国立成育医療研究センター>病院>診療科・部門>外科系診療部>耳鼻咽喉科
耳鼻咽喉科
小児領域の耳鼻咽喉科疾患に関する豊富な診療経験を持ち、総合診療部や麻酔科、他の専門診療科との密接な連携を保ちつつ、ご病気になられたお子様の、外来・手術・病棟での診療にあたっております。
【手術体制について】
当センターでは、新生児から思春期まで、小児期のほぼ全ての耳鼻咽喉科手術に対応し、年間500件以上の手術を行っております。
【外来体制について】
耳鼻咽喉科の外来は、(月)(水)(金)の午前・午後に行なっております。
(火)、(木)は手術日として、一般の外来診療は行っておりません。
また、(金)の午後は、『気道疾患外来』、(月)(水)の午後は『補聴器・難聴外来』の専門外来を行なっています。
なお、診療は原則として予約制とさせていただいておりますので診察をご希望の方は、 予約センター(03-5494-7300、平日9:00〜17:00) にお問い合わせ下さい。
小児専門施設として、多くの診療所や病院はもちろん、大学からの紹介患者も数多く受け入れています。
医療連携室が窓口となり、急性感音難聴、外傷、後鼻孔閉鎖症等の疾患を数多く受け入れ、迅速な治療を行うよう努めています。
外来診療について
対象疾患/専門分野
外来
耳鼻咽喉科外来は、(月)(水)(金)の午前午後、3H-1 および3H-2 診察室で3~4診体制で行っております。
2009年度の1日平均(週5日間として)の外来患者数は34.4名となっております。
診療予約制を採用しているため、初診の予約待ちが起こり、救急時には適宜対応しているとはいえ迅速な対応が求められる疾患の診療が行いにくいという問題が生じております。
適切な診療を行うために、近隣および紹介元の医療機関と連携をとるように努めております。
外来診療での疾患の推移をみると、耳疾患が増加傾向にあり、小児難聴の診断・治療・療育は重要な役割と考えております。
そのため2005年にASSR検査を導入しました。また人工内耳手術を開始し、難聴遺伝子検査や先天性CMV感染の検査も施行しております。
専門外来として「難聴・補聴器」「気道疾患」の各外来を開設しているほか、2002 年秋からは形成外科、リハビリテーション科、言語訓練部門と合同で「口蓋裂チーム外来」を行っております。
また臨床心理士による発達検査を行い、聴覚言語リハビリテーションに役立てております。
「難聴・補聴器」外来
毎週月曜日の午後および水曜日の午後に、難聴児の診断および補聴器の適合・装用指導を行っております。
当院は補聴器適合検査および更生医療の指定医療機関になっております。
当院の常勤医師のうち2名は日本耳鼻咽喉科学会の補聴器相談医に認定されています。
また院内および院外の施設での言語訓練指導も推進しております。
「気道疾患」外来
毎週金曜日の午後(担当:守本)に、主に気管切開を行った患者および気管・喉頭形成術後の患者のフォローアップ外来を行っております。
対象患者は全国に及び、約50 名の患者が定期的に受診しております。
「口蓋裂チーム」外来
毎月第2金曜日の午後に、口蓋裂術前・術後患者の構音評価を中心とした外来を形成外科他と合同で行っております。
入院
耳鼻咽喉科入院患者は、予定手術症例が主体であり、7 階西および東病棟(幼児)および10 階東病棟(学童)を中心に、状況に応じて他の病棟も利用しながら入院患者の治療を行っております。
2009年度の1日平均の入院患者数は7.3名、平均在院日数は5.3日となりました。
病棟患者で、全身的な合併疾患をもつ患者の場合には、総合診療部のバックアップを得て診療を行っております。
また耳鼻咽喉科領域の急性感染症・外傷などで、保存的治療を行う場合には、総合診療部が主な担当(主治医)となって、局所の診療について耳鼻咽喉科がサポートするという体制をとっております。
手術
2002 年3 月26 日に、耳鼻咽喉科として成育医療センターでの最初の手術、「鼓膜チューブ留置術」1件を行いました。
2009年度は月間31~60件の手術を行っております。
手術枠の供出や長時間を要する手術の増加により前年度よりやや手術件数は減っています。
2009 年度の耳鼻咽喉科手術の詳細を下表に示しました。
他の小児専門病院と同様に、アデノイド・扁桃手術および鼓膜チューブ留置術が多くなります。
気道疾患の手術も多いですが、他院でも扱うようになっているためかやや減少傾向にあります。
小児の中耳手術も当院の機能を生かした重要な診療と考えています。
人工内耳埋込術も行っており、徐々に症例は増えています(2009 年度は9例)。
当院は重度難聴に対し診断から人工内耳埋込術、さらに聴覚言語リハビリテーション、言語発達の評価まで一貫して行っている数少ない病院の一つとなっております。
新生児聴覚スクリーニング
周産期部門により、全新生児の聴覚スクリーニングを行っています。
2007年度は年間に1,588名の新生児聴覚スクリーニングを行い、6名(0.4%)に療育が必要となる両側難聴が発見されました。
