いてい 

きます。 

もしも病気かもしれないと思ったら、あるいは、いつも泣いていてどうしてあ 

げたらいいかわからないとしたら、どうでしょう。その子がどんなに特別で 

特殊な生きもので、いろいろなことに気を遣わなければならないのかと心 

配で、かわいい赤ちゃんに見えなくなってしまうかもしれません。でも、それ 

らの赤ちゃんとそこにある様々な事柄は、すべてかわいい赤ちゃんの一部 

ですから、まずは、それらを全部受け止めてあげることから始めてください。 

そうすれば、それは、まぎれもなく、一つの小さな、いとおしい命であって、 

決して特別な存在ではないはずです。そこには、絶対にこうしなければなら 

ない、というような厳密なものは何もありません。おおらかに、ゆったりと考 

えてみてください。大原則さえ守っていれば、少しくらい失敗しても、赤ちゃ 

んはきっと待っていてくれます。赤ちゃんに任せてあげても、自分自身で調 

節して、十分にうまくやっていける能力を赤ちゃん自身が備えているのです。 

ただし、赤ちゃんは弱い存在でもあります。必ず手助けを必要としてい 

ます。何かを訴えています。それを、聞いてあげ、受け止めてあげるのは、 

お母さんの役目です。最初から、すべてがわかるお母さんはいません。 

でも、必ず出来るようになります。ずっと赤ちゃんの一番そばにいるから 

です。一番そばにいれば、誰よりもその子のことが理解できる人になり 

ます。それがお母さんであり、ご家族です。そばにいてあげること、受け止 

めてあげることは、誰も替わりのできないお母さんたちだけの権利であり、

義務なのです。

 

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