代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU

生体肝移植

生体肝移植に健康保険の適用される疾患(平成15年12月15日通達)

  • 先天性胆道閉鎖症
  • 進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変/原発性硬化性胆管炎を含む)
  • アラジール症候群
  • バッドキアリ症候群
  • 先天性代謝性肝疾患(家族性アミロイドポリニューロパチーを含む)
  • 多発性嚢胞肝
  • カロリ病
  • 肝硬変(非代償期)
  • 劇症肝炎(ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、原因不明を含む)
  • 肝細胞癌(肝硬変に合併する場合で、遠隔転移と血管侵襲を認めず、径5cm以下1個または径3cm以下3個以内)

生体肝移植とは

手術は健康な人から肝臓の一部を取り出し臓器を受け取る患者様(レシピエント)に移植するもので、この手術を生体部分肝移植といいます。この移植手術の特異な点は、脳死患者からの臓器提供ではなく、健康な人からの臓器提供であることです。
生体ドナーからの肝移植は、1988年に世界での第1例目が行われました。国内では1989年から始められ、その後実施症例ならびに実施施設の数は増加し、これまで2500例以上の生体肝移植が施行されています。

臓器提供者の手術

この手術では、まず臓器提供者(ドナー)の肝臓の一部が取り出され、血管や胆管(胆汁が流れる管)がレシピエントのそれらとうまくつながるように体外で調整されます。肝臓提供者としての処置に耐えうると判明した場合には、肝臓が患者様にとって適当な大きさで、それを移植するのに必要な血管もすべて揃っていることを確認するためにドナーさんにCTスキャン、超音波検査が行われます。提供者の肝臓についてさらに詳細な検査が必要な場合には、針生検(バイオプシー)を行うこともあります。
必要な検査が終了した後、医師が全ての検査の結果をあなたにご説明し、臓器提供者として適格かどうかをお話します。臓器提供のため手術で切除する肝臓の大きさは、レシピエントの体格などに左右され、またあなたの血管などの形も参考にして決定されます。

切除する大きさは、小さな小児のレシピエントに移植する場合には、主に肝臓全体の約4分の1にあたる肝臓左葉の外側区域を切除します。やや大きい小児に移植する場合、肝臓の左約3分の1にあたる左葉全部を切除します。
肝臓は予備能力が多く、通常は正常の肝臓であれば3分の2を切除しても充分全身の代謝を支えてゆくことができるといわれ、最大である右葉の切除後でも肝臓自体の機能に大きな問題が生じることは少ないといわれています。また肝臓は再生能力が強いので、右葉切除後でも手術後約半年から1年で、残った肝臓が大きくなるため、将来にわたってもこの点は問題になることは少ないといえます。

ただ、手術直後には、黄疸といって体が黄色くなる症状や一時的な肝機能低下が出現することがあり、比較的小さい左側の肝臓をいただく手術に比べて大きい右葉をいただく手術後に強く出ることがあります。通常は約1週間から10日でこれらの変化は正常な値までもどり、これによる重篤な後遺症を残すことは少ないです。
また、入院期間は、左側の小さい肝臓をいただく手術の場合は通常2週間以内で退院できるのに比べて、より大きい右葉を切除した場合には2週間以上の入院期間が必要となることもあります。退院後は平均すると約2-3ヶ月の安静期間の後、通常の生活に戻り復職もできています。

最近の肝臓外科の進歩により、正常な肝臓の切除手術では出血量は少ないので、ふつう輸血の必要はありません。他人の血液を輸血する場合には、現在では輸血によっておこる感染症について充分な検査が行われていますが、それでも肝炎などの危険が全く無いとはいえません。そこでもし必要になった場合に備えて、あらかじめドナーさんの血液を採って保存しておき、手術中にこれを利用する方法をとります。

なお、外側区域切除では必要ありませんが、左葉または右葉切除に際しては肝臓の切除線がちょうど胆嚢のついている部位にかかるため、同時に胆嚢を摘出する必要があります。胆嚢は肝臓で作られた胆汁という消化液を濃縮して貯めておき、食べ物が胃から十二指腸へ入ってきた時に胆汁を排泄する働きがあります。胆嚢の中に石ができる胆石症という病気の場合には胆嚢を摘出しますが、食べ物の消化吸収には直接的な影響はありません。

ドナー手術の危険性と合併症

一般に肝臓の一部を切除する手術は、頻度が低いとはいえ手術の危険性と術後の合併症を伴います。健康である生体肝臓提供者に対する肝切除術の場合は、熟練した肝臓外科医によって行われれば肝臓病の患者の場合よりも危険性はより小さいものと考えられますが、それでもある一定の頻度で合併症が発生することがこれまでの経験から判っております。したがって、手術に伴う危険性と合併症について十分に理解していただく必要があります。

