国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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国立成育医療研究センターについて About National Center for Child Health and Development

国立成育医療研究センターについて About National Center for Child Health and Development

子どもの心の診療に関する用語集

あ行

アタッチメント / 愛着

子どもは、危険を感じた時や不安になったときに保護者などの特定の身近な大人に近づきます。すると、その大人は子どもを守ったり世話をしたりして、子どもの心身を満たします。こうした特別なこころの結びつきがアタッチメント(愛着)です。虐待や養育環境の繰り返しの変更によりアタッチメント形成がうまくいかないと、つらいときにも人に助けを求めれられなかったり、反対に見知らぬ人に馴れ馴れしくしてしまったりして、対人関係に困難をきたすことがあります。

アスペルガー症候群[アスペルガーしょうこうぐん]

高機能自閉症とも呼ばれ、「広汎性発達障害」のひとつとして分類されていました。2013年から診断基準が変わり(DSM-5)、自閉症・アスペルガー症候群・特定不能の発達障害は「自閉スペクトラム症」としてまとめて表現するようになりました。

いじめ

いじめは、いじめられた子どもやその周囲に長期にわたる影響を及ぼすことが知られています。文部科学省は、いじめを「一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」としています。これは、学校の内外を問いません。また、近年ではインターネットによるいじめも注目されるようになりました。

うつ病[うつびょう] / 大うつ病[だいうつびょう]

ゆううつな気持ちやイライラした気持ち、あるいはこれまでに楽しめていたことが楽しめなくなることが、毎日、2週間以上続きます。食欲がない、眠れない、自分を責める、集中できない、などの様子もみられ、日常生活が大変になります。中には、自分を傷つけたり死にたくなったりする人もいます。子どもの場合には、こうした様子を周囲に伝えるのが難しく、身体の症状がサインになっているかもしれません。

LGBT 性別違和

LGBT(LGBTQ, SOGIなど様々な用語があります)は病名ではなく、当事者を中心に発展した、様々な性のあり方についての概念です。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシャル、Tはトランスジェンダーの頭文字です。LGBは好きなる性について、Tは生まれたときに決められた性と、自分が認識している性別が異なることを指し、性別違和とも呼ばれます。子どもの場合には、性別に対する違和感が成長とともに変化することや、発達上の特徴が性別についての認識に影響を与えることがあります。


か行

解離[かいり]

気づくといつのまにか時間がたっていた、何かに熱中して名前を呼ばれても気づかない、というのは誰にでも起こりうる解離[かいり]の一種です。中には、何かをしていたのに記憶が抜けている、自分の身に起きたことを他人事にしか感じられない、自傷行為[じしょうこうい]などで痛いはずなのに痛みを感じない、気がついたら殴っていた、などの治療が必要な解離[かいり]を体験する人もいます。つらい体験などから自分を守る反応のこともある一方で、体験の後にも長引くと、周囲との関係や日常生活に支障をきたしてしまいます。

過覚醒[かかくせい]

刺激に対しての反応の感度が高すぎる状態です。眠れない、いらいらして攻撃的になる、警戒しすぎる、注意集中が難しい、ビクビクする、という様子がみられます。危険な状況や記憶から自分を守る手段のこともありますが、エネルギーを消耗して疲れてしまったり、周囲から発達障害や問題行動として誤解されたりすることもあります。

限局性学習症(いわゆる学習障害)[げんきょくせいがくしゅうしょう]

発達障害のひとつです。知的能力に遅れがなく、視力や聴力、周囲の環境などにも問題がないのにもかかわらず、特定の学習の困難さが続いている状態をさします。読字や書字(ディスレクシア、発達性読み書き障害)、算数などの困難さがあり、学業不振をきたします。全くできないのではなく、行うのにとても努力を要する状態なので、気づかれずにしんどい思いをしている子どももいます。適切な指導や周囲からの理解を得られないと不登校心身症などにつながることもあります。

過食[かしょく]/ 神経性過食症[しんけいせいかしょくしょう]

緘黙[かんもく](場面緘黙、選択性緘黙)

ある環境(例えば家庭など)では自然に話せるけれど特定の社会的状況(例えば学校など)では話せないことが続き、日常生活に困難が生じます。わざと話さないのではありません。不安症のひとつとされているので、急いで話すことを強要してしまうと、より不安になり、症状が悪くなることがあります。