スクリーニングにて難聴の疑いありと判定された新生児は、耳鼻咽喉科でさらに精密な聴力評価を行い、難聴児の早期発見を目指す体制が構築されています。
精密聴力検査としては、当院ではABR・ASSR・OAE・蝸電図・行動聴力検査(COR, VRA, peep show, play)・補聴器適合検査・人工内耳関連検査など、通常行われるすべての乳幼児聴力検査が可能となっております。
実績
| (月) | 2009 | 2010 | 合計 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 | ||
| 患者数 | 44 | 40 | 46 | 52 | 31 | 56 | 36 | 32 | 45 | 38 | 35 | 60 | 515 |
| <術式別> | |||||||||||||
| 鼓膜チューブ留置 | 15 | 15 | 17 | 18 | 1 | 19 | 17 | 11 | 17 | 16 | 15 | 19 | 180 |
| 鼓室形成/アブミ骨手術 | 2 | 2 | 1 | 2 | 4 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 17 | ||
| 鼓膜形成 | 3 | 1 | 4 | 2 | 1 | 5 | 16 | ||||||
| 人工内耳埋込術 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 9 | ||||||
| 耳瘻孔/副耳 | 2 | 2; | 1 | 2 | 1 | 1 | 9 | ||||||
| 外耳道腫瘍/外自道閉鎖 | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 | ||||||||
| アデノイド | 19 | 19 | 8 | 24 | 10 | 20 | 17 | 13 | 12 | 16 | 7 | 18 | 183 |
| 扁桃摘出 | 20 | 18 | 11 | 24 | 13 | 25 | 15 | 16 | 11 | 13 | 8 | 20 | 194 |
| 舌小帯切除 | 2 | 1 | 1 | 3 | 1 | 8 | |||||||
| 舌根/喉頭蓋のう胞 | 1 | 1 | 1 | 3 | |||||||||
| 後鼻孔閉鎖 | 2 | 1 | 2 | 5 | |||||||||
| 喉頭 検査/手術 | 1 | 2 | 3 | 6 | 2 | 4 | 1 | 5 | 2 | 3 | 9 | 38 | |
| 喉頭気管形成術/分離術 | 1 | 1 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 11 | ||||
| 気管切開 | 1 | 5 | 1 | 2 | 2 | 3 | 4 | 1 | 19 | ||||
| 下甲介/鼻中隔手術 | 1 | 2 | 1 | 1 | 5 | ||||||||
| 鼻副鼻腔内視鏡手術 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 8 | |||||||
| 顔面/口腔/頚部腫瘍手術 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 10 | |||||
| 異物(食道など) | 1 | 1 | 1 | 2 | 5 | ||||||||
| その他 | 2 | 1 | 3 | ||||||||||
| 計 | 70 | 61 | 52 | 80 | 41 | 79 | 57 | 46 | 62 | 54 | 41 | 81 | 724 |
※ 同一患者で複数の術式が施行されていることがあります。
その他
難聴について
片側難聴
片側がまったく聞こえなくても、もう片側が正常であれば、ほとんど不自由を感じないと思われます。
正常の耳の聴力が変動していないか、定期的な聴力の検診は必要です。
両側難聴
両側難聴であった場合は、補聴器を使用する必要があります。
なるべく早めに装用を開始しますが、難聴の程度やそのお子様の成長発達の度合いに合わせて個人差があります。
また、装用後の教育の仕方も異なりますので、耳鼻科専門医にご相談ください。
小さいお子さんは、みんな補聴器をつけるのを嫌がります。
実例のページは、両側中程度の難聴のあるお子さんが補聴器をどのようにうまくやっているのか、工夫している実例が紹介されています。
小児耳鼻咽喉科領域で多いご相談内容について
急性中耳炎を何回も繰り返す
小さいお子様は、体の抵抗力が弱いこともり、特に1歳前後で急性中耳炎を何回も繰り返す患者様が増加しています。
急性中耳炎後、鼓室内に滲出液が貯留する滲出性中耳炎に移行したまま治りきらないうちに再度感染を繰り返してしまうからです。
