すこやかジャーナルより

当センターが配信したメールマガジン「成育すこやかジャーナル」から、ピックアップした記事をご紹介しています。「成育すこやかジャーナル」の配信をご希望の方は、メールマガジンのページをご覧下さい。

「産科の新しい取り組み-漫画を使用した説明文書の作成」

 みなさま、こんにちは。
 今回はみなさまに産科の新しい取り組み、マンガを使用した説明文書についてご紹介い
たします。

 説明文書、たとえば新しく購入した機器の使用説明書など、難しいし、読みにくいし、
どこを読むのか分からないし、と思われたことはありませんか?私たちが使用する説明文
書に関しても、私たち医師自身も一般の方にとっては難しいのではないか、と思いながら
使用している場合もあります。

 産科でも外来診療、入院診療ともに、多くの説明文書、同意書を使用しています。本当
はゆっくり丁寧に、分かりやすい説明を、と心がけてはいますが、分娩の場面によっては
緊急事態のため、早く帝王切開手術が必要でゆっくり説明している時間がない、しかし手
術を行うには同意書のサインが必要、といった場面がよく発生します。

 このような場合には、お母さんと赤ちゃんと、二人の命がかかっている場合も多く、手
術を受けるご本人には状況をよく知って手術に臨んで頂きたいと思っています。また出産
の当日に初めて病院に来られ、医師と会ったようなご家族にも、十分理解していただきた
いと気をつけてはいますが、処置が優先となるため説明が行き届かず、状況が掴めないま
ま家族は置き去り、といった状況になってしまうこともあります。またこのような緊急事
態は誰にでも起こりうる可能性があるのです。

 そこで、私たちはマンガを使用した説明文書を作成することを始めました。内容がしっ
かりとしたものであっても、読みにくければ意味がないと考え、マンガというツールを利
用することにしました。私たち産科医師と、イラストレーターさん、ライターさんで、毎
号数時間かけて打ち合わせを行っています。毎回テーマを決め、事前に作成しておいた資
料を読みながら、内容をイラストレーターさん、ライターさんに伝えます。それを持ち帰
って、マンガと説明文書に作成していただき、その内容をまたみんなで検討していきます。
ここで私たちが内容を十分に伝えるのに、前もって予習し、産科の教科書も持参して来ら
れている方たちにですら数時間かかっています。医学用語を初めて聞くところから始まる
患者さんにご理解頂くことが、いかに難しいか、ということを痛感しています。

 毎号このように、一般の方と作成したマンガと説明文書は成育医療センターのホームペ
ージ上 http://www.ncchd.go.jp/hospital/section/perinatal/bunben.html に公開して
います。当センターの産科外来でも必要時に配布しており、多くの妊婦さんとそのご家族
に見ていただけると幸いです。自分には関係ないから、ではなく、妊娠・出産に関してこ
んなことも起こりうるんだな、と前もって読んで頂けると本当に嬉しいです。(このマン
ガのコラムは成育委託研究 左合班のサポートで作成しています)。


No.106(2011/12/15)
産科 江川 真希子

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小児・幼児の鼻炎と長期的な鼻水の対応

鼻炎といっても、・・・性鼻炎というように、たくさんの種類の鼻炎があります。簡単に
いくつかご紹介したいと思います。

子供が鼻水を急に垂らすようになったのであればまずは、ウィルス性の上気道炎いわゆ
る風邪が疑われます。風邪が治れば短期間で、鼻汁もおさまってくるでしょう。保育園に
通っているお子さんは風邪をひくことが多く、少し成長して抵抗力がつくまでは繰り返す
ことがあるかもしれません。また透明な鼻水がたらたら続くようであれば、アレルギー性
鼻炎も考えられます。これはアレルゲンの除去、もしくは内服薬の投与によって治療を行
います。

膿性または粘液性の鼻汁が続くのであれば副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)が存在する可能
性があります。副鼻腔炎は、減少傾向であるとは言われていますが、耐性菌により治りに
くいものもありますので診断されれば抗菌薬などを内服し、鼻処置などが必要です。
また、粘液性のものがずっと続くようであれば慢性鼻炎と診断されることもあるでしょ
う。このように鼻炎でも、原因により治療法ももちろん変わってきます。

鼻炎以外にも、鼻汁が続く原因として意外と多いのがアデノイド肥大によるものです。
アデノイド肥大も低年齢化しており、いびきなどがひどい場合はアデノイドが大きくそれ
が長引く鼻水の原因としても考えられますので、耳鼻科で検査してもらうことが大切です。

長期的な鼻水の対応としては、耳鼻科に通い鼻を処置することで鼻腔内を清潔に保ち、
中耳炎なども予防できます。また、副鼻腔炎がある場合では、鼻処置の通院を行います。
当院では自宅でできる生理食塩水による鼻洗浄をすすめています。これは小さいお子さん
には少し難しいかもしれませんが小児の場合は、内服薬などの保存的な治療が中心となり、
家庭でのケアが重要になってくるからです。

さらに、どのような鼻炎に対しても鼻水を飲み込まないように、ティッシュなどを使い
片方ずつ静かにかむように訓練することも症状の改善につながります。乳幼児の場合には、
鼻水で鼻が詰まりやすくなるとミルクが飲みにくくなるため市販の鼻汁吸引器をうまく利
用するのがいいと思います。

以上のように、鼻水にはたくさんの治療法や対処法がありますがお子さんに合った方法
を見つけてあげることが大切と考えられます。



No.103(2011/9/8)
耳鼻咽喉科 三塚 沙希

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こどもの花粉症

 アレルギー性鼻炎は水っぽい鼻水(水性鼻漏)、くしゃみ、鼻づまり(鼻閉)の三つの
症状からなるアレルギー性疾患で、近年子どもでも増えてきました。一年中症状がある
「通年性アレルギー性鼻炎」と、特定の季節のみ症状のある「季節性アレルギー性鼻炎」
に分けられ、「花粉症」が季節性の代表です。患者さんからも、「花粉症」に関するご質
問が多いので、今回は「こどもの花粉症」に関してお話ししたいと思います。

 花粉症は、特定の花粉が飛散する時期にひどくなるアレルギー性鼻炎のことで、日本で
は「スギ花粉症」が最も有名です。スギ花粉症は1998年に16.2%であった全国平
均有病率が2008年には26.5%となりました。小児では5~9歳で13.7%,0
~4歳で1.1%という調査報告があります。 とても多くなったのは間違いありませんが、
4歳以下ではやはり多くはないのです。

【2011年のスギ花粉は多かった】
 前年の夏が暑かったり、花粉が少ない場合に、次の年のスギの花粉飛散量が多くなるそ
うです。2010年の春はスギ花粉が少なく、夏は記録的な猛暑でした。2011年は予
想通り、花粉が大量飛散し、悩まされた方も多かったでしょう。

【インペアード・パフォーマンス】
スギ花粉症の電子顕微鏡写真をみると、表面がとげとげで、みただけでかゆくなりそう
です。もちろん、実際はアレルギー反応でかゆくなるので、症状がある場合には抗ヒスタ
ミン薬やステロイド薬というアレルギーを抑えるお薬が使われます。

 ところで、「風邪薬はねむくなるから困る」というかたはいらっしゃいませんか?その
眠くなる症状は、風邪薬に入っている抗ヒスタミン薬の副作用であることが多いのです。
そして、「風邪薬を飲んでもねむくならないよ」という方のなかにも、「インペアード・
パフォーマンス」といって、「自覚に関わらず集中力・判断力・作業能率が低下した状態」
になっていることがあります。インペアード・パフォーマンスがでにくい新しい抗ヒスタ
ミン薬が小児にも使える時代になってきました。

【初期療法】
「初期療法」という言葉が一般的になってきました。症状が出る前から治療をスタート
することで、症状が出始めてから治療を開始するより効果が高くなります。例年、症状が
強い患者さんは、早めに治療を始めてもよいでしょう。
花粉情報協会(http://pollen-net.com/welcome.html)などの情報を見ながら、1月末か
ら内服していただくこともあります。スギ花粉の飛散開始は年々早くなってきているそう
ですよ。こんなところにも温暖化の影響が?!

【ステロイド薬あれこれ】
ひとことでステロイドといっても、飲むステロイドもあれば、鼻につかう点鼻薬、目に
使う点眼薬など色々あります。飲むステロイド薬は、長期間つかった場合の副作用が大き
く、症状が長く続く花粉症では、避けるべきです。ステロイド点眼薬も、眼圧があがる場
合があり、眼科医の診察を受けて処方を受ける薬剤です。一方で、鼻噴霧ステロイド薬は
副作用が極めて少なく効果が高い薬剤で、小児でも使うことができます。

【根本から治せる?免疫療法】
 免疫療法とは、簡単に言うと少しずつスギ花粉などを体に投与して、症状を軽くしてい
くという治療です。日本には、スギ、ブタクサ、ハウスダストしか薬剤がありません。し
かも、効果が不確実なこと、定期的に受診しなければならないこと、なにより痛みがとも
なうことから十分普及しておらず、当科でも基本的には行っていないのが実情です。最近、
舌下免疫療法といって、痛みをともなわない治療が開発されてきていますが、日本ではま
だまだこれからの治療で、研究目的以上では行われていません。舌下免疫療法の安全性が
高まれば、これから普及していくでしょう。

ところで、その年の夏が暑かった場合に秋にもスギ花粉が飛散することがあります。昨
年は、「なんか飛んでると思うんですけど」といわれる患者さんが多かったのは、もしか
すると・・・?どちらにせよ、毎年、花粉症に悩まされている患者さんは、早めの治療を
受けられることをお勧めいたします。



No.102(2011/8/10)
アレルギー科 堀向 健太

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授乳とくすり

私は産科外来で妊婦さんをみているのと同時に妊娠と薬情報センターで妊娠中、授乳中
のくすりの相談外来を行っています。今回はその中でも「授乳とくすり」について書いて
みたいと思います。

最近、母乳のいろいろなメリット、たとえば赤ちゃんが感染症にかかりにくくなるとか
アレルギーを防ぐ効果があるなどがクローズアップされ、お母さんたちのあいだでも赤ち
ゃんに母乳をあげたい、母乳だけで育てたいというニーズが高まっています。当センター
産科でも母乳育児の推進を行っています。

「授乳中はくすりは飲んだらいけないんでしょ」とか「お医者さんに授乳中だからくす
りは出せないと言われました」といったことをよく聞きます。では本当に授乳中はくすり
を飲んではいけないのでしょうか。ほとんどのくすりの効能書きには、「授乳中の婦人に
は投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を中止すること」の
ように書かれています。このため多くのお母さんがくすりを飲むために母乳をあきらめな
ければいけない、あるいは母乳をあげるために必要なくすりを飲まないということが起き
ています。

では、この効能書きにどういう根拠があるのかというと、実はほとんどありません。多
くは動物やヒトの母乳の中にくすりが出てきたというもので、その量が多い少ないは関係
ありません。つまり、母乳に出るくすりの量がものすごく少なくて、その母乳を赤ちゃん
がいくら飲んでもなんの影響もない場合もくすりの効能書きには上のように書かれてしま
うのです。

この問題を解決するため、授乳中にくすりを飲んだとき、母乳にどれだけそのくすりが
出ているかを測ることが行われています。その量を赤ちゃんの体重あたりで計算して、赤
ちゃんが母乳からそのくすりを飲む量がお母さんの飲む量のどれくらいにあたるのかによ
って安全性を推測するのです。当センターでもいくつかのくすりで実際に母乳中のくすり
の量を測って、授乳中の使用の安全性について検討しています。

もちろん、母乳に出る量が少ないからといって100%赤ちゃんに大丈夫という保証が
できるわけではありません。しかし、ごく一部のくすりを除いて母乳へのくすりの移行量
が少ない場合は母乳が赤ちゃんに与える良い点と授乳中のくすりが赤ちゃんに与える悪い
点を比べると、母乳の良い点のほうが大きいと考えます。

最終的には、くすりを飲んでいるお母さんと主治医の先生で相談していただいて、母乳
をつづけるのかそれとも中止するのかを決めていただきたいと思います。もし、くすりを
飲みながら母乳を続けることを選択した場合は、赤ちゃんのことを観察してもらって、眠
りがちになるとかいらいらするといった症状が出るようであれば病院で相談するといった
ように対処するのがいいのではないでしょうか。

当センターの妊娠と薬情報センターのホームページ内の「ママのためのお薬情報」の中
に「授乳とお薬」という欄がありますのでそちらも参考にしていただければと思います.
www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html



No.96(2011/7/7)
周産期センター 産科/妊娠と薬情報センター 青木 宏明


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こどもの歯のけが


春になり暖かくなると、こどもたちも活発に遊ぶようになり、歯や口のけがが増えてき
ます。けがの多い年齢層は、よちよち歩きの始まる1~2歳と、元気に遊びまわる7~8
歳です。7,8歳と言えば、ちょうど永久前歯が生えてくる時期とも重なっています。乳
歯のけがは、小さいお子さんなだけに不憫ですし、一生使うはずの永久歯の場合は、こど
も自身も傷つきます。
 今回は、けがをして歯科医院を受診するまでの応急処置と、受診の目安についてお話し
したいと思います。

1.歯科医院を受診する前に
   歯や口と同時に顔や頭をけがしていることも多いものです。まず、命にかかわるよ
   うなけがをしていないか調べましょう。具体的には、顔色が悪かったり、吐き気がし
   たり、頭痛がしたりしないか、歩き方がおかしくないか、目や耳の周りにあざがない
   か、目の動きに異常はないかなどをチェックしてください。このような様子が見られ
   たら、すぐに救急診療科や脳外科、眼科へ行きましょう。

2.受診するまでの応急処置
   応急処置はけがの状態によって異なりますが、まず行いたいのは、抜け落ちてしま
   った歯を保存する、出血を止める、腫れないように冷やすの3つです。
次に、それぞれの傷の状態に応じた応急処置と受診の時期をお話ししましょう。

●歯が抜けた
      もっとも緊急性の高いけがです。抜けた歯は乾燥しないように保存し、急いで歯科
   医院へ行きましょう。歯の保存は、牛乳アレルギーがなければ、牛乳につけます。
  1時間以内に受診できるならラップで包んでも構いません。ただし、決して水で洗わ
   ないでください。

●くちびる、口の中が切れた
      清潔なガーゼなどで圧迫し止血します。腫れを防ぐためできるだけ早く氷で30分
    間冷やしましょう。腫れてしまったら、濡れたタオルで冷やします。傷が開いている
    場合は当日のうちに受診を。

● 歯が折れた
      歯の神経が露出していることもあります。折れた破片は水に浸けて、当日または次
     の日には受診しましょう。

●歯がゆれる、かむと痛い、かめない
      歯の位置がずれていたり、歯根が折れていたり、あごの骨が折れていることもあり
    ます。歯を飲み込まないように気をつけて、当日のうちに歯科医院へ行きましょう。
  
●歯が歯ぐきにめりこんだ
      痛くなくても、当日または次の日には受診しましょう。

3.受診の目安
       歯と歯肉の境界から出血する場合、また、かむと痛い場合は、ほおっておくと痛く
     て食事がとれなくなってしまいます。けがの当日に受診しましょう。

  歯のけがは、治療するのに適した時期があります。応急処置を覚えて、可能な限りけが
で歯を失うことのないようにしたいですね。          



No.96(2011/2/10)
外科系専門診療部 歯科 工藤みふね


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こどもの声嗄れ(こえがれ)


 声はのどにある左右2本の声帯が近づいて振動することでつくられます。声の異常とい
うと大部分は音色の異常である嗄声になります。嗄声(させい)にはざらざらした声、息
が漏れてしまう声、力なく弱々しい声、力んで詰まったような声の4種類があります。

 こどもの声嗄れが続くため病院を受診する患者さんの多くは声帯結節という病気です。
これは声帯に結節という“まめ”や“たこ”のような小さな腫れができてしまうもので、
ざらざらした声になります。こどもは成人にくらべ声が高く(声帯が振動する回数が多い)、
男の子は女の子に比べ活発に大きな声を出すことが多いため、少年野球などやっていて大
きな声をよく出す活発な男の子にできることが多い病気です。声帯結節は声変わりをする
ころに自然治癒することが多いため、声を休めたり話し方の練習をすることで様子をみて
いくことがほとんどです。しかし、声の嗄れたこどもの中には乳頭腫というウイルス感染
が原因のれものが声帯にできている可能性もあります。

 息が漏れてしまう声は、何らかの理由で片側の声帯が動かなくなってしまい、左右の声
帯がきれいに近づけない時の声が代表的です。生まれつきのこともありますが、心臓や胸
の血管の手術を受けている場合に生じることがあります。声帯を動かす神経は反回神経と
いいますが、反回神経は脳からでて胸のところまで下がってから声帯に戻ってきます。
反回神経はナイーブな神経なので手術の影響で動かなくなってしまうことがあり、心臓や
胸の血管の手術ではどうしても一定の確率で起こってしまう合併症です。反回神経の状態
にもよりますが、数日~数カ月、数年の経過の後に自然に改善してくることもありますし、
状態が変わらないこともあります。

 声嗄れの原因は、外からの見た目では診断が難しいため、声嗄れが長引くときには耳鼻
咽喉科を受診し内視鏡などで診断することが重要です。



No.95(2011/1/20)
耳鼻咽喉科  大原卓哉


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妊孕力(にんようりょく)とはなんぞや?月経があるうちは何歳でも妊娠できるのか?


女性の社会進出に伴い晩婚化の傾向が顕著になってきています。一方と言うべきなのか、
それに伴ってと言うべきなのか、少子化が問題になっています。仕事に生きて子供はいら
ないと考える方もおられるかもしれませんが、それでも多くの方が子供を望んでいます。
昭和の時代の多産の傾向がなくなっているだけなのかもしれません。

 日本人女性の寿命が延びています。それに伴い閉経年齢が上昇しているかといえば、変
わってはいません。すなわち、閉経の状態で過ごす時間が長くなっているのです。先の晩
婚化と閉経年齢に変化がない事を併せて考えますと、必然的に、子供をもうけるための時
間が短くなってきているのが現状です。

 それでは、月経が見られる間(排卵がある間)であれば、何歳でも妊娠できるのでしょ
うか?日本人の平均閉経年齢は50歳前後です。20歳代でも30歳代でも、そして40
歳代になっても妊娠を希望すれば、いつでも妊娠できるのでしょうか?年齢にかかわらず
その願いは均等にかなえられるのでしょうか?妊娠する力(妊孕力)に年齢による変化は
ないのでしょうか?

 妊孕力は、年齢に依存して存在しています。妊孕力の衰えは、普段生活する上で支障な
く何も感じないのですが、30歳代初めよりすでに衰えはじめているのです。我々が、臨
床的に実感するのは35歳をすぎてからであり、40歳を越えるとそれは益々顕著となり、
挙児希望(妊娠・出産を希望すること)を達成するのが容易なものではなくなってきます。 

 妊娠を希望するさまざまな年代で、同様の病態をとる方々にそれぞれ同様の治療を施行
した場合、その妊娠達成率は年代が若いほど高いのです。生殖医療が進歩し、月経がある
内は40歳をすぎても容易く妊娠できると思われていたら大間違いなのです。妊娠成立を
めざすための一番の方策は、若いうちに妊娠するように心がけることかもしれません。人
生設計のなかで出産を後回しにならないように計画することが肝心かと思います。

 月経が規則正しくあるうちでも、30歳を超えてくると妊孕力が低下してくることを、
それは自覚できることではないことを広く啓蒙していくことも必要かと思います。

 またの機会があれば、妊孕力の年齢による変化はどうしてなのか?妊孕性を推測するこ
とは可能なのか?についてお話できればさせていただきたいと思います。




 No.95(2011/1/20)
不妊診療科 齊藤隆和


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これから出産を迎える方や女性に向けて ~助産師として思うこと~


当院では年間約2000人の赤ちゃんが産まれています。私たち助産師は、妊娠期に正
常な経過をたどれるように栄養指導など皆様が健康に過ごせるようなケアをさせて頂いた
り、貴重な出産の場面において、進行状況の把握や赤ちゃんが産まれる際のお手伝いをさ
せて頂きます。また産後はお母さんや赤ちゃんの体調に合わせ、退院後に困らないよう育
児のスタートの支援をさせて頂いています。

 私は今まで多くの出産に立ち合わせて頂きましたが、女性の持っている力は素晴らしい
ということを痛感しています。

 出産は一人ひとりかかる時間も、陣痛の強さも赤ちゃんが外の世界に出ようとするスピ
ードも全く違います。赤ちゃんを産み出すという行為は皆同じなのに、2000人の出産
があれば2000通りの経過があるとはとても神秘だと思いませんか?

