当院間移植患者家族会 ドレミファクラブ

国立成育医療研究センターにおける
EBウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR法)のご案内


臓器移植された患者様は、移植された臓器が拒絶反応を起こさないで、十分に働くこと ができるように、免疫抑制剤を服用します。これは移植後とても重要なことです。しかし、 免疫のバランスが変わってしまうため、日和見(ひよりみ)感染が課題となります。日和 見感染とは、免疫の機能が十分働いている方にとっては悪さをしない細菌やウイルスが、 免疫が抑えられたために勢いを増し、病気を引き起こしてしまう状態のことを指します。 この一つとして注意を必要とするものがEB ウイルスです。(EB ウイルスの正式名称は、発 見された先生のお名前をつなげた「Epstein-Barr ウイルス」ですが、普段はEB ウイルス と略した名前で呼ばれることが多いです)

なぜこのウイルスに注意が必要か?というと、臓器移植後、EB ウイルスは移植後リンパ 増殖性疾患(PTLD:posttransplantation lymphoproliferative disorder)を引き起こす ことがあるからです。発症が明らかになるのは移植後3 か月くらい経過した頃です。症状 は発熱、リンパ節の腫れ、扁桃腺炎、いびき、皮膚炎、下痢、アレルギーなどがあります。 血液検査上では低たんぱく血症・貧血・血小板減少・LDH(乳酸脱水素酵素)上昇・異形 リンパ球増殖が見られるようになります。現在、当センターでは血中ウイルス量が10 の2 乗以上あり、上記のような症状がある場合に、まずは免疫抑制剤を減量して治療を開始し ます。これにより、臨床症状は1 週間程度で消失します。EB ウイルスのやっかいな点は、 腫瘍化する場合があることです。これは免疫抑制剤減量だけでは軽快しないため、新たに 別の薬を投与することになります。つまり移植後の患者様にとって、EB ウイルスに感染し ているかどうかの検査は、腫瘍化を防ぐための早期対策を取る上で、とても重要な意味が あります。

その検査「EB ウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR 法)」は「先進医療」として 厚生労働大臣より認定され、国立成育医療研究センターは2013 年4 月1 日より、検査の 実施施設として認定されました。PCR 法とは、ウイルス特有の遺伝子の有無を見ることが できるように、特殊な方法で増やすやり方です。この検査は患者様の血液や組織を用いる ため、患者様にとって主な身体的負担は採血となります。通常、免疫抑制剤を服用するレ シピエントが検査を受ける対象者となります。検査は移植手術の入院中、行われます。ま た移植後1 年間は、外来受診のたびに検査が行われます。それ以降は、年1 回くらいのペ ースとなりますが、患者様の病状によって検査の頻度は異なります。また、生体肝移植の 場合、ドナーは免疫抑制剤を飲む必要はありませんが、提供される肝臓の感染の状態を把 握しておく必要があります。そのため、移植前に採血されたドナーの血液と、移植手術時 に摘出された肝組織の一部も、検査の対象となります。

最先端の非常に優れた「先進医療」ですが、まだ保険診療として認められていない検査 であるため、こちらは全額自己負担となります。ただし、この検査と同時に行われる保険 診療分は、保険診療として扱われます。今後、この検査が保険診療として認められていく ためには、検査を必要とされる患者様がいらっしゃり、検査によっていち早く病状の進行 を食い止めることが可能となり、患者様の健康状態に大きく寄与できることを示していく ことが求められることになります。

これから、この検査を始める前には、必ず医師から説明を行います。そして検査内容、 検査の必要性を理解され、検査は全額自己負担となることを了承された場合に、同意書に サインをいただいてから、こちらの検査を行います。国立成育医療研究センターで行う「EB ウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR 法)」は1 回14,015 円です。当センターでは 検査を受けられる初回のみ、請求させていただきます。その後、複数月にわたって複数回 の検査を行っても、お支払いの請求が発生することはありません。民間保険会社の医療保 険の「先進医療特約」によるカバーなどにつきましては、それぞれ、ご加入先の保険会社 にお問い合わせください(まことに申し訳ございませんが、当センターではお答えしかね ます)。入院患者様にこの検査を行う場合は、入院治療費の一部として検査代を自費請求 させていただきます。また外来通院中の患者様には、外来診療時、検査代として自費請求 させていただきます。

今後も質の高い医療を提供し、できるだけ早期に「EB ウイルス感染症迅速診断(リアル タイムPCR 法)」が保険診療として認められることを目指すため、患者様のご理解ご協力 をいただければ幸いに存じます。

ご不明な点がございましたら、こちらまでお問い合わせください。

国立成育医療研究センター 臓器移植センター E メール

transplant@ncchd.go.jp

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