生体肝移植では、ドナー手術による死亡例は世界で少なくとも8例報告されており、日本でも1例亡くなられています。亡くなられた原因の一つに、静脈の中にできた血の固まりが肺に詰まって生じる肺塞栓があります。これは肝臓を一部摘出したことに直接関係した死亡原因ではないのですが、どのような外科手術でもある確率でおこる合併症であり、欧米により多い合併症でしたが、生活の欧米化とともに近年日本でも増加傾向にあります。

最も多い合併症としては、胆汁のもれや胆管の狭窄など胆管合併症があります。これは術直後から起こる場合と退院後に遅れて症状がでる場合があります。こうした場合、数週間にわたって抗生物質の投与を必要としたり、場合によっては外科的な処置や内視鏡による治療が必要となることもあり、入院期間が長くなる事があります。また、肝臓周囲や腹腔内の膿瘍、創の化膿などの感染症も起こることがあります。

その他、手術後に腹部や胸に水がたまる(腹水、胸水)、ストレスによる胃潰瘍、十二指腸潰瘍や出血、肺炎、癒着による腸閉塞などの合併症があります。また、はっきりした病的な状態とは言えないまでも、寒くなると傷が痛むとか、食後すぐにおなかが張ってしまってたくさん食べられない、などの不快な症状が年の単位で続くこともあります。

レシピエントの手術

レシピエントの方は、自身の肝臓はすべて取り除かれます。ついで、先に提供者から取り出された健康な肝臓が移植されます。この新しい肝臓の血管とレシピエントの血管が結ばれ血流が再開されると、移植された肝臓は働き始めます。次に、移植された肝臓の胆管とレシピエントの腸管(または胆管)とを縫い合わせた後、おなかの創を閉じて移植手術は終了します。

準備した部分肝が、移植患者にとって小さすぎたり逆に大きすぎたりする場合が時にあります。大きすぎるのは小児移植において、レシピエントの肝臓が占めていたスペースに比べて、移植する肝臓の方が大きい場合です。小さすぎるのは成人移植において、肝臓をもらうレシピエントの体格が大きくて、移植する肝臓が相対的に小さい場合であります。

しかし肝臓は、どの部分でも好きなように大きさを調節して分割することができる訳ではなく、提供者より移植する肝臓を切除するには以下に述べる3種類の方法しかありません。

まず最も小さく肝臓を移植するには、左外側区域といわれる左の端の部分(肝臓全体の約4分の1)を切除します。次に大きいのは、肝臓の左約3分の1にあたる左葉を切除する場合で、最も大きいのが肝臓の右約半分から3分の2に相当する右葉と呼ばれる部分を切除し移植します。

このいずれの方法を用いるかは、レシピエントの体格と提供者の肝臓の大きさによって決められます。そこで術前に、提供者の肝臓の大きさをCTという検査で推定し、肝臓のどの部分を移植に使わせていただくかを慎重に検討し、できるだけ安全なように工夫して手術を行うようにします。

小児移植では、先に述べた3種類の方法のうち最も小さい左外側区域を用いてもまだレシピエントにとっては大きすぎる場合があります。その時は、レシピエントの手術の最後におなかの壁をすべて閉じずに、一部創を開いたままにしておくか、または合成材料を補助的に用いておなかを閉じて、後日整復を行う方法があります。また左外側区域の一部を切り取って、さらに小さな肝臓を移植する方法も最近では行われています。

一方成人移植では、最も大きい右葉を切除し移植することが多くなりますが、提供者の肝臓が小さい時には、右葉を用いても十分な大きさの肝臓を移植できない場合があります。肝臓が小さすぎると、術後十分な働きができず、それにより移植が成功しない危険性があります。従って、十分な大きさの肝臓をいただけるに越したことはないのですが、提供者の安全も非常に大切であり、成人移植の場合には、このいただく肝臓の量をさらに慎重に検討しています。

肝臓の解剖の画像
肝臓の解剖
小児生体肝移植の再建図の画像
小児生体肝移植の再建図
成人生体肝移植の再建図の画像
成人生体肝移植の再建図

術後の一般的な経過

術後、一定期間後に集中治療室をでたあとは、一般病棟へもどって治療が続けられ、特に問題がなければ1-2ヶ月で退院となります。術後に肝臓の機能が悪くなったり、感染の兆候が見られた場合には、定期的な血液検査に加え、超音波検査、胆管造影、胃カメラ、などを緊急におこなう必要が出てきます。
退院後は、はじめは毎週、外来か、あるいは近くの病院で血液検査などをうけて経過をみられることが必要です。安定してきたら、その間隔はもう少し長くできるようになります。

