国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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患者・ご家族の方へ Patient & Family

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子どもと海外旅行に行く前に、小児感染症専門医がお願いしたいポイント

生体防御系内科部 感染症科

小川 英輝

庄司 健介
宮入 烈

子どもとの海外旅行の前にできる準備とは

ここでは、お子様と海外へ行かれる際に注意すべき感染症と、旅行前にできる準備に関して説明させていただきます。
まず、海外では日本国内ではあまり見られない感染症にかかってしまう危険性があります。その中には、事前に予防接種や予防的に薬を飲むことで防ぐことができたり、ある特定の行動をさけたりすることでかかるリスクを減らすことができるものがあります。また、国や地域によっても気をつけるべき感染症の種類が異なります。ですので、事前の情報収集と準備が重要です。
情報収集に関しては、国ごとに流行している病気やリスクの高い感染症に関して厚生労働省検疫所ホームページ(FORTH)にまとめられていますので、大変参考になります。こちらを見ると、多くの開発途上国では、黄熱病や狂犬病、髄膜炎菌、A型肝炎、ポリオなど今の日本では流行していない感染症にかかってしまうリスクがあることが分かります。また、アメリカに渡航される方にはフィラデルフィア小児病院のホームページ(日本語)が参考になります。
渡航する地域や期間によって必要なワクチンは異なりますので、かかりつけ医や専門のトラベルクリニックなどで相談されることをお勧めします。その場合、予防接種は接種してから効果がでるまでにある程度の時間がかかったり、複数回打つ必要があったりするものもあるので、時間に余裕をもって早めに相談するようにして下さい。

海外旅行で注意すべき感染症は“食事や飲料水を介した感染症”、“環境を介した感染症”、“動物(特に蚊やダニ、他の哺乳類など)を介した感染症”

次に、具体的に注意すべき感染症について述べます。
海外旅行で注意すべき感染症には、“食事や飲料水を介した感染症”、“環境を介した感染症”、“動物(特に蚊やダニ、他の哺乳類など)を介した感染症”の3つがあります。

○食事や飲料水を介した感染症

食事や飲料水を介した感染症の多くはいわゆる食中毒です。東南アジアやアフリカなどへ渡航する際は、特に注意が必要です。飲料水に関してはボトル入りのものを飲むようにしましょう。また、氷も水道水で作られているので避けるようにしてください。食事に関しては、ガイドブックで掲載されているレストランなどは安全なことが多いですが、屋台などで販売されているカットフルーツや生野菜などは不衛生な水で洗浄されているものも多く、感染性腸炎のリスクになりますので注意して下さい。

○環境を介した感染症

環境を介した感染症には、淡水暴露(汚染された河川などで水遊びしたとき)によって感染するレプトスピラ感染症などがあります。また川底などの危険物によって怪我をしてしまい、そこから感染する可能性もありますので、素足での川遊びなどはなるべく避けて、きちんと管理された整備された場所で遊ばせることをお勧めします。また、先進国でも地域によっては“Endemic fungus“というカビによる風土病もあり、旅行前にインターネットや渡航者外来などで、地域ごとにリスクのある感染症を学んでおくことが必要です。

○動物(特に蚊やダニ、他の哺乳類など)を介した感染症

動物(いわゆる虫も含む)を介した感染症にはデング熱やマラリア、ジカウイルス感染症などの蚊を介して感染する病気が有名です。その他にも草むらや森林などでダニに噛まれて、細菌やウイルスに感染すること(リケッチア感染症やライム病など)もあります。これらの感染症は一定の潜伏期間のあとに発熱と発疹で発症することが多いですが、特に熱帯熱マラリアでは死亡する可能性もあり注意が必要です。マラリア流行地域から帰国後2週間以上の潜伏期間を経て発症することが多く、医療機関でも気付かれにくい感染症の一つですので、海外から帰国して熱があった場合は医師に渡航先や期間について伝えることが大事です。蚊を介して感染する病気には多くの場合有効なワクチンがなく、蚊やダニに刺されないように対策をとる必要があります。特に流行している地域では長袖・長ズボンで過ごし、忌避剤(蚊よけスプレーなど)を塗ることを心がけるようにしてください。忌避剤にはディート(DEET)という成分が含まれており、その濃度によって効果の持続時間が決まっているため、忌避剤は一定の時間毎に繰り返し塗る必要があることに留意しておく必要があります。
それ以外にも、人畜共通感染症と言って動物の種の中で流行している感染症が、ヒトにも感染することがあります。これには鳥インフルエンザ(トリ)やSARS(トリ)、MERS(ラクダ)などかかると重症になる呼吸器感染症が多く含まれますので、流行地域とリスクの高い動物を事前に把握しておく必要があります。

帰国後に子どもの体調が優れない時は

帰国後にお子様の体調が優れない時は医療機関を受診して頂き、海外旅行に行った期間や場所、現地での生活様式などについても医師にお伝えして頂ければと思います。

国立成育医療研究センター感染症科の診療体制

感染症科では、診断や治療の難しい感染症の診断と治療方針の決定を行います。最新の医学的な知見とPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査などの診断技術を駆使して、最適な治療を提供します。また、基礎疾患のある子どもの予防接種も積極的に行います。

〇小児感染症科医とは

微生物学、抗菌薬、疫学に精通した専門医です
感染症は誰でもかかる病気で、医師には感染症の知識が必須です。ただし、稀な感染症や重篤な感染症にはより深い知識が必要で、特に微生物学、抗菌薬、疫学の専門知識が必要になります。感染症学はこれらの知識を総動員した実学です。
チーム医療の一員です
感染症は、健康な子どもから基礎疾患を抱えるあらゆる診療科の患者まで、多くの方に起こる病気です。感染症科の医師は、感染症の問題を抱える各診療科の患者について、主治医とともに診療を行います。感染症専門医が、研究部門のスタッフや臨床検査部門(細菌検査室など)と協力して、迅速かつ正確に診断し、薬剤部と協力しながら最適な治療を提供しています。
小児の総合医としてエビデンスに基づいた診療を行います
子どもの感染症は患者の背景によって異なるため、子どもの病気全般の幅広い知識が必要です。そのため、小児の感染症科の医師は、前提として、小児科専門医である必要があります。また、感染症について、最新の医学的な知見や根拠に基いた診療を院内外で推進しています。病院全体の感染症診療の向上により、患者を合併症から守ります。また、抗菌薬を適正に使用し、薬剤耐性菌の出現を抑えるように努めています。
微生物の診断技術があります
特殊な病原体の診断方法として、核酸増幅法(PCR検査など)や特殊な培養法があります。感染症科の研究室ではこのような診断法を駆使して診断を行っています。

国立成育医療研究センターの診療のご案内

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も予約センターで対応します。初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が必要です。
再診の方は、予約センターで予約してください。曜日毎に担当医が決まっているため、担当医の希望があれば、予約時に伝えてください。
  • 外来診療担当表は、こちらをご覧ください。
  • 受診方法については、こちらをご覧ください。

○感染症外来

退院後も抗菌薬の投与が長期に必要な患者のフォローアップや、原因の分からない発熱(不明熱)の患者の評価などを主に行っています。

○セカンドオピニオン外来

他の病院に入院、通院している患者で、感染症に関する質問がある場合、小児感染症専門医のセカンドオピニオンを提供しています。

○ワクチンセンター

ワクチンで防げる病気(VPD: Vaccine Preventable Diseases)から子どもを守るための活動を行っています。具体的に、当センターにかかりつけで基礎疾患のある患者のワクチンについての相談や接種を受け付けています。また、ワクチンに関する一般市民、医療者への啓発活動を行っています。

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