所長挨拶

所長 名取 道也


成育医療という以前は聞きなれなかった名前も少しずつ市民権を得てきたかと思います。受精卵から始まる子宮内での発生・成熟の過程を経て赤ちゃんが誕生し、さらに成長・発達して大人になって無事に次の世代へとバトンタッチするという、ヒトのリプロダクションサイクルの過程の中では、様々な問題が生じて健康に影響を与え、このサイクルが阻害されることがあります。国立成育医療研究センターは、このヒトのリプロダクションサイクルを医学・医療の面からサポートする組織です。国立成育医療研究センター研究所では、医学研究の面からこの問題を解決して、次世代の健全な育成に貢献しようと日夜努力をしており、私たちの努力は、わが国だけではなく世界中に貢献するものと信じております。

私たちは、今はまだ治療法が無い数多くの病気について、その原因を究明して治療法を開発していくことにより、こどもの健康を確保し幸せな家庭の基礎作りに貢献したいと考えております。私たちの研究対象は不妊症、不育症に始まり、初期発生段階にその原因がある疾患、子宮内の胎児期に罹患する疾患、分娩周辺期の問題、新生児期から乳幼児期を経て成長を遂げていく時期の疾患です。さらには思春期を経て次の世代へとつながっていく時期の疾患も研究の対象です。

先進医療、先端的研究という言葉があります。確かに研究所では現在、臨床応用を見据えたヒトES細胞の樹立、慢性肉芽腫症の遺伝子治療、肝臓の幹細胞移植による治療など先端研究を先進医療に結び付けようとしております。しかし、私たちの「先進性」のコンセプトはチーム医療とチーム研究であり、さらにはそれらの合同チームによる臨床研究の推進です。病気に悩み苦しむ患者は待つことはできませんし、一刻も早く治療法を開発する必要があるのは当然です。そのために、複数の研究者が力をあわせて極力短い時間で問題を解決することが重要と考えています。国立成育医療研究センターは研究所と病院を併せ持つ組織です。各種の難病に関してその原因の解明や診断・治療法ならびに予防法の開発を研究所が行い、その成果を臨床の場にフィードバックして安全性と有効性を確認しながら、高度な医療技術の開発に貢献することが私たちの目標です。

研究所が行っている研究の詳細については、各研究部の頁をご覧いただきたいと思います。


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