手術の危険性と合併症

脳死者からの肝移植では、手術自体は成功しても移植された肝臓が最初から全く機能しない事態が約3-10%の確率で発生します。しかし、生体部分肝移植では健康な生体から肝臓を取り出してすぐに移植できるため、このような危険性は大幅に減少することがこれまでの報告から判っております。
肝移植は大手術で、多くの危険性があり、移植患者が手術により死亡する危険性も無いわけではありません。この手術は、肝臓手術の経験が豊富な医師の手によって行われますが、移植手術前の患者さんの全身状態が非常に悪い場合には、そのぶん術後合併症の生じる確率が高くなります。
生体部分肝移植をうけられるレシピエントの手術に関係する主な合併症は次の4つに分類されます。1)自己の病気の肝臓を取り出すことにともなう合併症、2)血管をつなぎあわせることにともなう合併症、3)胆管をつなぎあわせることにともなう合併症、4)その他の合併症です。そのほか術後の長期的合併症としては、5) 拒絶反応と、6) 感染症、7) 病気の再発、があります。

自己の病気の肝臓を取り出すことにともなう合併症

肝臓は非常に大きな臓器で、広い範囲にわたりいろいろな臓器に囲まれつながっています。肝臓移植ではレシピエントの肝臓をすべて取り除くので、周りにあるこれらすべてのものとのつながりを切り離す必要があります。また肝臓は血管の非常に豊富な臓器で、門脈や肝静脈などの太い血管とつながっています。また、以前に手術を受けられている場合には、肝臓の周りの腸や胃が強く癒着していることもあります。
したがってレシピエントの肝臓を取り出す際には常に出血の危険性があり、時には大出血を来す可能性もあります。また肝臓の働きが悪い方は、もともと血液が固まりにくくなっており、このことも手術中の出血の危険性を高めます。
出血が一定量を超えた場合には輸血を行い対応するのですが、レシピエントの手術ではほとんどの場合輸血が必要となります。

血管をつなぎあわせることにともなう合併症

提供者からいただいた肝臓が働くためには、レシピエントの血管をつなぎあわせて血液を流す必要があります。肝臓には3種類の血管があり、肝臓移植ではこれらすべてをつなぎ合わせる必要があるのですが、手術後につなぎあわせた部位から出血したり、また逆につまったりすることがあり、レシピエントの(最も多い報告では)約20%に起こるといわれています。
もしこのような合併症をおこすと、移植された新しい肝臓に充分な血液が流れなくなり、その働きに大きな打撃を与えます。また時に移植肝がまったく働かなくなることもあり、もしこのような合併症がおこった場合には、血管を修復するための再手術(再移植ではありません)が緊急に必要となります。

胆管をつなぎあわせることにともなう合併症

移植手術では、すべての血管をつなぎ合わせたあと、最後に胆汁(肝臓が作る消化液)が腸の中に流れるようにします。胆汁は胆管という管の中を通って出てくるので、この胆管とレシピエントの胆管とをつなぎ合わせるか、または胆管を直接レシピエントの腸につなぎます。しかしこのつなぎ目から胆汁が漏れたり、逆につないだところが狭くなって胆汁の流れが悪くなることがあります。
もしこのような合併症がおこった場合は、その程度により様々な治療が必要となりますが、場合によっては(たとえば胆汁がおなかの中に漏れることにより、腹膜炎を合併した場合など)緊急で手術が必要となることもあります。また胆管の狭窄は、術後しばらくたってから生じることもあります。

その他の合併症

移植手術では、腸を剥がしたり、場合によっては一部を切り取ってつなぎ合わせたりします。そのため移植手術のあとに、腸管の剥がした後の弱い所が破れたり、または腸を縫い合わせたところから漏れたりする場合があります。
もしこのようなことが起これば、腹膜炎を合併し非常に危険な状態になるので、緊急に手術を行う必要があります。移植された肝臓の切りはし(切離面)から出血や胆汁の漏れが生じる場合もあります。
術直後の管理では、特に小児手術の場合には大人に比べて呼吸器系(肺)の合併症も多く、時には長期にわたって気管内に管を入れて人工呼吸器による呼吸管理を必要とする場合もあります。腎臓の機能が低下した場合には短期間の人工透析を必要とする場合もあります。