吃音[きつおん] / 小児期発症流暢症[しょうにきはっしょうりゅうちょうしょう]

言葉をなめらかに(流暢に)話すことが難しいために、コミュニケーションや学校生活などに支障をきたす状態です。「お、お、お母さん」などと繰り返したり、「ぼーくは」などと伸ばしたり、最初の単語が出るのに時間がかかったりします。小さな子どもに多く、成長とともに目立たなくなることがほとんどですが、長引く場合もあります。

強迫性障害[きょうはくせいしょうがい]

ある考えやイメージが、考えたくなくても繰り返し浮かんできて(強迫観念)、その考えや不安を和らげるために同じ行動を何度も過剰に行うため(強迫行為)、日常生活が大変になります。たとえば手を洗う、順番に並べる、確認する、などを厳しいルールで行おうとするので、一時的に不安が和らいでも、自分も周囲も疲れてしまいます。

拒食[きょしょく]/ 神経性やせ症 / 神経性無食欲症[しんけいせいむしょくよくしょう]

起立性調節性障害[きりつせいちょうせつしょうがい] / OD

自律神経系の不調から、起立時に脳や身体への血のめぐりが不足するために、朝起きられない、立ちくらみ、だるさ、頭痛、腹痛などの症状が出る病気です。思春期の子どもに多くみられます。朝に強く症状が表れるので、登校できないなど日常生活に支障をきたすこともあります。中には、怠けやさぼりなどと誤解されてしまう子どももいるかもしれません。

ゲーム症 / ゲーム障害

ゲームやインターネットは日常生活の一部になっていますが、長時間の使用は心身の健康に悪影響を及ぼすことがわかってきました。こうした状態は一般的にゲーム依存やネット依存などとも呼ばれてきましたが、最近では正式に、医学的な病名として認識されるようになりました(ゲーム症/ゲーム障害、ICD-11)。ゲームをする時間を自分ではコントロールできず、何よりも優先してしまうので、生活リズムが崩れて学校に行けないなど、日常生活に支障をきたします。できればゲームを最初に与える前に、子どもと一緒にルールを作る(機器は親が貸し出す、使う場所と時間を決めるなど)ことが大切です。

幻覚(幻聴・幻視)[げんかく(げんちょう・げんし)]

現実にはないものを感じることを幻覚[げんかく]といいます。実際にはないものが見える幻視[げんし]、聞こえない声や音が聞こえる幻聴[げんちょう]などがあります。本人はそれが存在しないと気づいていることもあれば、現実だと確信していることもあります。精神疾患で生じることが多いのですが、うつ病解離[かいり]などの他の障害や状況でも起こり、一時的なものはこうした障害がなくてもみられることがあります。

行為障害

広汎性発達障害[こうはんせいはったつしょうがい]

自閉性障害、レット症候群、アスペルガー症候群などを合わせて「広汎性発達障害」と呼んでいたことがあります。2013年から診断基準が変わり(DSM-5)「自閉スペクトラム症」としてまとめて表現するようになりました。


さ行

産後うつ病 / 周産期うつ病

産後のうつ病は10%程度の母親にみられ、めずらしいことではありません。多くは産後3ヶ月以内に発症します。気分の落ち込み、楽しめていたことに興味がなくなるなどの抑うつ症状のほかに、母乳への強いこだわりや、子どもを可愛く思えないという方もいます。ホルモンバランスや生活の変化による影響が大きく、本人のせいではありません。周産期の女性は精神的に不調でも自分を責めたり育児を優先したりしてSOSを出せないことが多いとされ、周囲の気づきが大切です。また、父親でも10%ほどにうつの症状がみられるとされています。

自殺企図

自傷行為とは異なり、少なくともある程度は死ぬことを目的として行った行動を指します。ただし、実際には、どのくらい死ぬつもりがあったかの判断は難しいことが多いです。計画性や他人の介入、その時の精神状態、周囲の環境などにより危険度は変わります。自殺行動は双極性障害うつ病統合失調症など様々な精神疾患を合併している状況でみられることがほとんどです。本人を叱ったり励ましたりするのではなく、つらい状況をねぎらいながらも、安全と安心を確保することが重要です。

