国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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「女性の健康週間」が始まりました(3/1~3/8)

厚生労働省では、毎年3月1日から3月8日を「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを国民運動として展開しています。今日から1週間、女性の健康について考えるさまざまな情報をお伝えしていきます。

①見た目がスリムなのは健康的?健康のための適正体重とは?

日本人女性は、「痩せ」と「肥満」の二極化をしており、20代の女性の20.7%が痩せ、8.9%が肥満です。1)現代の女性は、終戦直後よりも摂取カロリーが低いのです。(1950年:2,098カロリー、2010年:1,948カロリー)2)
「痩せ」女性は、月経異常、骨粗しょう症などのリスクが⾼まります。また、「肥満」女性は、成人病・月経異常・妊娠⾼⾎圧症候群や妊娠糖尿病などのリスクが⾼まると言われています。
さらに、当センターをはじめ6つの国立高度専門医療センターがまとめた「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提⾔」3)によると、痩せすぎでも太りすぎでも、死亡全体のリスクは高まり、栄養不足を伴う「痩せ」は免疫力が弱まって感染症にかかりやすくなったり、血管を構成する壁がもろくなって脳出血を起こしやすくなるとされ、「肥満」の人ではうつ(またはうつ症状)のリスクが1.6倍高くなることも紹介されています。

では、何キロが自分の適性体重なのかご存じですか?
肥満度を表すBMI(体重kg ÷ (身長m)2)では、18.5~24.9が適正と言われています。例えば、30代の日本人女性の平均身長158.6㎝では、46.6㎏~62.7㎏が適正体重です。
美容体重(BMI 20)、モデル体重・シンデレラ体重(BMI 18)を目指してダイエットすると、健康的なリスクはあがってしまいます。体重だけに気をとられ、見た目は細いのに筋肉が少なく、内臓脂肪が多い「隠れ肥満」ということもありえます。是非、自分の適性体重と健康について考えてみてください。

1)令和元年「国民健康・栄養調査」より
2)厚生労働省「日本人の栄養・健康状態の変遷について」より
3)「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提⾔」

【参考サイト】
厚生労働省 女性の健康2021


②高いヘルスリテラシーが仕事のパフォーマンスにも影響

いろいろな調査で、「月経痛が酷いのに我慢している」「痛みがあるのに、婦人科にかからない」「ピルは、避妊のための薬」というような、誰も教えてくれないがために誤った知識を持っている方も多くいることが分かっています。
ヘルスリテラシーとは、健康や医療に関する情報を入手、理解、評価、活用するための能力のことですが、日本政策医療機構「働く女性の健康増進に関する調査2018」では、「高いヘルスリテラシーを持つ女性ほど、月経関連の症状があるときの仕事のパフォーマンスが落ちない」というデータが示されました。この調査によると、女性に関するヘルスリテラシーの高さが、望んだ時期の妊娠や不妊治療の有無に関連し、ヘルスリテラシーの高い人は、女性特有の症状があった時に対処できる割合が高いとのことです。
多くの女性が働いている現在、月経症状による社会経済的負担は年間約6800億円1)との調査もあります。女性自身のヘルスリテラシーを高めることと同時に、企業側が女性の働きやすい環境を作ることが、女性自身のみならず企業にとっても大きなメリットになります。

この機会に、下記のサイトなどを参考に、健康についての意識を高めてみませんか。
女性の健康推進室「女性の健康推進室ヘルスケアラボ」(厚生労働省の研究班制作)

1)経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」

③昔と比べて400回も多くなった月経回数

現代の女性は、50年以上前の女性と比べて10倍近くの回数の月経を経験しています。昔は、生涯で50回程度の月経回数でしたが、今は450回程度になっています。初経が早くなったこと、出産回数が少なくなったことが原因です。月経回数が増えたことで心配な病気が、子宮内膜症や子宮筋腫です。
子宮内膜症は、子宮内膜組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内側とは別の場所にでき、剥離する疾患です。20~30代の女性で発症することが多いため、働き盛りの女性たちにとって大きな問題です。症状としては、月経痛、腰痛、下腹痛などです。治療法は、鎮痛剤や低用量ピルの服用といった薬物療法から、手術などもあります。
月経ごとに月経痛がひどくなる、月経以外の時も下腹痛があるなどの場合は、婦人科に相談することをお勧めします。普段からいろいろなことを相談できる“かかりつけの婦人科”を作っておくといいですね。

また、子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分に発生するがんです。その多くが、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染に関連しています。HPVは、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんの発生に関わっています。そのため、定期的な健診を受けることはもちろん、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に国が行っている「HPVワクチン」の定期接種もご検討ください。

④子どもが欲しい場合のライフプラン

もうすぐ就職される方、今バリバリ仕事をしている方で、キャリアプランを立てている方も多いかと思います。将来、子どもが欲しい場合は、子どもの人数と、自然妊娠・不妊治療も考えたライフプランも立ててみてはいかがでしょうか?海外の論文からのデータですが、もしも3人子どもを産みたいという場合、自然妊娠なら遅くとも23歳から妊活スタートした方が良いというデータがあります。
結婚は何歳くらいでするのか?子どもが欲しい方は、何人欲しいのか?など、その通りにならい場合もあるかと思いますが、早い段階から考えてみませんか?企業も、女性のライフプランの希望に応えられるような体制整備を進めていただけたらと思います。
(それぞれの子どもの人数などを考えた妊活を始めたい年齢は、下の図を参考になさってください。)
プレコン妊活年齢の画像

⑤プレコンセプションケアについて

プレコンセプションケアという言葉を知っていますか?
“pre”(~の前)+ “Conception”(受胎)を組み合わせた言葉で、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの「生活」や「健康」に向き合うことです。子どもを持つかどうかは個人の自由ですので、「女性が将来に渡って健康な生活を送れること」を目的としています。
国立成育医療研究センターには、日本で初めてのプレコンセプションケアセンター(PCC)があり、女性やカップルをサポートしています。
プレコンセプションケアでのチェックシート(男性用、女性用)が下記に掲載されていますので、この機会にチェックしてみていただければ幸いです。
【チェックシートのダウンロードはこちら

PCCチェックシートの画像

PCCチェックリストMの画像

プレコンセプションケアセンターでは、①プレコンセプション・チェックプラン(現在の健康状態のチェック(検診)とカウンセリングと、②プレコンセプション相談外来(カウンセリング)を行なっています。相談外来では、妊娠を考えている女性の様々な相談、例えば、「持病があるけれど、妊娠・出産のリスクはある?」「なかなか妊娠しないけど、どんな検査が必要?」などに応じていますので、気になることがあればご相談ください。
【国立成育医療研究センター プレコンセプションケアセンターはこちら

※プレコンセプションケア についてもっと知りたい方は、当センター母性内科・荒田尚子診療部長の記事をご覧ください。