拒絶反応

人の体には、外から体に入って来たものを攻撃する働きがあります。たとえば、風邪などのウイルスが体に入ってきたときには、これを攻撃し排除しようという反応が必ず起こります。これは免疫反応(いわゆる体の抵抗力)と呼ばれています。
肝臓移植では、他人の肝臓がレシピエントの体の中に移植されるので、風邪などのウイルスが体に入ってきたときと同じく、新しい肝臓を攻撃して排除しようという反応が必ず起こります。この反応は、新しい肝臓を拒絶しようとする反応ですので、拒絶反応と呼ばれています。この拒絶反応を乗り切ることが出来なければ、移植された肝臓は攻撃を受け続け、最終的には全く機能を失ってしまいます。

肝移植を受けたすべての患者さんは、この拒絶反応を軽くするため、移植後に数種類の免疫抑制剤が投与されます。これらの薬は後に述べる様々な副作用を持っているのですが、もしも免疫抑制剤を全く使用しない場合には、移植された肝臓に対する拒絶反応は必ずおこります。つまり免疫抑制剤は、移植手術の術後にはなくてはならないものです。
術後免疫抑制剤として、プログラフ、サイクロスポリン、ステロイド等2-3種類の薬剤が投与されます。これら免疫抑制剤自体の副作用として、感染症以外に高血圧、多毛、糖尿病、歯茎の肉が厚くなる、腎臓障害、発ガン、などの問題があります。このため、できるだけ少ない投与量で有効にお薬を効かすために、血液中の薬の濃度を測定して個々の患者さんにあった投与量に調節する工夫をしています。

長期的には、これらの免疫抑制剤の量を減らし、最終的にはプログラフだけの少量投与を一生継続していただくのが一般的です。しかし免疫抑制剤の種類や量に関しては個人差が大きく、なかには移植後数年たった後に、免疫抑制剤をすべて止めることが出来る方もおられますし、一方で多くの免疫抑制剤を数年間飲み続ける必要がある場合もあります。
また、できるだけこのような副作用を少なくする工夫をして薬を使うように努めますが、どうしても不都合なときには、薬をいったん中止したり、変えたりする必要があります。免疫抑制剤の主な副作用については別紙資料にまとめてあります。拒絶反応には、移植後1週目から1〜2ヶ月くらいに最もよく見られる急性拒絶反応と、その後数ヶ月から半年以降に徐々に進行していく慢性拒絶反応があります。

免疫抑制剤を投与されていても拒絶反応が起こることがあります。その診断には血液検査や超音波検査が有効ですが、場合によっては肝生検が必要なこともあります。もしも移植後に拒絶反応が起こっても、その90%以上は免疫抑制剤の増量または追加によって治療可能であり、免疫抑制剤を適切に使用すれば、拒絶反応は十分コントロール可能です。しかし約3-5%の割合で拒絶反応の治療が大変難しい場合があります。

感染症

拒絶反応を軽くするための免疫抑制剤は、免疫反応を抑える作用があります。免疫反応は様々な病気の原因となる微生物の感染から生体をまもる働きがありますが、この能力は免疫抑制剤によって逆に低下します。
そのため術後感染症が起こり易いので、全ての患者は抗生物質や抗ウィルス剤、抗真菌剤の投与を受けます。

生体肝移植の成績

生体肝移植症例全体の成功率(移植5年後に生存している確率)は成人で約70〜80%、小児で約80〜85%といわれております。これは脳死患者からの全肝移植や部分肝移植に比べても決して劣るものではなく、世界的にも注目されています。しかし、その病気の種類や手術前の状態などにより、大きく異なっています。
また、なかには予測できない合併症のため不幸な結果となる場合もあり、私達はこの数字を100%に近づけるためさらに努力を重ねています。

レシピエントの移植手術前の状態は移植後の経過に影響を与えます。手術前に、肝臓障害のために意識が無くなったり、大量の吐血や下血をしたり、たくさんの腹水で呼吸が困難になるなど全身状態が重篤で、緊急に移植を必要とした症例を緊急症例とよび、一方、自宅あるいは入院中でも通常の内科的管理で手術を待っていた患者さんを待機症例とよんでいますが、緊急症例と待機症例では明らかに成績に差がみられ、1年生存率の差は、緊急症例で約10〜20%低くなっています。また移植前から集中治療室での管理が必要な場合も、その成功率は平均より低くなります。

ドナー(肝臓提供者)の安全性はこの手術で最大の要件です。ドナーが死亡したケースは、今までに少なくとも8例報告されており、日本でも1例報告されています。私達はドナーの安全性には細心の注意を払うよう、常に心がけております。