思春期心性[ししゅんきしんせい]

思春期は心身ともに大きな変化を体験する時期です。身体は大人に近づき、性的な衝動に戸惑うこともあるかもしれません。自分で色々なことを決めたいと感じる一方で家族や学校などの枠組みからは独立できず葛藤を覚えます。自分とは何者なのかを探る時期でもあります。こうした苦悩や自己不全感を感じる中で、抑うつや不安など気持ちに変化が現れる子どもや、攻撃性や非行などの行動が現れる場合もあります。

自傷行為[じしょうこうい] / リストカット

リストカットなどの自傷行為は、多くの場合、不安や怒りなどのつらい気持ちを和らげる対処行動として行われます。死ぬことを目的にする自殺企図とは異なり、自傷行為は死なないだろうという予測をもって身体に損傷を与える行動を指しますが、一方で、自傷行為のある場合には自殺のリスクも高く、注意が必要です。叱ったり禁止したりする前に、その背景に目を向けることが必要です。

自閉スペクトラム症[じへいスペクトラムしょう]/ 自閉症 / ASD

発達障害のひとつです。人や社会との関わりの持ち方に特徴を持っていて、生活に困難をきたします。まず、コミュニケーションや対人関係の持ち方が特徴的で、やりとりの独特さ、その場の空気や他者の気持ちの読み取りにくさがあります。また、行動、興味や活動の幅が限定されていて、同じ動きの繰り返し、同じやり方や順番などへのこだわり、特定のものごとへの没頭、感覚の敏感さや鈍感さも、しばしばみられます。周囲の理解や環境との兼ね合いで、これらの特徴が強みになることもあります。

嗜癖[しへき]、アディクション、依存症

ある物質や行動に対する欲求とそれを求める行為が過剰になると、日常生活や社会生活に支障を生じることがあります。たとえば、ある種の薬物やアルコール、ギャンブルなどが例としてあげられます。病気として定義されていないものもありますが、こうした状況を嗜癖、アディクション、依存、などと呼ぶことがあります。

社交不安症[しゃこうふあんしょう]

社交的な場面(人と話す、人前に出る、人前で食べたり飲んだりする)とほとんど必ずとても不安になります。子どもの場合には、泣く、かんしゃくを起こす、固まる、などの行動や身体の症状で不安を表現することもあります。過度に不安になったり不安を見せたりすることはつらいので、それを恐れて社交的な場面を避けることもあり、その結果、日常生活が難しくなってしまいます。

くせ / 習癖

子どもの中には、爪噛み、鼻ほじり、年齢にそぐわない指しゃぶりなどをくりかえす子どもがいます。手持ち無沙汰だったり暇だったりするときに無意識にしていることもありますが、子どもなりのストレス対処の方法になっている場合もあります。注目しすぎると悪化することも多く、叱ってやめさせようとするのは効果的ではないとされています。

心身症[しんしんしょう]

身体の病気のうち、その発症や経過に心理・社会的な因子が大きく関与しているものを心身症と呼びます。心理社会的なストレスに本人が気づいていないことも多くあります。繰り返す腹痛起立性調節障害、アトピー性皮膚炎など、心身症として診た方がよい場合のある疾患は多岐にわたります。

身体症状症[しんたいしょうじょうしょう]

苦痛を伴う身体症状があり、それに対して過度な心配や不安を持ったり、症状の確認や受診などの行動をしたりします。病気への心配や恐れのために、自分の日常生活や周囲との関係性を維持するのが難しくなります。子どもの場合、家族など身近な人の病気がきっかけになることもよくあります。症状を完全になくすのが難しい場合も多いですが、できていることに注目しながら日常生活を送ることを目指します。

心的外傷後ストレス障害[しんてきがいしょうごすとれすしょうがい]=PTSD[ピーティエスディ]