   つまり、出産というものは予定日が決まっているものの、誕生日はいつになるのか、何
時に会えるのか誰もわかりません。
 
 赤ちゃんが外の世界に出たいと思ったら陣痛は始まると言われていますので、お母さん
は赤ちゃんの意思を尊重してあげることが大切なことだと思います。

 妊娠・出産は病気ではありません。

 子宮という「いのちの部屋」に赤ちゃんを宿し、10ヶ月という長い期間お母さんは赤
ちゃんを育みます。この10ヶ月にどんな意味があるのでしょうか?哺乳類は卵を産むこ
とが出来ないので、赤ちゃんは外の世界に出て安定した呼吸ができる時期までお母さんの
「いのちの部屋」で成長します。

 もちろんその間はお母さんが食べた物が赤ちゃんの栄養となり、お母さんに不安なこと
があれば赤ちゃんも不安な気持ちになります。

 赤ちゃんはお母さんと一緒に同じ時間を過ごしているのです。お母さんは妊娠するのも
出産するのも自分自身ですので、自分が出来ることは赤ちゃんにしてあげたいと思うよう
になります。赤ちゃんの存在をお母さんが受け入れようとした時から「母性」が少しずつ
育まれます。

 女性は赤ちゃんのおかげで自己の健康管理を見直す機会をもらえるのです。妊娠すれば
食事に気をつけたり、難産にならないように体重管理に努めたり、運動を始める方もいま
す。

 現代は、妊婦さんが助産院のような医師のいない施設や当院のような病院施設を、自己
選択できる時代です。初めにお伝えしたように妊娠・出産は病気ではありません。自分自
身がどのように妊娠期の貴重な10ヶ月という時間を過ごしたいのか、どのような出産が
したいのかをよく考え、自分で産んだという自信を、育児という苦楽のある長い道のりの
糧にして頂けたらと思います。

 ここで少し話がそれますが…

 母親学級や外来で妊婦健診を担当すると、妊婦さんに決まって言われる言葉は「陣痛が
怖い」「耐えられるのか不安。」「友達には言葉にならない程痛いと聞いた。」など、陣痛を
マイナスイメージに捉えられているような内容です。確かに最近のドラマなどで出産場面
が出ると、叫んでいたり暴れていたり、不安を助長させるような印象を持ちます。また「陣」
=いくさ、「痛」=痛みという意味がありこの文字自体が恐怖をそそるような言葉です。

 陣痛という赤ちゃんを生み出す神秘的な痛みは、男性には耐えることが出来ないと言わ
れています。お母さんが陣痛時、痛みを感じることはよく知られていますが、実は赤ちゃ
んも陣痛を感じているのです。陣痛は子宮が収縮することを言います。陣痛が始まると赤
ちゃんがのんびりと過ごしていた「いのちの部屋」がきゅっと小さくなり、赤ちゃんも苦
しくなります。ただし、赤ちゃんはお母さんが10か月間丈夫に育ててくれたお蔭で、陣
痛による苦しさに耐える力を十分に持っています。つまり出産はお母さんと赤ちゃんの初
めての共同作業となるのです。

 もちろん人間を一人、世に生み出すということは簡単なことではありません。しかし、
自分自身の中から出てくる陣痛が自分の限度を超えるということはありません。何より赤
ちゃんが一緒に頑張ってくれていることを励みとし、女性が母親となっていくのです。だ
からこそ陣痛には大きな意味があるのです。

 最後になりますが、皆さんもこれを機に是非、自分のからだや生活を振り返って、妊娠・
出産・育児について考えてみるのはいかがでしょうか?


No.92(2010/10/14)
6階西病棟 助産師 末高 奈緒


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妊娠中の旅行について


これから夏休みに向けて旅行の計画を立てている妊婦さんも多いと思います。今回は妊婦
健診でもよく質問される妊娠中の旅行についてお答えしたいと思います。


 Q1:旅行に適切な時期は?         
よく雑誌や本には妊娠5(16週)~8ヶ月(31週)は安定期なので旅行はこの時期に、
と書いてあることもあり、「安定期」という言葉を過信しているお母さんがいます。しか
し、トラブルが起こらない時期はありません。特に22週~31週というのは万が一にで
も早産になった場合、赤ちゃんもまだまだ小さく厳しい週数です。旅行先でこの時期の妊
婦さんをスムーズに受け入れる病院は少ないのが現状です。妊婦健診で順調であっても未
来を保証するものではありません。安定期でも旅行の決定は自己責任で慎重に行って下さ
い。


 Q2:行き先は?
海外旅行・・海外旅行はあまりお勧めできません。1)医療事情が異なり、産婦人科施
設を探すのが大変。2)語学力が必要。日常会話は可能な人でも、使う単語が特殊です。
3)多くの海外旅行保険は妊娠をカバーしないので、日本に比べてお金がかかります(救
急車が有料な国も多い)。4)トラブルを起こしたあと帰国するのが大変・・・すべて自
分達で対応することになります。それでも海外旅行をする、と決めたなら現地の医療情報
や保険について十分調べた上で行くようにしましょう。
温泉・・・温泉の成分が妊娠に影響する、という医学的根拠はないようです。しかし、湯
あたりで気分不快を起こし救急車を呼ばれた人がいました。女湯に一人で入浴していたた
めにトラブルが大きくなったそうです。貸し切り風呂でご主人と一緒に入浴する、女性と
一緒に行き一人にならないようにする、入浴時間を短時間にする、などの注意が必要です。


 Q3:交通手段は?
飛行機・・・気圧などの心配はいりません。しかし、飛行機会社・週数によっては医師の
診断書が必要となることがありますので確認して下さい。搭乗中は水分(炭酸は勧めませ
ん)を摂り、血栓症を起こさないように足をこまめに動かしましょう。
車・・・トイレや休憩が自由な自家用車の移動は便利ですね。欠点としては渋滞だと時間
が長時間かかる、自動車事故などです。渋滞の時期を避ける、シートベルトはしっかり締
める、血栓予防(上記参照)などの工夫が必要です。
電車・・指定席を予約して余裕をもった日程で移動するようにしましょう。


 Q4:その他気を付けることは?
母子手帳は記入して必ず携帯しましょう。特に予定日、母体情報、連絡先など「妊婦さん
が自分で記入する」ページ(ページの上に小さく書いてあります)はきちんと書きましょ
う。母子手帳はカルテです。事故や緊急事態など自分の意識がいつもはっきりしている状
況とは限りません。医師が情報を的確につかみ、迅速に治療が開始できるようにするため
にも、自分のカルテを持ち歩くという意識で母子手帳を活用して下さい(旅行以外でも)。
旅行時はその他に保険証やもらった検査データ、エコー写真なども持って行きましょう。

No.90(2010/6/10)
周産期診療部 産科 池谷 美樹


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予防接種はなぜ必要なの?


〈予防接種とは〉
  細菌やウイルスが人間の体の中に入り増殖することによっておこる病気を感染症といい
ます。しかし、人間の体には細菌やウイルスが入ってくると、これに抵抗して体を守ろう
とする働きがあります。この働きが免疫です。免疫とは自分以外の異物(抗原)が体内に
侵入したときに、その異物を排除するための特殊なたんぱく質(抗体)を作ったり、特異
的に対応するリンパ球を増やすことで、その異物を排除しようとする働きのことです。初
めて感染したときはこの免疫反応が間に合わず、症状が出てしまうことが多いのですが、
2回目に同じ病原体に感染したときからは、体には免疫反応による防衛体制の記憶が残っ
ているので、発病するまえに病原体を撃退することができます。 

 ワクチンは、病原体あるいは細菌毒素の毒性を弱めたり失わせたりしたものですから、
人為的に接種しておけば発病することなく免疫反応の記憶を残すことが可能です。そして
いざ本当の病原体が侵入してきたときに、すばやく免疫による防衛反応が働き発病せずに
すむのです。このように、ワクチンをあらかじめ接種することを予防接種といいます。

赤ちゃんは生まれてしばらくは、お母さんからもらった免疫や母乳の免疫効果によって
守られているのですが、生後3ヵ月を過ぎる頃からそれらの免疫が失われ始め、感染の危
険にさらされることになります。百日咳では生後3ヵ月までに、麻しん(はしか)は生後
12ヶ月までには免疫が殆ど自然に失われていきます。そのため、この時期を過ぎると赤
ちゃん自身の力で免疫をつけなくてはなりません。そのお手伝いをするのが予防接種です。
また、予防接種には赤ちゃんやこども自身の健康を守るだけでなく、みんなが接種するこ
とによってその病気が流行するのを防ぐ効果もあるのです。

〈ワクチンで防ぐことができる主な病気〉
  ワクチンで防ぐことができる主な病気には、次のようなものがあります。
    麻しん(はしか)、おたふくかぜ、結核、ジフテリア、水痘(みずぼうそう)、
    日本脳炎、破傷風、百日咳、ポリオ、肺炎球菌感染症、B型肝炎、
    Hib(インフルエンザ菌b)感染症、子宮頚がん、インフルエンザ

 世界中には、とてもたくさんの感染症が存在します。その中で予防のためのワクチンが
開発されている病気は、ごく少数です。せっかく、ワクチンがあっても接種しなければ予
防ができません。大切な子どもを感染症から守るためには、接種できる時期になったらで
きるだけベストのタイミングで、忘れずに予防接種を受けることが重要です。予防接種の
接種時期は母体からの移行抗体の減衰や感染症の発生状況、感染症の重症度などを考慮し、
決められています。地域ごとの接種方法や流行状況に応じて、かかりつけ医と相談しなが
らスケジュールを立てましょう。

〈予防接種の副作用〉
  ワクチンは、病気の原因であるウイルスや細菌の毒素を弱くした液です。したがって、
これを接種することにより軽くその病気にかかった状態になることがあります。これは副
反応と呼ばれますが、実際に病気にかかった状態と比べると軽く、また、副反応が起こる
確率もそれほど高くありません。しかし、体質や体調によって、まれに大きな副反応が起
こることがあります。このようなケースを防ぐためにも、お子さんが普段お世話になって
いるかかりつけ医の先生と相談しながら、予防接種を受けましょう。

No.89(2010/5/13)
感染管理認定看護師 三浦 祥子


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チック症


4~7歳ぐらいの年齢のお子さんが、急に数秒間、目をパチパチさせたり、顔面をしか
めたりするような動作を繰り返すことがたまにあります。こうした動作のことをチック症
と言います。チックの頻度は多く10%前後の人がチックを経験し得るとされています。


 一般にはチックは、顔面を中心とした体の一部の動きだけのものが多いです。しかし場
合によっては、鼻をすすったり、咳払いのなどのような症状がでるタイプのチックもあり
ます。こうしたタイプのチックを音声チックと言います。これに対して前述した体が動く
タイプのものを運動性チックと言います。運動性チックは、時としては顔の表情を変える
、跳ねる、地団駄を踏むなどいったような体のいろいろな部分が動くようなタイプ、また
音声チックでは、状況に合わない言葉を繰り返すタイプもあります。

 このようにチック症は、程度の軽いものから重いものがあり得ますが、一般的には多く
が軽症で自然に消失していきます。一方で、チックと思われる様な症状でも、その動きが
ゆっくりであったり、単純な動きでないときなどは、チック以外の原因の可能性を考えて
いく必要があります。また先ほどに述べた、音声チックと運動性チックの両方が一定期間
に合併する場合などには、一度医療機関で相談されることが望ましいと思われます。

 こうした中で、チック症で知っていただきたいことで重要なこととしては、チックは単
にストレスや緊張のみで起きるではなく、体質的な要素もあり得るということと、またチ
ックの多くが自然によくなるということです。したがってチックへの対応において、緊張
やストレスへの配慮に関して明らかにチックとの因果関係がある場合には、可能な範囲で
軽減することはあってよいことではありますが、より大切なこととしては、チックを一種
のくせというように考えて、親御さんの方もリラックスして対応されるとよいかと思いま
す。


No.88(2010/4/8)
総合診療部 第三小児期診療科 医長  永井 章


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こどもの鼻汁と鼻づまりについて


スギ花粉症(アレルギー性鼻炎)の季節ですね。花粉症は30年ほど前は4-5歳から
発症するといわれていましたが、近年は2歳ごろより症状を認めることもあります。今回
はこどもの鼻汁と鼻づまりについてお話ししたいと思います。

◆どうして鼻がつまるの?(原因)
こどもはもともと顔が小さいため、鼻腔がせまく、はれやすいからです。

◆つまったらいけないの?
もともと私たち人間の鼻の通りには左右差があり、2-4時間で交代することが分かっ
ています。この鼻づまりはネーザルサイクルという生理的現象であり、病気ではありま
せん。いつも同じ側の鼻がつまったり、両方の鼻が同時につまったりする場合などが問
題になります。

◆鼻づまりがおこったら・・・
<母乳やミルクの赤ちゃんの場合>
もともと赤ちゃんは口であまり呼吸することがなく、おもに鼻で呼吸をしています。
鼻がつまると母乳やミルクが飲めなくなってしまうことがあります。きちんと鼻で息が
できているかどうかは鼻の前に糸くずを垂らし、呼吸で揺れるかどうか、冷たい金属製
のスプーンなどをかざし、鼻息で曇るかどうかなどを試すとよいでしょう。鼻で息をし
ていないようであれば、かかりつけの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

◆鼻汁はどうしたらいいの?(対処法)
鼻汁はどうしたらいいのでしょうか。力強くチーンと鼻をかめばよいのでしょうか?
それとも鼻をすすればよいのでしょうか?じつはどちらもあまりからだによくありませ
ん。鼻を強くかむと耳の中に圧力がかかってしまい、めまいなど別の病気になってしま
う可能性もあります。では鼻をすすったらどうなるでしょうか。すすれば、鼻汁はのど
に集まって痰(たん)と一緒に口から出てきてよさそうですが、鼻のすすりが癖になる
と、耳の鼓膜がくぼんでしまい、聞こえに影響することがあります。上手なかみ方は、
片方ずつかむ、鼻をかむ前に息こらえをする、ゆっくり、何回かに分けてかむ、などが
提唱されています。

◆鼻をかめないときは・・・
自分で鼻をかめるのはいつからでしょう?少なくとも赤ちゃんはかめません。そうい
う時は、鼻吸引をしてあげましょう。鼻吸引のための器具も市販されていますし、かか
りつけの耳鼻咽喉科を受診して鼻吸引をおこなうのもよいでしょう。

No.87(2010/3/11)
第二専門診療部 耳鼻咽喉科  本村 朋子


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赤ちゃんと感染症


まだまだ寒い日が続きますが、風邪などひかずにお過ごしでしょうか。今日は赤ちゃん
と感染症についてのお話をしましょう。

 最近デパートなども子供連れのお客さんを呼び込むために、授乳室やおむつ替えスペー
スを充実させているところも多く、ファッショナブルな赤ちゃん連れのファミリーをよく
みかけます。その中にはまだくびもすわっていないような可愛らしい小さな赤ちゃんをみ
かけることもありますね。とても楽しそうでもあるのですが、実は私たち小児科医からす
ると、これはドキッとすることでもあるのです。感染症に対する心配をしてしまうからな
のです。

 赤ちゃんは生まれる直前の1~2カ月くらいの間、つまり在胎34週位から出生までの
間に、子宮内で胎盤を通してお母さんから免疫グロブリンという感染症と戦うためのたん
ぱく質を受け取ります。この免疫グロブリンは、感染症に対する抵抗力が弱い赤ちゃんが
生まれた後無事生き延びられるように与えられる、いわば母から胎児への最後のお餞別の
ようなものです。

 赤ちゃんはなぜこのようなものが必要なのでしょうか。それは、感染症に対する抵抗力
が弱いからなのですね。子宮の中はお母さんに守られて無菌の状態、バイキンなど出会っ
たこともありません。生まれたばかりの赤ちゃんはバイキンと戦う白血球の機能も未熟で、
ウイルスや細菌などに感染すると重症化しやすいのです。

 特に冬場はいろんな感染症が流行します。生まれたばかりの赤ちゃんが感染症にかから
ないですむよう、人混みは避けましょう。お母さんやお父さんは、外出からもどったら手
洗いやうがいをしましょう。最近は除菌できるグッズや抗ウイルス作用をもつという電化
製品なども市販されていますが、じつはそういったものの効果については不明な点も多く
当てにはなりません。それよりもこういった基本的なことのほうがずっと重要で有効だと
いうことが科学的に証明されています。

No.86(2010/2/12)
周産期診療部 新生児科  垣内 五月


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「知っていますか?赤ちゃんの肌って乾燥しているんです」


 冬本番で空気が冷たくとても乾燥しています。子育て奮闘中のお母様方もこの季節お肌
の乾燥がとても気になり、夏にも増して「保湿ケア」をされているのではないでしょうか。

 そんな季節、実は赤ちゃんの肌もとても乾燥しています。赤ちゃんの肌と言えば「プル
プルしていてみずみずしい」「敏感そうだな」という印象をお持ちの方も多いかと思いま
すが、赤ちゃんの肌が「乾燥している」ということをご存知の方は少ないのではないでし
ょうか。

 赤ちゃんの肌が大人の肌と違うところは大きく3つあります。

1)皮膚が薄く傷つきやすい
 (大人の半分位の厚さしかありません。ゴシゴシ洗うとすぐに傷つく恐れがあります。)

2)生後2カ月で乾燥肌に変化する
 (生後1~2カ月までは性ホルモンの影響で皮脂分泌が多く、それ以降は大人の1/3
  程度の皮脂量しかありません。皮脂量は少ないのに、汗は多くかくため皮膚をまもる
  皮脂膜がうまく作れていません。)

3)大人の3倍も汗をかく
 (赤ちゃんの小さな体には大人と同じ数の汗を出す穴があります。面積あたりでは大人
  の3倍もの汗をかく計算に!)

 このことからおわかりのように、生後2カ月を過ぎた頃より、皮脂量の分泌が少なくな
り肌が急激に乾燥に向います。また、角質層は薄く傷つきやすく、それを覆う皮脂膜も上
手く作れないため、「保湿ケア」をしないとすぐにカサカサになってしまうのです。

 それでは、ここからは肌のうるおいを保つために必要なものについて少しお話したいと
思います。肌の乾燥を防ぐケアのポイントは3つあります。

1)水分補給・・・乾いた角質層に水分を補給することがまず必要です。市販では数多く
         ありますが無香料・無添加のものを選ばれるとよいと思います。

2)水分保持・・・肌の水分を保持するためには細胞間脂質という成分が有効です。特に
         セラミドという成分は角質層の水分保持機能が高く潤いを保ちます。
         市販されているものでは、“キュレル”、“すべすべみるる”などが
         あります。

3)水分蒸発の抑制・・・皮脂膜を強化して水分の蒸発を防ぐために油性成分も有効です。
            市販されているものでは、“ワセリン”“アトピタ ベビース
            キンケアオイル”、“バーユ マドンナ”などがあります。

 また、保湿するタイミングですが、お風呂上りに保湿する方は多いかもしれません。し
かし冬の季節は1日1回の保湿では乾燥から肌を守れないことが多いため、数時間ごとの
保湿が欠かせません。洗った後、汚れをふき取った後、また気がついたときにマメに保湿
をする習慣がつくと安心ですね。また、保湿ケアの前には赤ちゃんの肌を清潔にしてから
塗ることが大切で、ママの手も洗って清潔にした状態で塗ってあげてください。

 空気が乾燥したこの季節、ママも赤ちゃんも「保湿」でうるおいのある健康な肌をキー
プしましょう。

No.85(2010/1/14)
看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師  村松 恵


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おくすりの飲ませ方について


皆さんはお子さんに処方されたおくすりをきちんと飲ませていますか?飲ませるのに大
変苦労されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、おくすりの飲ませ方
について、少し書いてみたいと思います。

1歳未満の乳児の場合、満腹で飲めなかったり食べ物と一緒に吐いてしまったりするこ
とがあるので、医師から特別な指示がない時は、授乳前の方が飲ませやすいでしょう。
1 日に3回飲む場合は、6時間程度の間隔が空いた授乳時などに合わせるとよいでしょう。
また、おくすりの時間が来たからといって無理矢理起こして飲ませる必要はなく、起きた
ときに飲ませ、その後は6時間程度の間隔を空ければよいでしょう。

「おくすりをミルクに混ぜてもよいですか?」と質問を受けることがよくあります。お
くすりを混ぜることでミルクの味が変わり、ミルクを嫌いになってしまうと困りますので
ミルクに混ぜることは避けましょう。シロップ剤の場合は、カップやスポイトで1回分を
はかりとった後、スプーンやスポイト、ほ乳瓶の乳首を使って飲ませるとよいでしょう。
スポイトを使う場合は、ほほの内側に流し込んで下さい。のどの奥に入れると咳き込みや
すいので注意しましょう。スプーンを使う場合は、何回かに分けて少しずつ飲ませて下さ
い。乳首を使う場合は、からの乳首だけを先にくわえさせ、吸い始めたらシロップ剤を入
れるようにすると、こぼさずに飲ませることができます。粉薬の場合は、少しの水で溶い
てシロップ剤と同じように飲ませるか、ごく少しの水で団子状にし、指で上あごかほほの
内側にこすりつけた後、湯冷ましを飲ませるとよいでしょう。シロップ剤と粉薬の両方が
処方されている場合は、1回分ずつ混ぜて飲ませてもよいです。ただし、混ぜたくすりを
しばらく置いておくと苦みが出たりすることがありますので、すぐに飲ませるようにしま
しょう。また、使用したカップやスポイトは、水などで洗い流した後、乾燥させておきま
しょう。

粉薬を飲むのが苦手な場合には、アイスクリームやヨーグルト、ゼリーなどに混ぜる方
法もありますが、混ぜると逆に苦みが出るおくすりもありますので、事前に薬剤師に確認
しましょう。また、薬局などに服薬補助ゼリーという製品が販売されています。これは、
おくすりの苦みやにおいを包み込み、飲ませやすくするゼリー状の製品です。ゼリーとお
くすりを混ぜすぎるとおくすりの苦みなどが出てくることがあるため、ゼリーにおくすり
を混ぜるのではなく、スプーンにゼリーを出し、その上におくすりを置き、さらにゼリー
を包み込むように上にのせて使いましょう。ただし、思ったよりもゼリーの量を使うので
飲ませるときは注意しましょう。

今はいろいろな便利グッズが販売されています。おくすりを飲ませるのにご苦労されて
いる方は、一度かかりつけの薬局などでご相談されてはいかがでしょうか?