急性中耳炎の後も鼓膜の状態が改善したか専門医にみてもらうことが必要です。
急性中耳炎を繰り返していて、長い間薬を飲み続けていても滲出性中耳炎がなかなか良くならない場合には、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置手術を行うことがあります。
正常鼓膜
急性中耳炎
滲出性中耳炎
鼓膜チューブ留置後滲出性中耳炎と診断されているが、なかなか治らない
小児は構造上鼓膜の内側(鼓室)に滲出液が貯留する滲出性中耳炎になりやすく、また鼻炎や感冒を繰り返すためになかなか治りにくいことがあります。
7歳くらいになると自然に治ってくることが多いのですが、やはり言葉を覚える大事な時期ですので、治療により早く治してあげることが大切です。
通常はしばらくの間、薬を内服したり、耳鼻科で鼻水を吸引したり、耳に空気を通す治療を行います。
それでも滲出性中耳炎がなかなか良くならない場合は鼓膜切開や鼓膜チューブ留置手術を行うことがあります。
また、耳と鼻をつないでいる管(耳管)の開口部にはアデノイドと呼ばれるリンパ組織があり、これにより開口部が塞がれてしまったり、耳への感染を起こし易くなっている場合には、滲出性中耳炎が遷延することがあります。
このため、アデノイド切除も同時に行われることがあります。
最近聞こえが悪いようだ
突然聞こえが悪くなる病気と徐々に悪くなる病気があります。
突発性難聴 内耳の血流障害あるいはウイルス感染により突然片耳の難聴を生じます。
発症後2週間以内に治療を行わないと改善する可能性は低くなります。
ムンプス難聴 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)のウイルスにより突然高度の難聴を引き起こします。
頬が腫れなくて、気がつかないうちにかかっていることがあります。
すぐに治療を始めても治る可能性は低いので、ムンプスの予防接種を受けることをお勧めします。
滲出性中耳炎 急性中耳炎の後や風邪をひいたあとに鼓膜の裏側(鼓室)に滲出液が貯留した状態です。
薬の内服や、こまめに鼻水を吸引したり、通気を行なうことで改善することもあります。
しかし、なかなか治らない場合は鼓膜切開や鼓膜チューブ留置手術などが6必要となります。
耳垢栓塞 耳垢が多量にたまって耳栓のようになってしまうことがあります。
また、プールなどで耳垢がふやけて突然聞こえが悪くなることがあります。
健診で聞こえが悪いかもしれないといわれた
もしお子様に難聴があった場合、早期に発見されて早めに補聴器をつけるなどの対応をしてあげると、それだけ言葉の発達に違いが出てきます。
このため健診ではちょっとでも疑わしい時には聴力の精密検査をお勧めするようになっています。
小さいお子様の聴力の判定は大変難しく、小児専門の聴力検査に熟練した生理検査技師が検査を行う必要があります。
また、さらに精密検査が必要な場合は睡眠薬下に聴性脳幹反応検査(ABR)を行うことがあります。
当院では、この検査での睡眠薬によるリスクを避けるために、麻酔科専門の医師の協力を得て、安全に検査できる体制を準備しています。
他の子に比べて言葉が遅れている
言葉の発達が遅れる原因には、先天的に聴力障害があり、正常の聴力の子供に比べて音の刺激が少ないために遅れてしまう場合と、言葉を話す能力の発達障害がある場合の2つに分かれます。
子供の音に対する反応が良いと思われていても、片耳のみの難聴やある一定の周波数の音に対する難聴なども考えられますので、耳鼻咽喉科専門医にもご相談ください。
精密検査が必要な場合は睡眠薬下に聴性脳幹反応検査(ABR)を行います。
この検査では睡眠薬による危険が伴わないように、専門の医師の監督のもとで検査させていただいております。
アレルギー性鼻炎の薬を飲んでいるが、鼻詰りや鼻水がなかなか良くならない
アレルギー性鼻炎を根本的に治す方法はありません。
このため、アレルギーの薬を内服して定期的に治療をしてもらうことが第一選択です。
しかし、どんなに強い薬を飲んでも鼻呼吸できないくらいひどい状態が慢性的に続いている患者様がいます。
このような方は、鼻腔粘膜焼灼術を行うことがあります。
いびきがひどい
小児で大人顔負けのいびきをかくことがあります。
風邪をひいて鼻が詰まっていてもいびきをかくことがありますが、常にいびきをかいて、更に息が詰まったかのように数秒間呼吸が止まっていることがあります。
この場合は要注意です。
原因としては小児の場合はアデノイドや扁桃肥大によることが最も多いです。
アデノイドや扁桃肥大は5歳ごろがピークで、7,8歳頃になると徐々に小さくなってきますが、それ以前に症状が強い場合全身麻酔下にアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術を行うことがあります。
当院では合併症がある小児や2歳以下の小児に対してもこのような症状が認められた場合は、他科と連携しながら慎重に手術を行わせていただいております。