災害や事故、ひどい暴力、性的な被害などの通常を超えた恐ろしい体験は誰にでも起こりえます。そうすると、体験の記憶が意図せずよみがえる「再体験症状」、体験に関係したことを避けようとする「回避症状[かいひしょうじょう]」、感情を麻痺[まひ]させる「感情鈍麻[かんじょうどんま]」、常に過敏になる「過覚醒症状[かかくせいしょうじょう]」などの反応が出ることがありますが、通常は1か月程度で改善していくことが多いです。この反応がそれ以上続き、日常生活に支障をきたしている状態をPTSDと呼びます。子どもの場合には、体験に関わる遊びを繰り返したり、保護者から離れられなくなることが多いという特徴があります。

睡眠障害[すいみんしょうがい]

睡眠の質、タイミング、量などによって、日常生活に支障をきたすことがあります。眠れない(不眠)、寝すぎる(過眠)という状態のほか、悪夢、足がむずむずするなど、睡眠の不調の内容は様々です。睡眠障害は生活リズムを崩すばかりではなく、うつや不安などとも関係しています。

摂食障害[せっしょくしょうがい]

食行動に特徴があり、心身の健康や社会生活に問題が生じている状態を総称して摂食障害とよびます。特に多いのはいわゆる拒食症(神経性やせ症/神経性無食欲症)で、明らかに痩せているにも関わらず太っていると思い込み、カロリー制限などの体重を減らす努力をします。また、いわゆる過食症(神経性過食症)では短時間に明らかに多い量の食べ物を食べ、太らないために嘔吐や下剤の使用をします。痩せたいという願望が明らかではなく、食べることや吐くことが怖い摂食障害のタイプもあり、低年齢の子どもに多くみられます。

双極性障害[そうきょくせいしょうがい]/ 躁うつ病[そううつびょう]

躁とうつの状態を交互に繰り返します。躁状態では、気分が高揚・興奮したり、怒りっぽくなったりします。なんでもできる気がする、寝たくない、しゃべり過ぎる、買い過ぎる、などの変化により、日常生活に支障をきたします。うつ状態では、ゆううつな気持ちやイライラした気持ちが続き、あるいはこれまでに楽しめていたことが楽しめなくなってしまいます。子どもは、通常でも上機嫌から不機嫌へと気分が揺れ動くことはしばしばみられます。双極性障害は子どもには多くないとされていて、病気の場合には気分の変化は非常に激しく、かつ期間も長いのが特徴です。

素行症[そこうしょう]

人やものを攻撃する、ものを壊す・火をつける、盗んだり嘘をついたりする、重大な規則違反をするなど、社会のルールや他人の人権を犯すようなことをいくつも繰り返します。後悔や罪悪感がない、他者の感情に配慮ができないという特徴がある子どももいます。社会的要因などが複雑に絡んでいることが多く、説教や叱ることは必ずしも有効ではないとされています。


た行

多動[たどう]

チック / チック症 / チック障害

まばたき、肩すくめ、咳払いなどの運動や音声が、突然、繰り返し、意図せずに起きることをチックと呼びます。種類は様々で、変化することもあります。就学前の子どもによく見られ、一時的なものが多いとされますが、中には長引いたり、いくつもの運動と音声チックが組み合わさるトゥレット症になる人もいます。指摘すると悪化することも多く、ストレスや疲労などで悪化しやすいため、心身の負荷のサインともいえるかもしれません。

知的障害[ちてきしょうがい]

知的発達症[ちてきはったつしょう]/ 知的障害

子どものときから全体的な知的能力に遅れがあり、継続的なサポートがなければ、年齢や文化に見合った社会生活を送るのが難しくなる状態をさします。知的な能力は信頼のおける指標(知能検査など)で評価されます。知能指数ではおよそ70以下が目安となりますが、診断のためには得点だけではなく、実生活での状態を考慮することが必要です。遅れが軽度の場合には、周囲にやる気がないと思われていたり、本人が大変な努力をして適応したりしている場合もあります。

注意欠陥多動性障害[ちゅういけっかんたどうせいしょうがい]/ ADHD

不注意や多動・衝動性の強さにより色々な場面で生活に困難を生じている状態です。不注意症状には、うっかりミスや忘れ物が多い、気が散りやすい、話を聞いていないようにみえる、などがあります。多動・衝動性の症状には、そわそわモジモジしている、授業中に席を離れる、順番を待てない、などがあります。小さな子どもではこれらは通常でもみられますし、不安な時にこうした症状が出ることもあるので、子どもの年齢や状況を考慮することが大切です。