No.81(2009/9/10)
薬剤部 主任  小村 誠


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やってみよう「口腔ケアシステム」


私は現在、病棟において「口腔ケアシステム」を用いて患者さんの口腔ケアを実践して
います。このケアを始めてから、「口臭が減った」「歯がきれいになった」「歯ブラシは
嫌がるのに、電動歯ブラシは嫌がらない」など、ご家族から喜びの言葉が聞かれ、やりが
いを感じています。

そこで、私が実践していて簡単にできる「口腔ケアシステム」についてご紹介します。
入院中の方、在宅療養されている方、小さなお子さんの口腔ケアにお役立て下さい。

これまで「口腔ケア」は日常的すぎて注目されることはありませんでした。しかし、口
腔の汚れと誤嚥性肺炎の関係について研究がすすみ、ブラッシングによる口腔ケアは誤嚥
性肺炎予防に効果があることが明らかになり、口を含めた健康増進が推奨されています。

口腔内が「プラーク」いわゆる歯垢で汚染されていくと、誤嚥性肺炎の他に敗血症、感
染性心内膜炎、糖尿病などの怖い病気になりやすく、全身に悪影響を及ぼしていきます。
プラークは強い粘着力で歯に付着しながらコケのように増殖し、白血球の殺菌作用を低下
させ、組織を破壊する酵素で歯や歯槽骨を溶かしていきます。もとは口腔内の生きた常在
菌であり、食事を摂取していなくても増殖していくため、食事ができない状態の方でも、
口腔ケアは必要になります。また、洗浄剤や洗口剤ではプラークは除去できず、細菌層の
フィルムを破壊するためにはブラッシングが効果的です。特に電動歯ブラシは高速で動く
ため、除去しやすいとされています。

「口腔ケアシステム」とは、国立長寿医療センターが開発したシステムです。1日5分 間、
時間を選ばず、簡単で安全、安くてわずかなケア用品と単純な技術で、口腔内を清潔
にできる手順のことをいいます。

<口腔ケアシステムの手順>

1.うがい薬または水をつけた口腔ケアスポンジ(ガーゼでも可)で、口腔内の粘膜など
に付着した食べカスや、分泌物を除去します。(1分間)

2.舌ブラシ(ない場合は歯ブラシ)を用いて、舌の奥から手前へ10回軽く擦り、舌苔
を取り除きます。つるつるにする必要はありません。(30秒)
舌は口腔のバロメーターでもあり、舌苔が多い状態はケアが行き届いていない、口か
らは食べられないなどの危険サインでもあります。

3.歯ブラシをうがい薬または水に浸し、歯の表面を清掃します。一ヶ所あたり2~3秒
あて、歯肉を傷つけないよう注意します。磨き残しがあると微生物の棲み家となるた
め、磨き残しのないよう始点を決めて一筆書きで行いましょう。(2分半)
参照図↓
http://www.ncchd.go.jp/mailmagazine/brush-teeth2.pdf 

4.一通り磨き終えたら、ブラッシングで剥がれ落ちた細菌を、うがいをして洗い流しま
す。自分で動けない方には、吸引カテーテルを用いて、水を流しながら吸引していき
ます。(1分間)吸引ができない場合は、拭き取るだけでも大丈夫です。

このケアシステムを毎日、継続して行うことが大事です。皆様も是非、「口腔ケアシス
テム」を実践してみて下さい。

No.81(2009/9/10)
看護部 看護師 阿部 典子


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トマトきらい

「トマト残していい?」ダメです!!

トマトを食事に出すたびに、息子に言われます。まずい!らしいです。こんなおいしい
ものを。

味の好みは人それぞれで、「美味しい」ことを表現するのには、旨い、美味しい、甘い、
軟らかい、歯ごたえがよい、喉ごしがよい等々たくさんあり、気持ちまで和やかにしてく
れます。その反面、美味しくないことを表現する場合、単に「嫌い」とか「まずい」の一
言で片付けられることが多いようです。

そもそも「味」とは一体何なのでしょう。広辞苑によると、1)飲食物が舌の味覚神経
に触れた時におこる感覚。2)体験によって知った感じ。と書いてありました。誰もが美
味しいと感じる「甘い」は、ブドウ糖や果糖など、ヒトや動物にとってためになるエネル
ギー(カロリー)源であることを本能に訴えるサインなのです。

それでは「苦い」はどんな意味を持つのでしょう。“良薬は口に苦し”と云う言葉があ
ります。薬と毒は表裏一体です。原始の時代には薬は無かったでしょうから、毒の危険を
知らせるシグナルの役目を果たしていたのだと思います。

次に「酸味」はどうでしょう。食物が腐敗したとき示す味ですから、これも危険のシグ
ナルとして認識されます(但し、ヒトに有益な場合は、腐敗ではなく発酵と表現していま
す)。

味の体験の少ない乳幼児は、甘いものは笑顔で受け入れますが、すっぱい物やにがい物
を口に入れると、顔をしかめて舌で押し出し、拒絶の反応を示します。このように経験し
たことの無い味には、危険回避のため本能で対応します。ビールやお酒を美味しいと言う
子供はいません。しかし、大人は本来腐敗(発酵)したものや、毒を知らせるサインであ
る味を、経験により美味しいと認識し香辛料なども使用して味覚を楽しんでいます。

美味しい、まずいは本能による反射的な反応だけでなく、経験によって会得する感覚で
す。野菜に限って言えば、子供には美味しい食べ物ではないようです。母親に食べなさい
と言われて、シブシブ繰り返し食べている間にだんだん慣れて、大人になると子供のとき
あんなに嫌だった、香りの強い山菜や薬味でさえ大好きになる人が大半です。私は昨年も、
ゴーヤが苦くて食べられませんでした。今年こそは、好きになれるか!

嫌いな食品は、微量栄養素の宝庫かもしれません。嫌いなために食べられない食品の沢
山ある人は、とても損をしているように思うのです。息子には、このトマトに物凄くいい
栄養があったらどうするの?と言うのですが、7才には通じないようです。トマトは夏の
太陽をいっぱい浴びて身体の調子を整えるビタミンがたっぷり。“食べられるようになっ
た”を“好きになった”まで発展(味覚の開発)させれば更に良いことがあるでしょう。
嫌いなものも一口だけなら~! そのうち食べられるかもしれませんね。


No.80(2009/8/13)
栄養管理部 栄養係長 藤田 かほる


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こどもの皮膚の病気について

 お子様の皮膚について、お困りのことやご相談されたいことはありませんか?
  私たち第二専門診療部皮膚科では、皮膚についての専門的な知識と経験を生かして、3
名の皮膚科医が診療にあたっております。

 ご相談に来られる病気は、湿疹・皮膚炎、血管腫、母斑、腫瘍、脱毛、白斑、角化症、
水疱症や全身疾患の皮膚症状などさまざまです。

 こどもの皮膚の病気は大人と違う点がたくさんあります。こどもだけにみられる病気や
成長するにつれて消えていくような病気もあります。良性腫瘍の場合は、すぐに治療をす
る必要はなく、こどものうちは経過をみているだけでよいことがほとんどです。

  ご相談でもっとも多いのは、湿疹・皮膚炎です。さまざまな情報があふれていて、お悩
みになられている方も多いのですが、ぜひ皮膚科にご相談ください。病気について、スキ
ンケアを含めた治療について、丁寧にご説明させていただきます。

  最近増えているのが、あざについてのご相談です。あざには赤いあざや青いあざがあり
ます。「単純性血管腫」や「苺状血管腫」という名前の赤いあざは、早い時期にレーザー
治療を受けていただくことが可能です。「蒙古斑」という青いあざは、通常背中やおしり
に出現します。足や腕などにみられる場合もあり、これを「異所性蒙古斑」といいます。
色の濃いものや、気になるものについてはレーザー治療のご相談をさせていただくことが
可能です。ほかに、「太田母斑」という顔にみられる青いあざもあります。すべて保険適
用のレーザー治療が可能ですので、遠慮なくご相談にお越しください。

  そのほかにも、皮膚の症状についてのご心配や、迷われていることなどございましたら
お気軽に皮膚科へご相談ください。


No.79(2009/7/9)
第二専門診療部 皮膚科  定平 知江子


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雨の日の親子制作

  当院では保育士が計6名おり、7・8・9階東西の小児病棟に各1名ずつ配置され、そ
れぞれの病棟で入院されている子どもたちに保育を提供しています。
  「子どもの病気の経過と成長発達にあった保育の提供」を目指し、病棟内のプレイルー
ムや病室・ベッドサイドなどで、季節にあった活動を取り入れながら保育を行っています。
  6月、7月は梅雨の時期ということで、あじさいや、かたつむりなどを入院中の子ども たち
と一緒に作り、病棟のプレイルームや食堂などに飾っています。子どもたちやご家族
にとても好評だったので、今回は「かたつむり」の作り方をご紹介します。

【用意するもの】
  ・白い紙(A4用紙ぐらい)
 ・クレヨン、色鉛筆、ペンなど
 ・はさみ
  ・のり
  ・折り紙(みどり、きみどり)→ かたつむりを乗せる葉っぱを作ります

【かたつむりの作り方】
  1.白い紙を縦6等分に細長く切ります。

  2.紙の上部にかたつむりの「顔(目や口など)」を描き、中央から下部には好きな模
   様を描きます 写真はこちら↓
    http://www.ncchd.go.jp/hospital/support/hoiku/images/katatsumuri002.jpg  

  3.上から5㎝ぐらいの部分を山折し、かたつむりの顔が見えるようにします。

  4.紙を裏返し(かたつむりの顔を下にする)、山折部分まで紙の端から丸めます。   
  (鉛筆やペンを使って丸めると小さいお子さんも巻きやすいと思います。)

  5.折り紙を葉の形に切り、かたつむりを乗せたら出来上がりです!!  
   ☆出来上がりはこちら↓  
   http://www.ncchd.go.jp/hospital/support/hoiku/images/katatsumuri001.jpg

  子どもたちが作ると、様々な模様や色のかたつむりが出来上がります。また、「見て
ー!」と元気な声で子ども同士やスタッフに見せて喜ぶ姿を見ていると、私たちも不思議
と憂鬱な雨の日が楽しくなります!

  かたつむりをテーブルの上や玄関、窓際に飾ると家の中でも梅雨の季節を楽しく味わう
ことができ、あじさいも一緒に飾るとさらに素敵です!是非、雨の日に親子で作ってみて
はいかがでしょうか。


No.79(2009/7/9)
看護部 保育士  豊田 江利子


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熱と解熱剤

 発熱は、診療中に最もよく遭遇する症状の1つです。多くはウイルスや細菌の感染に伴
って起こります。感染症に伴う高熱とその対応について、よくある質問をあげました。

 1)高熱は脳に障害を起こす?
   ご両親の心配は、熱そのものと熱による脳の障害の心配が多いようです。現在までに高
   熱が原因で脳障害が認められたという報告はありません。発熱は、そのウイルスや細菌に
   対して居心地を悪くし、排除しようという大切なからだの防御反応のひとつです。発熱そ
   のものよりも、発熱には原因について認識することが大切です。
 2)高熱であるほど、熱を出している原因が重症?
    熱の高さよりも、ぐったりしている、または、具合が悪そうであるといった状態の有無
   が大切で、病気の重症度と関連していると言われています。
 3)熱が出ている時には?
    第一に、水分補給です。次に、衣類の調節や室温の調節をして過ごしやすい環境を整え
    ることが大切です。それでも、お子さんが高熱により不機嫌、不快そうである場合には、
    解熱剤を使用します。ぬるめの湯による入浴や冷水による体拭きは、皮膚の血管を縮めて、
   かえって熱が下がりにくくなったり、ふるえの原因となり、不快になる可能性があります。
 4)解熱剤の利点とは?
     解熱剤は、熱を下げることで不快感を取り除きます。また、その時点での、お子さんの
   一番良い状態を観察することも出来ます。熱が下がれば活気が改善する、水分を摂りやす
   くなるといった状態かどうか判断できます。解熱剤が効き、熱が下がったにもかかわらず、
   ぐったりしている場合には、重症な状態の可能性があります。
 5)解熱剤の欠点とは?
   発熱は、ウイルスや細菌の居心地を悪くし、体から排除しようとする働きですから、熱
   を下げることにより、「体内にこれらの生物が長めに残る」=「病気が治るのが遅れる」
   ということが起こり得ます。また、熱の経過が分かりにくくなる可能性もあります。しか
   し、発熱による不快さが認められる場合には、解熱剤を使用することは選択肢の1つです。
 6)適切な解熱剤の種類は?
    アセトアミノフェンが推奨されています。発熱時のみ解熱効果があり、平熱時に体温を
   下げ過ぎることがありません。また、長い歴史の中で、安全でかつ効果がある量も確定し
   ています。腎臓に影響を与える可能性はありますが、生後6か月以上で、所定量を短期間
   使用した場合にはその副作用もほとんど認めないとされています。もう1つは、イブプロ
   フェンです。こちらも、同様に安全性が高いとされる解熱剤のひとつです。
 7)解熱剤が効かない場合には重症?
    とくに発熱初期などには、効果が得られにくい場合もありますが、「解熱剤の効果」と
     「病気の重症度」は関係ありません。
 
   高熱を出しているお子さんにとって、大切なことは、お熱の高さや解熱剤の効果ではな
   く、発熱の原因を知ることと、元気さなどを含めた全身の状態です。


No.74(2009/2/5)
総合診療部 救急診療科 植松 悟子


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“はじめてのめがね”について

 紅葉の美しい季節ですね。お子様と手をつないで近くの公園に行ってみたり、秋晴れの 青空の下、照葉を眺めに遠出してみたりするのもいいですよね。
 でも、ふと、子どもが見えにくそうに眉をこらし、遠くに掲げてある看板の文字を読み にくそうにしているのをみると「あら!」と思うことがありませんか。
 一般に赤ちゃんは遠視で誕生し、成長とともに視力を伸ばしながら小学校入学の時は、 目の病気がないかぎり両裸眼視力1.0の子ども達がほとんどです。でも、体の成長とと もに少しずつ目は近視化していきます。とくにアジア系は近視が多く、日本人の60%以 上は近視と考えられているため、当然のなりゆきなのですよね。「どんなタイミングでう ちの子どもはめがねをかけ始めていったらいいのでしょうか?」というご質問は外来でよ く聞かれるものの一つです。
 近視がもっとも進む年代は小学校の高学年から中学生です。この年代は学校に通って勉 強してもらわなくてはいけないのですから、黒板が見えなくては困るのです。教室の最前 列にいつも座れるのであれば遠くの裸眼視力は0.3、後ろの席になる可能性があるなら ば0.7は見えないと学習視力は悪くなると考えられています。裸眼視力は不思議なもの で、同じ近視度数でも0.3の人もいれば0.08のような人もいるので、近視度数では 決まりません。まぶたを細めたりすることで一時的にピントを合わせたりして変動させる こともできます。したがって“学校の後ろの席に座りたいなら0.7以上、前の席なら0. 3以下になったらめがねがいる”くらいの大ざっぱな感覚を持って頂けたらよろしいので はないでしょうか。また、その子の生活にも必要度は変化します。たとえば、夕方自転車 に乗って習い事へ通っているというような場合、0.6は最低必要と考えますし、映画館 へ行ったり、野球を観に行ったりするのが好きという子どもであったら、そんなときにす っきりよく見えるめがねをかける方が楽しみは倍増するでしょう。ときに、目をしかめて にらみつけるようにして眺めている子どもがいますが、せっかくのかわいいお顔が台無し なのでそういう場合もめがねを作った方がいいのではないでしょうか。
 ただし、お子様の初めてのめがねは、必ず眼科で処方してもらって下さい。いきなりめ がね屋さんで作成はしないように。お子様の場合、屈折度数によっては目薬をして調節麻 痺を行なってから屈折度数を測定しないと適切な眼鏡度数が出せない場合があります。
 また、子どもは心配かけまいとしたり、面倒臭がったりして、自分からは「見えない」 「めがねがほしい」とは言い出しません。周りの大人達がタイミングよく誘導してあげる 必要があると思います。
 「よく見えるって、楽しいよ。」私は、外来で子ども達にこうやって励ましています。

No.72(2008/12/11)
第二専門診療部 眼科  小林 百合


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子どもをやけどから守りましょう

 子どもの事故は年齢によって違ってきます。0歳~1歳までは誤飲が多く、年齢が上が
ってくると行動範囲の拡大で水の事故や交通事故が多くなります。周りの大人が注意をす
ることで多くの事故は防ぐことはできます。秋も深まりこれから寒い季節が近づいて来る
とやけどの事故も多くなってきます。そこで今回は「やけど」についてお話します。

【子どものやけど】
 子どもの皮膚は非常にデリケートで大人に比べて薄いため、より低い温度で、より早く 、
より深いやけどになりやすいのです。子どものやけどの8割は家庭内で起こっています 。
そのうち5割は台所で発生しているとの統計があります。特に行動範囲が広がる1歳児
のやけどが多く見られます。原因として多いのが、熱湯や汁物で次にアイロン・ストーブ
などの熱源への接触です。
 6ヶ月位までは、赤ちゃんは動きませんので大人の不注意が事故につながります。
赤ち ゃんを抱きながら熱い飲み物を飲んでいてこぼしたり、ミルクを作るための熱湯を
こぼし てやけどをさせる事があります。7ヶ月を過ぎるとハイハイがはじまり、床に置い
てある ストーブ・アイロン・ポットなどすべてに興味を持ち触ろうとします。8・9ヶ月は
つか まり立ちができるようになり、背伸びをしてテーブルの上のものに手を伸ばし、
あるいは テーブルクロスを引っ張り頭から熱湯をかぶったりします。1歳を過ぎると
活動範囲が広がり、家にある熱源がすべてやけどの原因になります。4歳頃からは
花火によるやけどが 多くなります。
 次に低温やけどについてですが、よくあるのが、 電気毛布・湯たんぽ・ホットカー
ペット・ファンヒーターです。低い温度でも長時間あたっているとやけどをします。
低温やけどは皮膚の深くまで届くため重症化します。

【防止対策】
  1.熱源は床に置かず、1メートルより上に置くことが原則です。その時子どもが電気
    コードを引っ掛けないよう注意しましょう。
  2.電気ポットは倒れたときに、お湯が出ないようストッパーを確認しましょう。
  3.テーブルクロスは危険ですので子供がハイハイ・つかまり立ちをする頃は使用を
    やめましょう。
  4.ストーブには柵をしましょう。ハロゲンヒーターでのやけども多くなっています。
      化繊の洋服を着ていた子どもが、ハロゲンヒーターに背中をつけて洋服が燃
    えあがりやけどをした事例もあります。
  5.台所で熱湯を扱うときは子どもがそばにいないことを確認しましょう。
    知らないうちに傍にきていて足に抱きつかれ熱湯を掛けてしまうこともあります。
    6.片手で子どもを抱きながら、もう一方の手で熱湯の作業は厳禁です。
   7.花火など火を使う遊びは必ず大人が付き添いましょう。
   8.低温やけどの防止は長時間使用しないこと。
     電気カーペットやファンヒーターはこまめに電源を切る又はタイマーをセットする。
     カイロや湯タンポは寝る前に暖めておき、寝るときは除去すると良いでしょう。
     使用する場合は体に直接触れないよう離して使用しましょう。

【やけどの対応】
  1.やけどの範囲がせまく皮膚が赤くなった程度であればその部分を流水で痛み
    がなくなるまで冷やし(最低5分以上)、痛みがとれたらきれいなガーゼを当てて下さい。
   2.やけどの範囲が広い時は皮膚が赤くなった程度でも病院に受診しましょう。
   3.頭や顔のやけどの場合は、冷水のシャワーで冷やし病院を受診しましょう。
   4.衣服を着ている場合は、無理に脱がさず衣服のまま冷やしてください。
   5.水ぶくれはつぶさないように気をつけ、冷やした後はきれいなガーゼで覆いましょう。
    手のひら位の時や500円玉より大きいときは急いで病院を受診してください。
   6.低温やけどは気がついたらすぐ冷やして病院を受診しましょう。

 子どものやけどは7ヶ月頃から1・2歳頃が最も危険な時期です。
子どもから24時間目を離さないことが一番なのですが、日常生活の中では無理があります。
そこで危険を予知して防止対策を立てる事が必要です。
さて皆様防止対策は万全ですか? すべてのお子様の健やかな成長をお祈りして、
やけどのお話を終わります。

No.70(2008/10/09)
医療安全管理室 専任リスクマネージャー 看護師長  樫原 恵子


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赤ちゃんのおしりはデリケート

 「おむつかぶれ」は、おむつにおおわれた皮膚に起きた炎症で医学的には「おむつ皮膚
炎」と言います。おむつのあたる部分の皮膚が赤くなったりプツプツと小さな発疹が出た
りします。悪化するとただれて出血することもあります。
以前は排泄物で汚れたおむつを長時間使用することにより排泄物中のアンモニアによる接
触性皮膚炎と考えられていました。しかし、近年おむつ皮膚炎は様々な要因が重なって発
症すると考えられるようになりました。
   
