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母性内科
母性内科は「妊娠」を内科医の立場でサポートする科です。
慢性の病気を持っている女性の妊娠前・妊娠中・産後のケア(合併症妊娠)
甲状腺疾患、膠原病などの慢性疾患を持ちながら妊娠を望んでいる女性の妊娠前、妊娠中、分娩後の内科的管理を行います。合併症妊娠、妊娠合併症を主な仕事にしているといいながら妊娠していない患者さんを診ていると「妊娠していないのに診るのですか?」と聞かれることがありますが合併症妊娠は妊娠前の評価が大切なのです。特にバセドウ病、全身性エリテマトーデスなどは妊娠前から拝見させていただきたいと思います。妊娠中は産科医師と連携して慎重に管理をしています。産後は一ヶ月検診が終了すると主治医にバトンを戻すことになります。しかし、橋本病、関節リウマチは出産後に病状が動くことが多いので、しばらくの間私どものところで診させていただくことが多くなります。
妊娠中に現れてきた病気のケア(妊娠合併症)
妊娠は「負荷テスト」であると言われるくらい、妊娠中に病気が顕性化してきます。最もよくみられるのが妊娠糖尿病です。妊娠中期以降は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が増し、血糖が上昇するのです。母親のグルコースは胎児に移行するため血糖が高いと胎児のインスリンの産生が高まるため巨大児や新生児の低血糖などのトラブルの原因となるので厳格なコントロールが要求されます。「糖尿病」という言葉だけが耳に残り、大変なショックを受けることもあるので、分娩後の見通しも含めた丁寧な説明が必要です。産後の体重管理、定期的な検査の必要性を説明しています。
妊娠中の検診で発見された病気に関する診療、指導
B型肝炎のキャリアなどがその例です。妊娠中の管理は責任を持って行いますが分娩後は患者さんにとって最も適切な医療機関へ紹介するようにしています。
産後の体調不良などの診療
以前、産後3ヶ月で手のしびれをはじめとする不定愁訴で外来を受診し、橋本病をベースにした分娩後甲状腺炎だった女性がいました。妊婦さんは通常一ヶ月検診が終わると病院との縁は切れてしまいます。産後しばらくして体調がおかしいと思ったとき、どこを受診してよいのかわからない女性がほとんどだと思います。このようなときの駆け込み寺としての役割も母性内科は持っていると考えます。
不妊診療科、不育診療科との診療連携
不妊の原因検索の結果、甲状腺機能異常、下垂体機能異常などが発見されることが少なくありません。また、強度肥満女性は妊娠しにくく、たとえ妊娠したとしても妊娠中の合併症のリスクが高いので肥満を改善させてから不妊治療をしなくてはいけません。これらのケースでは母性内科と不妊診療科の連携が重要になってきます。 不育診療科との連携で最も多いのは習慣性流産の原因となる抗リン脂質抗体症候群のケースです。妊娠前の評価、治療方針の決定、妊娠判明後の治療導入の実際、妊娠中期から後期にかけて胎児の発育を見ながら分娩時期・方法を決定など、産科医を含めた合同チームで対応しています。
予防接種などの保健指導
妊婦がインフルエンザに罹患した場合は心肺疾患の合併頻度が高くなるという事実から妊婦さんへの予防接種は推奨されています。母性内科が中心となって冬期に妊娠中後期を迎える妊婦さんにワクチン接種を行っています。また、妊娠中の検診で風疹など感染症の抗体が陰性妊婦さんには、産後にワクチン接種を行っています。
生活習慣病の回避のための保健指導
妊娠は女性の健康をチェックする関所のようなものです。生活習慣病の素地があると思われる妊婦さんはもちろんのこと、他の妊婦さんにも女性の体は加齢とともにどのような変化をしていくのか、疾病を予防するためにはどうしたらよいか折に触れ指導しています。
母性内科が診療してきた疾患内容
※青字は妊娠中に発症した疾患です。
- 自己免疫疾患(膠原病)
全身性エリテマトーデス(SLE)、シェ - グレン症候群、関節リウマチ、高安動脈炎、抗リン脂質抗体症候群- 甲状腺疾患
バセドウ病、橋本病、甲状腺機能低下症(ヨード過剰摂取、子宮卵管造影後)、阻害型抗体陽性甲状腺機能低下症- 代謝疾患
糖尿病、高脂血症、肥満- 呼吸器系疾患
気管支喘息などのアレルギー性呼吸器系疾患、気管支炎、肺炎、慢性咳嗽- 消化器系疾患
食道炎、食道潰瘍、胃炎、胃潰瘍、胃腸炎、虫垂炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、慢性肝炎(B型・C型肝炎)、慢性膵炎- 血液疾患
貧血、特発性血小板減少性紫斑病、凝固機能異常(凝固因子欠乏症、プロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症)- 循環器疾患
高血圧症、先天性心疾患、不整脈- 腎・尿路疾患
慢性糸球体腎炎(IgA腎症、膜性腎症など)、腎盂腎炎、膀胱炎、尿路結石- 神経疾患
てんかん、多発性硬化症、重症筋無力症、多発神経炎- 妊娠に特異的な疾患
妊娠高血圧(妊娠中毒症)、妊娠糖尿病、逆流性食道炎、水腎症、産褥期高血圧- 外科疾患の術後
先天性胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症、肝移植後- 不妊や習慣性流産に関与する疾患
抗リン脂質抗体症候群、凝固機能異常、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、糖代謝異常