適応障害[てきおうしょうがい]

誰しも大きな生活の変化や明らかなストレスには動揺するものです。ストレス要因から3ヶ月以内に気持ちや行動に非常に大きな変化が生じ、日常生活が困難になることを適応障害と呼びます。抑うつ気分、過度な不安、攻撃的になる、など、現れ方は様々で、小さな子どもでは赤ちゃん返りのような様子がみられることもあります。ストレス要因から離れれば、症状は次第に改善することが特徴です。

転換性障害[てんかんせいしょうがい] / 身体表現性障害[しんたいひょうげんせいしょうがい]

身体の病気がないのに、歩けない、話せない、てんかんのような発作が出る、といったことが生じ、日常生活が大変になります。本人が困っていないように見えたり、むしろ症状で得をしているように見えたりすることもあるかもしれません。しかし、子どもは心理社会的なストレスを自覚したり、言葉で表現するのが難しい場合があり、こうした身体の症状をストレスを伝えてくれるサインとして受け取ることも大切です。

統合失調症[とうごうしっちょうしょう]

こころや考えがまとまりづらくなり、気分、行動、周囲との関係に困難が生じます。10代から30代の青年期に多い病気です。幻覚(幻聴など)妄想などの陽性症状と、意欲の低下、感情の表出の減少などの陰性症状があり、症状には波があります。長い付き合いが必要な病気ですが、早く治療をすると回復が早いとされています。本人が症状に気づきにくいことも多いため、周囲の気づきが大切です。

トゥレット症候群

チック障害の重症型で複数の多彩な運動性チック(瞬きや頭を振る、肩や手足をピクッと動かす等)と、1つ以上の音声チック(アッと声を出す、卑猥[ひわい]な言葉を言う、言葉を繰り返す等)を認めるものを指します。増悪[ぞうあく](症状が悪くなること)と改善の繰り返しはありますが、1年以上続きます。

トラウマ

トラウマとは「傷」のことです。心に傷を受けるできごとは人によって様々です。医学的には、命や身体への危険を与えうる強烈なできごと(突然の事故、災害、身近な人の予期せぬ死、虐待など)を体験したり、性的な暴力を受けたり、そうしたできごとを目撃したりして、ひどい恐怖や無力感などを感じることをトラウマ体験と呼びます。半数以上の子どもはなんらかのトラウマを体験するとされ、多くは自然に回復しますが、中にはトラウマの影響が長引き、生活がしづらくなってしまう場合もあります。


は行

発達障害[はったつしょうがい]/ 神経発達症[しんけいはったつしょう]

生まれつきの脳の機能の発達に特徴があり、知能、行動、感じ方やコミュニケーションの取り方などに、幼少期から変化を生じる病態をまとめて発達障害と呼びます。いくつかのタイプがあり、知的発達症自閉スペクトラム症注意欠如多動症限局性学習症発達性協調運動症などが含まれます。同じ人がいくつかのタイプの発達障害を併せ持つことも多く、症状の現れかたは一人ひとり異なり、成長とともに変化するのが特徴です。子どもや周囲が特徴をよく理解し、早期からその子にあった環境の整備や治療をすることが、日常生活の困難さを減らすことにつながります。

発達性協調運動症[はったつせいきょうちょううんどうしょう]

両手、手と目、手と足などを同時に使う運動を協調運動といいます。強調運動の苦手さは、不器用さや運動の遅さ、不正確さにつながります。物を落とす、ぶつかる、階段を登ることや自転車に乗ることが難しいなど、強調運動の苦手さによって日常生活に明らかに支障が出ている場合、発達性強調運動症と診断されることがあります。

抜毛症[ばつもうしょう]

自分の髪の毛、まゆ毛、まつ毛などを繰り返し抜いて、毛が減ってしまう状態をさします。思春期の女性に多くみられます。不安や退屈な感じがきっかけになり、毛を抜くことがこうした気持ちを和らげてくれることもあります。一方で、やめようと思ってもどうしてもやめられず、それに強い苦痛を感じたり、人前に出ることを避けようとしたりして、日常生活が苦しくなります。頭ごなしに禁止してしまうとかえって負荷がかかり悪化してしまうこともあります。

