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妊娠と橋本病

  • 甲状腺はどのような臓器ですか?
    • 甲状腺は、のどぼとけの下に存在する蝶々形をした組織です。甲状腺の働きは甲状腺ホルモンを産生することです。甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にするホルモンですが、妊娠の維持、子どもの成長にも重要なホルモンです。

  • 橋本病とはどのような病気ですか?
    • 甲状腺に慢性的に炎症が起こる病気で慢性甲状腺炎とも呼ばれ、自己免疫性疾患*の一つです。炎症の結果、甲状腺ホルモンのバランスが悪くなる場合があります。成人女性の約7~8人に1人が橋本病の素質をもっています。橋本病における甲状腺ホルモンの状態は以下の3つに分けられます。


      橋本病の診断につきましては、こちらをご覧ください。

      * 自己免疫疾患とは?
      免疫は外から侵入する異物を排除するしくみだが、なぜか自己の臓器やタンパク質を異物として認識して反応することがある。これによって起こる病気を自己免疫疾患という。

  • 橋本病はどのような症状がありますか?
    • 橋本病の症状として、甲状腺腫大と甲状腺ホルモン異常があります。甲状腺腫大は程度にもよりますが、頚部違和感を自覚する場合があります。甲状腺ホルモン異常は甲状腺ホルモン低下の場合は、甲状腺ホルモン不足の症状があります。ときに甲状腺ホルモン上昇となる場合もあり、この時は甲状腺ホルモン過剰の症状があります(図参照)。

  • 橋本病では、どのような検査をしますか?
    • 甲状腺のホルモンバランス(甲状腺機能)の検査として甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモンを血液検査で調べます。甲状腺刺激ホルモンは(TSH)は、脳下垂体で産生されるホルモンで、甲状腺ホルモンを調節する働きをもちます。甲状腺ホルモンの変化に応じて、甲状腺ホルモンを正常化しようと、鋭敏に反応します。甲状腺ホルモン(FT3、FT4)はTSHの刺激(調節)を受けて、甲状腺から産生されるホルモンです(図参照)。また、橋本病に甲状腺の腫瘤を合併することがありますので、一度は甲状腺エコー検査を受けましょう。

  • 橋本病ですが、妊娠を希望しています。気をつけることはありますか?
    • 甲状腺機能低下症(潜在性甲状腺機能低下症**を含む)は、不妊や流産、早産、妊娠高血圧症候群などのリスクになります。妊娠前から甲状腺機能を正常に保つことが重要です。妊娠すると甲状腺ホルモン必要量は約1.5倍に増えます。そのため妊娠成立後に甲状腺ホルモン薬を開始したり、服用していた甲状腺ホルモン薬の量を増やすことがあります。

      ** 潜在性甲状腺機能低下症とは?
      甲状腺ホルモン低下は程度により2つに分類されます(図参照)。

  • 妊娠前や妊娠中の甲状腺機能の目標値はいくつですか?
    • 甲状腺機能の管理は、TSHを指標に行います。TSHは甲状腺ホルモンが不足すると上昇します。米国甲状腺学会ガイドライン2011では、妊娠前~妊娠初期(13週まで)はTSH <2.5μU/ml、妊娠中期(14週~)TSH<3.0μU/mlとしています。

  • 橋本病ですが、日常生活の注意点はありますか?
    • ヨードは海藻類全般に含まれる成分ですが、摂りすぎにより甲状腺ホルモンが低下することがあります。右図は1回の食事で摂取されるヨード量をまとめたものです。緑で記載された食品の摂取(昆布類)は、とくに控えましょう。ヨードを含むうがい薬にも注意しましょう。また、卵管造影検査で使用する造影剤にはヨードが含まれますので、検査をした場合には担当医に伝えましょう。

  • 橋本病ですが、妊娠を希望しています。どのような治療をするのでしょうか?
    • 妊娠希望の場合、TSH値が2.5μU/ml以上であれば、甲状腺ホルモン薬を服用します***。甲状腺ホルモン薬はレボチロキシンナトリウムを成分とし、チラーヂンS(商品名)と呼ばれるお薬です。妊娠中、授乳中の服用も問題ありません。

      *** TSH値が2.5μU/ml未満であっても、甲状腺自己抗体(抗マイクロゾーム(またはTPO)抗体、抗サイログロブリン抗体)が陽性の場合は、甲状腺ホルモン薬を服用することもあります。
  • 橋本病ですが、妊娠しました。橋本病の診療の受診はどうしたら良いですか?
    • 妊娠したら5~6週で受診し、甲状腺機能をチェックしましょう。妊娠初期は4週ごとに、その後は30週前後に甲状腺機能をチェックします(状態により個別対応を行います)。
      図1は一般的な妊娠前後の甲状腺ホルモンの必要量の変化と受診の目安をしめしたものです。

  • 橋本病です。妊娠中に甲状腺ホルモン薬を服用していました。産後に気をつけることはありますか?
    • 分娩すると、甲状腺ホルモンの必要量は妊娠前の状態に戻ります。そのため、分娩後は甲状腺ホルモン薬を減量または中止することが多いです。また、産後に、約4~6割の方に甲状腺機能の変動がみられ(無痛性甲状腺炎)、産後の体調不良の原因になることがあります。このため、産後も定期的なフォローを行います(図2参照)。

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