1.おむつかぶれの原因

  (1)おむつ内の環境
    おむつの中は排泄物中の水分と通気性の低下から高温多湿な環境となります。また
    、赤ちゃんは発汗も多くこれによっても湿潤環境となります。この高温多湿な環境
    により皮膚はふやけてしまいます。ふやけた皮膚は傷つきやすく排泄物の刺激を受
    けやすくなります。

  (2)「こする」という刺激
    汚れたおしりをみたら綺麗にしたいと思うのは当然です。清潔を心がける気持ちか
    らおしり拭きで汚れをごしごし拭き、1日に何度も石鹸をつけておしりを洗いたく
    なるでしょう。月齢が低い赤ちゃんや下痢の時は排泄回数が多いため、こする頻度
    も増えて皮膚に傷をつけてしまいます。また、熱いお湯の使用や頻回な石けん洗浄
    は皮膚を保護している皮脂を必要以上に取り除いをてしまうため皮膚の乾燥を招き
    ます。想像してみてください。頻回に鼻をかんだ鼻の下。冬場、お湯と石けんで頻
    回に洗った手。皮膚は赤くかさかさした状態となりヒリヒリとしませんか?何度も
    こすったり石けん洗浄したおしりはこんな状態になっているのです。こすって傷
    ついた皮膚は排泄物の影響を受けやすくなります。

  (3)排泄物の刺激
    便中の消化酵素や腸内細菌などの刺激が皮膚に接触することで炎症を起こします。
    特に下痢の時は消化酵素や細菌の刺激性が高くなりますのでおむつかぶれを起こし
    やすくなります。
 
以上のような様々な要因が重なっておむつかぶれを起こすのです。

2.おむつかぶれの予防方法

   おむつかぶれを防ぐには毎日のケアが大切です。

  (1)汚れたおむつはこまめに替えましょう。
    おしっこで濡れたままの皮膚や便で汚れたままの皮膚にしないことが大切です。

  (2)おしりはやさしく拭いてあげましょう。
    1日に何度もおしりを拭く必要がある時は、こすらず、ぬるま湯やオイルを含ませ
    たコットンでやさしく押さえ拭きするかぬるま湯で汚れを流してください。石鹸や
    熱いお湯で頻回におしりを洗うことは避けて下さい。

  (3)外気浴
    おしりを洗ったり、入浴した後は柔らかいタオルで水分を押さえ拭きし、空気に触
    れる時間を作りましょう。

3.かぶれてしまった時

   それまで以上に優しいケアをこころがけて下さい。ホームケアだけでは症状が改善し
   ない場合は早めに受診して下さい。

  皮膚・排泄ケア認定看護師は病棟や外来でこのようなスキントラブルに対するご相談に
応じています。ケアにお困りの場合は担当医や看護師にお声をかけて下さい。



No.69(2008/09/04)
皮膚・排泄ケア認定看護師  三隅 裕美


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こどもの耳そうじ

今年も暑い夏。子供たちは毎日のようにプールに行きたがりますね。
ところで、プール前の耳鼻科健診で“耳あかがたまっています”とチェックの入ったお子様 はいらっしゃいませんか?
耳あかがたまっていると、プールに入ったあとに、ふやけて耳が急に聞こえなくなってしま うことがあります。プール開きの前にはある程度きれいにしておく必要があるのです。

「ある程度」であって、「完全に」きれいにする必要はありません。 耳あかは実は外耳道を正常に保つための大切な役割があるのです。耳あかには脂肪分がある ので適度に外耳道を湿潤に保ち、殺菌作用があります。耳掃除をやりすぎて耳が痛くなるこ とはありませんか?痒かったからつい・・・となりがちですが、かゆみと痛みを感じる神経 は同じです。ちょっと炎症をおこしていると痒く感じるし、それがひどくなると痛みに感じ ます。掃除するといつも耳あかがたまっていて・・・というのは、もしかしたら膿が固まっ たものかもしれません。

最近の育児雑誌の中に「沐浴の後は綿棒で耳の中までふき取る」というようなことが書かれ ていることがあります。このため、その通りに愛情をこめて耳掃除をしてあげているご両親 も少なくありません。しかし、赤ちゃんの外耳道の皮膚は、成人の3分の1の厚さといわれています。毎日綿棒でこすると外耳道炎になり、臭いのある膿がでてくることもあります。 毎日掃除する必要はないのです。

では、どのようにして耳掃除をしてあげればよいのでしょうか? 基本的には、せいぜい2-3週間に1回、お風呂上りに綿棒でふき取る程度で充分です。外耳道には、耳あかを自然に外に排出する働きがありますので、明るいところで見える範囲を 綿棒でぬぐうようにしてきれいにしてあげましょう。奥に入れすぎると反対に耳あかが奥へ 奥へと押しやられていってしまいます。取れない耳あかがたまってしまっている場合や、し ょっちゅう痒がる、臭いがする、などの症状がありましたら、お近くの耳鼻科で定期的に診 ていただきましょう。

No.68(2008/08/07)
第二専門診療部 耳鼻咽喉科  守本 倫子


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子供の夏かぜ

梅雨が明けると、本格的な夏がやってきます。
元気で楽しく、暑い夏を乗り切りたいものですが、夏に流行するかぜがあります。
いわゆる夏かぜです。かぜの80~90パーセントはウ イルスの感染が原因で起こりますが、そのウイルスの数は 200種類以上あるといわれます。
多くのウイルスは寒くて乾燥した環境を好むため、冬にかぜ(普通感冒)やインフルエンザ が大流行しますが、なかには暑くて湿度が高い夏の環境を好むウイルスもいるのです。
 夏かぜは、エンテロウイルス(コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど)やアデノウイル スなど高温、高湿度を好むウイルスによっておこる感染症で、子どもを中心に流行します。
ウイルスの種類によっていろいろな症状があらわれます。
ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭 結膜熱は代表的な夏かぜです。
では、それぞれの“夏かぜの特徴”を見てみましょう。


ヘルパンギーナ:
のどの奥にプクッと膨らんだ赤っぽい水疱が数個から十数個でき、40度近い高熱が2日 ほど出ます。
水疱は約1週間で治ります。のどの痛みのため、 飲み物、食べ物がとれないことがあります。


手足口病:
手のひら・足の裏・口の中に生の米粒大の発疹がで きます。口の中の発疹が破れて口内炎ができると痛みが強くなり、食事が摂りにくくなりますが1週間ほどで治ります。
また発症者の約3分の1に、38度くらいの熱が1~2日ほど出ます。


咽頭結膜熱:
プールで感染することが多かったので、別名プール熱とも呼ばれます。
高熱が 3~5日、のどの痛みや腫れ、目の充血や目やになどの症状は1週間程度続くことが多いです。


治療について
予防接種や特効薬がないため、脱水に対しては点滴、発熱に対しては解熱剤を使うなど対症療法が中心です。


家庭でのケア
体力の消耗を防ぐための安静と、脱水予防のためのこまめな水分補給が重要です。口内炎 が痛い時は、 軟らかく口当たりの良い、また薄味で刺激の少ない食事(アイスクリーム、ゼリー、プリンなど) にしますが、栄養補給のためと無理に食べさせず、まずは水分を摂 らせることを優先しましょう。
発熱し暑がっているときには、エアコンなどで室温を調節 し薄着にしましょう。


予防について
夏かぜの感染経路は、主にせきやくしゃみなどの飛沫感染と接触感染(便に触れた手など から口に入ることによる感染)です。このため予防にはうがいと流水と石けんでの手洗い が重要です。
症状が治まった後も2~4週間は便にウイルスが出ますので、子ども本人だ けではなく、家族もオムツ替え の後などにまめに手洗いをする必要があります。
プール前後のシャワー、 うがい、洗眼も大切です。またタオルの共用は控えましょう。
抵抗力が落ちると夏かぜをひきやすくな ります。エアコンで体を冷やしすぎないことや、十分な休息、 睡眠をとることが大切です。
特に夏休み期間中は、生活が不規則になりがちですので気をつけましょう。

かぜをひくことのないよう、今年の夏を楽しい思い 出でいっぱいにしましょう。

No.67(2008/07/10)
感染管理認定看護師 三浦 祥子


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こどもが注射をうけるときのこころのサポート

 こどもが採血や注射をうけることになったときどうしていますか?こどもを
スムーズに病院へ連れて行くにはと考えて『散歩』と言って連れ出したり、病院の先生や
看護師さんに迷惑をかけないようにと思い『おもちゃを買ってあげるからいい子にしなさい』
とこどもに言い聞かせたり、痛いのはかわいそうだけど甘やかしてもいけないと思い泣いてい
るわが子を叱ったり・・・親としてどうしたらよかったのだろうと悩んだことはありますか?
この体験をこども側から見ると、親にだまされたことで、もう誰も信じられないという不信
感を抱いたり、何をされるのか分からない中で注射されたことで怒りを感じたりしているか
もしれません。「何をされるか知らない」よりも「何をするか知っている」方が恐怖心が少
なく、痛みも軽減するといわれています。また、「やられた」ではなく「できたよ」という
自信をもつことができれば、その体験はポジティブなものとなりえます。
どうせ話をしてもわからない、泣かれたら困ると最初からあきらめるのではなく、年齢にあ
った伝え方を工夫し感情を分かち合い一緒に乗り越えようとしてみてください。
きっと、こどもにとっても、ご両親にとっても、前よりポジティブな体験になると思います。
採血や注射が少しでもポジティブな体験になるポイント:
いつ、どのように伝えたらよいのでしょうか?
突然ほど怖いことはありません。こどもに前もって(最低でも、2~3歳には数時間前、4~6
歳は前日、小学生以上には1週間前には)注射があることを伝えるようにしましょう。
(例)
インフルエンザ・・・悪い風邪から守ってくれるんだよ。
予防注射・・・悪い病気がうつらないように守ってくれるんだよ。
採血・・・血を少しとる検査だよ。血を調べると体のことがいろいろわかるんだよ
自覚症状がある場合:なんで頭が痛くなるのか調べるんだよ
「言うこと聞かないとお医者さんにお注射してもらうよ!」というような脅しはけっしてし
ないでください。こどもに誤ったメッセージや恐怖を与えかねません。
より分かりやすく伝えるにはどのような方法があるのでしょうか?
特に2~7歳までのこどもさんは言葉だけでなく、ごっこ遊びを通して理解することを得意と
します。こどもに医療者役になってもらい、人形の診察をしたり、注射をしたり、優しくお
世話をしてあげるごっこ遊びをしてみましょう。遊びを通して、こどもは検査の流れや経験
する感覚(手をだして、ツーンとしたにおいのアルコール綿でふいて、予防注射の場合は腕
をつままれ、チクリと注射を受ける)を知ることができたり、人形の役割(手を動かさない)
がとても大切なことであること、病院はこどもの健康を守るところということがわかるよ
うになります。このような遊びは、リハーサルにもなり、実際のときに何が行われているの
か把握しやすく、自分がどのような役割を担えばよいのか思い出す手助けとなります。
「注射痛いから嫌だ!」と嫌がってしまったらどのようにすればいいのでしょうか?
当然の気持ちです。まずは、「痛いから嫌なのね。」「大切だって分かっているけど、注射
が怖いのね。」とこどもの気持ちを受け止めてあげてください。
実際の採血や注射ではどのようにこどもをサポートできるのでしょうか?
採血や注射をするときに両親が同席できる場合は、こどもを抱っこしたり、おもちゃで遊ん
だり、採血室に飾ってあるものを探すクイズを出しあったりなど気を紛らせることも痛みを
軽減する上で効果的です。風車を吹いたり、体をなでたりしてリラックスするお手伝いもい
いでしょう。「手はまっすぐにね」と穏やかな口調で思い出せるように声かけもしましょう。
手の固定はプロに委ね、両親はこどものこころのサポートに徹していいのです。痛いとき、
怖いときに泣くのは当然のことです。
大切なことは手を動かさないことです。こどもが泣いたとしても腕を動かさないでいられた
のなら、「手をまっすぐしていられたね。」とできたことを認めてあげてください。手を動
かしてしまったとしても、「お注射できたね。」とやり終えたことを認めてあげてください。
そして、ぎゅっと抱きしめて安心させてあげてください。そうすることで、こどもは『ダ
メな自分、恥ずかしい自分』ではなく、『できる自分、頑張れる自分』『愛され、見守られ
ている自分』を確認し安心することができるのです。
*** 大切なことは、こどもの気持ちを受け止め、体験を共有することです ***

No.66(2008/06/12)
認定チャイルド・ライフ・スペシャリスト 相吉 恵


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誤飲についてのお話し

 乳幼児は何でも口にします。小さなゴミを口に入れたり、おもちゃをなめたりと本当に目が離せません。気をつけていたはずが、ほんの一瞬目を離した隙に誤飲をします。
 5歳以下が多く、そのうち3歳以下が80%を超えます。予防するには先ず整理整頓・危険な物はお子様の手の届かない場所に置きましょう。

 又おもちゃの選択にも気 をつけましょう。なめても 安全で口に入れても飲み込めないサイズを選択をしましょう。サイズのチェックに丁度良いのがフィルムケースです(市販されている誤飲チェッカーもあります)。このケースに入る 大きさは飲み込む危険がありますので、おもちゃを選択する目安にするとよいでしょう。

それでは次に、実際の場面を想定しましょう。

成育医療センター 救急センター パンフレットより

★のどがつまった?

異物が見えてとれそうなら取り除きましょう。
それ以外は無理に手を入れないでください。異物を押し込んでしまう危険性があります。
固形物がのどにつまって苦しそうなときは、

1. 乳児(1歳まで):うつぶせにして頭をさげ、あごの下をお母さんの手で支え背中をたたきます。

2. 幼児・学童:(1歳以上)子どもの後ろから、両腕を腹部に回します。片方の手でにぎりこぶしをつくり親指側をへそとみぞおちの間に置き、もう片方の手でにぎりこぶを覆います。そのままの体勢で上に向かって突き上げるように押しましょう。

*事故につながる危険な物 ナッツ類・あめ・皮ごとブドウ・ウインナー・こんにゃくゼリー・風船・ブロック・ ビー玉・コイン等、フイルムケースに入るサイズの物
*気道につまると窒息し生命の危険があります!!

★ 誤飲:何かを飲んだ!?
まずは落ち着いて次の事を確認しましょう
・ 意識はどうか顔色はいつも通りか?
・ 呼吸は規則正しいか
・ 吐いてないか?
・ けいれんを起こしてないか?
・ 何を・いつ・どのくらい・飲んだのか

◎ こんな時には救急車を呼びましょう!!
・ 意識がない
・ けいれんを起こしている
・ 息が苦しそう、ぜいぜいしている

飲んだものにより対処方法が変ります。小児科や中毒センターに問い合わせてからその後の処置をしましょう。
水や牛乳を飲ませた方がよい物や何も飲ませない方が良い物様々です。

◎吐かせてはいけない:
     灯油・トイレ用洗剤・マニキュア・除光液・漂白剤・しょうのう・ボタン電池
     →すぐに病院に行きましょう。

◎無理に吐かせない:
     たばこ・ホウ酸団子・ナフタリン・防虫剤・医薬品
     →すぐに病院に行きましょう

◎吐かせなくても良い(口の中に異物があればかき出す):
     化粧品・シャンプー・芳香剤・石けん・クレヨン乾燥剤・粘土・保冷剤・乾燥剤・粘土・保冷剤
     →自宅で様子を見ましょう

★ NO.1はタバコの誤飲
タバコを食べてしまった時は吐かせてはいけません。無理に吐かすと誤嚥を起こす危険性があるのでやめましょう。よくあるのがジュースの空き缶を灰皿変わりに使い間違ってお子様が飲んでしまうケースです。ニコチンは水に溶けやすい性質があります。タバコをそのまま食べるよりも中毒症状をおこしやすくします
  急いで病院を受診しましょう。
  タバコを誤飲してしまった場合は絶対に水など飲ませてはいけません
    ニコチンの致死量:大人 タバコ2本分  子ども タバコ1/2~1本分

◇使用されることがないことを祈りつつ、下記に中毒センターの電話番号を載せます
   (財)日本中毒情報センター110番 つくば:029-852-9999 9:00~21:00   
                        大阪:072-727-2499 24時間対応   
                 タバコ専用(テープによる情報提供)072-726-9922
             *携帯電話・公衆電話からもかけられます。通話料がかかります。

誤飲は危険と同時に生命も脅かされます。子育ての大変な時期と誤飲の起こしやすい時期が重なります。 どうぞパパとママが力を合わせ、お子様の安全な環境作りをお願いします。 すべてのお子様の健やかな成長をお祈り申し上げ、誤飲のお話しを終了いたします。

      言葉の説明  誤飲:食べ物以外の物を誤って口から摂取する事
                誤嚥:食物又は異物を気管に吸い込む事



No.63(2008/03/12) 外来 看護師長  樫原 恵子

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冬期のスキンケア

 暦の上では大寒を過ぎ、これから徐々に暖かくなっていく時期とは言うもののまだまだ寒 い日が続いています。

  この季節にお肌で気をつける事と言えば乾燥肌です。この時期の小児の肌のトラブルのほとんどは保湿をきちんとすることで防げると言っても過言ではありません。

  そもそも何故冬は寒くて空気が乾燥するのでしょう?それはシベリア寒気団が日本海を渡って日本にやってくるからです。その冷たい北風は日本海側で雪を降らせた後、乾いた風と なって太平洋側へやってきます。その冷たい乾いた風にさらされるとどんどん肌は乾燥して ゆきます。さらに暖房器具や長風呂が乾燥に拍車をかけます。お肌が乾燥するとかさかさ、 粉粉になって見かけが悪いのはもちろん、かゆみの原因にもなります。そこをかゆみにまか せてごしごし引っかくと真っ赤な湿疹の出来上がりです。

  そうならないためにも、乾燥肌のお子さんは保湿を中心としたスキンケアを行いましょう。 それでは具体的にはどうすればいいのでしょうか?肌の潤いを保っているのは皮脂というア ブラです。熱いお風呂に入ると皮脂が流れやすくなるのでよくありません。もちろん、長湯 が良くないことも考えてみるとわかると思います。「石鹸は使った方がいいですか?」とよ く聞かれますが、やはりきちんと汚れを落とすためには使った方がいいでしょう。汚れは肌 トラブルの原因のひとつです。理想的には皮脂は落とさず、汚れはきちんと落とすという事 ですが、これはなかなか両立しません。残念ながら入浴後は皮脂の量が減ってますので、せ っかくお肌にたくさんたまった水分は、あっと言う間に蒸発して行きます。

  ですから、入浴後はすぐに保湿剤を塗る習慣をつけましょう。入浴剤に関してもよく聞かれます。「保湿効果」のある入浴剤は有効ですが、「保温効果」があるものは避けてくださ い。体が火照ってかゆみの原因となります。「保湿効果」があって「保温効果」のない入浴 剤を選んでください。

  保湿剤はお風呂の後に塗っても1日中保湿してくれるわけではありません。可能であれば朝にもう一回保湿するようにしましょう。保湿剤でよく使われる尿素含有軟膏はバリア機能 を障害することが報告されており、アトピー性皮膚炎のお子さんではよく考えて使う必要が あります。

  保湿剤はケチケチ塗っていても効果なく、ある程度たっぷりと塗る必要があります。参考 までに1グラムで塗れる範囲は大人の手のひら4つ分の面積と言われています。お子さんの 体に手を当てて手のひら何枚分か数えてみてください。もしも手のひら20枚分でしたら1 回の外用量は5グラムと言うことになります。もしもお使いの保湿剤が30グラム容器でした ら1日2回塗ると3日分、200グラム容器でしたら20日分、という具合です。

  そう言ったことを考慮しながらお子さんに正しいスキンケアをしてあげましょう

No.62(2008/02/07) 第二専門診療部 皮膚科  幸田 太

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豆まきに思う…こどもの気管支異物にご注意

2月3日は節分の日です。「節分」とは文字通り「季節を分ける」という意味で、年の数だけ豆を食べると体が丈夫になり風邪を引かないとも言い伝えられており、今でも鬼の仮面や外に向かって豆まきをしたりする風習が残っています。

旧来の伝統が薄れていく現代にあって、こうした年中行事は大切にすべきでしょう。ただし、豆まきには子どもにとって大きな危険が潜んでいることに注意して下さい。

毎年、数名の子どもが気管に物を詰まらせて救急を受診しています。節分当日から翌日の受診が目立ち、節分でまいた豆を喉(気管支)に詰まらせています。

「気管支異物」は聞き慣れない言葉かもしれませんが、食べ物が口からお腹ではなく、気管の方に落ち込んでしまうと、消化できずにやがて感染や呼吸困難の原因になってしまいます。子どもが急にむせ込んだり、ぜーぜーした場合にはもちろん、咳が長引いたりする場合には気管支異物の可能性があります。特に大豆等の豆類は気管支粘膜に対する刺激が強く、呼吸困難をきたしたり、ひどい場合には窒息してしまうため、注意が必要です。取り除くには全身麻酔下での特殊な操作が必要になり、小さな子どもには大変な負担になります。

こうした誤飲事故の多くは3歳以下の子どもに見られ、特に0~1歳の乳児に多く起こっています。乳幼児では興味を持ったものを口に入れて確かめようとするため、子どもの成長発達の段階に応じた事故の予防が必要です。残念ながら日本では「事故予防」に対する取り組みが他の先進諸国に比べてかなり遅れており、当院としても現在、事故予防に関する積極的な取り組みを検討しています。

小さなお子さんでは、興味を持ったものを口に入れて触感や舌触りを試そうとしますから、ビーズや飴玉、あるいは風船の切れ端までありとあらゆるものに危険が潜んでいます。保護者を始め、周囲の大人が危険なものを子どもの傍に置かないようにすることが事故予防の第一歩になります。

No.61(2008/01/10) 総合診療部 救急診療科  辻 聡

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小児の嘔吐・下痢

地球の温暖化・・・といってもこの季節、寒さがひとしお身にしみます。風邪などひいてませんか?今回は冬場に多い、小児の嘔吐と下痢についてお話します。

嘔吐と下痢は小児にはよく見られる症状の一つです。しかも突然に始まることも多く、あわててしまった経験をお持ち方も多いのではないでしょうか。嘔吐と下痢を繰り返すと、脱水症になりやすいので、家庭での看護が重要になります!

