国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)│妊娠・出産をお考えの方へ

周産期・母性診療センター 不妊診療科 医長
齊藤 英和

多嚢胞性卵巣症候群とは?

PCOSの卵巣超音波所見

片側の卵巣に、2mm~9mmのちいさな卵胞が10個以上みられるものを多嚢胞性卵巣といいます。多嚢胞性卵巣が有り、月経異常と、男性ホルモンの値が高いか、LH(黄体化ホルモン)の値が高い、という状態を満たす場合を、多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome: PCOS)と呼びます。
ヒトの卵巣では、月経周期に伴い毎周期、月経の終わりごろから一つの卵胞(卵のふくろ)が発育し、20mmぐらいの大きさまで成熟した時点で排卵します。排卵した卵胞は黄体へと変化します。黄体の寿命は約2週間で、妊娠が成立していなければ次回の月経を迎えます。このように、毎周期、一つづつ卵胞が成熟して排卵することを繰り返します。
一方、PCOSの患者さんは、卵巣内に小卵胞がたくさん存在するものの自然に発育せず、排卵がしづらく、そのため無排卵にともなう月経異常と、不妊になります。また、PCOSの他の症状として、男性ホルモン値が高い場合、多毛(毛深くなる)、にきびなどの男性化兆候を示すことがあったり、血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなる、いわゆるインスリン抵抗性という状態になり糖尿病や、肥満との関連もあると言われています。さらに、長年、月経不順を放置していると、子宮内膜増殖症や子宮体がんといった子宮の腫瘍性病変を合併することがあります。

多嚢胞性卵巣症候群の治療方針

多嚢胞性卵巣症候群の新治療方針

生殖医療の必修知識
一般社団法人 日本生殖医学会 編 より抜粋

多嚢胞性卵巣症候群のはっきりとした原因はわかっておらず、多嚢胞性卵巣症候群そのものの治療法は残念ながらありません。治療は、それぞれの症状に対して行う、いわゆる対症療法となります。
赤ちゃんを望まれる患者さん、不妊症の患者さんには、排卵をおこす治療をします。多嚢胞性卵巣症候群で肥満の患者さんは、体重を減らすことにより排卵しやすくなることがわかっていますので、まず、食事療法や運動療法で体重を減らす治療をしていただきます。標準体重まで戻らなくても、体重の5%ぐらい減量することでも効果があることがわかっていますので、頑張りましょう。排卵障害に対しては、クロミフェンというお薬の内服が第一選択となります。糖尿病やインスリン抵抗性がある場合、インスリン抵抗性改善薬(メトホルミン)を飲んでいただくことにより、排卵しやすくなることがあります。
クロミフェンの内服で排卵が起こらない場合(クロミフェン抵抗性といいます)、次のステップは排卵誘発剤(HMG製剤、あるはFSH製剤)の注射をします。排卵誘発剤の注射により、およそ8割ぐらいの方は排卵しますが、注射薬の副作用として、2個以上排卵してしまう多発排卵があり、そのため注射薬での排卵で妊娠した方のうち、およそ15~20%の方が多胎となります。また、注射の刺激により、卵巣過剰刺激症候群といって卵巣がはれてしまう副作用が起こることがあります。クロミフェンや排卵誘発剤の注射に合わせて、妊娠率を高めるために、人工授精を併用することがあります。
クロミフェン抵抗性の患者さんに対する治療法で、排卵誘発剤の注射と並ぶもう一つの治療法として、腹腔鏡手術で両側の卵巣に15か所ずつぐらい穴を開けてくる、卵巣多孔術というものがあります(Laparoscopic ovarian drilling: LOD)。LODによる術後の自然排卵率はおよそ80%と、排卵誘発剤の注射と同等の効果があります。
以上の治療を行って、排卵が起こらない、あるいは妊娠に至らない場合、体外受精胚移植の治療にステップアップします。
多嚢胞性卵巣症候群の症状は不妊だけではありません。妊娠を希望しない方でも、子宮体がんの予防のためにピルやホルモン剤の内服、あるいは注射により、定期的に月経を起こす必要があります。また、PCOSは肥満や糖尿病といった生活習慣病とも深く関わっておりますので、肥満や生活習慣の改善など、長期的な治療や経過の観察を必要とします。

国立成育医療センターの診療体制

多嚢胞性卵巣症候群は問診、婦人科診察(超音波検査)とホルモン検査により、診断いたします。月経が不規則で、赤ちゃんがほしくてもなかなか恵まれない方は、ぜひ、早めに受診してください。
当センターでは、排卵誘発剤による薬物治療、腹腔鏡手術、体外受精胚移植と、多嚢胞性卵巣症候群患者さんに対するすべての不妊治療が可能です。また、インスリン抵抗性や糖尿病、高血圧、自己免疫性疾患などの合併症がある方も、当センターの母性内科と連携して、トータル的な治療が可能です。患者さんお一人お一人の状態に合わせて治療法を選択してゆきますので、外来でお気軽にご相談ください。

国立成育医療研究センターの診療のご案内

多嚢胞性卵巣症候群では、系統的な検査と治療が大切です。また、早く治療を始められたほうが、妊娠する確率も高まります。是非、早い内にお気軽に受診してください。

  • 外来は、すべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。

国立成育医療研究センターでは、事前予約制を導入しておりますので、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。
詳しくは、予約センターにお問い合わせください。

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