国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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患者・ご家族の方へ Patient & Family

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予防接種が大切な理由と同時接種の意義とは?

生体防御系内科部 感染症科

宇田 和宏

庄司 健介
宮入 烈

子どもの予防接種とワクチン

子ども、特に乳幼児は病気に対する抵抗力が未熟なため、様々なウイルスや細菌の感染症にかかりやすいことが知られています。多くの感染症は自然に治るいわゆる「かぜ」ですが、中には重い後遺症を残し、死亡の原因になる感染症もあります。
多くの人が犠牲となってきた感染症についてはワクチンが開発されてきました。ワクチンによって感染症を防ぐことを予防接種といいますが、予防接種をとおして天然痘は撲滅され、ポリオやジフテリアなどに今はかかる患者さんもほとんどいなくなりました。
このようにワクチンで予防できる病気のことをVaccine Preventable Disease(以下VPDと略します)と呼んでいます。世の中にはとてもたくさんの感染症が存在します。残念ながらすべての感染症が予防できるわけではありませんが、そのうちのいくつかはワクチンで予防することができます。以下の図の赤枠の中の病気がワクチンで予防できる病気の一覧です。
子どもの予防接種の画像

髄膜炎予防に効果を発揮する肺炎球菌ワクチンとヒブワクチン

VPDに対する予防接種の効果は最近導入されたワクチンからも実感できます。生後2か月から接種するワクチンに肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンがあります。
乳幼児期には肺炎球菌やインフルエンザ菌b型(略してヒブといいます)という細菌によって髄膜炎という怖い病気がおこることがあります。脳に重い後遺症を残すことがあり、場合によっては死亡することもある病気です。肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンはこれらを予防するためのワクチンで、日本では2011年から定期接種になりました。
このワクチンが開始された結果、ヒブによる髄膜炎は9割5分以上減少、肺炎球菌による髄膜炎は6割以上減少したと厚生労働省の研究班から報告されています。

予防接種法に基づく「定期接種」と、希望者が各自でうける「任意接種」の違い

予防接種は制度上、定期接種と任意接種に分けられます。定期接種は「予防接種法」という法律に基づいて市区町村が主体となって実施するので、接種が必要な年齢になると役所から手紙が届きます。その手紙をもって医療機関を受診して予防接種を受けることになりますが、接種費用はほとんどの場合は公費でまかなわれ無料です。
このほかに、希望者が各自で受ける任意接種がありますが、任意接種のほとんどは自己負担(有料)です。公費で受けられない有料の任意接種は、重要性が低いのではないかと思われがちですが、決してそうではありません。
例えば、任意接種のワクチンの一つにムンプスワクチン(おたふくワクチン)があります。ムンプスウイルスは流行性耳下腺炎という感染症をおこします。おたふく風邪という名前でも知られていますが、顎がはれるだけの病気だと思われているかもしれません。しかし、合併症として多いと1000人に1人程度の人は耳の聞こえが悪くなるとされており、それに対する治療法はありません。
治療法がない病気には、予防がとても大切で、「任意接種」のムンプスワクチンは重要性が低いわけではないことがわかると思います。

なるべく、赤ちゃんは乳児早期にワクチンを同時接種すべきです

免疫力の弱い乳児を重い感染症から守るために、乳児早期にたくさんの種類のワクチンを打つことが勧められています。赤ちゃんが1歳までに接種すべきワクチンは6種類あり、それぞれ2-3回打つものもあるので一本ずつ打っていると受診する回数は15-16回にもなってしまいます。また、接種を完了するまでに時間がかかると、その間に本来であれば防げるはずの感染症にかかってしまうリスクを高めてしまうことになります。
複数のワクチンを同時に受ける同時接種により病気に対する免疫が早期にえられ、早い時期に子どもをVPDから守ることになります。これについては小児科医の集まりである「小児科学会」も同時接種は安全で、かつ有効で、医療上必要な行為であるとして勧めています。
ワクチンは数年前と比較して数も増え、複雑になっています。正しい情報をえて、きちんと管理することが大切です。不明な点があればぜひかかりつけの先生に相談しましょう。

国立成育医療研究センター感染症科の診療体制

感染症科では、診断や治療の難しい感染症の診断と治療方針の決定を行います。最新の医学的な知見とPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査などの診断技術を駆使して、最適な治療を提供します。また、基礎疾患のある子どもの予防接種も積極的に行います。

〇小児感染症科医とは

微生物学、抗菌薬、疫学に精通した専門医です
感染症は誰でもかかる病気で、医師には感染症の知識が必須です。ただし、稀な感染症や重篤な感染症にはより深い知識が必要で、特に微生物学、抗菌薬、疫学の専門知識が必要になります。感染症学はこれらの知識を総動員した実学です。
チーム医療の一員です
感染症は、健康な子どもから基礎疾患を抱えるあらゆる診療科の患者まで、多くの方に起こる病気です。感染症科の医師は、感染症の問題を抱える各診療科の患者について、主治医とともに診療を行います。感染症専門医が、研究部門のスタッフや臨床検査部門(細菌検査室など)と協力して、迅速かつ正確に診断し、薬剤部と協力しながら最適な治療を提供しています。
小児の総合医としてエビデンスに基づいた診療を行います
子どもの感染症は患者の背景によって異なるため、子どもの病気全般の幅広い知識が必要です。そのため、小児の感染症科の医師は、前提として、小児科専門医である必要があります。また、感染症について、最新の医学的な知見や根拠に基いた診療を院内外で推進しています。病院全体の感染症診療の向上により、患者を合併症から守ります。また、抗菌薬を適正に使用し、薬剤耐性菌の出現を抑えるように努めています。
微生物の診断技術があります
特殊な病原体の診断方法として、核酸増幅法(PCR検査など)や特殊な培養法があります。感染症科の研究室ではこのような診断法を駆使して診断を行っています。

国立成育医療研究センターの診療のご案内

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も予約センターで対応します。初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が必要です。
再診の方は、予約センターで予約してください。曜日毎に担当医が決まっているため、担当医の希望があれば、予約時に伝えてください。
  • 外来診療担当表は、こちらをご覧ください。
  • 受診方法については、こちらをご覧ください。

○感染症外来

退院後も抗菌薬の投与が長期に必要な患者のフォローアップや、原因の分からない発熱(不明熱)の患者の評価などを主に行っています。

○セカンドオピニオン外来

他の病院に入院、通院している患者で、感染症に関する質問がある場合、小児感染症専門医のセカンドオピニオンを提供しています。

○ワクチンセンター

ワクチンで防げる病気(VPD: Vaccine Preventable Diseases)から子どもを守るための活動を行っています。具体的に、当センターにかかりつけで基礎疾患のある患者のワクチンについての相談や接種を受け付けています。また、ワクチンに関する一般市民、医療者への啓発活動を行っています。

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