原因は?
65%がロタウィルス。その他にはノロウィルス、アデノウィルスなどが原因になります。
症状は?
はじめは軽い発熱や鼻水、咳など風邪に似た症状で始まります。そのうちに突然吐き始め、続いて半日後位から下痢が始まります。下痢は泥状便から水様便で、便の色はレモン色から白っぽくなることもあります。たいていは、1週間くらいで良くなります。
病院の受診は?

次のような症状がある場合は、至急病院を受診して下さい。

  • 顔色が悪く、ぐったりしている。
  • 意識がもうろうとしている。
  • 便に血液が混ざっている。
  • 12時間以上嘔吐が続いている。水分が全く取れない。
  • 高熱がある。
食事療法は? 一番大切です!
吐いた直後は、胃は何も受け付けない状態になっているので、初めの2~3時間は何も与えない方がよいでしょう。脱水にならないようにと、急いで水分を与えようとすると、かえって嘔吐を誘発することも多いので、注意して下さい。吐くのが落ち着いたら、水分を少量ずつ与えます。この場合の水分は、糖分と電解質を含むいわゆるイオン飲料が理想的です。最近は飲みやすい小児用経口補液剤が、薬局などに市販されていますので利用されるとよいでしょう。野菜スープや味噌汁の上澄みなどもOKです。最初はスプーン1杯~20~30mlを頻回に(30分前後に1回)与え、徐々に増量します。
下痢の治療にも食事療法が大切です。胃腸に負担をかけないよう、軟らかく消化の良い、お粥やうどんのくたくた煮、おじやなどが良いでしょう。母乳・ミルク栄養児では、哺乳は中止せず、授乳は1回7~10分くらいまで、1~2時間毎に与え、適宜経口補液剤を加えます。経口補液療法は点滴療法と同じくらいの効果があることが、臨床試験によって証明されています。さあ、家族の腕の見せ所ですよ!
予防は?
ふだんからていねいな手洗いを心掛け、タオルは共有しないなどの工夫が必要です。特にオムツを扱うお母さん方は手洗いをまめにするようにしましょう。

No.61(2008/01/10) 看護部 10西病棟看護師長  野口 美穂子

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インフルエンザの予防法

日暮れも早まり、いよいよ冬の到来です。そこでもっとも注意したいのは、インフルエンザです。今年は例年に比べて一ヶ月以上も早く流行の兆しが見られ、すでに学級閉鎖されたところもあります。インフルエンザへの備えをいま一度、確認しておきましょう。

インフルエンザの特徴は、38~40度の高熱、頭痛、全身のだるさ、関節痛などが急に現れることです。原因はインフルエンザウイルスの感染にあり、くしゃみや咳、痰などを介して感染する「飛沫感染」が中心です。乳幼児はインフルエンザ特有の症状が少なく、鼻汁、咳など風邪と症状が似ていることがあり、判別が困難です。合併症を極力少なくするためにもなるべく早く受診することをお勧めします。

インフルエンザの予防でもっとも大切なのは、うがいや手洗いをしっかり行うことです。日常生活ではまず、体調を整えて抵抗力をつけ、人混みをさけるなど、ウイルスに接触しないことが大切です。また、インフルエンザウイルスは湿度に非常に弱いので、加湿器などで適度な湿度(50~60%)に保つとよいでしょう。

予防に有効なのは、流行前に予防接種を受けることです。予防接種による抗体が体内にできるまでには、2週間程度かかります。遅くとも12月初旬までに済ませるのが理想です。ワクチンには1回接種と2回接種があり、2回接種する場合は2回目は1回目から1~4週間あけて接種します。赤ちゃんなどは、ご家族の方からうつることもありますので、ご家族の方も予防接種を受けることをお勧めします。もしもお子様が、はしかや水ぼうそうなどに感染している場合は、完全に治ってから4週間は予防接種をひかえた方がよいとされていますので、主治医に相談してから接種しましょう。

日ごろから、まず予防に力を入れ、感染が疑われたら早めに医療機関を受診し、インフルエンザかどうか診てもらうようにしましょう。

No.60(2007/12/06) 看護部 8階西病棟看護師長  淺田 美津子

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風邪予防には手洗いとうがいを

朝・夕の気温が下がり、寒い季節になりました。風邪の流行が本格化する季節です。風邪は鼻・のど等の上気道の炎症性の病気で、主にウイルスの感染で起こります。風邪を起こすウイルスはたくさんの種類が知られていますが、それらのウイルスに対して有効なワクチンは、まだ開発されていないのです。一説には、風邪そのものを治す薬を開発すると『ノーベル賞を狙える!?』などともいわれています。風邪を治すお薬がないのなら、かからないようにすることが大切になります。つまり、風邪は「予防が一番!」ということになります。

風邪の予防には、「手洗い・うがい」が効果的です。なぜ「手洗い・うがい」が良いのでしょうか? 風邪ウイルスの体への進入経路は口や鼻・のどの粘膜です。そして、風邪ウイルスを口やのどに運ぶのは手指のことが多いので、手に付いたウイルスを洗い流し体に侵入させないために「手洗い」は欠かせません。また、のどに到達したウイルスが体に入りこみ増殖する前に除去しようとするのが「うがい」なのです。「手洗い」「うがい」を行ってもウイルスが洗い流されず、除去されなければ予防効果は発揮されません。「手洗い」「うがい」を正しく、効果的に行うことが大切です。

正しい手洗いの方法は

  • 最初に、手を水でぬらして、石けんをまんべんなく手にひろげて十分泡立たせます。石けんは泡立たせることで、洗浄力が増します。
  • 手のひらをあわせて5秒程ゴシゴシ洗う
  • 手の甲を伸ばすように5秒程ゴシゴシ洗う
  • 指先やつめの間も渦を描くように5秒程ゴシゴシ洗う
  • 指の間も十分に5秒程ゴシゴシ洗う
  • 最後に、石けんを流水できれいに洗い流して、タオルやハンカチで手を拭いて乾燥させます。

1~6までをきちんと行うと約30秒かかります。30秒なんてすぐ終わると思われますか?実は意外に長いのです。そんなときは、童謡の「ぞうさん♪」を歌いながら♪♪手を洗ってみましょう。2番まで歌うと約30秒、手もきれいになり、気持ちも楽しくなることでしょう。

効果的なうがいは

  1. うがいがしやすい量(約20ミリリットル)の水、またはうがい薬を希釈したものなどをコップにとります。
  2. まず、口中の雑菌や残った食べ物などを取り除く目的で、口に含んで強くブクブクうがいをします。
  3. 次に、天井が見える程度上を向いて、のどの奥まで液が回るようにして15秒程度「ガラガラガラガラガラ」とうがいをしてのどの雑菌を洗い流し吐き出します。
  4. 3と同様に15秒程度のうがいを何回か繰り返します。

口の中、次にのどの奥がポイントです。1回のがらがらうがいは15秒ほど、そうです、「ぞうさん♪」のワンコーラス分です。心の中で歌いながらうがいをしてみてください。
「風邪は万病の元」と昔からよく言われます。予防を第一に、そして風邪を引いてしまったら、しっかり栄養をとり、ゆっくり静養する事が大切です。皆さん、お風邪など召されないよう予防を心がけて下さい。

No.59(2007/11/08) 看護部 8階西病棟看護師長  淺田 美津子

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第一大臼歯(6歳臼歯)について

5~6歳くらいになると、乳歯の奥歯(第二乳臼歯)のさらに奥から永久歯が顔を出してきます。これが第一大臼歯。6歳頃に生えてくることが多いので6歳臼歯とも呼ばれています。これは永久歯の中でいちばん大きな歯で、食べ物を噛み砕く力もたいへん大きく、長い人生おいしく食べて健康に生活していくために大切な役割を担っています。しかし、第一大臼歯はとても虫歯になりやすい歯でもあるのです。

それは、

  • 生える場所が乳歯の奥歯の後方なので、歯ブラシが届きにくく歯磨きが難しいこと。この歯が生えてくる時期は本人の歯磨きではまだまだ上手にきれいに磨けるとはいえない状態なので、保護者による仕上げ磨きが重要です。
  • 歯が生え始めてから十分に生えて上下の歯で噛めるようになるまでに長い時間がかかること。生え立ての歯は噛むところにある溝が深く複雑で、汚れが溜まりやすい形をしています。
    また、歯が生える途中では歯の頭の部分が歯肉で一部覆われた状態がしばらく続くので汚れが溜まりやすく取れにくいのです。

口の中に生えてきたばかりの歯の表面はまだやわらかく、1~2年かけて少しずつ硬くなっていきます。このため、生え立ての歯は虫歯の原因菌の出す酸に対してとても弱く、虫歯になってしまうとその進行も早いのです。歯科を受診してシーラント(深い溝を埋める処置)やフッ素塗布をしてもらうことも虫歯予防に効果がありますが、大事なのは毎日の歯磨き。日常の食生活に気をつけるのはもちろんです。前歯が生えかわるのと違い、第一大臼歯が生え始めていることに本人も保護者の方もしばらく気づかないこともあるようです。気がついた時には第一大臼歯に大きな虫歯の穴が開いていたということにならないようにしたいものです。

No.59(2007/11/08) 第二専門診療部 歯科  勝又 由紀

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お産は怖い

インターネットの医療ニュースを検索すると産科関係のニュースが無い日は無いというほどに「お産」関係のことが最近話題となっています。このニュースには大きく3つに大別されます。

一つは病院、産院がお産を止めたためにお産をする場所が無い、いわゆる「お産難民」についてです。これは北海道・東北あるいは離島の話だけではなく、首都圏ですらそうなのです。この結果が「たらいまわし」と表現される事態をおこしています。しかし、「妊婦たらいまわし」の持つ悪いイメージではなく、ハイリスク妊婦・赤ちゃんを受け入れる施設が現実に無くなったため、何件も探さなければいけないのです。病院が断っているのではなく、受け入れるNICU(重症な赤ちゃんを管理するベッド)と妊婦のベッドが著しく足らないのです。

二つ目は産科医が少ないことについてです。先進国の中で国民に占める医師の割合は日本はダントツに最下位です。そのなかでも産婦人科医、さらには分娩に従事している産婦人科医(産科医)は激減しています。労働基準法を全く無視した長時間ハードワークで低賃金の産科医のなり手が減少しただけではなく、心身共にボロボロとなった産科医がお産から撤退しているのです。

三番目は今日お話をしようとしている産科医療事故についてです。今、刑事裁判となっている「福島大野病院事件」、全く不可解な「堀病院看護師内診事件」、「どんな病院でも救命できなかった脳実質内出血による妊婦死亡した奈良大淀病院事件」が大きなものですが、全国で見ると数多くの妊婦死亡、新生児死亡事故が掲載されています。これらのことに共通するのは、現場の産科医の認識とマスコミ・一般国民との認識のズレです。「こんなことは日常的に起こり、救命することは極めて困難なのになぜ事件として取り上げるのか」と思う産科医師と、「日本の進んだ医療の中でお産は安全なはずなのに、なぜ妊婦や赤ちゃんは死ななければならなかったのか」と思うマスコミ・一般国民の印象の違いです。良く考えると、毎日お産に携わっている産科医は普通のなんてことないお産が一変して、蛇口の栓を開放したように迸りでる大量出血(数分間で2000-3000mlの出血)はまれならずあることなのです。また、生まれた赤ちゃんが息をせずに蘇生しなければならないことにも遭遇します。大家族制が機能していた第二次世界大戦までの日本では、お嫁さんが妊娠するとお婆ちゃんがそっとお嫁さんを呼んで、「お産を甘くみたらいかん、棺桶に片足突っ込んでいるようなものだから」と諭したそうです。しかし、我が国は核家族化し、その貴重な情報が伝達されなくなったのです。

確かに、日本の周産期医療は世界最高まで上昇し、妊産婦死亡に関しては米国の半分、新生児死亡は世界で一番低いと極めて素晴らしい成績なのです。世界平均の妊産婦死亡率(先進国も全て含んだ)は分娩250人に1人が死亡するという、日本の約60倍も高いものです。そこで、日本の妊娠・分娩で死にかけるような重症の妊産婦数の全国調査を、日本産科婦人科学会の指示で私が昨年行いました。日本の妊産婦死亡の約2/3を網羅する調査で分かったことは、たくさんの妊産婦さんが大量出血、頭蓋内出血、救急救命センターでの管理を受けていたことでした。その数は年間4000-5000人であり、これを分娩数で割ると250人に1人が重症管理を受けていたことになり、世界の妊産婦死亡率と全く同じだったのです。ということは、妊娠・分娩が持つ本来の危険性は250人に1人といえるのです。幸い、産科医が労働基準法で定められた時間の倍以上働き、その多くを救命したわけです。事件となっている妊婦死亡は氷山の一角であり、妊娠・分娩には危険はつきものなのです。

また、赤ちゃんに関しても厚生労働科学研究「産科領域における医療事故の解析と予防対策」(中林班)でのローリスク妊婦(妊娠の危険性の極めて低いと考えられる妊婦)から出生した赤ちゃんの仮死率(専門の新生児科医が蘇生を要する状態)は3%であり、当院でのローリスク妊婦1965人の検討でも仮死率は6%でした。このことは種々の合併症や高齢の妊婦だけではなく、正常に分娩できるだろうと考えていたお産で生まれた赤ちゃんの30人中1人に適切な治療を行なわなければ、重篤な後遺症を含めた不幸な結果となりうることを示しています。

最後に、妊娠・分娩の母児の危険性は、妊産婦は1/250人、赤ちゃんは1/30人が日本の実態です。お産はお母さんにとっても、赤ちゃんにとっても本当は怖いのです。賢い妊産婦さんはご自分で自分と赤ちゃんを守らなければいけません。「お産の安全神話」は全くの虚構です。ご自分の妊娠、分娩管理を受けている施設の母児救急対応能力と連携施設について良く知っておかなければいけません。

No.58(2007/10/11) 周産期診療部 産科 医長  久保 隆彦

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粉ミルクの調乳温度が変わりました

粉ミルク(乳児用調製粉乳)調乳時のお湯の適温が50℃から70℃以上に変更になった事をご存知でしょうか?

これは、世界保健機関(WHO)及び国連食糧農業機関(FAO)より出された「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」に沿い、厚生労働省が指導しているものです。とは言え、今、まさに各ミルクメーカーが対応している状況で、皆様のお手元のミルク表示変更はもう少し先の事となるでしょう。これらのガイドライン作成の背景には、乳児用調製粉乳を原因とするサカザキ菌(Enterobacter sakazakii)の感染による乳児疾患や死亡例が諸外国で報告された事にあります。

サカザキ菌とはヒトや動物、環境中に確認される多数の菌種を含む腸内細菌の一種で、特に乳幼児の髄膜炎や腸炎の発生に関係し、感染した乳幼児の20~50%が死亡したという報告もあります。また、死亡に至らなかった場合も神経障害等重篤な合併症が継続するとされています。成人が感染した場合は、その症状はかなり軽度だそうです。

乳児用調整粉乳(以下「ミルク」)は、製造工程で無菌にする事は現在の技術では困難であり、開封後に病原微生物に汚染される可能性もあります。しかし、これらの事を認識した上で、正しい調乳方法と取扱い方法の実施によって、感染リスクを減少させる事が出来るのです。以下に家庭での調乳時のポイントを示します。

家庭での調乳時のポイント

  1. 調乳用のお湯は一度沸騰させ、少し冷ましてから使用する(70℃以上)
  2. 調乳後のミルクは直ちに流水をあてる、もしくは冷水の入った容器に入れ冷ます
  3. ミルクは授乳の都度新しく調乳し、飲み残したミルクは使用しない

これらの実施により、

  • 70℃以上の湯を用いた調乳でサカザキ菌が死滅する
  • 調乳から授乳までの時間と授乳時間の短縮により細菌の繁殖を防ぐ  など

リスクの軽減につながるのです。その他、ガイドラインでは調乳する方の手洗い・哺乳瓶・調乳器具の洗浄、消毒の重要性を改めて提示しております。

新生児期は授乳間隔が短く、調乳作業も1日8回以上になる事も少なくありません。また、オムツ換えも頻繁で、慌しい中での調乳作業になる事もあるかと思います。いくら高い温度で菌が死滅するとはいえ、沸騰直後のお湯を使用するのは大変危険です。多少冷ます必要があるでしょう。また、70℃まで冷ましたお湯であっても、まだかなり熱く、慌てるとやけどの原因にもなります。やけど防止には、清潔なタオルを哺乳瓶に巻く事や専用の鍋つかみを利用する事など工夫してみると良いでしょう。また、赤ちゃんのやけどを防ぐ為には授乳前に内部の温度が40℃程度まで下がっているかの確認も忘れてはいけませんね。

慌てず落ち着いて、時には周りの方の力を借り、清潔・正確・安全を合い言葉に調乳に取り組んでいきましょう。

No.58(2007/10/11) 栄養管理部  川尻 貴美子

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「元気な子ども」を育てる~睡眠について考える~


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今日の子ども達を取り巻く生活環境が大きく変化していることにより、子ども達の生活時間にも著しい変化が起こっています。

元気の源になるものとして、「睡眠」「食事」「運動」が上げられます。これらは切り離せないものですが、その中で「元気な子ども」を育てる-「睡眠」について、昔から言い伝えられた言葉から考えてみたいと思います。

寝る子は育つ

成長ホルモンは傷ついた細胞を修復したりする働きの他に、筋肉を増やし、骨を伸ばしたりする働きがあります。食事や運動だけではこの成長ホルモンは分泌されません。成長ホルモンは生後3ヶ月から分泌され、最も分泌されるのが幼児期4~5歳と言われています。昔から『寝る子は育つ』と言われていますが、『成長ホルモン』は睡眠中に分泌され、大量に分泌されるのが熟睡(ノンレム睡眠)のときです。ですから、幼児期の子どもには体や脳の発育を形成する上で熟睡している睡眠時間が必要不可欠です。成長ホルモンが十分に分泌する時間は、夜の9時から明け方の5時までです。ご両親の生活パターンにあわせて遅くまで起きていることは、子供さんたちの成長を考えるとあまりよくないことのように思います。

早寝・早起きは3文の徳

早起きをするとこんないいことが!

  1. 朝の時間に余裕ができる→朝ご飯がしっかり食べられる→学校始業時間までに脳が働く→授業に集中できる→結果:成績が良くなるかもしれませんね。
  2. 日中の遊び時間が十分取れる→元気に遊べる→結果:体力作りができ、抵抗力が備わる。
  3. 精神を安定させるセロトニンが分泌する→記憶・集中力がアップ→授業に集中できる→結果:授業がよくわかり、勉強が楽しくなる。

さらに、昼間しっかり活動することで早寝にもつながります。

早寝するとこんなにいいことが!

  1. 成長ホルモンの分泌が促進→結果:元気なからだ作りの元となる。
  2. 体内時計を整えるメラトニンが分泌→結果:生活リズムが整いやすくなる。
  3. 子どもが早く寝る→お父さん、お母さんの時間がもてる。

早寝・早起きは3文の徳と昔の人はいいましたが、昔の人ってすごいですね!

良質な睡眠をとるためのワンポイントアドバイス

  1. 遅くともよる夜9時までには布団に入る習慣作り。
  2. 寝るための準備として、眠気を強くするために 促すため、部屋を暗くする。
  3. やさしい声で静かな言葉かけをする。
  4. 午前中の太陽の光を十分浴びる。
  5. 昼寝は午後3時までに切り上げる。

良質の睡眠をとるための習慣は、まず早起きからはじめましょう!