パニック障害 / 不安障害[ふあんしょうがい]

予期しないパニック発作がくりかえし起こります。胸が苦しくなったり動悸がしたりして、死んでしまうのではないかという強い恐怖を感じます。そのため、また発作が起きるのが怖くて、発作が起きそうな場所(電車や狭いところ)や外出自体を避けることもあり、日常生活に支障を生じます。本人や周囲が発作の特徴を知り、発作はパニックの症状でありかならずおさまること、命の危険はないことを理解し、無理のないペースで活動の範囲を広げていくことを目指します。

反抗挑発症[はんこうちょうはつしょう] / 反抗挑戦性障害[はんこうちょうせんせいしょうがい]

怒りっぽく、挑発的で、意地悪な気分や行動がずっと続いて、日常生活や人間関係に深刻な影響を及ぼしている状態をさします。どの子どもも多かれ少なかれ周囲に反抗をしますが、その持続性や頻度が特に強い場合に診断をされます。素行症のように人や物への攻撃や盗みなどには至りません。子どもの場合にはうつ病や不安症の症状や、周囲の環境への反応として反抗挑発症のような症状がみられることがあり、注意が必要です。

ひきこもり

仕事や学校などの対人交流のある場所に行かず、かつ家族以外の人との親密な交流をほとんどしない状態が6か月以上続いている状態です。ひきこもりになると社会的な適応度が低下し、本人や周囲に大きなストレスがかかることがあります。ストレスや孤立により二次的に対人恐怖を生じたり、家庭内で暴力が起きたりすることもあります。原因に治療可能な精神疾患が隠れている場合もあるため、家族だけでかかえすぎないことが必要です。

不眠[ふみん]

不登校[ふとうこう]

文部科学省は不登校児童生徒を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由による者のを除いたもの」と定義しています。どの学年にもみられますが、中学生に最も多く、高校生、小学生と続きます。多様な要因が複雑に作用していることがほとんどで、軽度の知的発達症などの発達障害、家庭での養育の問題、貧困、いじめなどが背景にあることも多いです。

分離不安症 / 分離不安障害[ぶんりふあんしょうがい]

家や愛着を持っている人(保護者など)と離れる際、多くの子ども、特に幼児はある程度の不安を感じます。この反応が強すぎると、離れる際に身体の症状が出たり、離れている間に親や自分が事故にあって再会できないのではないかと心配したり、離れるのが怖くて学校にいけなくなったりして、生活に支障をきたします。身近な人を失うことがきっかけになることもあります。


ま行

妄想[もうそう]

現実ではないことを確信してしまうことや、非現実的な思い込みの強いことをいいます。ねらわれている、悪いことがおきる、自分に関係があるように思える、と強く信じてそれに応じて行動し、周囲が訂正しても受け入れることができません。 本人にとっては実際に体験していることなので、とてもエネルギーを使いますし、周囲との関係がこじれてしまうこともあります。統合失調症うつ病の症状として現れることもあり、注意が必要です。


や行

夜驚症[やきょうしょう]/ 睡眠時驚愕症[すいみんじきょうがくしょう]

睡眠中に突然悲鳴をあげて起き上がり、ひどくおびえた様子になりますが、周囲が落ち着かせようとしてもおさまらない状態が10分ほど続きます。子どもに多く、寝入ってから数時間の間におこることが多いです。とても苦しそうに見えますが、翌朝本人尋ねても覚えていません。発達などへの影響はないとされていて、成長とともになくなっていくことがほとんどです。

夜尿症

夜のおねしょが大きくなっても続いて、生活に不便を生じている状態です。いろいろな定義がありますが、一般的には、5歳をすぎても、月に一度以上のおねしょが3ヶ月以上続く場合に診断されます。5歳では20%くらいの子どもにみられ、発達とともに解消します。規則正しい生活と夜に水分を摂りすぎないことが基本ですが、6歳以降では治療をすることもできます。一度治ったのにまた始まった、昼にも漏らしてしまう、便も漏らしていまう、という場合には、なんらかの病気が隠れていることもあり、注意が必要です。

抑うつ[よくうつ]

参考文献

作成・監修 こころの診療部
作成日 2021年5月5日