生体肝移植手術の最大の利益は、これを受けない場合近いうちに必ず亡くなるであろうと危惧される患者さんを、この治療法により健康人と同じような生活を取り戻す可能性があるということです。つまり、生体肝移植は肝臓病で苦しむ患者さんを一時的に救命するのではなく、健康人と同じ日常生活が営めるようになることを目的としています。

ここで強調しておきたいことは、移植された肝臓は一時的にではなく、長期にわたり有効に働き続け得るということです。移植された肝臓は、小児がレシピエントの場合には患者さんの成長とともに大きくなりますし、成人のレシピエントに小さめの肝臓が移植された場合でもレシピエントの体格にあった肝臓の大きさに短期間のあいだに大きくなります。そして移植された肝臓や肝臓以外の臓器に致命的な合併症や新たな病気が生じない限り、移植を受けた患者さんは長期間にわたって健康人と同じ日常生活を送ることが出来ます。しかし肝臓移植の歴史はまだ浅く、移植後にどれぐらい長期にわたりこの状態が続くかに関しては、まだ判らないところもあります。

免疫抑制剤の副作用

免疫抑制剤は移植後の拒絶反応を抑えるために不可欠のものでありますが、同時に免疫力を低下させるため感染症が起こりやすくなる危険性があります。またその他にも以下のような様々な副作用が現れる可能性があります。

  • タクロリムス(プログラフ)
    三大副作用(腎障害、心障害、糖尿病)、手指の振戦(ふるえ)、頭痛、四肢のしびれ、けいれん、下痢など。
    注意点:免疫抑制療法の中心になる薬。血液検査で血中濃度を測りながら服用量を決める。グレープフルーツ、グレープフルーツジュースと一緒に服用しない。
  • シクロスポリン(ネオーラル、サンディミュン)
    腎障害、高血圧、糖尿病、肝障害、多毛、歯肉の肥厚、手指の振戦など。
    注意点:免疫抑制療法の中心になる薬。血液検査で血中濃度を測りながら服用量を決める。グレープフルーツ、グレープフルーツジュースと一緒に服用しない。
  • ステロイドホルモン(プレドニンなど)
    発育障害、満月様顔貌、にきび、肥満、消化性潰瘍、白内障、糖尿病、高血圧、高脂血症、骨粗鬆症、精神障害など。
    注意点:通常タクロリムスやシクロスポリンと一緒に使われる。拒絶反応が起こったときには治療として注射剤で大量を短期間使用する。
  • ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)
    下痢、食欲不振、白血球減少、貧血など。
  • アザチオプリン(イムラン)
    白血球減少、食欲不振、吐き気、肝障害など。
  • ミゾリビン(ブレデイニン)
    白血球減少、食欲不振、吐き気、口内炎、膵炎など。

国立成育医療研究センターの診療体制

国立成育医療研究センターの臓器移植センターは臓器移植が必要な・臓器移植を受けた患者様を診療する部門です。特に小児(こども)の肝臓移植(肝移植)、小腸移植等の臓器移植を中心におこなっております。移植専門医だけでなく、外科消化器科内分泌・代謝科集中治療科等と協力してチーム医療をおこなっております。また、こころの診療部の協力を得て、ドナーさんにやさしい医療をめざしております。
初めて病気になられて困っている方、病気や手術について他の病院の意見も聞いてみたいと考えている方など、お気軽に御相談下さい。
「移植免疫診療科の初診予約をお願いします」とお申し出下さい。


受診方法

※過去10日以内に発熱(37.5℃以上)している場合には、まずは救急センターへお越しください。


外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。

国立成育医療研究センターでは、事前予約制を導入しております。当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。紹介状をお持ちでない場合、別途選定療養費がかかります。詳しくは、予約センターにお問い合わせください。

なお、現在他の病院で治療を受けている場合や緊急で受診が必要なときは、現在かかっている医療機関の医師から直接、医療連携室(TEL:03-5494-5486 (月~金 祝祭日を除く 8時30分から16時30分))へご連絡をお願い致します。

※救急センターは24時間365日診療をおこなっています。診療をご希望の方は、直接救急センターへお越しください。

予約センター(代表)

03-5494-7300

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


セカンドオピニオンについて

国立成育医療研究センターでは、セカンドオピニオンを求める患者さんやご家族に対して、当院の医師から参考となる情報や意見を提供するセカンドオピニオン外来を設置しています。また、いくつかの診療科ではオンラインによるセカンドオピニオン診療も実施しています。

ページトップへ戻る