No.58(2007/10/11) 看護部 7階西病棟看護師長  諸橋容子

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お子さんが「腎臓が悪い」と言われたら

今では、腎臓の検査もいろいろあります。最初の関門は「胎児エコー」。次に「3歳時健診の尿検査」。次は「学校検尿」となります。その間に、「オムツに付いた尿が赤い」とか、発熱時の「尿路感染症を疑っての尿検査」とか、何かの病気のついでに血液検査をしたら「腎機能が悪い」とか、発見のチャンスはたくさんあります。腎エコー検査でわかる「腎臓の形態異常」、尿検査でわかる「検尿異常(血尿、蛋白尿、膿尿)」、血液検査でわかる「腎機能異常」などがあります。

"腎エコー"では、(1)腎臓が大きい・小さい(2)水腎症(腎盂の拡大)(3)腎嚢胞(4)尿路結石(5)腎腫瘍などの形態異常を調べることが出来ます。

  1. 小さい腎臓は通常機能も低下することが多いのです。
  2. 尿路の流れの異常で、尿管・膀胱にも異常を伴うことがあり、泌尿器科も受診する必要があるかもしれません。
  3. 腎臓の中に水分の貯留した袋が出来るもので、遺伝的素因も認められます。あっても支障のないものや、将来的に腎機能障害を伴うものがあります。
  4. 症状がなく偶然見つかるものと、血尿・痛みを伴い気づくものがあります。
  5. 腎臓が大きくなっていることが多く、外科的対処が必要となることもあります。

"尿検査"では、(1)血尿のみ(2)蛋白尿のみ(3)血尿+蛋白尿(4)膿尿(白血球尿)などを調べることが出来ます。

  1. 学校検尿で一番多い異常です。経過観察が必要となります。
    (女子生徒の場合、生理の日は避けて検査を受けてください)
  2. 高度蛋白尿となると、ネフローゼ症候群と呼ばれる病気である可能性があります。
    尿量の減少・浮腫の出現には注意が必要です。
    (指定されているように、朝一番の尿を提出してください)
  3. 急性腎炎であれば通常予後の良い腎炎です。しかし、慢性腎炎の可能性もあります。経過観察とともに原因を詳しく調べる必要が出てきます。既往歴・家族歴も原因に迫るための情報を提供してくれることがあります。
  4. 発熱を伴う時は尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)の可能性があります。尿中の細菌検査も必要となります。また、尿路の形態異常を伴うことも多く、詳しい検査が必要となります。

"血液検査"では、およその腎臓機能(働き具合)を知ることが出来ます。特にBUN(尿素窒素)、Cr(クレアチニン)がそのための数値となります。Cr値は体格・年齢により基準値が異なります。したがって、「この子は○歳だから、Crの基準値は○○程度である」と考えることが求められます。

オマケ)
基準値とは「一見健康に見える人の多くが収まる数値」のことです。
そして、基準値に収まるものを正常値と考えてください。

「悪い」とは何が悪いのかハッキリしない言葉ですが、上記の検査を組み合わせれば、「何が悪いのか」「どのくらい悪いのか」を知ることが出来ます。そして、「今のうちに治してしまう」、「今より悪くならないための対策」を立てることが求められます。

心配な方は、一度小児科腎臓専門医を受診されることをお勧めいたします。

No.57(2007/09/06)  第一専門診療部 腎臓科  鈴木 輝明

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先天性股関節脱臼の予防

先天性股関節脱臼の病因には、3つの因子があります。

  1. 遺伝性の因子
  2. 子宮内での2次的因子
  3. 生後の環境因子

このうち、1は遺伝子の関与する他の奇形を合併していたりするもので、きわめてまれです。2の子宮内での2次的因子とは、骨盤位、妊娠末期から分娩時にかけて膝伸展位(膝が伸びた状態)であるときなどが含まれ、出生直後から脱臼している状態です。

実際には3の生後の環境因子が最も重要とされております。胎内では、赤ちゃんは膝と股関節を曲げた状態でいますが、生後、このあしをいきなり伸ばすと、あしの内方の筋肉が緊張して、股関節を脱臼させる方向に力が働きます。赤ちゃんには妊娠末期の母体から分泌されるリラキシン、プレゲステロンというホルモンの影響で、関節やじん帯がのびやすい状態になっているため、脱臼してしまうものです。古くから先天性股関節脱臼は、地域的に発生率の差があることが知られており、ヨーロッパ、アメリカインディアン、そして日本に多く発生しておりました。ヨーロッパでは特に北部ラップランド地方に多く、日本では、東北地方に多く、また、冬生まれの子に多いことがわかっておりました。これらの地域では、赤ちゃんのあしを伸ばした位置でぐるぐる巻きにするタイプのおむつを使用している特徴があり、日本では、戦前から使用されていたT字型のおむつや、第二次世界大戦後アメリカから入ってきたと思われる、かつて流行した三角おむつなどがこれにあたり、とくに冬は赤ちゃんのあしを伸ばした状態で厚く綿入れなどでくるむ習慣がありました。

そこで、1967年に石田勝正医師らは、京都市伏見区で、赤ちゃんのあしを自然な状態(膝と股関節を曲げて、開いている状態)で、股関節の運動を妨げないおむつの使用、抱き方(コアラ抱っこ)、背負い方、衣服の工夫など育児法の改良を呼びかけるキャンペーンを行ったところ、先天性股関節脱臼の発生を10分の1に減らすことに成功しました。その後、石田医師らは全国の産婦人科と整形外科の学会でこれを報告し、このキャンペーンを全国に広めました。

現在では先天性股関節脱臼は、まれな疾患となりましたが、同時にこうした先人の努力の歴史も、次第に過去のものとなり、忘れ去られようとしております。最近の日本では、結核がまた増え始めている、はしかで大学が休校になるという事態が発生しています。そして、街では赤ちゃんのあしを伸ばした状態での横抱っこを多く見かけるようになりました。先天性股関節脱臼の多くは、保護者の皆さんの育児方法により、予防できる疾患です。

No.57(2007/09/06) 第二専門診療部 整形外科  日下部 浩

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妊娠と葉酸

葉酸というものをご存じでしょうか。これはビタミンB群のひとつで、緑黄色野菜、豆類、果実類などに含まれています。葉酸の欠乏は神経管閉鎖障害と関連があるといわれ、これから妊娠を計画している女性に葉酸を補充することが推奨されています。成人女性の葉酸の一日平均摂取量は約200μgといわれており、その他に一日400μgの摂取が勧められています。神経管閉鎖障害とは、二分脊椎や脊髄髄膜瘤といった中枢神経系(脳や脊髄)の形成に関する病気のことですが、この病気自体はいろいろな原因でおこるとされています。現在では妊娠に関連した本、雑誌などで取り上げられて、葉酸については少しずつ普及してきていることと思いますが、少し整理したいと思います。

まず、妊娠を計画している女性は、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで、葉酸を食事の他に栄養補助食品から一日400μg摂取することが勧められています。葉酸は水溶性ビタミンなので取りすぎても問題ないと思いますが、一日1000μgは越えないように用法用量はお守りください。(多量摂取することで、胎児発育が促進されたりすることはありません。)その他に一般的なことですが、バランスの良い食事や禁酒、禁煙も心がけましょう。以前に、神経管閉鎖障害のお子さんを妊娠したことのある方や、てんかんの治療薬を内服している方は、主治医に相談してください。

注意すべきこととしては、神経管閉鎖障害は必ずしも葉酸欠乏のみで起こるものではありません。そのようなご病気をお持ちのご家族が、自責の念に駆られないような配慮も必要となります。また、サプリメントを開始すると食生活がおろそかになってしまう方も見られます。バランスの良い食事を心がけることは忘れないようにしましょう。妊娠成立後には、妊娠悪阻や嗜好の変化などが起こることもありますので、なかなか困難なこともありますが、お困りの方やもともとご病気をお持ちの方は主治医とご相談されることがよいと思います。

No.56(2007/08/09) 周産期診療部 産科  種元 智洋

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赤ちゃんの外出


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( ̄ ̄ ̄)

 ◎ ̄◎ ))))))

これから本格的な夏がやってきます。今年は暑い夏になると言われていますね。そこで今回はこれからの季節、赤ちゃんが外出する際に必要な日焼け対策についてお話します。

これからの季節、赤ちゃんが外出する時には日焼け対策が必要になります。最近では夏の陽射しを浴びせることは、赤ちゃんの身体にとって良くないことが分かってきました。外出する際は、日焼け(紫外線)対策を忘れずに。

まず、服装は長そで・長ズボンが最も良いとされています。しかし、暑くて無理な時は、大きめのタオルを用いて日に当たる際は覆って陽射しから赤ちゃんを守ります。また、帽子も忘れずに。つばの広い帽子をかぶると半分程度の紫外線を防ぐことができるといわれています。

日焼け止めを選ぶ際には、紫外線吸収剤は赤ちゃんの皮膚がかぶれることがあるので、これが含まれていないベビー用を選びます。とにかく露出している部分すべてにぬってあげましょう。特に、手・耳・鼻・首はぬり忘れやすい部位なので、忘れずにぬってあげましょう。日焼け止めはあまり少なすぎると効果が半減しますので、白浮きしない程度に均一にぬってあげます。

また、夏は汗をかきやすい時期でもあります。そのままにすると日焼け止めが落ち、またあせもの原因にもなります。こまめに汗を拭いて、清潔な状態にして日焼け止めをぬり直しましょう。

万一日焼けしてしまったら、冷たいタオルを日焼けした個所に当ててあげます。症状が悪化したら医師の診察を受けましょう。

外出の時間は、10時から14時は陽射しがかなり強く紫外線の量も特に強いため、外出は避けたほうが無難です。午前中の早い時間か、夕方あたりを選ぶといいですね。夏は汗をたくさんかくので、特に外出中は、水分補給の麦茶やベビー飲料も忘れないように心がけましょう。日焼け対策を忘れずに、夏の楽しいひと時を過ごしましょう。

No.56(2007/08/09) 看護部 NICU病棟副看護師長  川上 智代

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熱中症

はじめに
暑い夏の季節がやってこようとしています。気象庁の長期予報でも今夏は「夏らしい 夏」が予想されています。夏にしばしば問題となる熱中症について、以下にお示しする症状説明、現場での対処法、予防法をこれからの季節を過ごすにあたって役立てていただければ幸いです。
熱中症とは
体の内外の「あつさ」によって引き起こされる体のさまざまな不調のことをいいます。以前からよく耳にする「日射病」という言葉も熱中症の中に含まれます。子どもの熱中症の大部分は屋外でのスポーツ活動中や炎天下で起きますが、体育館などの屋内でも高温で換気が悪ければ、起こる可能性がありますので、注意が必要です。また、小さな子どもが屋外で閉めきった自家用車内に放置され、熱中症で亡くなる事故が絶えません。「日影だから大丈夫」「冬だから大丈夫」「冷房をかけているので大丈夫」という親の誤った考えで幾人もの子どもの命が失われています。
熱中症の症状
汗によって水分と塩分が失われて起こる脱水症状が最も多いですが、熱が脳の体温調節中枢を破壊して全身の臓器障害を引き起こす重度のものもあり、決して侮ってはいけません。軽度の症状として、大量の発汗とともにふくらはぎの筋肉の痙攣(いわゆるこむらがえり)がよくみられます。症状が中等度まで進行すると、顔色が白く呼吸は速迫し、頭痛・吐き気・めまい・疲労感を訴えて意識を失ってしまうこともあります。この時点で適切な対処がなされないと、重度の全身の臓器障害へ移行する可能性があります。熱中症の症状は急速に進行することもありますので、疑ったら必ず医師の診察を受けましょう。もし、先に示した中等度の症状がみられる場合は、以下の応急処置を行いながら救急車を呼んで、救急医療機関を受診してください。

現場での対処法

  1. まず、症状の観察
    名前を呼んで意識の状態がどうか、顔色はどうか、息づかいが速くないか、手足の皮膚が温かいか冷たいかをみましょう。意識がもうろうとしたり、顔色が白かったりする場合は、次に示す体の冷却を開始しながらすぐに救急車を呼びましょう。
  2. 体の冷却
    まず、涼しい場所(屋内であればクーラーの効いた部屋、屋外であれば風通しのよい日影など)に移動させましょう。衣服はできるだけ脱がせ、熱が体から放散するのを助けます。また、体を冷却する方法として以下の2つを知っておきましょう。
    1. 氷で冷却
      氷嚢、アイスバックなどを首の両側、両側の脇の下、両側の太ももの付け根にあてます。この部分に太い動脈が走っているので、体温を下げる効果(血液を冷却する効果)が高いとされています。
    2. 水を吹きかけた体をタオルで拭く、送風する
      服を脱がせた体に水(常温がよい)を吹きかけ濡れたタオルで拭くとともに、うちわ、タオル、服などをあおいで体に送風します。屋内であれば、扇風機の使用が最も効果的です。濡れた体に送風することで気化熱を用いた体の冷却が可能です。
  3. 水分・塩分の補給
    意識がはっきりしていれば、汗によって失われた水分と塩分の補給を行います。意識が朦朧としている場合は誤嚥の可能性があるので、無理に飲ませてはいけません(救急医療機関での点滴治療が必要です)。塩分が大切ですので、お茶や冷水よりもイオン飲料(スポーツドリンク)がよいでしょう。

熱中症を防ぐには

  1. 屋外で暑い環境が予想されるときには、帽子をかぶり、淡色の服(熱を反射します)にして薄着を心がけましょう。汗がすぐに気化するために速乾性のシャツがよいでしょう。
  2. 屋外・炎天下のスポーツで具合が悪くなったときには、無理せず運動をすぐに中止して、涼しい環境へ移動し休みましょう。
  3. 屋内での活動時には、できる限り換気をよくしましょう。
  4. 水分補給は頻回に行いましょう。
  5. 体調が悪いときの運動は禁物です。熱中症が起こりやすいとされています。

No.55(2007/07/12) 総合診療部 救急診療科  上村 克徳

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塩分の摂り方について

先日、平成17年の国民健康・栄養調査結果の概要が報告され、その中で日本人の食塩摂取量について報告されています。この報告では、目標量を超えて摂取している人の割合は男性で約6割、女性で約7割でした。また、20歳以上の成人の1日当たりの食塩摂取量の平均値は男性で12.5g、女性で10.7g、全体で11.5gでした。2005年度版の日本人の食事摂取基準では、食塩摂取目標量は成人男性で10g未満、成人女性で8g未満といわれていますので、男性も女性も約2g目標量を超えていることになります。年代別にみると、50代がもっとも多く平均13.1g、40代で12.2g、30代で11.7g、20代では11.4gと20~40代が食塩摂取量が少ない傾向でした。しかし20代~40代の人も目標量を超えていますので、食事の食塩摂取量を見直してみてはいかがでしょうか。

ここでいう食塩摂取量はナトリウムから換算した食塩相当量で表されています。食塩そのものだけでなく食品や加工品に含まれるナトリウムを合わせ求められます。塩分も同様にナトリウムから換算した食塩相当量のことを指します。食塩相当量は次の数式で求めることができます。『食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000』

ナトリウムの量の多いものほど塩分は高くなります。つまり食塩そのものを多く使っているもの(=塩辛いもの)だけが塩分が高いのではなく、ナトリウム量が多いと塩分は高くなります。

長年にわたる塩分の摂り過ぎは高血圧の一つの要因と考えられ、様々な生活習慣病につながります。高血圧の原因としては他にも遺伝、肥満、喫煙、ストレスなど様々な要因があります。家庭での食事はお子さんにとって味覚を形成する上で重要な役割を担っており、小さい頃の味覚が将来、大人になったときの食習慣に大きく関わってきます。味の濃いものに慣れてしまうとなかなか薄味に慣れるのは難しいものです。家庭での食事の塩分を見直すことは、ご自身の健康だけでなく、子供たちの将来の生活習慣病予防につながるといえるでしょう。

では、目標量の男性で10g、または女性8gの量ですが、実際に計って目で確かめてみましょう。計量スプーンで計ると小さじ(5g)2杯で10gです。料理を作る時にこんなには使っていないと思われる人が多いと思いますが、調味に使うものよりも、加工品に多く含まれています。買い物をする際には原材料の食品表示とともに栄養表示を見て、どのくらい塩分量が含まれているかチェックしてみるといいでしょう。栄養表示では食塩相当量が表示されているものもありますが、多くがナトリウム量で表示されています。塩分の摂り過ぎが高血圧につながるのですが、厳密にはナトリウムの摂り過ぎが高血圧を招くといわれています。そのため加工品の栄養表示はナトリウム量で表示されています。加工品の中にはあまり塩辛く感じなくてもナトリウムを多く含む食品がありますので、栄養表示でナトリウム量を見るようにしてみましょう。

塩分を控えるには、加工品の食べすぎには注意をし、調理をする時は酢やレモンなどの柑橘類を使い、酸味をつけて味付けに変化をつけるといいでしょう。またこしょうやカレー粉といった香辛料を使ったり、ごまやくるみを焼き物や和え物に使うと香ばしさがあり塩分をさほど使わなくても美味しく食べることができます。

すべての料理を薄味にするというのではなく、しっかり味の付いた料理の時は副菜を塩分の少ない料理を合わせるなどメリハリをつけることで食事を楽しみながら塩分を控えることができます。ご家庭でできることから始め、健康で楽しい食生活を送っていただきたいと思います。

No.55(2007/07/12) 栄養管理部 栄養士  峯村 佳代子

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不妊患者さんの常識は本当なの?

今日は妊娠するうえでもっとも大切な「夫婦生活」についてのお話です。患者さんからのよくある質問で、Q1:「本日排卵です」と伝えると、「精子は3日間は生きているので、3日前に夫婦生活したから、タイミングとしては大丈夫ですか?」とか、Q2:「大切な排卵日まで、主人の精子をためておく必要はありますか?」などがあります。患者さん向けの不妊症の解説本などをみると、前者の内容に近い記載を見つけることができます。しかし、ここで大切なことがあります。一般に、精子の生存期間と受精能力を保持する期間とは一致しないという事実があります。このことは意外に知られていません。精子は卵子と受精する前に、“受精能獲得”の段階を経ないと卵子と受精することができず、射精したら大多数の精子は24時間以内には終了してしまうと考えられています。この理論から考えると射精後3日目に排卵した場合は、通常、精子と卵子が出会ったとしても、精子に受精する能力がないと考えられるので、Q1の質問に対する答えは「タイミングとしては不適切です。可能であれば、本日、夫婦生活をしてください」となります。一方、精子は貯めておいた方が本当によいのでしょうか?答えは“No”です。考えてみてください。一ヶ月間、片足をギプス固定していたとして、1ヶ月後、突然ギプスを取り除いても、歩行はおろか立っていることもままならなくなります。生殖器官や生殖細胞も同じだと考えられます。一ヶ月貯めておいた精子が肝心な時にその責務を果たせるとは到底、考えられません。

近年、妊娠を希望して医療機関を受診するカップルは増加の一途をたどっています。晩婚化は女性だけでなく、男性にも認められる現象であり、晩婚化の影響は、「夫婦生活の回数の減少」という大きな問題を引き起こしています。しかしながら、これは医療機関の手を借りなくても、カップル二人の小さな努力で解決できる問題でもあります。今、赤ちゃんを望むカップル、これから妊娠を考えているカップルに声を大にして訴えたいのは、「時期を考えずに励め」ということです。このことは、不妊診療の、いや、もっと大きな「種の保存」という観点からも、本質的で、かつ効果的な方法であると思います。

No.54(2007/06/07)  周産期診療部 不妊診療科  中川 浩次

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夏場の紫外線ケア

夏が近づき保護者の方々から「子供の頃から日焼け止めを塗ったほうがいいですか?」という質問を良く受けるようになりました。答えは「イエス」です。近年の美白ブームですっかり悪者になってしまった紫外線。WHO(世界保健機関)や環境省も声高らかに子供の頃からの日焼け防止の必要性を訴えています。日焼け防止の目的は最終的には皮膚癌の予防なのですが、そこには近年、世界中で皮膚癌患者さんが急激に増加しているという背景があります。実際、紫外線の悪影響は様々なメディアで取り上げられ皆さんもご存知の事と思います。

紫外線には、

  • しわ、たるみなど肌の老化をもたらすUVA
  • シミ、ソバカスだけでなく遺伝子を傷つけ皮膚癌を引き起こす力のあるUVB
  • オゾン層で吸収されほとんど我々の肌には届かないUVC

の3種類があります。

しわ、たるみなど肌の老化をもたらすUVA

シミ、ソバカスだけでなく遺伝子を傷つけ皮膚癌を引き起こす力のあるUVB

オゾン層で吸収されほとんど我々の肌には届かないUVC

  1. それでは具体的にはどのような日焼け止めを使えばよいのでしょうか?UVBの遮断効果を示すSPFは20~30、UVAの遮断効果を示すPAは+~++程度のもので十分です。基本的には国産の子供用のものであれば間違いないでしょう。日本の子供用の日焼け止めのほとんどは有機化合物の紫外線吸収剤は使用されておらず、またかぶれの原因となる防腐剤のパラベンなども含まないものも見受けられます。クレンジングなどを使わなくても通常の石鹸でも落ちやすくなっているのも子供用の日焼け止めの特徴です。
  2. もちろん、真昼の外出は控える、帽子、衣服で肌を直接紫外線にさらさないようにする、日陰を上手に利用するといった基本的なことは心がけましょう。また、日焼け後のスキンケアも大切です。これからの季節、海水浴や海外旅行などで、どんなにがんばっても強い紫外線を浴び、日焼けしてしまうこともあるでしょう。もしも強い紅斑や、痛み、水疱ができるほどの強い日焼けをした場合には、皮膚科を受診されてください。
  3. 以前は日光浴をしないと「くる病」になると言われていましたが、現在の日本は以前のような低栄養状態ではなく日焼け止めによる「くる病」の心配はないでしょう。しかし、日光浴によってビタミンDが作られ骨が強くなったり、屋外で元気に遊び回ることにより精神的・身体的発達が促されるのも事実です。これからの季節、上手に紫外線と付き合う方法を身につけてください。

No.54(2007/06/07) 第二専門診療部 皮膚科  幸田 太

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どうして子どもと妊産婦さんの病院に禁煙外来があるのでしょうか?

