国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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患者・ご家族の方へ Patient & Family
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アレルギー科を通院中の患者さん・ご家族の皆様へ

今般、国内施設において牛乳に対する急速経口免疫療法を受けた患者さんに重篤な有害事象が発生し、各社報道機関を通じ報告がなされました。この報道以降、当科外来でこの事象に関するご質問が多くございますので、現在当科で行われている方法がなぜ安全性が高いのかを説明させていただきます。


本有害事象が発生した急速免疫療法について

本有害事象に関する詳細はすでに当該施設のWebサイトで発表されておりますが、「牛乳に対する急速経口免疫療法を受け、維持期に脱感作状態(原因食物を摂取し続けていれば症状が現れない状態)に到達していた児が自宅で維持量を摂取後に、重篤な呼吸器症状を呈し、低酸素脳症に至った事象」というものです。


当科で行われている経口免疫療法について

当科では、患者さんの安全を第一に考慮し、効果の期待できる最小の維持量による経口免疫療法を行っています。今回の事象が起こった急速免疫療法ではありません。

どこが違うの?

これまで多くの施設で研究的に行われていた経口免疫療法は、「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して、事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認した後に原因食物を医師の指導のもとで経口摂取させ、閾値上昇または脱感作状態とした上で、究極的には耐性獲得を目指す治療法(食物アレルギー診療ガイドラインより)」を指します(下図の1)。

しかしこの方法では、アレルギーの原因食物を摂取し続けていれば閾値を超えた量を摂取しても症状が現れないという「脱感作状態」にあるだけであって、途中で治療摂取を中断すると症状誘発の量が元に戻ってしまったり、体調不良・摂取後の運動により症状が誘発されたりすることがあり、大変危険を伴う場合があります(下図の2)。

どうすればより安全に出来るの?

実は、アレルギーの原因食物を摂取することでつく“本当のちから”は、閾値を超えて摂取し続ける場合と、もっとよりずっと少ない量で摂取し続ける場合とで、さほど差がないことが近年の研究で分かってきました(下図の3)。

そこで当科では、事前の食物経口負荷試験を行い、増量期にも維持期にも、体調や生活スタイルに関わらず副反応ゼロを目指し、きちんと用量設定を行った上で、少量維持療法による個別化治療に取り組んでいます。

もちろん、安全性を担保するため症状誘発に備えた緊急時対策(エピペン®を含む)や注意事項を十分に説明させて頂き、ご納得頂いたうえで治療を開始致します。また、不安定な喘息コントロール状態は致死的アナフィラキシーの重要な要因であることが知られています。アトピー性皮膚炎も影響があり、皮膚状態が悪いと皮膚から感作を受けやすくなりIgE抗体価が下がりにくくなります。ですから、皮膚の治療も徹底して皮疹ゼロ痒みゼロを目指すことも大切です。

経口免疫療法に限らず、食物アレルギー全般のために良好な喘息と皮膚炎のコントロールを目指しましょう。
その他、食物アレルギーの治療に関しましてご心配、ご不安な点がございましたら、担当医もしくはアレルギー科スタッフに遠慮無くご相談ください。



平成29年11月 アレルギー科医長 大矢幸弘


図1 脱感作状態とは

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図2 研究で行われた、閾値を超える経口免疫療法

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図3 当科における治療方針(部分解除による少量維持療法)

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