国立成育医療センターに禁煙外来があるのはご存知でしょうか。
主に子どもと妊産婦さんが通院する病院に「禁煙外来」があるのは不思議に思われるかもしれませんが、実は「子どもをタバコの害から守る」ためには「子どもと妊産婦さんが通院する」医療施設(病院やクリニック)にこそ「禁煙外来」が必要なのです。今回はその理由をご説明したいと思います。

厚生労働省が行っている「21世紀出生児縦断調査」(第5回調査、2006年11月公表)によりますと、父母と共に同居している37,356名の子どものうち、父母のいずれかが喫煙している割合は55.6%となっています。つまり子どもの2人に1人は、家庭内で「受動喫煙」による健康被害を受けている恐れがあることになります。

一方、ある製薬会社が喫煙者7,091名を対象に2006年中に禁煙を試みたかどうか調査したところ、そのうち23.8%が禁煙に挑戦し、禁煙が続いているのはその中の47.4%という結果がでています。その方達の禁煙方法は、49.5%が「気合いとガマン」、42.7%が「水やガムなどで気を紛らわした」、20.3%が「タバコを捨てた」と続き、わずか2.2%だけが禁煙外来を受診し、その場合の禁煙成功率は69.2%でした。

受動喫煙(2003年5月に施行された健康増進法第25条の定義では、「受動喫煙」とは「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。」とされています)の子どもへの有害性をまとめると次のようになります。

  1. 受動喫煙は、タバコを吸わない子どもと大人の寿命を縮め疾病の原因となる。
  2. 受動喫煙を受けた子どもは、乳幼児突然死症候群、急性呼吸器感染症、耳の病気、重症気管支喘息のリスクが高まる。親の喫煙は、子どもの呼吸器症状を増やし、肺の成長を遅らせる。

このように子どもが有害な受動喫煙に曝されることから守られるためには、子どもの周りが完全禁煙となることが望ましく、その第一歩は家庭から始まります。しかし、喫煙されるかたの多くは、禁煙の上手な方法をご存知ありません。

2006年4月から、「敷地内禁煙」となっている医療機関では「禁煙外来」での保険診療が可能となりました(ただし一定の条件を満たした場合です)。国立成育医療センターでも「子どもとお腹の赤ちゃん」をタバコの害から守るため、お父さんやお母さんの禁煙のお手伝いをしたいと考え、禁煙外来を始めているというわけです。

毎週月曜日の午後2~5時、予約制で行っていますので、お子さんの担当の先生を通して予約して頂くか、予約センター(月~金9時~17時、(直通)03-5494-7300)にお電話してみてください。

No.53(2007/05/10) 総合診療部 成人期診療科・禁煙外来担当 原田 正平

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離乳食の進め方について

離乳の進め方については平成7年に当時の厚生省から発表された「改定 離乳の基本」を目安に行われていますが、すでに10年が経過し、母子を取り巻く社会環境や食生活が変化したためにその現状に合わせた離乳指導が求められるようになり、厚生労働省より平成19年3月に新たに「授乳・離乳の支援ガイド」が公表されました。その中で大きく変わった点としては、「離乳の開始及び完了時期」と「離乳の準備時期における考え方」の2点です。

まず「離乳の開始及び完了時期」ですが、開始の時期が「5ヶ月になった頃」から「5、6ヶ月頃」となり、完了時期も「12~15ヶ月頃、遅くとも18ヶ月頃まで」から「12ヶ月~18ヶ月頃」と遅くなりました。その理由として、開始・完了時期とも10年前に比べて遅くなる傾向がみられたことによります。また、離乳の開始から完了までは連続して変化していく過程なので初期・中期・後期といった区分はなくなり、個人差に考慮して離乳初期を「5、6ヶ月頃」というような表現に変わったことも大きな変化といえます。

次に「離乳の準備時期における考え方」ですが、今まではこの時期に鉄の吸収をよくするために薄めた果汁等の摂取がすすめられていました。その理由として、発売当初の人工乳にはビタミンCが不足していたことがあげられます。しかし、現在の育児用ミルクや母乳にはビタミンCが不足することなく入っているので、薄めた果汁等の摂取は特に必要ではなくなったといえます。また、その他の目的としてはスプーンに慣れさせることがあげられていましたが、その時期ではどんなものであっても反射的に口の外に押し出してしまう傾向が乳児にあるため、哺乳反射がなくなっていく離乳食時期からスプーンにならしていくことで問題がないとされるようになりました。しかし、充分なビタミンCの補給を考えるとこの時期における薄めた果汁等の摂取はやはり重要であると考えます。

その他に関しては、食品の目安量で蛋白質食品は今まで卵が第一項目としてあげられていましたが、魚・肉・豆腐・卵の順となったことです。これは、最近の乳幼児時期における食物アレルギーの中ではもっとも卵のアレルギーが多く、卵を積極的に使用しなくなったお母さん方が多くなったことによります。しかし卵はアミノ酸バランスにすぐれており、良質なたんぱく質なので与えるタイミングさえ間違えなければ特に問題なく使用してもらいたい食品ではあります。また、妊娠・授乳中の母親のアレルゲン除去制限については、両親や兄弟にアレルギー体質などの場合ではある程度の予防効果は期待できるようですが、それ以外に関しては予防効果があるといったエビデンスが特にないのでその必要性は特にないとされています。その他には生後7、8ヶ月以降における鉄摂取の重要性も強調されています。一般的に生後7、8ヶ月頃から体内の貯蔵鉄は減少し始め、貧血症状を起こさない程度であっても神経伝達物質が作られなかったり、脳細胞の機能が低下して鉄欠乏が長く続くと精神運動の発達に遅れが生じる可能性があることが明らかにされています。そのため、この時期には鉄が不足しないように赤身の肉、魚、レバー(ベビーフードを利用すると便利)などの動物性蛋白質を多くとるようにしたり、育児用ミルクなどを調理に利用するなどの工夫が必要であるといえます。

以上のことから、時代とともに離乳食の進め方の意義も変わってきていますが、ライフスタイルに合った母子ともにストレスのない離乳期を過ごしていくことが必要だと思います。

No.53(2007/05/10) 栄養管理部 栄養係 主任 二木 巨悦

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アレルギー疾患とうまくつきあう

アレルギー疾患の発症には多くの原因が関与している

アレルギー科では気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの患者様を中心に、アレルギー性鼻炎を合併する方や、薬物アレルギー、ラテックスアレルギー(天然ゴム製品によるアレルギー)などの方々を診ています。これらのアレルギー疾患は世界的に増加する傾向にあります。

アレルギー疾患の子どもたちの多くはアレルギー体質を遺伝的に持っており、ダニやハウスダスト、食物といった外の世界からの刺激(アレルゲン)に対して過剰に反応するという性質があります。しかしこのアレルギー反応だけですべてが説明できるわけではなく、アレルギー疾患の発症には多くの因子が関係しているのです。すなわち、生活様式の近代化、住宅環境の変化による環境のアレルゲン濃度の増加、大気汚染や揮発性の化学物質、食品添加物の増加や食文化の変化に伴う食物自体の変化、少子化、核家族化による子ども側の免疫応答の変化、文明化による夜型の生活パターン等々、実に様々な因子に影響されるアレルギー疾患は「多因子性疾患」であるといえるのです。

アレルギー疾患治療の3本柱

アレルギー疾患が多因子性疾患であることから、治療においてもまた様々な増悪因子を視野に入れた「包括的な治療」を行う必要があります。これは大まかに以下の3つに分けられますが、そのすべてに対してバランスよく対策を立てていくことが、適切な治療への早道となることを忘れないでください。

  1. アレルゲンの除去
    原因となるダニ、ホコリ、ペット、かび等を減らすための環境整備、食物アレルゲンを避ける除去食等がこれに当たります。またアレルゲンではありませんが、タバコや揮発性有機物質、刺激性の強い一部の食品添加物などは極力避けるようにしたいものです。
  2. 薬物療法
    アレルギー疾患がいったん発症すると、アレルギー反応の悪循環のためにアレルゲンを取り除いただけではなかなか症状が消えない場合があります。その場合にはアレルゲン除去と並行して、現在の症状をおさめるために、薬物治療が必要となります。薬物を使用するにあたっては、必要に応じて適切な薬を、副作用の起こらない範囲で使用することが重要です。
  3. 鍛錬と心理療法
    自らの体をより健康的に保つことにより、体に本来備わっている免疫機能、防御機能を最大限に引き出せるようにします。またアレルギー疾患の治療にあたっては治療へのモチベーションを長期間維持することが重要です。うまく続けられない患者様や保護者の方には、臨床心理士が心理的なサポートをすることもあります。

アレルギー疾患とうまくつきあう

成育医療センターアレルギー科では、アレルギー疾患をもつ子どもたちのために、平日は毎日専門外来診療を行い、年間のべ1万5千人の患者様を診ています。また初診の患者様は他の医療機関からの紹介を含めて1年間に500人程度います。多くの患者様にできるだけ早く適切な治療を受けていただくために、患者数の多い気管支喘息とアトピー性皮膚炎については毎週火曜日、木曜日に初診患者様の保護者の方々を対象にした集団での「教室」を開催し、医師、看護師が疾患の病態生理、原因、治療法、自己管理の方法等について詳しく説明しています。

アレルギー科では、患者様とそのご家族が、アレルギー疾患について充分に理解した上で適切な治療を自ら積極的に行って生活上の制限を最小限にとどめ、アレルギーを持ちながらも、「アレルギー疾患とうまくつきあう」ことができるよう、お手伝いしていきたいと願っています。アレルギー科の詳しい紹介については下記のホームページにありますので是非ご覧ください。

No.52(2007/04/12) 第一専門診療部 アレルギー科 成田 雅美

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急性虫垂炎

これまで外科からは、No.11(腹痛に対する応急処置)、No.18(血管腫について)、No.34(便秘の話)の各号でお話してきていますので、バックナンバーを見ることができる方はそちらも改めてご覧になっていただければ幸いです。

今回は、俗に「もうちょう」と言われることもある、急性虫垂炎についてお伝えします。急性虫垂炎は子どもだけがかかる病気ではなく大人もかかりますが、子どもの場合、次のような特徴があります。

  • 痛みの訴え(部位、程度、性状)が不確実。
  • 虫垂の壁が薄いなどの理由により、診断がついた時点で穿孔(腸の壁に穴があくこと)してしまっている割合が高い。

これらは低年齢ほど顕著です。事実、当院で虫垂炎の手術をした患者様をまとめてみますと小さいお子さんほど穿孔率が高く、4-6歳では55%にのぼります(2002年-2005年のデータ)。穿孔してしまうと入院期間が長くなりますし、腸閉塞や不妊など年余にわたる合併症を生じるリスクも高まりますので、進行する前の早い段階で診断することが求められます。

虫垂炎は炎症の進行具合によって軽度のものから順に、カタル性(虫垂が少し腫れて充血している状態)、蜂窩織性(炎症がもう少し進んで、虫垂の壁の全層にわたって(内部から外部まで)炎症が及んでいる状態)、壊疽性(さらに炎症が進んで、組織の破壊や壊死が認められる状態)の3段階に分けられます。このうち、カタル性の段階であれば、抗生剤を使用せずとも絶飲食として腸の安静を保つことにより、症状が改善することが多いです。しかしそれよりも進行した蜂窩織性や壊疽性では、抗生剤による治療または手術治療(=虫垂切除術)が必要になります。なお、抗生剤による治療(いわゆる「ちらす」治療)については、一旦収まった炎症がしばらくたってから再燃することがあります。その割合についてはさまざまな報告があり、手術を選ぶべきか抗生剤治療を選ぶべきかはケースバイケースとなります。

虫垂の場所は、ほとんどの人は右下腹部に存在します。ですから右下腹部を強く痛がるときには虫垂炎が頭に浮かびますが、最初から右下腹部が痛くなるとは限りません。最初は心窩部(みぞおち)のあたりが痛くて、次第に右下腹部に痛みの部位が移動していく、というのが典型的パターンです。ただし先にも触れましたように、小さいお子さんほど痛みの部位をはっきりと指し示すことはできませんから、このパターンに当てはまらないからといって虫垂炎を除外することはできません。

それ以外の特徴的な症状としては、発熱(高熱ではなく37度台のことが多い)の他に上腹部不快感・嘔吐が挙げられますが、年少児の場合は不機嫌や何となく元気がないという症状で現れることもあります。いずれにしましても、「腹痛」「発熱」「嘔吐」というのは胃腸炎などの症状と重複しますから、これらの症状がみられたときに、親御さん、医師ともに「虫垂炎の可能性はないだろうか?」と考えてみることが大切になります。

虫垂炎を診断することは一昔前までは意外に難しく、手術をしてみたら虫垂は正常であり、周囲のリンパ節が腫れていただけであったということがありました。しかし、超音波検査機器の性能が向上した現在ではそのような事例はほとんどなくなっています。特に小児の場合は腹壁や内臓の脂肪が薄いので超音波によって腹腔内(お腹の中)を観察することは比較的容易で、虫垂が腫脹しているかいないか、虫垂の周囲に液体(腹水)が貯留していないかなどについては、熟練した術者(当院では放射線科医師が担当します)であれば、正確に診断することができます。

また、腹膜刺激症状と呼ばれる症状の有無が、手術すべきか否かの判断材料の一つとなります。これをチェックする方法はいくつかありますが、「歩行するだけで響くような痛みがあり前かがみに何とか歩いている」「片足ケンケンは痛くてできない」というようなときは、虫垂の炎症が虫垂の外側に及びつつあることを反映していることが懸念されますので、速やかに診察を受ける必要があります。可能であれば、超音波検査機器を備えた医療施設を受診することが診断への早道でしょう。

No.52(2007/04/12) 第二専門診療部 外科 寺脇 幹

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小児の人工内耳について

難聴は最も多い先天性の身体障害で、両側の重度難聴は1000人に1人くらいの新生児にみられています。ちなみに聴覚障害者は身体障害者の10%程度です。両側の高度感音難聴では、補聴器による聞き取りの改善を試みますが、補聴器の効果が不十分な場合は人工内耳が唯一の治療法です。人工内耳は挿入した電極が蝸牛(かぎゅう)内の聴神経を直接刺激して脳が音を感じるようにするもので、すでに20年以上の実績があります。人工内耳は非常によくできた器械で、感覚の補助となる機器としては最も優れているものと考えられます。

現在、日本ではコクレア社とメドエル社の機種が認可され使われています。小児でも広く人工内耳が使われていますが、日本耳鼻咽喉科学会では小児の場合の適応基準を1)1歳6ヵ月以上、2)聴力レベルが両耳とも90dB以上、3)補聴器のみでは聴力が話し言葉のレベル(50-60dB)を超えず、言語の獲得が不十分などと定めています。

また学会では手術を行う施設に術後の療育を含めて一貫して行える体制があることを求めています。人工内耳は長い歴史を持ち、リハビリテーションをきちんと行えば非常に有用な機器ですが、日本では欧米に比べまだ普及度が低いようです。健康保険や障害者支援制度があるので、日本では欧米に比べ人工内耳にかかる自己負担は少なく、普及しない理由としては“機械”に対する抵抗感があることと医療者側が必ずしも積極的でないことがあげられます。

なお同様に、補聴器も日本では十分に普及が進んでいるとはいえません(中等度以上の難聴者は600万人といわれています)。欧米では人工内耳の適応は拡大しつつあり、一側性難聴への施行や、両耳への同時挿入、年齢では6ヵ月の児に行うなどのことがなされています。人工内耳の機器も大きく進歩しており、小型化・軽量化が図られるとともに、有効性・安全性もさらに高まっています。当院でも2006年より人工内耳埋込術を開始しておりますが、当院の医師および言語聴覚士は人工内耳のための所定のコースを修了しており、また学会の定める診断からリハビリテーションまでの一貫した体制をとっておりますので、安心して受診いただければと思います。

No.51(2007/03/08) 第二専門診療部 耳鼻咽喉科 医長  泰地 秀信

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副耳・耳瘻孔について

耳の形態的先天異常には副耳、耳瘻孔(じろうこう)、埋没耳(まいぼつじ)、折れ耳、立ち耳、カップ耳、小耳(しょうじ)症など様々なものがありますが、特に副耳・耳瘻孔は発生頻度が高く、日常遭遇することもよくあると思います。耳は元々、複数のモトとなる組織(第一鰓弓(注1)・第二鰓弓(注2)、第一鰓溝(注3))がさらに変形(分化)しながら移動、癒合してその複雑な形状が作られます。その移動や癒合に何らかの障害があった場合に耳の変形が発生します。また耳のモトである組織は顔面の他の部位(上顎や下顎、頬など)のモトでもあるので、耳に変形がある場合は、他の部位にも変形、異常(第一・二鰓弓症候群、顔面神経麻痺等)を来していることがあるので、初期診断は慎重に行う必要があります。

副耳
副耳とはおおよそ、耳の前(耳珠)から口元(口角)の間に生じる隆起性の組織で1.5%の頻度で発生すると言われています。隆起性の組織とは皮膚だけの事もありますが、多くは軟骨も存在しています。自然に小さくなって消失することはありませんが、副耳だけが大きくなることもありません。
治療は整容的改善を目的に切除術を行います。以前は生後早期に糸で根元を縛って脱落させる方法が行われました。皮膚のみの副耳では現在でも有効です。しかし基部に軟骨があるものは、この方法では傷跡が盛り上がった状態になることが多いです。我々の施設では1歳以降に全身麻酔で切除術を行います。切除は隆起した部分の根元を切開しますが、切除幅を不用意に広げないよう、皮膚をできるだけ温存し、余分な軟骨は外から触れない深さで切除し、皮膚の自然な曲面を再現するように縫合します。また、副耳といっても単発の単純なものから、複数であったり、耳の部分的変形(耳珠や耳珠切痕)を伴うものまで実に様々です。一般的には6歳以降であれば局所麻酔での切除も可能です。
耳瘻孔
耳瘻孔とは耳や耳の前に小さな穴が開いている状態のことで、発生頻度は1~10%とされています。小さな穴は塞がっているように見えることが多いのですが、実際はトンネル状となっていて、皮膚の深部や耳の穴(外耳道)まで繋がっていたり、トンネルの先が袋状に広がっていたりします。耳瘻孔は外見的に目立つことはありませんが、白いカス状の分泌物が出てきます。2,3度細菌感染によって腫れあがったりするようであれば、早めに摘出術を行うことをおすすめします。
摘出術は瘻孔周囲を切開し、トンネルの入り口から尖端まで完全に摘出します。トンネルを取り残すと再発しますので、注意が必要です。またすでに感染している場合は、先に切開、排膿、抗生剤内服などを行い、感染の沈静化を待ってから摘出術を行います。
当院の方針
当院で副耳・耳瘻孔の手術を行う場合、基本的には1泊2日の入院とし、手術日の午前中に入院、午後に手術を行い、翌日退院としています。皮膚縫合は皮膚の中で溶ける糸(吸収糸)で傷口を合わせて(皮下縫合)、表面には外科用テープを貼って保護します。退院後、1週間後に来院して頂き、外科用テープを剥がし、手術部位のチェックを行います。その後は間隔を開けて通院していただき、傷跡の経過観察を行っています。
  • (注1)第一鰓弓(さいきゅう):下あごになる所
  • (注2)第二鰓弓:のどぼとけの上にある舌骨になる所
  • (注3)第一鰓溝(さいこう):外耳道になる所

No.51(2007/03/08) 第二専門診療部 形成外科 大原 博敏

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熱性けいれん

暖冬と言われている今シーズンも突然の高熱で発症するインフルエンザが流行しています。急激な体温の上昇に伴ってけいれんを起こす熱性けいれんで、救急センターを受診されるお子さんも多くみられます。

熱性けいれんとは
通常38度以上の発熱に伴って乳幼児にみられる発作性の病気です。日本人は欧米人に比べて多くみられ、7-8%の人が熱性けいれんを起こしたことがあるとされています。原因はよく分かっていませんが、脳が未熟であることや遺伝的な要素が関係していると言われています。左右対称性の強直性間代性(全身がつっぱった後、手足をガクガクふるわせる)けいれんであることが多く、ほとんどの場合5分以内でおさまります。意識がなくなり、眼球上転(白目をむく)したり、顔色が悪くなったりするため、はじめてけいれんを見た保護者の方はとても驚かれると思います。けれども髄膜炎などその他の病気が原因でない場合、数分のけいれんが原因で後遺症を起こすことはありません。再発する割合は30%程度と言われており、過半数の子どもは生涯に1回しかけいれんを起こしません。
もしけいれんしたら
まず、落ち着いてください(これが難しいのですが)。そして安全なところへ移動させ、衣服、特に首のまわりをゆるくします。嘔吐をすることがあるので、できれば体より頭を少し低くし、顔を横に向けます。以前は口に割りばしを噛ませるようにといったことが言われていましたが、口の中に物は入れないでください。けいれんの始まった時間を見て、様子(左右対称か、目はどこを向いているかなど)を観察し、元に戻るまでは必ずそばにいるようにします。
緊急に病院を受診する目安
初回発作(特に1歳未満)であるとき、発作が5分以上続くとき、意識の戻りが悪いとき、身体の一部に強く見られる発作の場合、そして24時間以内に2回以上発作が見られるときは、緊急で病院を受診してください。また、発作が30分以上続く状態(痙攣重積)にならないように、けいれんが5分以上続いている時には救急車でも構わないと思います。
予防について
多くの場合は生涯に一度しかけいれんを起こさないため、基本的に予防は必要ありません。発作が長く続いたことがあるお子さんや何度も再発する場合は抗けいれん剤の座薬(や内服薬)を熱が出始めた時に使います。予防については個人差もあるので、かかりつけ医に相談しましょう。

No.51(2007/03/08) 手術・集中治療部 レジデント 池山 由紀

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子どもの治療行動を考える その1-大人を困らせる行動の意味は何?

今回は、ただでさえ大変な治療を少しでもスムーズに行う方法について考えたいと思います。

ぜん息、アトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー疾患は、慢性疾患であるため、治療は長期に継続しなければなりません。「調子が良くても薬物療法は継続」というのが原則です。想像してみてください。「調子が良いのに、お薬をしなければならない」・・・どこか矛盾を感じませんか?そこにアレルギー疾患を持つ子どもと保護者は、多大なるストレスを感じるのです。

しかし、そんな時に限って、子どもは大人の言うことを聞かなかったりします。その結果、症状が悪化したりすると、保護者のストレスはふくれあがる一方です。赤ちゃんをだっこしてお風呂に入ったり、吸入をさせたりするときも、言葉で説明して理解できる年齢ではないですから子どもが泣くとストレスのぶつける先がありません。言葉を話すようになる幼児期には、「いやいや病」が始まりますから、素直にお風呂に入らない、薬を飲まないなど大人を困らせます。そして、小学校になれば、病気の治療よりも優先されることが多くなり、思春期以降になれば、治療の主体が保護者から子どもに移るので、保護者よりも子どもの方がスキルが下手だったり、反抗期があったりで、一時的な悪化が認めれて、保護者からみれば「今までの努力は一体・・・」という気持ちにもなります。

でも、そこで大事なことは、子どもの「大人を困らせる行動」には必ず意味があり、そのサインに気づくことです。サインを受け取るためには、子どもの行動をよく観察することです。人間が行動を起こし、それが維持されるときは必ず、その行動の後にその人にとって「何か良いことがある/嫌なことから解放される」ことがあるはずです。これを専門的には「三項随伴性」といいます。例えば、『薬が面倒で「飲みたくない!」と大暴れしたら飲まなくて済んだ』という経験をすると、子どもは、「毎回、薬を飲みたくないと大暴れしたら飲まなくていいかも・・・」と考えます。厳密には、意識のレベルで考えるのではなく、むしろ意識下の脳の働きで考えて体がそのように反応し、行動していることが多いので、子どもに理由を聞いても無駄です。普通の会話のほとんどが「病気についての話」だと、子どもは治療がうまくいってしまうと保護者との会話が減ってつまらなくなるので、病気が治らないように治療の拒否をし始めたりします。つまり、子どもの「大人を困らせる行動は、ちょっとしたよく見る子どもの行動ですが、実は深い意味を持っているのです。

このように、問題行動の意味がわかったら、次は実際の介入で、行動が起こった後の環境を変えるか、行動が起こる前の状況を工夫するかなのですが、今回はここまでに。子どものことだけでなく、何か困ったこと・うまくいかないことがあれば、まずは行動観察をしてみましょう。

No.50(2007/02/08) 第一専門診療部 アレルギー科 心理療法士  小嶋 なみ子

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硬膜外無痛分娩をご存じですか

はじめに
日本の医療の中で欧米先進国と比較して著しく異なっているものに、分娩の麻酔があります。分娩には、経腟分娩(自然分娩)と帝王切開による分娩がありますが、外科手術が必要な帝王切開を麻酔なしで行うことは日本でもありませんが、経腟分娩の場合、日本では麻酔なしで行われることがほとんどです。正確な統計はありませんが、麻酔をして経腟分娩を行う(つまり硬膜外無痛分娩の)割合は1%に満たないのに、欧米先進国たとえばフランスでは経腟分娩の90%が硬膜外無痛分娩だといわれています。「日本の女性は特別で痛みに強いの?」と非常に不思議そうに外国人は質問してきます。
日本で硬膜外無痛分娩が広まっていない理由は?
「お産の痛みに耐えてこそ母親になれる」としてきた痛みを美徳とする我が国の伝統的な考え方や「痛みを我慢して出産しなければ子供への愛情は育たない」といった偏った妊産婦教育も理由のひとつと考えられます。かつてキリスト教文化圏においても、労働の苦しみと分娩の痛み(どちらも英語ではlaborと呼びます)はアダムとイブが禁断の木の実を食べたために神から与えられた原罪と考えられ、欧米では分娩の痛みを取り除くことは神への冒涜とされていました。時代は変わり、女性の意識の変化とともに現在では出産時に痛みを取ることは産婦の当然の権利であり、たとえ「無痛分娩」を選択したとしても罪悪感を持つ必要は全くないと考えられています。
日本で無痛分娩が広まっていない最大の理由は、欧米と異なる日本の産科医療システムにあると考えられています。診療科間の連携の良い欧米では、産科医、助産師、麻酔科医がチーム医療をしており、日本の病院の何倍もの出産数がある大病院では専門の麻酔科医がいて、広く硬膜外無痛分娩が行われています。一方、日本では麻酔科医のいない産科医個人の産院で分娩が行なわれることが多く、また麻酔科医が勤務している病院であっても手術室内での一般の麻酔に忙殺され、麻酔科医が産科病棟での硬膜外無痛分娩に関与している病院はほとんどありません。
国立成育医療センターは、産科医、助産師とともに産科麻酔のトレーニングを受けた麻酔科医がチームを組んで、24時間体制で硬膜外無痛分娩に対応できる体制をとっています。
「硬膜外無痛分娩」は実際にどのように行われるのでしょうか?
静脈点滴を確保の後、硬膜外カテーテルを背中に入れます。カテーテルを入れる間、妊婦さんは横向き(普通は右側を下にする)になるか座るかして、背中を丸めた姿勢になり、背骨の間を広くして針を入れ易くしていただきます。
背中の皮膚に痛み止めの注射をしてから、硬膜外針といわれる特殊な針を使ってカテーテルを入れます。
硬膜外カテーテルから麻酔薬の注入を開始すると、下肢が温かくなると同時に痛みが和らいできます。まだ陣痛が強くない場合には、硬膜外カテーテルの留置のみを行っておいて、陣痛が強くなるまで麻酔薬の注入開始を待つこともできます。
分娩が進行するにつれ、痛みが強くなるようでしたら注入ポンプにつながっているボタンをご自身で押していただければ、麻酔薬が追加注入され痛みは和らぎます。ボタンは何回押しても安全なようにセットされていますので、自分でボタンを押す必要があると感じられた場合は自由にボタンを押して下さい。子宮が規則的に収縮し、タイミングを合わせて自分で「いき」むことができれば出産は間近です。この「いきみ」のタイミングをうまくつかめない場合は看護スタッフがお手伝いします。
出産後、分娩に関する処置がすべて終わるまで麻酔薬の注入を続けます。その後硬膜 外カテーテルを抜去します。
硬膜外カテーテルを挿入して無痛分娩を開始するタイミングは、通常子宮口が4cm程度開いてからということになっていますが、陣痛の痛みが強くなって我慢ができなければその前にも始めることがあります。当センターでは麻酔科医が24時間待機していますが、手術室や集中治療室をはじめ院内の様々な場所で仕事をしていますので、突然の無痛分娩には対応できない場合もあります。このため前もって出産のスケジュールを決めて、確実に硬膜外無痛分娩を受けていただける「計画出産」をおすすめしています。計画出産では陣痛が強くなる前に硬膜外カテーテルを背中に入れておき、子宮収縮を助ける薬(子宮収縮促進剤)によりお産を進めながら硬膜外無痛分娩を行います。
硬膜外無痛分娩の合併症は?
非常にまれな合併症としては、硬膜外カテーテルの先端が硬膜を通じてさらに奥にある、くも膜下腔という場所に入ってしまうことがあります。そこに麻酔薬が入ることで、 麻酔が上半身まで広がり呼吸が苦しくなったり、足に力が入らなくなったり一時的に意識が遠のいたりする場合があります。また、硬膜外カテーテルの先端が血管に入ってしまった場合には舌がしびれたり、ひきつけをおこしたりすることがあります(局所麻酔薬中毒)。さらに、カテーテルを抜いた後に一時的に硬膜に孔ができることで、しばらく強い頭痛が続くことがありますが、これらには適切な対処法があります。
私達は、常にこのような合併症が起きないように万全の注意を払ってはおります。しかし残念ながら、こうした問題は、目に見えない深い場所に手探りでカテーテルを入れるため、一定の頻度で起きてしまいます。しかし万が一発生した場合にも十分対応でき、安全が確保できる準備をしています。産婦さんだけでなく赤ちゃんの安全も守るため、常に対話をしながら手技を進めます。腕には血圧計、指にはパルスオキシメーター(体内の酸素量を測定するモニター)、お腹には胎児心拍数モニター、陣痛計をとりつけて様子を見守ります。そして産科医、看護スタッフ、新生児科医だけでなく麻酔科医も24時間院内に待機し、適宜診察をさせていただきます。
このように「硬膜外無痛分娩」の間、痛みを取り去ることだけではなく、産婦さんと赤ちゃんの安全に注意し、何か異常が発生すれば素早く対応できる体制となっていますので、麻酔の合併症だけでなく産科的な問題が発生した場合(出血、妊娠中毒症による痙攣、緊急帝王切開など)にも麻酔科医が素早く対応でき、安心して硬膜外無痛分娩を受けていただいてよいと考えています。
硬膜外無痛分娩が赤ちゃんと分娩経過に与える影響は?
硬膜外無痛分娩をしたからといって、赤ちゃんに麻酔薬の影響が出ることはなく、赤ちゃんに危険が迫って仮死状態になる頻度も麻酔なしの分娩と「硬膜外無痛分娩」に差はありません。
子宮収縮が規則的になって(分娩開始)から子宮口が10cmに開く(全開大)までの時間を分娩第一期、子宮口全開大から赤ちゃん誕生までの時間を分娩第二期、赤ちゃん誕生から胎盤が出て分娩が終了するまでを分娩第三期と呼んでいますが、一般的に分娩第一期は初産の方で10-12時間、経産の方で5-6時間、分娩第二期は初産の方で2時間、経産の方で1時間、分娩第三期はいずれの方の場合も15-30分程度です。硬膜外無痛分娩を行うと分娩第一期の長さは変わりませんが、分娩第二期は多少長くなると考えられています。しかし、赤ちゃんへの悪影響はないとされています。
場合によっては、子宮収縮を強くする薬を使用したり、吸引分娩となることもあります。しかし、産科医、助産師、新生児科医、麻酔科医らが産婦さんと赤ちゃんの状態を注意深く観察していますので御安心下さい。
おわりに
成育医療センターでは年間300例以上の硬膜外無痛分娩を行っていて、その数は国内では1,2を争うほどになっていますが、まだまだ麻酔なしにお産をする方も大勢いらっしゃいます。硬膜外無痛についてもっと知りたい方のために、もう少し詳しい内容を記した小冊子もご用意しております。

No.49(2007/01/25)  手術・集中治療部 疼痛管理科 医長  近藤 陽一

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腸内細菌の話

ヨーグルトなどに含まれている、乳酸菌やビフィズス菌が体に良いということは、皆さんご存知のことと思います。でも具体的に何が良いのかについては、ご存知ない方もおられるかもしれません。今回は腸内細菌がヒトにとってどんな役割を持つのか、医療にどのように応用されているかをご紹介したいと思います。

腸管は、水分、ミネラル、栄養素の吸収など、生命を維持するには欠かせない機能を担っており、その機能維持には腸内細菌の存在が欠かせません。腸内細菌と一口にいっても小腸、大腸など、その場所により数・種類とも異なりますが、成人一人当たり100種類以上100兆個もの菌を持っているといわれています。近年腸内環境の改善が健康維持や疾病予防に重要であることが分かってきました。

善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌などが腸内で優位であると、栄養の吸収を良くする、免疫力を高める、アレルギー反応を弱める、生活習慣病の予防、大腸がんの予防や老化の予防などの、有益な作用があると考えられています。しかし善玉菌は、食生活や生活習慣の乱れ、抗生剤の使用などにより容易に減少してしまいます。

近年よく耳にするプロバイオティクスとは、腸内細菌叢を改善し健康に有益な作用をもたらす生きた微生物のことで、乳酸菌やビフィズス菌などを指します。また耳慣れないかもしれませんが、プレバイオティクスという概念もあります。これは体内で消化吸収されずに、善玉菌の成長や活動を選択的に刺激するもので、食物繊維やオリゴ糖などがこれに当たります。この2つを組み合わせたものをシンバイオティクスと呼び、病原菌の増殖抑制、抗体産生・マクロファージ活性化・補体の活性化などの腸管免疫の活性化、腸内上皮細胞からの病原菌の付着や進入予防、発ガン予防、コレステロール上昇抑制作用などがあることが分かってきています。

臨床医学への応用としては、乳糖不耐症、抗生剤使用による下痢症、感染性腸炎や炎症性腸疾患の治療、未熟児の壊死性腸炎予防、食物アレルギーの予防などに有効であるとの報告がされており、我々の経験でも、長期間栄養剤を使用している方を対象にした投与により、便性改善・体重増加といった効果が得られています。

腸内細菌の活性化のためには、ヨーグルトやオリゴ糖などを摂取するだけでは駄目で、 規則正しい生活、バランスのとれた食事、抗生剤をむやみに使用しないことなどを心がけることが大切です。健全な腸内細菌で健康な生活を送れるように、今日から腸内細菌の活性化を実践してみませんか。

No.49(2007/01/25) 総合診療部 小児期診療科  有瀧 健太郎

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薬はおいしい?

病院で処方された薬をお子様にのませてあげる際に、きれいな色でおいしそうな香りがする薬がありませんか?子供にも処方されることが多い抗生剤に「アモキシシリン」(アモキシシリンは薬の成分の名前です)がありますが、日本で使用可能な代表的な5つの製品を紹介します。

  見た目 におい
橙赤色 オレンジ 甘い
うすい橙色 オレンジ オレンジ味
桃色 ミックスフルーツ 甘い
うすい橙色 ヨーグルト 甘い
橙色 パイナップル 甘い

どれも子供が好む味や香りですよね。どれか1つくらいは、お子様にのませてあげたことがあるのではないでしょうか。

「アモキシシリン」のように子供でも飲みやすいように設計されている薬ばかりだと良いのですが、残念ながら「あまりおいしくない」薬も多いというのが本当のところです。しかし大事な点は、やはり薬ですから、おいしいからのむのではなく、必要だからのむということではないでしょうか。

国立成育医療センター薬剤部では、「服薬指導」という形で、入院されている患者様に薬についての説明を行っています。その際には保護者の方だけではなく、なるべく患者本人であるお子様にもいっしょにお話を聞いていただいています。こうした取り組みにより、薬をのむことの大切さを理解したお子様は、周囲からの押し付けのときよりも、きちんと薬をのんでくれるようになるようです。

これから風邪の季節となりますので、薬を飲むこともあるかもしれませんが、薬について何か質問がございましたら、薬剤師にお気軽にご相談ください。

No.49(2007/01/25) 薬剤部 医薬品情報管理室  中島 研

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思春期の不定愁訴~起立性調整障害を中心に~

‘疲れやすい’、‘体がだるい’、‘めまいがする’などの単独、および複数の症状を訴え受診される思春期の患者さんと外来でしばしば出会います。こうした‘疲れやすい’、‘体がだるい’などの症状を不定愁訴と呼ぶことがあります。もともと不定愁訴という言葉は、その患者さんの訴える症状の原因を医学的に特定できない場合に使われます。

これまでの報告では、こうした‘疲れやすい’、‘体がだるい’、‘めまいがする’などの症状で思春期の方が小児科を受診された場合には、起立性調節障害(以下ODと略)と診断される場合が多いようです(もちろん不定愁訴のすべてがODで説明できるというわけではありません)。

ODとは、わかりやすく言えば、思春期の自律神経失調症とイメージしていただくとよいかと思います。では、そもそも自律神経とはどのようなものでしょうか?自律神経は、血圧、 脈拍や内臓の動きなどを司っています。本来、自律神経の働きそのものは、その名が示すように自分の意思では変えられません。

その一方では、こうした自律神経の指令基地がある場所は、情動などを司る場所(大脳辺縁系)の近くにあります。そうしたことにより自律神経の働きは、感情、言い換えれば心理、社会的な影響をとても受けやすいのです。従ってODなどの自律神経の機能異常は、基本的には身体的な問題と言えますが、その背景として心理、社会的な影響を受けて生じやすいとも言えます。


ODでは、‘立ちくらみ’、‘めまい’などの症状が生じますが、その原因は自律神経の働きがうまくいかないようになり、そのため血圧調整などの循環系の調節がうまくいかないために起きます。一般に、立ち上がった直後には血圧は少し低下するのですが、典型的なODでは、通常より血圧が大きく下がるため、急に立ち上がると脳貧血を起こして‘立ちくらみ’、‘めまい’を起こしやすいのです。

しかし、こうした起立時の低血圧を認める傾向は、健康な思春期の方にもしばしば認められることがわかっていて、ODは思春期で生じやすい身体的な機能異常と言えます。ただ、先ほど述べましたように、こうしたODの原因には、心理的、社会的な要素が関連することも多いのです。またODと診断された方が、少なからず不登校の方の前駆症状と考えられる場合がしばしばあることもわかっています。そうしたことよりODの患者さんへの対応に関しては、身体的原因がメインの場合と心理的側面がメインの場合など、それぞれの患者さんで異なってくるので、その患者さんに応じたものも要求されます。

治療としては、降圧剤などの薬物療法が有効な場合もありますが、まず日常生活の調整をしていくのが重要です。つまり規則正しい生活をしたり、ある程度の運動をしたり、また起立時には、臥位からすぐに立ち上がらないように気をつけることなども必要となります。

また、患者さんが抱えているODでの身体症状以外の辛さを感じていることにも気がついてあげる必要あります。たとえば、ODがあるため家庭や学校では、怠けとして扱われたり、本当は学校に行きたいのに行けないことであせりなどが生じていることもあり、周囲によく病状の理解してもらったり、環境の調整なども重要になります。


このようなODの患者さんは、身体的な原因がありながら、しばしば‘精神的なもの’とされたり、‘怠けている’とされて体のことを心配されていないケースも多いので、‘体がだるい’、‘立ちくらみ’などの症状を呈している思春期の方では、身体的原因としてODがあるかもという視点をもち、医療機関に相談されることは重要と思われます。

当科においても、思春期外来、頭痛、腹痛外来などでこうしたODの患者さんに対応させて頂いています。ODは身体的な面のみならず、心理的、環境面での配慮が必要な疾患ですが、まず受診された患者さんには、身体的な十分な評価と患者さんの症状をつらいことであろうと十分に感じ、そこから、その患者さんの様々な状況に応じた対応を心掛けていきたいと考え診療にあたらせて頂いています。

なお、当院では、今回のような症状での受診を希望される場合、初診の患者さまについては18歳以下の方をお受けしており、原則的には、まず総合診療部初診外来をご予約のうえ受診いただいたのち、症状などにより関係する専門外来を受診いただくようになっております。現在、総合診療部の初診予約が大変混みあっており、約2ヶ月程お待ちいただくことをご了承ください。

No.47(2006/11/24) 総合診療部 思春期、成人期診療科 医長  永井 章

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縁の下の力持ち・・・病理医と病理検査

  1. 『病理医』ってご存知ですか?

    医療ドラマにたまに出てくる『病理医』って、ご存知ですか?最近では「サトラレ」での鶴田真由さんや「ナイトホスピタル」での仲間由紀恵さんをご覧になって、ご存知の方もちょっとは増えているようですが、仕事の内容となるとご存じの方はまだまだ少ないようです。

    私も『病理医』という医師が病院にいることは医学部の最終学年(6年)になるまで知りませんでした。学生実習中、胃癌の手術の見学の際、癌が切り取られ、「無事終了」と思ったら、外科医も、麻酔科医も、看護師さんも、みんなほとんど動かずに何かを待っています。5分くらい待ったでしょうか、スピーカーから「癌組織残っていません!」といった声が聞こえてきました。その後手術室はふたたび動き出し、患者さんのおなかは閉じられ、1週間後には無事退院されました。

    声の主は『病理医』でした。これは『術中迅速診断』といって、大急ぎで癌の診断をしたり、癌細胞が体に残っていないかを確かめたりする作業です。その時、私はたくさんの医師を待たせて、診断をしていた病理医という存在に憧れのようなものを感じ、ついには病理医になりました。

  2. 『病理医』の仕事・・・『病理診断』

    私たちは患者さんの体の一部・・・正しくは手術で体から切り取った病気の部分・・・を顕微鏡で調べ、診断します。これを『病理診断』といい、医師が行う行為です。私たちが診断結果を患者さんに直接説明することはめったにありません。私たちの診断とほかの検査(レントゲン、心電図、血液・尿など)の結果をあわせて、患者さんの状態が臨床医によって総合的に判断されます。ただ、『がん』の診断などでは病理診断が”最終診断(Final diagnosis)”となり、患者さんの運命を決めてしまうこともあります。私たち病理医は病院における縁の下の力持ちとして、臨床医が安心して診断・治療がおこなえるよう努力しています。

  3. 成育医療センターでの病理医の仕事

    私は、成育医療センターで『成育医療』にかかわる病気の診断を専門としています。多くは、小児科や産婦人科の病気です。この分野には多くの大人がかかる「癌」、「心筋梗塞」といった病気はほとんどありませんが、病気の種類は千差万別です。私たちでも出会うことの少ない病気もままあります。そのようなときは、他の専門病院の病理医との情報交換を積極的に行い、正しい診断ができるよう心がけています。

No.47(2006/11/24) 臨床検査部 病理検査室  松岡健太郎


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